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【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合25

1 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 00:54:34 ID:nlTy1n9P
     _      ここは「ゼロの使い魔」「グリーングリーン」に代表される
    〃 ` ヽ    ヤマグチノボル氏の作品のエロパロを書くスレよ。
    l lf小从} l  / 荒らし、それに反応する輩はあたしの虚無で一発なんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ /  ご・・ご・・・ご主人様が好きならSSを書いてみなさい!
  ((/} )犬({つ′  あと、次スレは480KBか、970レスを過ぎたら立ててね。
   / '"/_jl〉` j    立てないとお仕置きだかんね!
.  ヽ_/ノヘ.)〜′   分かったら返事するのよっ!犬!

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2 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 00:55:07 ID:nlTy1n9P
改行Overのため、これだけ別途

まとめサイト ゼロの保管庫wiki
http://wikiwiki.jp/zero/

3 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 01:02:27 ID:ePw4giMa
3

4 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 01:07:21 ID:pjD6zzrb
>>1もつ

5 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 02:55:28 ID:tRPdYlO7
>>1
>>2


6 名前:ツンデレ王子:2007/12/19(水) 03:36:06 ID:tRPdYlO7
やっと書き込めるようになりました

というわけで、雑談用掲示板での私のマイナス思考的な書き込みは
忘れていただけると有り難いです。

あと、
雑談用掲示板(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7927/1162204142/
に書き下ろしたものですが、ちょっと文章を訂正しましたので
こちらで投下させて頂きます。
(実は感想が欲しいのです、はい^^;)



7 名前:待ちきれなくて…:2007/12/19(水) 03:38:22 ID:tRPdYlO7

 あ、ミス・ヴァリエール。どうしたんですか?溜息なんか吐いて。
 え?まぁ確かに不安ではありますよね。これからの事を考えると…
 私ですが?そ、それは私だって不安ですよ。
 だって…沢山の人が見てる前で…その…
 望まれれば、あちこち開いて見られるんですから…
 サイトさんにだって、まだソコまでは……
 私、サイトさんだったら何されても構わないのに…
 あっやだ、サイトさんの事考えただけなのに…もうこんなになってる…
 ん…あっ…ぁ…
 あっミス・ヴァリエール、何をなさるんですか!
 そんな…ぁう…やん、じんじんします…そこ…
 きゃふ!だ、だめです、そこ…あぅ…お願いですから…歯立てないで下さい…
 そんなにしてもおっぱい出ないですよぉ…
 ぅふふ、大丈夫です。私はミス・ヴァリエールの事も大好きですから。
 あぁぁ…ミス・ヴァリエールぅぅ…
 きゃん、そ、そこはダメ…自分でも分かるくらいになってるんですからぁ
 ひゃぅ、な、舐めちゃダメですよぉ…きたな……
 やだ、そんな事…言わないで下さい。恥ずかしいじゃないですかぁ
 …いいですよ…その代わり、いっぱい…くださいね

 あっ…だ、だめ…いきそう…
 いって…いいですか…ミス…ああ、そんなに強く…
 あっ…あっ…あっ…い、いく…ぁぁぁあああああああああ!!!



 素敵でした、ミス・ヴァリエール…
 え?そんな事ないですよ。大丈夫ですって。
 これからどんな方に…たとしても、私たちは一緒です。
 もちろん、サイトさんも女王陛下も…みんな一緒ですから…

 もうすぐ…あと数日で…
 サイトさんの世界では“クリスマス”と呼ばれる日らしいですよ。
 サイトさんがおっしゃるには、クリスマスってとってもロマンチックなんですって。
 素敵じゃないですか、私たちが売られるのがそんな日だなんて…
 ですから…ね、そんな悲しそうな顔しないで、ちゃんと顔を上げましょう。

 私たちを買って下さる方へ
 精一杯、ご奉仕致しますから、どうぞ私たちを可愛がってくださいね☆


8 名前:ツンデレ王子:2007/12/19(水) 03:42:24 ID:tRPdYlO7
以上です。

シエスタ目線で13巻の告知みたいなモノを作ってみたくなって…


9 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 10:09:28 ID:2cf3/4a9
>>8
う、売られる…!wwww
つまり俺がアン様を買っても誰も文句は言わないということだな!
おおおおおおおお持ち帰りぃーーーー!

10 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 10:21:37 ID:9yfNNDdH
ざんねん!
それは じょそうした あにえす だった!

11 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 10:28:23 ID:IdV3bW49
>>8
GJです。
まとめて売られる状況でなぐさめあうっってシチュもいいけど、買われた後がかなりエロくなりそうだw
>>9
待ちたまえ、競売方式ならこっちは先祖伝来の刀を売り払ってでも金を(ry

12 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 10:43:45 ID:2cf3/4a9
>>10
だが それでも いい

13 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 13:42:52 ID:FasEUSGA
>>10
じょそう・・・
女装だと!?

14 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 20:47:03 ID:WQ2OvNkY
貴様、おちんちんが生えてるダッー!

15 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 21:57:37 ID:g7+Ze+iK
>>10
じょそう・・・
除草・・・
つまり下の毛をzqあsxwdcえrfvtgbyh

16 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 23:08:57 ID:9oEjufk4
サイトがルイズに女装させられて市中引き回しでアニエスに目撃された上アンリエッタにお持ち帰りと申したか?

17 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 23:19:19 ID:Mm19DCKP
このスレは時代の最先端を行ってるな。

18 名前:バレット:2007/12/20(木) 00:06:57 ID:ffCMjyMK
待たせたな!(大塚明夫風)
OCN規制も解除されたので、サイトinガリアの続き生きます、じゃなくて行きますぜ旦那。


19 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/20(木) 00:10:55 ID:ffCMjyMK

サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ―――本名は平賀才人という。

特例により(表向き)平民から貴族、それもガリア王家に連なる一員となったこの青年の名はガリア全土だけでなく、トリステインやゲルマニアといった他国の指導者達の間でも知られた名だ。

『ガリア王ジョゼフの懐刀』
『神の盾』
『イーヴァルディの守護者』

代表的な通り名としてはこれらが挙げられるだろう。
1つ目は、ガリア王家の中でも現国王であるジョゼフと最も親しいとされている為。
2つ目は、その左腕に刻まれたルーンが始祖ブリミルが従えた虚無の使い魔の1つ『ガンダールヴ』であるから。
3つ目は、これまでに幾度となく王家や国民を襲う敵や怪物達を退け、そこに駆けつけてからは誰1人死なせる事無く守ってきた事から。

とにかく平民出身の身ながら魔法を操り、その剣捌きで激戦を潜り抜けてきたその勇姿は、尾鰭胸鰭を追加されながら全国に広まっている訳だ。

しかし、王家に直々に仕えて直接サイトの振る舞いを見た人間の評価はちょっと違う。

曰く――――ちょっと抜けててちょっと鈍い、でも自然と好かれるフツーの青年。

訂正。結構違った。


「ちくしょーっ、酷いと思わねえか?そりゃあシャルロットのお尻鷲掴みにしちゃってたのは俺だけどさー
、寝ぼけてたしシャルロットが勝手にベッドん中潜り込んでたんだから仕方ないだろ。そう思わねえ?」
「コメントは控えさせてくれ。それよりもそれがシャルル様の耳に入ったらマズくないか?いやまあサイトの功績を考えればせめて吊るし首は無いだろうが・・・」

貴族となったサイトの日課は、王家の人間を守る為に結成された花壇騎士団、その面々と共に鍛錬を積む事である。

ヴェルサルテイルの敷地内にある騎士団の詰め所にて、今は同年代であるカステルモール相手に今朝のイザベラのお仕置きへの愚痴をブチブチと言っていた。
サイト自身は認めてないのだが、イザベラによるサイトへのお仕置きは既に宮殿内の風物詩だったりする。
そして更にサイトは気づいてないのだが、顔を真っ赤にして杖を振り回すイザベラとサイトのやり取りを眺める宮殿の人間のそのまなざしはとっても生温かかったり。

一方、話に付き合わされているカステルモールの方は冷や汗ダラダラだ。

オイオイ、実際どうであれ受け取り方によっちゃそれって王家の子女に手ぇ出した風に聞こえるぞ!?
しかも王家の人間を呼び捨て!?『様』はどうした『様』は!?
いくらシャルロット様やイザベラ様よりも年上で小さかった頃から何年か前からの付き合いだからって、相手は王家だぞ王家!

「ジョゼフのおっさんにも少し前に何とかしてくれって頼んだんだけどさ、あのヒゲ親父ニヤニヤ笑うだけで止めてくれねーし」
「ちょっと待てぇぇえっ!自分が仕えてる国王をよりにもよってオッサン呼ばわりするなぁぁぁああっ!!それも言うに事欠いてヒゲ親父とは何だヒゲ親父とはぁっ!!」
「実際にヒゲ親父じゃねえか。第一なぁ俺のファーストキスはあのヒゲ親父に奪われたんだぞ!?
分かるか!?この俺のやるせなさがわかるか!?俺のファーストキスを返せあんのヒゲ親父いぃぃぃっ!!!」
「だから!国王をヒゲ親父と呼ぶなああぁぁっ!!」

バッソ・カステルモール。
別の世界ではある少女に密かに忠義を尽くし続ける彼も、
ここでは年が近く任務でサイトとよくコンビを組まされるが故に、高血圧とストレス性の胃炎に悩まされる20代であった。

果たしてどっちの方が、彼にとっては幸せなのやら。


20 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/20(木) 00:12:59 ID:ffCMjyMK


一方その頃、サイトに日々折檻を加える主犯格の少女はというと。

(ああもうバカバカバカバカ!せっかく私もサイトを起こして驚かせようと思ってたのに何やってんだい私は!)

顔を不機嫌そうに歪ませつつも、内心自己嫌悪に苛まれてベッドの上でゴロゴロ転がる、微妙にアンバランスな事をしていた。
実はイザベラ、事ある毎に頭に血を上らせてサイトに折檻を加えてはいるが、実際にはサイトの事が気に入らないわけではない。
むしろ大いに気に入っている。
というか、ぶっちゃけ好きだったりする。それこそ最近になってサイトを思い浮かべながら体を慰めちゃうぐらいに。

そのきっかけはイザベラの父のジョゼフがサイトを召喚してすぐの頃。

当時はイザベラはサイトの事を単なる召使い役兼遊び道具―『道具』という辺り彼女らしいというかなんというか。
とにかく単なる目下の平民としか見ていなかったのだが、
ある日王家の人間総出でバカンスに出かけた先で年下の従妹のシャルロットと共に森で遊んでいると、偶然見張りの騎士の目をすり抜けたオーク鬼の集団が現れたのだ。
その時は2人とも杖を持っていなくて、危うくオーク鬼に襲われる寸前で駆けつけたのが、2人が居なくなった事に気づいて追いかけてきたサイトであった。
30秒と経たずオーク鬼数体をあっさり切り捨てたサイトの姿は、まさしく年下のシャルロットによく読み聞かせてやっていた『イーヴァルディの勇者』そっくりで・・・・・・

専門用語で言えばいわゆる吊り橋効果みたいなもんだが、とにかくその時からイザベラは格下の召使い兼遊び道具ではなく、1人の異性としてサイトを見るようになった訳だ。

――――もっとも妹分までもその時からサイトに惚れたと聞かされて以来、彼女とは丁々発止のやり取りをするようになったのだがそれは割愛。
ついでにサイトが『ガンダールヴ』で魔法が使えず無能王と蔑まれていたジョゼフが『虚無』の属性だと分かったのもその事ががきっかけだったり。


それはともかく。


「あーもう、もう1ヶ月も無いってのに・・・!」

何が1ヶ月も無いというのか。

それは、もう1ヶ月もしない内にイザベラとシャルロットはハルケギニアの小国トリステインにある魔法学院へと留学する事になっているのだ。

政治の為国の為、他国同士に結びつきを強くする為指導者層の子息子女が他国に留学するのは珍しくは無いしそれはイザベラも分かっている。
しかしそれでは・・・サイトと会える時間が殆ど無くなってしまう。月単位、下手をすれば年単位かもしれない。
少なくともライバルの最有力候補のシャルロットも自分と一緒だが、代わりに他の女性がサイトに近づく可能性も高いのだ。

ほら、男だろうと女だろうと、それなりに高い地位にいる人間とお近づきになろうとするのは当たり前だし。
従妹はともかく、出会った最初の頃から気になっていた男を自分が離れている間に他の馬の骨にとられて良いものか?


否、断じて否である!


そんな訳でイザベラは何がしたいのかというと、離れ離れになる前にサイトを自分のもの、自分だけの男にしようと企んでいる訳である。

留学が決まってからというもの、わざわざ使用人に頼んで城下町で売られている恋愛のハウツー本を買ってきてもらったり、
サイトの嗜好が貴族よりも平民寄りなので、餅は餅屋秘薬は秘薬屋と女中達に男の気の引き方を教えてもらったり、
サイトと一緒の時はわざと密着してみて気を引いてみたり。
これでもか!という位にチャレンジしてみたが。


率直に言って、(イザベラからしてみれば)まったく効果無し、である。


21 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/20(木) 00:18:42 ID:X6rWGGE5


「・・・やっぱり、サイトはシャルロットみたいなタイプの方が好みなのかしらねえ」

はあっ、深く溜息。

年下の従妹は自分と違って人形のような冷たい雰囲気と美しさを持っているし、
その外見と言動に反して結構甘えん坊な部分もあって、そこが男として堪らないのかもしれない。
それに自分と違って魔法の才能もあるし。自分と違って見た目より素直だし。私なんかいつもいつも魔法で折檻しちゃうから、きっとサイトの方は私の事嫌いだろうし。
ちなみにサイトは後者はともかく前者によって人を評価することはしないから、その考えはあまり関係ないのだが。

それでも妹分に意中の男性にあそこまで迫られたら、流石にイザベラも対抗したくなる。

くっ、でも朝の目覚ましをシャルロットにやられた以上、2番煎じじゃあまり効果は見込めないじゃない。
なら21ページの相手の膝の上に座ってアーン・・・
いやいや、周りに人がいる前でそ、そんな事出来ないわよ!第一食事の時は父様もシャルロットも一緒じゃないかい!
それじゃあ43ページの手作り料理・・・
これ前やって1口食べたらアイツぶっ倒れたんだったわね。
『東方』から持ち込まれたアズキって豆とウサギ肉のシチューに魔法のキノコ入れたのがマズかったかねえ?赤と白の水玉模様のだったけど。これも却下。
えーと、他には他には・・・

ベッドの下に隠しておいた男を落とすハウツー本に目を通しながら、新たな作戦を考える事小一時間。
本の後ろの方に行くほど乗っているやり方が過激になっていく内容のその本の最後尾近くのページで、イザベラの手は止まった。
周囲を確認。自分以外に敵影無し。気配も無し。オールグリーン。
そしてもう1度そのページに書かれている事を確認し、顔を真っ赤に染めてさっきよりも3倍速でゴロゴロゴロゴロゴロ・・・・・・

「しょ、しょうがないねえうん!そ、それなりに世話にはなってきたんだから少しは報いてやんないとねえ!アハ、アハハハハハッ」

周りに人が居ないというのに誤魔化す様に笑うその姿は、何気に不振人物であった。


『女が男を堕とすやり方その108:意中の男性と一緒に入浴』





ヴェルサルテイルには王家や貴族専用の豪華な大浴場と宮殿で働く平民用の蒸し風呂以外にもう1つ、離れのような感じで浴場がある。
数年前に追加されたそこは窓の無い密閉された感じの大浴場とは違いそこは湯船に面する壁が特殊加工+『固定化』重ねがけ済みのガラスなので、
外の風景を眺めながら湯船に浸れる仕組みだ。
時折ジョゼフなどがワインとつまみを持ち込んで月見酒と浸ってる事もあるそうな。
言わずもがな、サイトが自分の居た世界の温泉を思い出して作ってもらった場所である。
元々サイト専用であるが時折宮殿で働く人達の為に開放している。しかし今日はそうじゃないのでサイト1人だ。

あ゛あ゛〜、やっぱり風呂っていいよな〜。
こうこの見も心もじんわり温まるこの感覚がなんとも言えねえな〜。

小さい頃一緒に入った父親がやってたのを真似してみて、ハンドタオルを頭の上にのっけながら窓の向こうの夜空に浮かぶ双月をボンヤリ眺める。



22 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/20(木) 00:20:45 ID:X6rWGGE5

つーか、もう当たり前みたいに感じちゃうけど元々俺が居た世界って月が1つしかなかったんだったよな〜。
なんだかこの世界に来てからの数年ってウン十年分の経験みたいな感じがするなぁ。
オーク鬼の群れとも戦ったし。でっかいドラゴンとも戦ったし。山賊とか強盗団とか殺し屋とか色々な奴とも戦ったし。
・ ・・人も、何人か殺しちゃったし。
よりにもよって男に唇、奪われたし。
欝だ・・・・・・てか人殺した事とヤロウに初めてのチューを奪われたのが同レベルの俺って・・・
あははー、何だか湯気で視界がぼやけるなー。あれー?涙ってこんなに苦かったっけ?

グシグシと涙を振り払う。
まあ辛い事とか嫌な事とかトラウマになった事とか色々経験してきたけれど、こっちに来てから良かった事も多くある。
飯は豪華だし、未だに慣れないけど身の回りの事はメイドさん達がきっちりやってくれて助かる。
サイトを呼び出した張本人であるジョゼフは最初の頃は根暗で性格捻じ曲がってた部分があるが、今は年の離れた悪友みたいな感じで1番の親友だ。
その弟のシャルルさんも優しくて気が良いし。シャルロットが絡むと時々暴走するけど、その奥さんも良い人だし。大人版シャルロットみたいな美人さんだし。
サイトの相棒である『地下水』という自我を持つ短剣やバッソ、騎士団の仲間達もお堅いのが多いけど頼れる奴ばかりだ。
他にも王宮で働いてる従者やメイド達も、サイトにとって良い人ばかりである。
家族やネットや照り焼きバーガーが恋しい事は恋しいけれど、こんな暮らしも結構良くね?などとしょっちゅう思う。

ああそうそう、肝心な少女達の事を忘れていた。

「それにしてもシャルロットはともかく、何でイザベラってあんなにきつく俺に突っかかってくんだ?」

5歳年下のジョゼフの娘のイザベラと、7歳年下のシャルルの娘のシャルロット。
2人ともサイトが召喚された最初の頃からよく遊び相手になっていた少女達である。
いつも一緒だが2人の容姿は正反対だ。イザベラはスタイル抜群、シャルロットはロリ系。
年上なのに怒りんぼうで、年下なのに冷静沈着。
シャルロットの系統は『風』のトライアングルでイザベラの系統は『水』のドット・・・の筈なのだが、何故かサイト相手に魔法使う時はトライアングルクラス級の威力である。
激しく理不尽だ。
最初の頃は2人ともサイトに大いに懐いていたが、イザベラの方は歳を取ると次第に(サイト主観では)辛く当たるようになった。
何度か(イザベラの手料理で)毒殺されかかったり、今でも3日に1回は杖ぶん回して追っかけて魔法でぶっ飛ばしてくれる。
実はその度に慌てて我に返ったイザベラが治療してくれているのだが、ぶっ飛ばされてその時は気絶しているサイトは知る由も無い。

シャルロットの方は今でも「お兄ちゃんvv」なんて呼んで慕ってくれる――
というには最近スキンシップが過剰気味なのだが、とにもかくにもサイトに対して好意的に接してくれる。
胸に抱き疲れた状態で上目遣いでそう呼ばれた日には即刻「お持ち帰りいぃ!!」てなもんだ。
・ ・・でもそんな事やったら即刻シャルルさんにバレて、水のスクウェアスペル3連コンボ食らいそうだから却下。

だが、そんな日々も何時までも続くとは限らない。
実際、あと1ヶ月もしない内にイザベラもシャルロットもここから居なくなってしまうのを思い出して、溜息が漏れる。

「あーあ、もうちょいでシャルロットともイザベラともお別れ、か」


23 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/20(木) 00:22:08 ID:X6rWGGE5

やっぱり寂しい思いがある。
慕ってくれるシャルロットだけじゃなく、イザベラともしばらくの間会えなくなるのもやっぱりさみしい。
意地悪で横暴だがイザベラの事は嫌いではない。むしろ大切だ。
サイトの居た世界じゃ高校1年生位の年齢なのに色っぽい身体だし。顔も怒ってばっかりで分かりづらいけど、よく見ればかなり綺麗だって分かるし。
それに素直じゃないけど、本当は面倒見が良くて優しい女の子だって事も分かってる。ちょっと感情表現の仕方が凶悪なだけで。
何たってサイトは昔からずっと、彼女のそばで見てきたのだから。

つーかぶっちゃけると、サイトはイザベラの事が好きだ。シャルロットも同じぐらいに好きだけど。

でもイザベラの方は俺を嫌ってんだよなあと、サイトにとってのイザベラの自分に対する接し方を思い出してがっくりと肩を落とした、その時である。
脱衣所に通じる扉が開く音が、エコーをのせて響いた。
またジョゼフが酒持って月見酒飲みに来たのか?なんて考えながら振り向いて。

立ち込める湯気の向こうに見えたのは、白い肌と、巻きつけたタオルで変形しているたわわな胸と、艶やかな長い青色の髪と。
広いおでこの、自分を嫌ってる筈の少女の、タオル1枚だけに身を隠したお姿であった。
顔が赤いのは既に浴場に篭った熱気に早くも茹った為か、それとも男の前で裸身一歩手前を晒した照れと羞恥ゆえか。

「せ、背中流しに来てやったよサイト!」
「イザベもがぶがげべぱっ!!」

噂をすれば何とやら?ないきなりの登場に驚いて、立ち上がろうとして足を滑らせて湯に沈む。
気管に入ったお湯にむせ返りながら身体を起こして、改めて入ってきた少女の姿を上から下まで見つめる。
そしてパニくってるのか現実感が無さ過ぎるのか、サイトの考えは一気に遠くへと飛ぶ。

あれ、これってもしかして幻覚?
あそっか、ジョゼフのおっさんが『イリュージョン』でも使ってんだな?
・ ・・だからって娘の裸作り出すのはやり過ぎじゃね?
でもいつも思うけどリアルだよなー、この幻――――

「な、なんだい、ジロジロ見てんじゃないよ!は、恥ずかしいじゃないか・・・」

うわ、顔真っ赤。か、かわええ・・・
でもやっぱり幻だよな。だってあのイザベラが俺の前でこんな反応するわけねーもん。
・ ・・ん?でも幻なら何で歩く音までしっかり聞こえんだ?そこまでリアルには再現できないって―――

つるっ

濡れた床に、イザベラは足を滑らせて前のめりにバランスを崩した。
思わず幻(と、サイトは思っている)だという事も忘れて、サイトも受け止めようと飛び出し。

ふにょんvv

や、やわらけー。

そんな感想が第一に出てくる体勢で、サイトはイザベラの身体を受け止める事になった。
平たく言うと、サイトの頭がイザベラの双丘に埋まっている。
そんな感触、幻なら感じるわきゃあない。

「ってえ、本物!?」
「〜〜〜〜!!?!?!さっさと離れな、バカ!」


24 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/20(木) 00:23:27 ID:X6rWGGE5
サイトの絶叫に我に返ったイザベラに思いっきり突き飛ばされ、再度今度は背中から湯船にダイブ。
階段状で意外に深い湯船の中でもがいて何とか身体を起こしたサイトはお湯を滴らせながら文句を言おうとし、そしてハッと気付いて慌てて回れ右。
イザベラの方はたった今サイトに埋められていた胸を隠すようにしてへたり込んでいる。
・ ・・代わりに自分で選んだ丈の短いバスタオルから、眩いばかりに白い太ももとかぶりつきたくなりそうに張ったお尻が覗いているのには気付いてない。

思わずチラチラ横目で見てしまいそうになる青年を責める無かれ、男なら目の前に色っぽい格好の美少女が居れば否応無しに反応してしまうのは当たり前だろう?

とりあえずまず最初に聞くべき事は。

「な、何でイザベラが居るんだよ!?」
「!べ、別にいいじゃないの!私の勝手でしょうが!」
「良い訳ねえだろ!俺が入ってる最中にそっちまで入ってきちゃダメだろ!」
「しょうがないじゃないの、アンタが入ってるなんて気付かなかったんだから!」

嘘である。しっかり脱衣所でサイトの服が置いてあるのは確認済みだ。

「ま、こ、こうなったからにはしょうがないわね。このまま一緒に私も入るよ」
「ちょっとタンマ!せめて俺が出るまで待ってくれ!」
「いいから!アンタはそのまま入ってな!これは王女の私からの命令だよ!」
「そ、そんなの関係あるかぁ!」
「・・・・・・は、はん、もしかして私が裸で居るもんだから気にしてるのかい?」

そのとーりです。既に腰の相棒は裏切る寸前です。
ヤッバイ、イザベラに元気になった俺のマイサンが見られた日にゃ去勢されちゃうぞ!?
嫌だ、まだ未使用なのに!

イッパイだ。本当に今のサイトはイッパイイッパイだ。
だから恥も外聞も無く、正直にぶっちゃける事にしたのは仕方が無かったんだろう。

「当たり前だろ!いつもの格好だけでもすっげえ綺麗で色っぽくて結構ヤバイのに!!イザベラの裸なんか見せられたらホントもー危ないんだって!主に俺の理性!」
「え?何だって!?綺麗?色っぽい!?」
「そーなの!もーギリギリなの!イザベラも自分の魅力自覚しろよ!あーもーとにかく早く出てってくれ、好きな子に無理矢理襲い掛かるなんて真似したくねえんだからさ!」

頭を掻き毟りながらサイト、魂の大絶叫。
なにせイザベラは位置づけ的には義理の妹みたいなものだ。
大切な女の子だとハッキリ言えるし・・・血は繋がってなくても、そんな子に劣情をもよおしたらヤバイんじゃねーの?ってなもんだ。

あーもーぶっちゃけちゃったどうしようおもいっきりへんたいさんあつかいされちゃうだろーなー。
きっと『何言ってんのよ!』なんて怒ってトライアングル級連発、いや風呂ん中で杖持ってないみたいだから往復ビンタ、いやいやイザベラだからきっとオラオラ、むしろ無駄無駄?

などといつもより10割増の大折檻を敢えて黙って受け止めてやろうと、言いたい事を言い切った男の笑みを浮かべてサイトは顔を上げて―――
すぐに、ポカンとした間抜け面に変貌した。

いやだってあーた、いつもの如く目三角にしてぶっ飛ばしてくる筈の女の子がさ。
顔真っ赤にしながら満面の笑顔で泣き崩れてるってなんでさ、どーしてさ、何故にそうなってるのさ?

オロオロしつつサイト、「えーと、大丈夫か?」ととりあえず聞いてみる。
返ってきた返事は、いきなりドアップになったイザベラの唇だった。
結局サイトのセカンドキスも自分からではなく他人からであった。もっとも最初との違いは相手が妹代わりの美少女であることだが。
うわーい2度目も奪われちゃったー、でも相手がイザベラだし結構いいかもー、と考えた所で慌てて我に返って離れる。が。


25 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/20(木) 00:24:20 ID:X6rWGGE5

「サイトぉ・・・」

3度目のキス。涙の味がしました。ついでに胸とはまた違うプニプニした柔らかさにサイトの愚息が大いに反応。
腰に巻いていたタオル越しに当たって、イザベラの自分の存在を大いに主張してくれている。
数十秒か数分か、2度目よりもかなり長く続いたキスをようやく終えて、興奮しすぎてベクトルが逆に移ったのかそれとも愚息に更に血が行って代わりに頭の血が減ったのか。
幾分冷静になったサイトは、同じく少し頭が冷えたらしい表情のイザベラに問いただす。

「なあイザベラ、どうしてこんな事・・・?」
「仕方、ない、じゃないの・・・アンタが私の事そんな目で見てくれてるって分かって、好きだって言ってくれたら、もう私だって収まんなくなったんだからさぁ」

なんて、甘い、声。

「いやいやだからさ!もう限界だから!イザベラに酷い目遭わせたくないんだって!」
「いっつもそうだねえサイトって・・・見栄ばかり張って、無理して人の心配して。今だっていつもアンタに酷い事してる私なんかに気使ってさ」

サイトの胸に額を押し付ける。
召喚されてからの間に鍛えられて、少なくない数の傷跡が残る彼の体。

「なら―――」
「そんなアンタが・・・私は好きなんだよ」

呆気無く、そんな事が言えた。
予想だにしなかった言葉にへ?へ?と呆けるサイトにイザベラは蕩けた笑みで望みを告げる。
本にはそこまでの事なんて書いて無かったが、そんな事ぁもうどうだっていい。
今までずっと大好きな彼に酷い事してきたんだから・・・その分、しっかりまとめてお返ししてあげないと。ね?

「だからね、私が大好きなアンタが、私の事をメチャクチャにしてくれたって、その方が私は嬉しいんだよ?」

あーもう、とサイトは空を仰ぐ。湯気の向こうには天井しか見えなかったが。
ずっと傍に居てきた可愛い可愛い女の子に、そんな事言われたら。
もう、我慢できるかっつーの!!

「イザベラぁ―――――ッ!!!」
「キャーッvv」

なんだか嬉しそうな、悲鳴が上がった。


26 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/20(木) 00:27:41 ID:X6rWGGE5
今日はこれで終わり。エロは次回しっかり書くのでお待ちをば。
ここのイザベラ様はツンデレデレデレ仕様となっております。デレたらルイズなんざ目でもありやせん。

27 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 00:32:23 ID:U03MBD36
これは予想外!

イザ様可愛いなイザ様
そしてサイトはどこいってもこうなる運命なのなw

続きに超期待☆

28 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:10:54 ID:mGrkMyKC
GJ!!
15時間労働の疲れが一気に無くなった!!

29 名前:ボルボX:2007/12/20(木) 01:13:26 ID:/8zwchxn
バレット氏GJ.イザベラは珍しいので新鮮です。
地の文にちょくちょくまじる才人の心の声が軽妙でおもしろいw 
続きwktkして待たせてもらいます。

昨夜、前スレ最後で容量関係から中断してた〈中〉を書き足してました。投下します。↓

30 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:14:25 ID:/8zwchxn
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 アニエスたちのこもっていた林道沿いの小屋の前。

 三隻のフネは大破して、木々の梢をへしおりながら林道をふさぐように墜落していた。
 墜落船から今しがた下りてきた異形の魔法人形たちが、林道を後退する王軍側の必死の応戦を意に介しないかのように、ゆったりと前に進んでくる。
 焚き火から離れれば、夜目のきかない人間たちがそれだけ不利になりそうである。

「血液はすなわち可飲黄金Aurum potabile」

 アニエスたちの前方で、ウォルター・クリザリングが語りながら林道を闊歩してくる。
 無味乾燥なその表情が、焚き火に赤々と照らされている。それでも不健康な青白い顔色。
 焚き火の横には、トロールの魔法人形に殴り殺されたトライェクトゥムの兵が一人倒れ、その死骸に二、三体ばかりの魔法人形がおおいかぶさって、液体をすすり飲む音を立てていた。

「生命力、充溢せる命そのものの証だ。
 だからそう騒ぐことでもない。この魔法人形らは傷つけられて〈黄金の血〉を流した。
 体液を補充してみずからを癒さんがため、備わった本能的な行動をとっているにすぎない」

 クリザリングの言葉はアニエスの横で血の気をうしなっているルイズに向けられている。
 先ほど、ルイズがあげた「血を飲んでるわ」という悲鳴に応えているのだろう。

「赤、極まれば金となり、銀、死を得ては黒と化す。
 血液は黄金に変じ、水銀は黒色回帰する。
 錬金術師の理もさまざまあれど、『塔のメイジ』の系譜は赤を金に変じさせるべく目指してきた」

 クリザリングが何を言っているのかアニエスには理解できなかったが、ただ明らかに見えることがあった。
 人血摂取する異形たちの、王軍の弾丸や風の刃でついた傷口からは、血のように液体がたらたらと流れだしていた。
 その色は黄金。

「生物の血液は、かれらの体内にとりこまれれば、そこに流れる黄金の液に同化されていく。
 伝説を調べていたのならとうに気づいているだろう、そこの銃士隊の隊長殿。この人形たちは〈永久薬〉によって千年前から動いている。『塔のメイジ』の産物だよ」

 クリザリングは歩いて魔法人形たちの最前線に出ると、手をあげて彼らの動きを止め、二十歩ほどの距離で王軍の面々を見まわしていた。
 女王はいないな、とその色の悪い唇が動いた。

(最悪だ。直前に情報を得ていたのに、奇襲を許してしまった)

 アニエスはほぞを噛んだ。
 
 無灯火ゆえ、フネが小屋に接近するのを、すぐ近くにくるまで誰も気がつかなかった。
 その前に、マザリーニが逃げてしらせてきたときに、すぐさま移動するべきだったのだ。
 それでも森にはさまれた狭い林道にはまさか着陸できまい、と思ったのが間違いだった。



31 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:15:02 ID:/8zwchxn

(いかれている、何のためらいもなく降下させてフネを壊し、道をふさいで飛び降りてくるとは……)

 魔法人形たちは数はこちらより多くない。五十体ばかり。
 しかし、ことごとく巨躯で力が強い。しかもあのスフィンクスと同じく、弾丸や魔法を命中させても止まらない。あれより動きははるかに鈍いが。
 王軍の攻撃をおそれる風もなくその魔法人形の先陣に、杖さえ抜かず泰然と立つクリザリングをねめつけ、アニエスは気力をふるいたたせて問いただした。

「なぜわれわれに弓をひく、クリザリング卿?」

 問われた者は答えなかった。
 正確には、答える前に悪意に満ちた叫び声を、ラ・トゥール伯爵がはさんだ。

「なぜかはわかっている!」

 彼は杖をふって魔法人形たちに大石を次々と飛ばしていたが、このとき対峙する二人に割りこむようにしてクリザリングに杖をつきつけた。

「〈永久薬〉を奪われたくないのだ、この男は」

 トライェクトゥムの都市領主は、王の森の森林管理官を指して、唇をまくれあがらせて糾弾する。

「マザリーニ様の話を聞いて確信したことがある。
 そのフネ――風石なしで動くか、特別の風石を使っているだろう? おそらく、〈永久薬〉の作用か」

 それを聞いて、だれもが息を呑んだ。
 口の端に勝ち誇る笑みさえ浮かべて、ラ・トゥール伯爵は推測をつむぐ。

「最初から微妙に違和感があったのだ、ここへ来るときの迎えのフネが、風石を買って積みもせず、長時間一定の速さで飛んでみせたことに。
 風石は一度に積みすぎれば船が遅くなる【2巻】から、こまめに買うのが普通だというのに。
 速度が変わらないのは消費する量が一定であるように緻密に調節しているからだと思っていたが、マザリーニ様の話では動力室に立ち入った形跡さえまばらという」

 交易船を扱おうとする商人の目線で気づいていたことを、得々と。

「聞いたことがあるぞ。永久薬は、物質の効力を無限に引き伸ばすと。それをフネを動かす動力に使う。するとどうなる?
 そのフネで、商いのために航空すれば、なにが利益になる?」

 ルイズとマザリーニが顔を見合わせるのが、アニエスの視界の端にうつった。
 そして、枢機卿が短く理解の声をあげた。

「そうか、動力費が単に浮くだけではない、森林管理官の任務をはたすためとして、クリザリング卿が政府に要求しつづけた風石……
 それをすべてそっくり消費しないまま、元手なしの商品としたのだな」

 風石はフネの航空には必須の動力であり、それ自体が商品となる。
 長距離を、多くの荷をつんで航空する空の商船ならば、必然的に風石を大量に消費するのだから、浮く動力費からして相当なものだろう。
 ラ・トゥール伯爵がうなずいた。


32 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:15:20 ID:Wkm3VUfI
>>26
おお、素晴らしすぎるGJ

無能王が素敵なナイスガイ&イザベラ様がここまで化けるとは!!

33 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:15:36 ID:/8zwchxn

「昼に続き、ご賢察と言わざるをえませんな、マザリーニ様。
 しかし、それは氷山の一角にすぎない……そも、船団の航空記録が公文書にはっきり残るのは、フネは物資を補給するために港によらざるを得ないため」

 動力としての風石。乗組員の食料と水。ほかは無くともいいが、長期の航空にはどうしてもこれらの物資だけは必要である。
 そして、各地の港においてフネの寄港は記録され、商船団の出発地、積み荷、この先の予定地のすべては明らかにされる。

 積荷の種類や多寡によっておさめる税の額もきまる。免税権を王に保障されていないかぎり、寄港するだけで関税をかけられるのは普通である。
 なるべく港によりたくなくても、最低限の補給はせねばならない。
 ……通常の遠隔貿易の船ならば。

「補給の必要、港ごとの課税。それらを無にする永久機関、まさに垂涎ものだな。……クリザリング、貴様がなにをしたか当ててやろうか?
 公式に記録されているその先まで航空して商品を買いつけ、さばかせ……もしかすると闇の貿易であるのをよいことに、高利を得られる禁制品までをあつかったな?
 港に寄らないため気づかれず、徴税官の書類記入をのがれた交易は、税がかからないことだけでも莫大な利益がふところに転がりこむというわけだ。
 どれだけの利を叩きだしたんだ? 言ってみろよ」

「待ってくれ、ラ・トゥール殿」

 アニエスはあの目の光を見たときより、この貴族と会話するのは気がひけたが、それでも引っかかることがいくつかあった。

「遠隔交易で商船を動かすとき、風石をクリザリング卿はちゃんと買っている。
 それに風石の補給がいらないとしても、乗組員の食料や水は必要だろう。我慢させたとでもいうのか?」

「カモフラージュ用に買ったに決まっている、その風石も記録に残らないところで売りさばけばいいだけだ!
 そして食料も水も不要なのだろうよ。なぜなら」

 ラ・トゥールは忌まわしげに唾を吐き、クリザリングの後ろに、異形らに混じってつつましく控える召使たちを指す。

「そいつらにはあの魔法人形どもとおなじく〈永久薬〉が使われているな?
 館で戦ったとき、傷ついた者からは金色の液が流れたぞ。その液が〈永久薬〉と関係あるのだろう」

 はたで聞いていたアニエスは深呼吸した――驚く話が多すぎる。

「はっ、他人に渡したくないのも無理はない、おぞましき業に手をそめて、さだめし金貨に首まで埋まるほど稼いだのだろうからな。それなら最初から、私と組みたいはずがなかったな。
 〈永久薬〉を利用した闇の交易を秘匿するため、女王陛下に求婚するという茶番を演出し、陛下を怒らせて追い帰し、私のもちかけた話をうやむやにしようとしたんだな?」

 糾弾を黙って訊いていた森林管理官がこのときようやく、わずかに面白がるような声を発した。

「おまえを見直した。金への執着からくる邪推で、そこまで頭をめぐらせられるとは」

 ラ・トゥール伯爵の顔がどす黒く染まった。
 それに頓着せず、クリザリングは「最後だけは的外れもいいところだがね」とつぶやいてから、こきりと首をひねって鳴らした。



34 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:16:09 ID:/8zwchxn

「手前の動機はともかく、行動自体はラ・トゥール、おまえの推測にほぼ沿っている。〈永久薬〉を作るだけで家財をほぼ食い潰してしまったのでね。
 その上さらにクリザリング個人の研究を完成させるためには、資金が必要だった」

 みずから〈永久薬〉を作った。
 そのことがなんでもないかのようにクリザリングは言ってのけた。

「〈永久薬〉についてもいいところをついている。その本質は『固定せる生命にして動力』だ。
 しかし誤解があるが、〈永久薬〉は人間に使うようなものではない。こいつらは皆、この手で作った人型の魔法人形だよ……まわりの恐ろしき姿の者たちのほうはスフィンクスを除き、『塔のメイジ』の産物だがね。
 ところで、そろそろ終わらせていいか?」

 倦怠感のこもった最後の声に、王軍の全員が身がまえた。
 アニエスは拳銃で目前の男の心臓をねらい、ラ・トゥールとルイズが杖をにぎった。
 ……ルイズは先ほど精神エネルギー切れで虚無が出せなくなっていた。すぐ回復したと考えるのは楽観も度がすぎる。アニエスはちらりとラ・トゥールを見た。

 彼女のほうを見てはいなかったが、合図するまでもなくラ・トゥールはすでに詠唱していた。
 アニエスも引き金にあてた指に力をこめる。

(この男は危険だ、遠慮などしていられるものか)

 恐怖の叫びが背後からあがった。
 アニエスの足裏から脳天を悪寒がつらぬいた。

 ふり向くとルイズが、地面に転がっていた。パニックに陥ってかじたばたと手足をふりまわす彼女のマントは、さきほどの悲鳴の一瞬に獣の爪に引き裂かれてずたずたになっていた。
 驚いて転んだため一撃が当たらなかったらしく、奇跡的にルイズは傷ひとつなかった――今のところは。
 跳躍を終えたスフィンクスの魔法人形が、地面に降りたって獲物を今度こそ引き裂くべく身を返したところだった。

(し……しまった!)

 アニエスは息をのんだ。
 前方のクリザリングに注目しているうちに、林道をはさむ横の森をこの魔法人形はとおり、ぎっしり詰まっている近衛隊の中にとびこみ、アニエスたちの背後をおさえたのだ。
 詠唱を中断させられたラ・トゥール、それに恐慌の声をあげて四方に後じさる兵士たちが、てんでに杖や銃をスフィンクスに向ける。アニエスは泡をくった。

(馬鹿、こんな近距離だと同士討ちになる!) 

「ああスフィンクス、ちょっと待て。
 ラ・トゥール、おまえは土系統だったな? ゴーレムを呼びだせばおまえが真っ先に標的だ。言っておくが、必ず死ぬぞ」



35 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:16:59 ID:/8zwchxn

 クリザリングの言葉にあわせ、人面獅子身の怪物が、黒目のない目で一同を見た。
 その言葉に嘘はないことが、アニエスにはわかった。この魔法人形の速さなら、この距離に近づけばだれでも即座に殺せるだろう。

「そいつは『塔のメイジ』ではなく、手前みずから作った特別製でな。素早く、また飛ぶ。たとえゴーレムと相対しても、敵の振りまわす腕を軽々とかいくぐって操り主を殺すだろう。
 くわえて〈永久薬〉を使っており、物理的に破壊しつくされねば止まらない。数発ていど銃弾や魔法を当てようと無駄だ」
 
 抑揚もなく、淡々と、クリザリングはそう言った。拳銃を突きつけられていることなど目に入らないかのように。
 アニエスはその心臓から銃口がぶれないように、また声を震わせないように注意して言った。

「……たがいに王手というわけだな」

「まさか。対等の状況だと信じているのなら、ためしに撃ってみればよい」

 こともなげに森林管理官が言う。
 はったりだと思おうとしながらも、アニエスは急激にふくれあがる絶望に呑まれかけた。衝動的に引き金を引きそうになり、すんでのところでとどまる。

「手前が殺す必要があるのはそこの少女だけだ。塔を暴かれる可能性は徹底してつぶしたい。これでもクリザリング家は塔の守護者なのでな。
 その少女を引き渡すなら、無用な戦いは避けてもいいが」

「よ――よく言えたものだ! 話を聞けば、貴様自身が塔に踏みこみ、〈永久薬〉を作って私利をむさぼったということではないか! なにが守護者か」

「そうはいえど、塔も〈永久薬〉も本来、クリザリング家に属するものだ。『塔のメイジ』はクリザリング家の祖でもあるのだからな。
 あらゆる意味で〈血〉が、われらの錬金術の理なのだ。
 現に、この場の魔法人形のほとんどは塔のメイジ謹製だが、かれらも手前の意のままに動く。幽閉された塔のメイジ自身と、滅びたアルビオン王以外、この関係に干渉は――」

 風の鳴る音がして、言葉が切れた。
 クリザリングのわき腹に浅く矢が突き立っている。

 無表情に体の横にささった矢を見てから、森林管理官が攻撃の来たほうを向きなおった瞬間、第二矢、三矢、四、五、六と飛矢がまとめてその体を襲った。
 最後にサーベルで鉄鍋を突いたような音とともに、森林管理官の頭が殴られたように真後ろにがくんと倒れた。
 額の辺りを打った矢が一本、はねかえって地面に落ちていた。

 アニエスたちが目を点にする間もなく、林道の横の森から、毛皮やウールの服を身につけた男たちが六、七名ばかり出てきた。
 手には弦がいまだ震える弓。
 先ほどのスフィンクスと同じく、森からの奇襲だった。ただし攻撃されたのは今度はクリザリングであったが。



36 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:18:07 ID:/8zwchxn

 森の陰から木々をぬうようにして矢を標的に命中させた彼らは、だれもが重苦しく目をぎらつかせて、矢を体に突き立たせてよろめいているクリザリングを見つめていた。
 そのうちの一人が弓をそばの一人にわたし、手に鉈をもって歩み寄った。

「『俺たち領民を先に裏切ったのはあんただ、ウォルター』
 このような日が来たときはそう言え、とマークに言われている」

 手で顔をおおって背をまるめたクリザリングに対し、硬い表情のその男は鉈を頭上にふりあげた。
 落下したその鉈が、がちりと音をたてて止められた。
 クリザリングは右手で顔をおおったまま、左手を上にあげてとっさに防ごうとしたらしい。鉈はその手首に半分ちかく食いこんでいた。
 わずかな感慨をこめた声が、顔をおおう指のあいだから漏れた。

「久しぶりだな、ダン」

 男の顔が引きつった。名を呼ばれたからではない。
 このとき、森から現れたほかの男たちも、アニエスも地面に転がっているルイズも、マザリーニもラ・トゥールもクリザリングを凝視していた。
 深淵から這いでてきたおぞましい何かを見る目で。

「エドガー、ジョー、サイモン、ジョフリー、ポインツ、ケイン……おまえたちももちろん忘れていないとも、わが旧友にして臣下らよ。
 ほうっておけば死ぬか去ると思っていたが、マークの下で意外にしぶとく耐えるようだ。
 いままでは見逃してやるつもりだったが、いまのは久方ぶりに癇というものにさわった……おまえたちは皮をはいで吊るすことにする」

 焚き火に照らされる中、黄金の液体が、ぽたりぽたりと地面に落ちる。
 なかば切断された左手の傷。そこから、金色の血がゆるゆると流れていた。
 鉈をふりおろした男があえいだ。

「ウォルター様、あんたは……」

 その声を最後まで言うことなく、迅速にとびついた獣がその男を押し倒し、一瞬にして歯でのどを声帯ごと食いやぶり、断末魔の声さえを奪った。
 スフィンクスがバリバリと男を引き裂く音のなか、「ウォルター・クリザリング」は顔から右手をはなした。

 額の、破れた表皮の下には鋼の仮面。
 絶たれかけた手首の切断面からは、黄金の液がぼたぼたと落ちる。
 全身に浅く突き立った矢。それでどこかがいかれたのか。身動きのたびに。
 がちりがちりと――鉄の音。

 スフィンクスの威圧から逃れて、地面からほうほうの態で起き上がっていたルイズがごくりと息をのみ、無意識にかアニエスの袖をつかんだ。
 アニエスはそっとその手をはずさせ、拳銃をやや下げながらはき捨てた。



37 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:18:47 ID:/8zwchxn

「貴様自身が、魔法人形だったとはな」

 「ウォルター・クリザリング」の鈍色が混じる顔がアニエスとルイズを向く。
 折からの強風を受け、焚き火が天を焦がすほどに赤々と、森の闇を圧しながらひときわ燃えさかった。

「女よ、たしかにこの身は魔法人形だが、脳と心臓は『ウォルター・クリザリング』のものなのだぞ。だから、それらの急所には鋼の板を埋めこんである。
 塔の系譜の錬金術の秘奥、〈永久薬〉がなんであるか、昼には語らなかったことを教えてやろう」

 「ウォルター・クリザリング」は胸を指した。

「古来より『生命力にして動力』そのものをつかさどる、心臓と血液だ。
 生きた人間のそれを体内で変質させ、生成する〈黄金の心臓〉と〈黄金の血〉だ」

\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\

 真夜中。森の集落の小屋。

 蒼涼な光をはなつ星辰の下、木のドアを開けて戸外によろめきまろぶように出てきた少年がいる。
 才人は出入り口の横の雨水を満たした水盤にとりつくと、手を噛むような冷たさを問題にせずその水をすくい、顔に数度ぶっかけた。
 あごからしずくをぽたぽた垂らしながら、放心したようにその場にしゃがみこんだ。

「た……耐えろ……俺……」

 いまは正直、煩悩を岩のごとき意志でおさえこんでいる状態。
 この夜に彼が内心でおこなった、劣情をやりすごすための努力といったらそれはもう、同年代の男から賞賛を受けられるレベルである。
 そういうわけで才人は、脳に熱がのぼりすぎて真剣に鼻血が出る寸前なのだった。

 と言っても、実は精神力だけで耐え切れたわけではない。
 けっきょく今も解毒薬を使って逃れてきた。薬はもうあと一回分しかない。

「……あの人、なんであそこまでエロい空気を出せるんだ……」

 いまは小屋のベッドに横たわって荒い息をととのえようとしているであろうアンリエッタのことを、苦悩をこめて口にする。
 彼女はさっきまで、のんだ薬が肌から微細な霧になってほむほむと立ちのぼっているような、蠱惑的な濃い色香をさんざんにふりまいていたのだった。
 キスはじめとする過度のスキンシップを受けながら、あれを耐えるのは拷問に近い。というか拷問である。犠牲者の少年はそう評する。



38 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:19:43 ID:/8zwchxn

 気がつくと、気配もなく隣にマーク・レンデルが立っていた。
 黒々とした夜気のなか、元森番は水盤に手をつっこんでその水を口にふくみ、うがいしてぺっと地面に吐いた。
 それから口元をぬぐって、ぼそっと言った。

「……あきらめて、なるようになれば?」

「冗談じゃねえ!」

 間違いですむこととすまないことがある。
 この場合相手が相手なので、とくに。
 くわっと目をむいた才人に対し、マーク・レンデルは他人事そのものの無責任な意見をのべた。

「不可抗力ってことで開き直ればいいじゃないか。上品な言い方で、ええと、一夜の夢ってやつだな。
 あの娘も、お前さんのことが満更でもないようだし」

 だからそれが薬のせいだよ! と才人は叫ぶ。
 おぼろに好意を向けられていたとおぼしきの一連のことは、つとめて考えないようにしている。
 そのことを意識したら、小屋内にもどったとき抑えがきかなくなりそうなので。
 意識しなくても、このままだと遠からず確実に理性か脳の血管かが切れる。

「おい、まだ連絡つかないのかよ!? あ、いや、乱暴な言い方ですみません。
 でも正直もう寸刻も待てねーんだよ!」

「落ち着けって。もうじき弟分たちが帰ってくるから。
 それより、そこまで必死に拒むということは、あの娘はよほど身分が高いか、重要な人物だな? おまえら、トリステイン王家の関係者だろう」

 寒月の光を反射する、鋭く透徹するような眼が才人を見た。
 ぎくりとして才人は口をつぐむ。マーク・レンデルは鼻をならした。

「あの娘の肌着は上質のもの、おまえのマントには王家の百合の紋。
 それ以前にあの娘の挙措で、かなり身分の高い貴族だというのは丸わかりだ。
 これでもアルビオン王家のあったころには従軍していたんでな、世間を多少は見ている」

 才人は顔をしかめて考えた。
 これ以上ごまかすのは無理がある。
 それに、おそらくこの男なら自分たちに害を与えることはないだろう。正直にすべてを話して、あらためて協力してもらうほうがいい。
 一応部屋に戻ってアンリエッタに意見を訊いてみようと思い定めたとき、小さく鋭い声が背後の森のなかから聞こえた。

「マーク!」



39 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:20:28 ID:/8zwchxn

 駆けどおしだったらしく、激しい勢いで藪のなかから飛びだしてきた男は、マーク・レンデルが今夜放った斥候隊の一人である。
 その男は足早に二人のそばに歩み寄り、息を切らしながら一気呵成に告げた。

「ダンが死んだ、ウォルターは怪物になっていた、彼はトリステインの女王と敵対している。
 われわれは王軍と共闘……いや、先導して逃げている。いまは敵の鼻面の先だ。まもなくここに来るかもしれんぞ」

 マーク・レンデルはその支離滅裂にさえ聞こえる報告に、すぐには目立った反応を返さなかった。
 一言「ダンが?」とつぶやいて、沈黙し、報告をもたらした男が焦れてもう一度口をひらきかけたころにようやく手をあげた。

「全部、わかるように話してくれ」

\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\

 近衛隊およびトライェクトゥムの兵たちは、わずかに月光さしこむ森の中を、足をもつれさせ木の根につまずきながら走っている。
 全力疾走ではない。兵の体力がもたないことを考慮に入れ、先導する無法者たちは敵に追いつかれず長く走れる速度を見きわめて走っている。
 すぐ後ろを走っているルイズをアニエスは何度もふりむき、その無事を確認した。

 クリザリング卿は、ルイズを優先して殺すつもりのようだった。主君の腹心に一指たりとも触れさせるわけにはいかない。
 目の前では森の無法者たちが、マザリーニを交代で背負って走っていた。

 運動不足がたたってか速度が落ちてきたルイズを、声で鞭打つように叱咤する。

「足を動かしつづけろ!」

 汗を滝とながし、ぜっ、はっ、と荒い息をつきながらも、ルイズは一言も言い返さない。
 無駄口をきけないほど酸素を消費していることもあるが、止まったら死ぬのが目に見えていたのだった。

 落ち葉を蹴立て、柔らかい腐葉土をふみしめて逃げる大勢の人間たちのあとを、木の枝をへしおる破壊の音が追跡してくる。
 トロールやミノタウロスなどの巨体の魔法人形が、密生した森の木の枝にひっかかり、それを強引に突破してくる音だった。

 だが本当に恐ろしいのは、音をたてない人形たちだった。
 サイズはそう大きくないが、それゆえ木々の間を縫うように走れ、枝に邪魔されることもない。大蛇、大くちばしを持った大きな走る鳥、クリザリングの館にいた人間そっくりの魔法人形。
 不運にして追いつかれた者が引き裂かれているらしく、ごく稀にではあるが背後から魂を恐怖の色にそめる絶叫が聞こえてきた。

 その中でも、あのスフィンクスがもっとも危険な存在だった。
 ややのろのろしたほかの魔法人形と一線を画して、動きが速くすべらかだった。おそらく本物の獣なみに。これは追いつくどころか、先回りさえしている。
 アニエスはかたまって走る先のほうに数度、俊敏な影が横切るのを見ていた。
 ほかと離れて走っている者がいればやぶの中に引きこみ、喉笛を食いちぎるつもりなのだろう。

(今夜「王の森」で狩られているのはわれわれだ、畜生)



40 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:21:18 ID:/8zwchxn

「……あと少しで防御できるところに出る! そこまで行けばなんとかなるから、走ってくれ!」

 目前で先導して走っている、マーク・レンデルの一味の一人がそう怒鳴って伝えてきた。
 アニエスは怒鳴り返す。

「訊きたいんだが! 陛下の所在が不明だ、どこにいるか知らんか!?」

「それっぽい娘ならこっちで保護してるよ! 剣を持った黒髪のガキも一緒だ!」

 銃士隊長の最大の心痛が、かなりの程度やわらげられた。
 ほっとしてもそれで気をぬくわけにはいかず、木漏れる月光をたよりに、木々にぶつからないよう注意しながらルイズの手を引っぱって疾駆するアニエスだった。

 逃げながら脳裏に、先刻の「ウォルター・クリザリング」の金色の血をこぼす人ならざる姿が浮かんだ。

(あの怪物は言ったな、自分自身が〈永久薬〉でもあると)

 その言葉が記憶によみがえる。

『永久薬は、〈黄金の心臓〉と、それに従属する〈黄金の血〉で構成される。
 しかし、〈永久薬〉はそれ自体では生物の体になんの影響もおよぼさない。あくまで器物に作用するものだ。
 不滅を約束する〈黄金の血〉を受けた器物は特性を無限にひきのばされるが、血の主である〈黄金の心臓〉の持ち主に従属することになる』

 …………あのとき、焚き火燃えさかる林道で、金色の血をこぼす傷口をふさごうともせず、「それ」は語っていた。

『この身は手を加えた魔法人形だ。しかしこの場のほかの人形とは決定的に違う。
 かれらは〈黄金の血〉を体内にそそがれ、または浸されたに過ぎない……〈黄金の心臓〉そのものを搭載した魔法人形は、この場ではこの身ただ一体だ。
 手前は「ウォルター・クリザリング」であり、黄金の血の主の一人であり、〈永久薬〉そのものでもある』 

『クリザリング卿……
 かつてミノタウロスの体に自分自身の脳を移植したメイジがいたと、タバサが語ったことがあるけれど【外伝2巻】……まさかあなたは、魔法人形そのものに』

 おののきをこめた声で問うたルイズに、クリザリングはあっさり首肯した。

『そういうことだ、少女。脳と……永久薬と化した心臓をね。
 他者の心臓と血液では、脳が拒絶反応を起こすと塔の伝承にあったので、この試みを成功させるにはクリザリング自身の心臓を変えるしかなかった』

 だれもがこの怪奇な話に注意をうばわれていたが、アニエスは気づいた。
 動きを止めていた魔法人形たちがいつのまにかひたひたと動き、一部が林道の脇の森に入って移動している。兵士たちを半包囲するように。



41 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:22:01 ID:/8zwchxn

 クリザリングの幻惑するような雰囲気にのまれ、聞き入っているうちに今度は包囲されかねない。
 二度もおなじ手をくらってはたまらないとばかりに、アニエスが注意喚起の声をあげる矢先、おなじことに気づいたらしき弓矢の男たちの一人が声をあげた。

『森に逃げこめ!』

 一同がとまどったのは一瞬だった。
 人形たちがその叫びを合図に、静から動に急激に転じて襲いかかってきた。
 近衛隊もトライェクトゥム兵もはねるようにして反対側の森、その暗い木々の間にいっせいに転げこんだ。

 獲物役と狩人役はそのときから変わらないまま、王の森を舞台にして命からがらの逃走劇がつづいている。
 逃走するあいだにある程度の死者が出るのは、どうしても避けられなかった。メイジたちは最初こそ背後を向いて風の刃をとばしたり石の壁を立てたりしていたが、散発的なものでは大して効果はなかった。

 しかし森に逃げこむことを提唱した男たちには、ある場所まで逃げこめば防戦の目処がたつようである。走りつつ共闘をもちかけられ、一も二もなくアニエスは首を縦にふったのだった。
 彼女とて、こんなところで死んでたまるかという思いがある。
 考えることがいくつもできていた。

(クリザリングが認めた闇の交易による莫大な富。それはどこへ行った? なにに使われた? すべてが奴のいかれた錬金術の研究についやされたのか?)

 先年の事件と安直に結びつけるのは早いとしても。

(それに、港の公式記録に載っていないとしてもそこそこ規模のある商取引を行えば、商品や貨幣が市場に出回ったときに、市場に密着した関係者は感づくはずだ。
 よほど慎重にやらなければ簡単に足がつく。十中八九プロの商人で協力者がいる)

 走りながら考えこむ様子を、女王の身を案じていると思ったのか、森の無法者の一人がやや息を乱しつつアニエスに話しかける。

「娘は傷ひとつ、ないから安心するといい、いまごろは黒髪の、小僧といちゃいちゃしてるよ」

「ああいや、それなら安心……ん?」

「……そこの、男ちょっと待、ぜー、ぜひ、待ちなさい。
 なんつったのよ今」

 アニエスの後からすぐ、地獄の鐘が震わされたような声がきこえた。
 走りつづけて息絶え絶えのルイズが復活していた。眼光が殺気をのせてギラついている。
 紅潮した顔に汗をおびただしく流して、泡をふきそうなほど呼吸を荒くしながら、羅刹もかくやという表情。その剣幕に後ろをむいていた男が怯えを顔にうかべる。

「いや、なんか娘のほうが『ほれ薬』、を盛られてるとか……
 森で拾ったとき、小僧と熱烈にキスしてたからな。あれ、あの娘が女王なら、これってスキャンダル?」

 生死の境とも思えないほど能天気な物言い。普段からそういう奴らしく、直後に並んで走っていた仲間からも頭をはたかれている。
 ルイズがなにか穏当でないオーラを脳天から噴きあげている。フシューと音が聞こえそうだった。



42 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:22:41 ID:/8zwchxn

「ぜはっ……あのワンコロじょ、上等だわね、はっ、はっ、なんだかアニエス、虚無がいくらでも撃てそうな、気が、してきたわよ急に」

「……貯めてろ」

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 アンリエッタはベッドの上に横臥して丸まり、熱いため息をもらした。
 体内の二種類の薬の争いになやまされ、肩を抱くようにして耐えながら、さんざん少年に醜態というか痴態をさらしたことにも懊悩していた。
 こうして正気にたちかえってみると、恥ずかしさに顔が燃えあがる。

「ああもう……」

 目を閉じ、やるせなさをこめてつぶやく。
 ルイズと争う気になれず、才人のことはあきらめようと思ったのに、目下の状況は距離を置くどころか真逆をいっている。

 こんなことでいいはずがない。
 ないのだけれど、今も彼がそばにいないだけで胸がうずく。
 まがりなりにも抵抗していながらこれなのだから、終わらない薬の効果に完全に負かされれば、強いられた想いに人格まで変わってしまうかもしれない。

 アンリエッタは唇を、血がにじみそうなほど噛みしめた。

 若くして選択肢のほとんどなかった彼女の人生だが、心で自由に思うことだけは人並みに許されていたのだ。
 それまで強制されるのは、耐えられない。
 たとえそれが、相手が才人でも。

 信頼がおけ、意識もした相手。だから、晩餐の席にいた彼以外の他者に薬の効果が発揮されるよりは良かったのだろうけれど。
 どこまでが自分の心で、どこまでが薬によって歪められたものか、それがわからなくなる状況はやはり許せなかった。
 怖いのは解毒薬がうすれて、盛られた薬に深く侵食されていけば、その許せないという思いさえ消えてしまいそうなことだった。

 が、小屋のドアが音をたてて開くと、才人が戻ってきたことに嬉しさを覚えてつい起き上がってしまう。
 浮かびそうになった緩んだ笑みは、少年の後ろからマーク・レンデルが続いたのを見て、どうにかおさえこんだ。

「女王陛下」

 マーク・レンデルは入ってくるやいきなりそう呼びかけ、アンリエッタの足元にひざまずいた。
 ぱちくりするアンリエッタの前で、「陛下のもとで、奸悪なる森林管理官ウォルター・クリザリングを討たせていただきたい。わが弓と心をささげ奉ります」とこっけいなほど真剣に、その男は臣従の誓いを述べた。

 困惑気味に、アンリエッタは才人を見た。才人が(彼はもうぜんぶ知ってる)という意味合いのうなずきを返す。
 女王はベッドにきちんと腰かけて、目の前でかしこまる男に言った。



43 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:23:14 ID:/8zwchxn

「隠したのは申し訳ありませんでした。わたくしはあなたが呼びかけたとおり、非才ながらもトリステインの王位にあるアンリエッタです。
 ですがあなたはアルビオンの民ですから、必ずしもわたくしに臣従せずともよいのですよ。共闘してくれるのならば、きちんと報いますから」

「いいえ、陛下。
 いやしくも自由の民マーク・レンデル、サーの称号は持たねども、騎士道にのっとりハルケギニア第一の尊貴なるレディにして王侯たる方に尽くすのは、本懐にございます。
 なんとなれば我々、王の森の森番は、平民ながら代々の王党派。アルビオン王家に忠誠を誓った者たちでありました。王軍の弓兵として訓練を積んだこともございます。
 トリステイン王家はわれらが王家とことに血縁濃く、かの反逆貴族の群れレコン・キスタを破滅させてくれた人とも聞き及んでおります。この弓は陛下にささげる所存でございます」

 うやうやしく垂れた頭をいっそう深くしたマーク・レンデルの背後から、才人がやや焦れた顔になって急かした。

「丁寧なのはいいんだけど、早くしないとまずいんだろ。
 姫さま、このおっさんと押し問答してる時間無いから。敵がもうすぐここに来るって。急いで立ち退かないと」

 それに対し、マーク・レンデルは焦らない態度をくずさない。悠長に見えるほどである。

「坊主、ちょっと待て。いろいろと陛下に仰がねばならんことがある。
 陛下、あなたの指にはめているそれですが……ああ、やはりそうなのですか。
 ――永久薬の効果を破壊できる方策に心当たりがあります。塔に向かわれますか?」

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 林道の喧騒は、兵士と魔法人形の群れとともに去った。残っているのは三人の召使、いや、三体の人間型魔法人形である。
 すっかり深閑とした林道に立って、「ウォルター・クリザリング」は体に刺さった矢を一本一本抜いていた。その手つきは作業そのものである。
 痛みはない。焦る必要もなかった。
 ただ、手首のパーツは塔で補修する必要があるだろう。

「そうだ、手前は『ウォルター・クリザリング』だ……それ以外のなんだというのか」

 自分自身に納得させるように、彼は焚き火に照らされた左手と黄金の血をみつめながらつぶやく。
 その物静かな言動は逆に、自分自身が何者であるか完全には確信できないことを示していた。
 彼は心さえも根底から変わった。人間としての情熱の大半を失ったその変化は、いつから起こったものか、なぜ起こったのか彼自身にもわからない。

 この魔法人形に脳を移してからか。
 〈黄金の心臓〉を得たときからか。
 最初に、手の届かぬ少女を得たいと熱望し、塔に踏みこんだときからか。

 昔の、繊細で神経質な御曹司であったウォルター・クリザリングは、いまや知識と懈怠と気まぐれと義務感よりなる、動きはするが壊れている時計のような存在になった。



44 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:24:35 ID:/8zwchxn

 ルイズや才人がこのことを知れば、かつてタバサから話されたあのミノタウロスの末路を、戦慄をともなって思い返したかもしれない。
 ミノタウロスの体に脳を移したメイジは、やがて体に脳がひきずられ、自身の行動が怪物そのものになっていったのだ。
 そのことはクリザリングが知る由もなく、また彼の精神に影響を与えているのが魔法人形の体か、〈黄金の心臓と血〉であるのかすら定かではないが。

「実現してみるとこんなもの、か。
 技術上の失敗なら克服できても、到達して執着が消えてはどうにもならんな」

 何千回も繰り返してきた分析を、いちいち口にする。
 ここ数年、この体になるまでは、彼はみずからの計画を狂気に近い熱意をもって行ったのだった。

 政変のおりは研究を中断させられないため、レコン・キスタ内の人脈を活かし、革命という酒に酔えないほど腐った役人に賄賂を贈りつづけることで難を逃れた。
 代王政府内部にも同様に、ただし人脈はゼロであったのでさらに多くの金を積んだ。
 自分からしたたる〈黄金の血〉にひたした風石を利用して資金をかせいだ。

 権力者から不干渉を買って研究はつつがなく続けられ、〈黄金の心臓〉を体内に錬成することが数年でかなった。
 それからは彼は、「塔のメイジ」の残した知識から、さらに一段上へと研究をすすめる。
 自分自身を模した魔法人形を作り、それに脳と心臓をうつし……それとは別の、計画のもうひとつの肝要にあたる最後の業も、そのころにはなし終えていた。

 だが、最終的に彼の計画は破綻した。
 錬金術的肉体編成という一面にかぎれば、完璧な成功といってよかっただろう。失敗したのは、そこに宿る精神なのだった。
 この身でも、最後の業でも。

「さまざまな犠牲をはらって、手に入れたものが『永遠の無感動』。やれやれ、喜劇にもならないな」

 クリザリングは自嘲する。おのれを哀れむ色さえ今はないが。
 あれほど望んだ魔法人形への転化を果たしたあとに心を占めたのは、ただの虚である。生に喜びを感じない。不老も、研究もどうでもよくなった。
 彼の行動の原因となったアンリエッタへの焦がれでさえ、いまの彼にはわずかな情動しかもたらさない。

 心にいちいち翻弄されていた過去のみずからを省みて、その卑小さを嗤笑するとともに、羨望をかすかに抱くのがいまの彼である。

 ……皮肉にも、それだからこそかえって、「ウォルター・クリザリング」であることにこだわる傾向が彼にはあった。
 「かつての自分ならなにを望むか」ということを行動基準の重大な柱として置く。
 結果、怠惰ながらときに感情で動く人間のようにふるまおうとして、その行動は他者の目にはかえって気まぐれで奇矯なものと映るのだが。

 その彼の心にも、いまだ義務として「塔を守る」ということは焼きついている。
 金策でも、永久薬そのものや塔の知識を売ればもっと莫大な金が手に入っただろうが、それは真剣に考えることもできなかった。

 クリザリング家の千年間守ってきた塔。
 錬金術師の工房にして、永久薬を作った「塔のメイジ」の幽閉所。



45 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:25:09 ID:/8zwchxn
「アルビオン王が許しを与えに来るのを、最上階で待ちつづける『塔のメイジ』……
 生きているかどうかも胡散くさいのに、それを幽閉しつづけるというのも馬鹿らしい話だがな」

 実在したとはいえ「塔のメイジ」や永久薬にまつわる伝説には、疑わしい話が多いと彼も思っていた。
 その一つが、「永久薬を自身に使い、塔のメイジは最上階で千年間生きつづけている」というものだ。

「無意味だな……永久薬は生物に直接投与しても効果をおよぼさない。
 塔のメイジはおそらく自分の心臓を永久薬にしたのだろうが、それでも血が〈黄金の血〉に変わるだけで、われとわが身に変化がないのは、このクリザリング自身がよく知っている」

 〈黄金の血〉どころか〈黄金の心臓〉を体内に錬成した人間でさえ、自分自身が不老不死になるような効果は持たない。あくまで、効果は器物に作用するのである。
 だから過去のクリザリングも、魔法人形に心臓と脳を入れて「不老」に少しでも近づくという計画を立てたのだ。
 塔の最上階は閉ざされ、「塔のメイジ」の姿など彼は見たこともない。
 異形の魔法人形兵が塔のメイジの〈黄金の血〉で動いているのだから、生死はともかく〈黄金の心臓〉は残っているのかもしれないが。

「どのみち、クリザリングは守ることを望む、千年間わが家系の役目だったのだから。
 そうとも、『アルビオン王が許しを与えてそれを解き放つまで』……」

 彼の首がしゃっくりのように一度ゆれた。
 なにか看過してはならないことに気づいたように顔をしかめる。

「いや、いや、待てよ……塔の錬金術の系譜は『血』が基本だ。
 よもやとは思うが……」

 つぶやいて、彼は焚き火から離れる。
 金の血液をぼたぼたとこぼしながら、三体の人形をともない、夜の林道を一方に向かって歩きはじめた。

…………………………
………………
……

 その姿が濃い闇の奥に消えてしばらくしたころ。
 一羽の緑色の小鳥が、rotと鳴きながら焚き火のそばに舞いおりた。
 小さな足ではねるように、「ウォルター・クリザリング」の立っていた地面に近寄る。

 こぼれた金色の液体。
 粘性が高いのか地面にしみこまず、水銀のように林道の上に、てのひらほどの大きさで広がって風にさざなみだっている。

 それを、小鳥はのぞきこむ。
 短いくちばしが開き、ミミズのような赤い長い舌が出てきた。
 小さな体のどこに収納されていたのかと思うほど、するすると伸びてくねる。
 火の明かりと黒闇に狭まれた空間でほどなく、猫がミルクをなめるようなぺちゃぺちゃという音が聞こえた。



46 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:25:33 ID:/8zwchxn

\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\

 林道はわざわざ避けて、冷やく湿った香りのする森のなかを歩き続け、だいぶたつ。
 まだ東の空は白んでいないが、日没より夜明けのほうに時間が近くなっている。

 数人ばかりそろっている森の一味に先導されて、才人とアンリエッタは塔に向かっていた。
 前方のマーク・レンデルに、たった今駆けもどってきた斥候が小声の早口で要求していた。

「俺たちは順調に魔法人形どもをここから遠くない『谷』の一つに引きこんでいる。森に散らばっている仲間も知らせを受けてそこに集まった。
 あんたが指揮をとらないと、マーク。あんたの副官だったダンは死んだんだぞ」

「ダンのことは聞いた。俺はまず陛下を塔に案内せねばならん。どのみち同じ方向に向かってるんだ、あとから行く。
 だが、トリステイン軍人のお歴々もいるようだし、指揮はそっちにまかせたほうがいいだろう」

 苔がなめらかに地面をおおい、羊歯が群生している場所で、マーク・レンデルは振り向いた。

「いよいよ塔の近くまで来ました、陛下。しかし敵の部隊もその近くに来ます。心してください。
 坊主、おまえ剣を持ってるが、いっぱしに戦えるか?」

「ああ、そっちのほうは自分で言うのもなんだが心得はある……ってかさ、一つ訊きたいんだが」

 才人は機嫌悪く鼻を鳴らした。
 その背中で、背負われたアンリエッタがくるくるきゅーと目をまわしている。

「俺が塔に行けないか訊いたときは『やめとけ』と言ったくせして、いまさら行こうって……なんだよそれ?」

 その後の夜を耐えてた俺の苦悩はなんだったんだ、と才人は不機嫌なのだった。
 マーク・レンデルはそっけなく答えた。

「言っただろ。塔にウォルター以外で入れる可能性があるなら、陛下ぐらいなのさ。
 陛下の正体を知らなかったんだから、ただの小僧や娘っ子を塔に行かせるわけにいかないと思ったってしょうがないだろう?
 おまえがすぐ教えてくれればよかったのに」

 それを言われるとぐうの音も出ない。
 が、才人はなおも疑問が尽きたわけではない。

「それだよ。
 『クリザリング家の当主、それに同道した者以外では、アルビオン王のみが入れる』って、姫さまはアルビオンじゃなくてトリステインの……わひゃう!?」



47 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:26:14 ID:/8zwchxn

 才人はアンリエッタを背負ったままその場で少しばかりとびはねた。

「ひゃひ、姫さま、耳をはむはむしないでくれ! 耳を!」

「……楽しそうだな」

「どこがそう見えるんだよ!?」

「騒ぐんじゃない。一応見張りは四方に放っているが、ウォルターの手勢が近くにいるかもわからんのだぞ。
 それで陛下が落ちつくんなら、だまって耳くらい食わせとけ坊主。
 入れるかもしれない、いちおうの根拠はあるのだ」

…………………………
………………
……

 闇の色は森でも場所ごとにちがう。
 森がひらけた場所では、月光が地面を刺すほどにふりそそぐ。

 そのような神寂びた青い闇の中、古びた白の尖塔が立っている。
 遠い昔には白亜でできたような美しい建築物だったのだろう。
 いま、ただよわせる陰々滅々たる雰囲気は、その前に立ったものに息をわれしらず呑ませた。

 この塔の下まできて、はじめてマーク・レンデルが才人たちに緊張を見せていた。
 剣を持った三人の、召使の服装をした男たちが、塔の扉へつづく空堀の橋に立っていた。

 背負った女王ともどもぐったりとして、荒い息を吐いていた才人が顔を起こす。

「あ。あの人たち、館にいた……」

 その言葉が終わる前に、マーク・レンデルおよび部下たちが背負っていたイチイの長弓をかまえ、矢を射出している。
 狙いあやまたずそれぞれの矢は、すべて橋の上の三人に命中していた。男たちはよろめきもしない。

 声をのむ才人の前で、森の無法者たちはたちまち次の矢をつがえ、第二矢をはなっていた。
 みずからの矢が一人の首をつらぬくのをちらと見ただけで、マーク・レンデルは厳しい顔で才人を向いた。

「見てのとおり、人間じゃない。ウォルターの魔法人形の一種だ」

「魔法人形……ちょっと待てよ、魔法人形でも致命傷くらったら倒れるはずだろ【8巻】」



48 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:26:42 ID:/8zwchxn

「あいつらは別だ。〈永久薬〉で動いている、物理的に破壊するしかない。
 まあ、いちばん厄介な魔法人形がここにいないだけでよしとしよう――」

 背後の森から咆哮が聞こえた。
 マーク・レンデルが月をあおいで舌打ちした。
 その咆哮はまだ遠いが、耳をすませばそれ以外の叫喚、破砕音なども聞こえてくる。それは、刻一刻と近づくように思われた。

「もう来やがった。おい、坊主、あいつらは引き離してやるからさっさと塔の扉に陛下を連れて行け。あれは死なないし硬いから、剣で倒そうとするのは時間の無駄だ。
 あの塔は一度中に入ってしまえば、塔の番人たちから攻撃はされなかいと昔、ウォルターから聞いたことがある。
 入れなかったらすぐ引きかえしてこい、すみやかに陛下を隠すから」

 弓を置き、腰のぼろぼろの革ベルトにさしていた手斧を抜いて、マーク・レンデルは数名の部下とともに突進した。

 魔法人形の一体が、あっさりと腹に手斧をぶちこまれる。
 ……にもかかわらず、その腕が剣をかまえるように動き、突きを送りだして無法者の一人ののどを刺そうとした。
 その無法者があわてて飛びのきながら、「早くしろ」と才人にむけて怒鳴る。

 たしかに乱闘が始まると、かれらは魔法人形たちと渡りあいながら、巧妙に橋の通路に隙間を空けているのだった。
 才人は覚悟をきめて、アンリエッタを背負ったまま剣を器用に抜き、左手にルーンを光らせて一気に乱闘のそばを駆けぬけ、橋をわたって扉に達した。

「姫さま、起きてます!?」

 扉の前で、ふにゃふにゃのアンリエッタを背から下ろす。
 よろめいて才人にしがみつきながら、どうにか女王は二本足で立った。
 それを支えながらも、才人はがっちりと閉ざされた堅牢無比そのものの鉄の扉を、困惑気味に見る。

「……どうしろってんだよ」



49 名前:黄金溶液〈中〉:2007/12/20(木) 01:27:27 ID:/8zwchxn

 橋のなかばで魔法人形の一体とつばぜり合いをする羽目になっているマーク・レンデルが、余裕のない声で叫んだ。

「ウォルターのやり方と同じはずだ、陛下の手をかざせ、押しつけろ!」

 ふらふらしながらも、アンリエッタがどうにか自分で手を出し、扉に押し当てるように手のひらで触れた。
 最初の数瞬はなにも起こらなかった。
 才人が(だめか)と苦い思いをいだいたとき、その音が響いた。

〈照合。あるびおん王家直系ノ者、風ノるびー〉

 ぎょっとして才人はのけぞる。その軋るような錆びた声は、扉の上部から聞こえた。
 塔そのものがしゃべったような錯覚におちいる。いや、錯覚ではないのだろうか。

〈資格アリ。然レバ疾ク入ラレヨ〉

 扉が、ほんとうに軋る。
 冥界への穴のようにぽかりと口をひらいて、黒い内部をさらした。

 ……才人はさきほどの道中でマーク・レンデルに聞かされた話を思い浮かべた。
 魔術や錬金術のたぐいには、平民にはうかがい知れなくともきちんと体系づけられた論理がある。
 塔に踏みこめるのがクリザリング家、そして王家のみという点にも、なにか選別する条件があるはずなのだ。

 家系であることを考えると、おそらく「血」。
 もしくは、その家系に代々伝わる何か。
 マーク・レンデルの推測はただしかった。両方だったわけである。

 アンリエッタの血は、アルビオン王家の血も濃い。彼女の死んだ父王はアルビオン王の実弟だったのだから。
 そしてアルビオン王家に伝わってきた「風のルビー」は、いまアンリエッタの手にあった。

 マーク・レンデルの語った伝説によれば、最上階の「塔のメイジ」を、アルビオン王の名において解放すればよいとのことである。
 その千年前のメイジによる大半の魔法人形はじめ、多くの〈永久薬〉による効力を及ぼされた物品を、無にもどすことができるという。

(ここまできたんだ、上に行ってやろうじゃねえか)

 才人は小ビンのふたを取り、アンリエッタに渡す。
 女王は強く酩酊したように震える手で受けとり、最後の一口分の解毒薬をくいっとのみほした。



50 名前:ボルボX:2007/12/20(木) 01:29:09 ID:/8zwchxn
前スレでせんたいさんが「エロ無しオリ設定」と謙遜してたけど、それ言われるとボキなんか血を吐いてしまひます。このSSとか。
……すまない、クリスマス編ネタも練ったけどどうあがいてもクリスマスには間に合わない……そのうち投下すると思うので、時期はずれでも堪忍して。


51 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:40:45 ID:DRdg1jRz
GJ!時期はずれだろうがなんだろうが全裸で待ってます

52 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:49:15 ID:e5pJ4IiG
>>50
おおおお!締めが近いな!続き待ってます!
クリスマス編もいつでもいいので期待してます!GJ!!

53 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 02:14:09 ID:iyxFqZ6I
完成度高杉だろ・・・jk
正直ノボルより上じゃね?wwwww

54 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 02:15:51 ID:p8wvfP8r
>>18
>>50
ともにGJ!!

すげー、手に汗握る小説がこんなトコで読めるなんて…
このお二方のSSすげー

>>18
丁寧な描写に…愚息が反応しちゃいましたw
>>24
>嫌だ、まだ未使用なのに!
ワロタw

55 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 09:52:32 ID:e5pJ4IiG
>>26
イザベラやるなwwwタバサも描写あんまり無いけどかぁいいな〜
GJ!次回待ってます!

56 名前:名無し@ピンキー:2007/12/20(木) 16:17:24 ID:hkVM6JwK
お二方テラGJwwww

>>18
>きっとオラオラ、むしろ無駄無駄?
ちょwジョジョかよw
は、早く続きよみてぇ〜ジョセフとシャルルぶっちゃけてるようだしw
地下水相棒ならトリステインの城下町行ってデルフも買うんだ!

57 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 20:41:19 ID:7jufNvbC
サイトinガリア
意外性のある展開にワクワクですね。
ジョゼフが召喚したのがガンダールブなら、この世界のルイズが召喚するのはミョズニトニルンでしょうか?
個人的には、シェフィールドは幼女で登場して欲しい気がします。大人シェフィールドだとルイズが圧倒されそうで。
原作の口調で幼女のシェフィールド……。

58 名前:ぺとるーしゅか:2007/12/20(木) 22:37:41 ID:fatIanKa
投下します。
↓注意書き↓
◆百合表現を含みます。
◆12巻の3話がきつかった人はスルーするのが吉
◆ネタバレはありません。

59 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:39:32 ID:fatIanKa

星が夜空に瞬き、双月が優しくルイズの部屋を照らす、そんな夜。
既に大半の人は眠りの世界へと落ちている時間、この部屋の主たるルイズはむくりと起き上がった。
「……さむ」
寝ぼけ眼でポツリと呟く。どうやら体が冷えてしまったらしい。
そうはいっても既に浴場は閉まっているし、温かい飲み物を飲もうにも作る人がいない。更に彼女は四大系統魔法が使えないので今まで火を扱ったことすらほとんどなかった。
「ん」
寝ぼけた頭で暫く思案していた彼女であったが、何を思いついたのか、おもむろにカーディガンを羽織ると部屋を後にした。
おぼつかない足取りでルイズは裏庭を歩いてゆく。秋の夜風が寝起きの体には少々きつく、自分の体を抱くようにして目的地へと向かう。
時折強く吹く風に身体を震わせる。さすがにカーディガンだけじゃまずかったかな、と彼女は己の思慮の足りなさを悔やんだ。
「でも、もうすぐだし……」
部屋に戻るのも億劫だと彼女は考え、そのまま歩を進める。目的地も近いのか彼女の足取りも軽くなったようであった。
足早に建物の角を曲がり、ルイズは目的のものを発見した。
「あった…………あれ?」
ルイズの目的は、裏庭にあるサイト制作のお風呂。お風呂に入って体を温めようと思っていた彼女なのだが、何やら様子がおかしいようだ。
「火がついてる」
遠すぎてルイズには見えないが、どうやら先客がいるらしい。こんな時間にいったい誰が、とルイズは頭をひねる。
しかし考えたところで埒があかない。ルイズは闇夜に紛れるようにそっと、その先客の方へと近づいていった。
「……で、あんただったと」
「あら、ミス・ヴァリエール。起きていらしたんですか」
先にお風呂に入っていたのは、なんということはない、シエスタであった。
ルイズは寝ぼけていたので、彼女のいつもいるベッドの反対側まで気がまわらなかったのであろう。まったく気がつかなかった。
「むぅ」
「入りま……あ、お湯も取り替えましょうか?」
ここに来たということはお風呂に入りに来たのだろう、と考え、シエスタは聞いてみる。
貴族と平民が同じ風呂に入ることなど本来あり得ないし、ましてや一緒になどもってのほかである。
だがシエスタはルイズならば入るのかもしれない、と思っていた。
長く彼女のそばにいて、シエスタにとってルイズは友達と思えるほどに気さくな存在になっていたのである。


60 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:40:56 ID:fatIanKa
それでもさすがに一緒には入らないだろうとシエスタは風呂からあがろうとした。
「いい」
しかしルイズはそう言うと服を脱ぎはじめる。
「あの、ミス?」
「一緒に入る」
もう貴族と平民とで差別をしなくなったのか、シエスタだけ対等にみているのか、それともただ少し眠いだけなのか。
とにもかくにもルイズはどうやらシエスタと一緒に入るつもりらしい。
「そ、それなら少々薪を足していただけますか? ぬるくなってしまうので」
「ん」
慌て気味のシエスタに、ルイズは短く返事をすると脇に置いてある薪を全部放り込んだ。そして服を脱ぎおわるとシエスタがよけたスペースにスルリと入る。
「ふぁ……」
この世の極楽、と言わんばかりの表情でルイズは、ふぅ、とため息を漏らした。
いつもの貴族用の浴場と違い香りをつけているわけでもないが、寒いときに入るお風呂はやはり格別の心地よさがあったのだろう。
風呂に映し出された双月を眺めながら、暫しの間その心地よくさに浸っていた。
「……」
「あによ」
「い、いえ。べつに……」
一方、長いことシエスタはルイズを見ていたらしい、特に胸の辺りを。指摘されて初めてそれに気付いたシエスタは慌ててぷいとそっぽを向いた。
何気なく胸の辺りを腕で隠して。
「誰も取って食べたりなんかしないわよ」
「す、すいません」
今日のルイズはさりげなく鋭かった。彼女にはティファニアの胸を鷲掴みにしたという前科がある。
何かにかこつけて自分の胸も鷲掴みにされてしまうのではないか、というシエスタの本能的な反射をルイズは見破ったのである。
「さすがにそんなことしませんよね。はは……」
「食べたら私のも大きくなるかしら」
「ひっ―――!!」
「冗談よ」
眠そうな眼で言うルイズ、しかし見ようによれば眼が据わっているともいえる。そんな彼女の迫力に少々圧されぎみのシエスタであった。
「そうといえば……」
御返しです、とばかりにシエスタの反撃が始まる。特に胸の辺りの話で。
「おじいちゃんから聞いた話なんですが、女性の乳房って吸収されてしまうらしいんですよ」
「吸収?」
かかった、とシエスタは内心ニヤリとする。


61 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:44:14 ID:fatIanKa
「はい。ある年頃になると女性は乳房、おっぱいが大きくなりはじめるんですが、その時に同年代の女の子と一緒にいることが多いと、
 その女の子かどちらかの胸ばっかり大きくなって、もう片方の人が小さいままなんですって。なんだか性格まで両極端になるとか」
「そんな、ほんと?」
「ほんとです。私の村にとても仲良しなお姉さんが二人いたんです。ちょうど先日村で久しぶりにお二人に会ったんですが……」
「ま、まさか」
「そうなんです。一人はかなり大きかったんですが、もう一人は……」
絶句と共にルイズの動きが止まる。そして数秒の間、目を宙に泳がせていたかと思うと次第に震えだした。
「あの、ミス?」
内心、してやったり、と思っているシエスタであったが、ルイズの動揺っぷりには少し驚いた。
「ど、どどどどうしよう、シエスタ……?」
「どうしたんです?」
ルイズは急にザバッと立ち上がった。
「あの、ミス・ヴァルリエール、み……見えてますけど」
「ひ、ひ、ひひひひひひひ」
「落ち着いて下さい! ミス!」
いつぞやの虚無が使えなかった時に及ぶのではないかと思うほど、ルイズは傍目から見て明らかに泣きそうであった。
風呂に入っていたので涙か水滴かの見分けはつかないが、ルイズは目から溢れそうになるそれを堪えながら、必死に何かをシエスタに訴えかける。
━━━そ、そんな眼で私を見ないで下さい
ルイズの視線にシエスタは一瞬自分がしたことを悔やんだ。その眼には人を改心させることはおろか、同姓の保護欲をもかきたてるような可愛らしささえ備えていたのだ。
さすがは公爵家の末っ子といったところである。
「ひっ……ひぅっ……」
「ミ、ミス……?」
「ひっ、ひめさまにとられた〜〜〜〜〜〜〜!!」
そう言うなりルイズはシエスタに抱きついた。風呂に多少の波がたつ。最初はおろおろとしていたシエスタだったが、やがてルイズをしっかりと抱きとめる。
「ひっ……うぅ……」
「大丈夫ですよ、ミス。今からでも大きくなります」
「ホント?」
ルイズの声色が一瞬でかわる。どことなく目もキラキラしているようにシエスタには映った。
「えぇ、ホントです」
優しく応える。シエスタは何か当初の目的を見失ったような気がしたが、あえて気にしないことにした。
無邪気で可愛らしいルイズを見ているうちにどうでもよくなったのである。
「どうするの?」

62 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:46:24 ID:fatIanKa
ルイズの質問にシエスタの目がキッとしたものに変わる。それはですね……、と前置きした後に彼女は方法を語った。
「えっちぃことをします」
瞬間、ルイズがキラキラした表情のまま固まった。
「は?」
「えっちぃことをするんです」
聞き間違いかと思ったルイズだったがそうではないようだ。
「冗談よね?」
「真面目です。いやん、ばかぁんです」
言ってることは阿呆らしいが、彼女の目は真剣そのものである。
「でもそういうのって、好きな人同士が」
「ミス・ヴァリエールは私のことが嫌いなんですか?」
「そうじゃなくて、これは男女で」
「その準備なんですから!」
サイトのことに関してはいつも若干強気なところを見せるシエスタであったが、ルイズに対しては初めてであった。
思わずたじろいでしまうルイズ。
「その、やっぱり……」
「私はミス・ヴァリエールのことが好きです!」
シエスタの濡れた髪から水滴がひとつ、お湯へと落ちた。その音さえはっきり聞こえる程の静寂。
「わ、わたしも……きらいじゃ、ないわ」
以前、身投げしようとしたところを助け、励ましてくれた恩もあったが、何よりルイズにとってシエスタは、本音を打ち明けられる数少ない友人の一人であった。
好きか嫌いかでいえば、勿論“好き”である。
「それなら、いいじゃないですか」
シエスタはニコリと微笑む。
「目を閉じてください」
ルイズは何か釈然としなかったものの、あまり考えずに指示に従った。
ルイズが瞳を閉じたことを確認するとシエスタはゆっくりとルイズの方へと近づく。そのときに起きるちょっとした波で、ルイズにもシエスタが接近していることがなんとなくわかった。
少し体が強張る。
「ミス、力を抜いて下さい」
言われて抜ける力ならば最初から抜いているだろう。ルイズはガチガチに固まったままである。
シエスタはひとつ溜め息をつくと、彼女の脇を指先でなぞった。
「ひゃっ―――んむっ!」
思わぬ不意打ちにルイズが目を見開いたとき、すでにシエスタは彼女の唇をうばっていた。
二人の間に挟まれたシエスタの胸がルイズに押し付けられる形になる。
「んく……んっ」
ルイズは突然のことに呆気にとられて口が半開きになっていたので、シエスタは安々と彼女の口へと舌を侵入させることに成功する。

63 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:47:52 ID:fatIanKa
彼女の舌はルイズのそれと幾度かの絡みを経て、頬の内側や歯の裏側など余すことなくその矛先を向けルイズの口内を味わう。
ルイズも最初は戸惑っていたものの、舌を交える口付けの甘美な心地よさに身を委ね、拙いながらも彼女自身の意思でシエスタの行為に応えた。
二人の口許から洩れるくちゅくちゅ、といった唾液の絡み合う淫靡な音と、
体勢をかえたりするときに起こる風呂の水音とのコントラストが絶妙なハーモニーを奏で、二人の脳へと染み込んでゆく。
最初のうちはシエスタがルイズを押し倒すような体勢だったが、いつの間にかルイズも彼女の背へと手をまわし抱き合うようなものへと変わっていた。
暫く二人は互いを味わっていたが、やがてどちらからともなくゆっくりと口を離す。
名残惜しむかのように二人の間には滑らかな曲線を描く銀色の橋がかかっていた。
「はぁ……はぁ……」
「どうでした? 初めての舌を交わすキスは?」
口付けの余韻に浸っていたルイズの頬が更に赤く染まる。
「ご馳走さまでした」
「なっ、な……」
茶目っ気たっぷりにそう言うシエスタに何も返せないルイズ。しかし態度からも彼女の感想は明らかであった。
「もう一回しますか?」
「え?」
「気持ちよくなかったなら、効果があんまりないので、もう終わりにしますけど」
今更のように今までの行為の理由を思い出すルイズ。口付けの気持ちよさに理由を忘れてしまっていたのだ。
―――口付けだけでこんなに我を忘れちゃうのに、これ以上のなんて。
彼女は口付けの魔力に多少の恐怖を覚えた。しかし少しの恐怖は往々にして好奇心をそそるスパイスにもなる。
「そ、その、悪くは……なかったわ」
「ふふっ」
「なっ、なによ」
「いえいえ、なんでもありませんよ」
正直じゃないんですから、とシエスタは心の内で苦笑する。彼女にはルイズが気持ちいいと感じていることがバレバレであった。
ただ彼女の口からその言葉を聞きたくて悪戯をしただけ。
そして余りにも予想通りな反応に、思わず笑いが溢れたのである。


64 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:48:54 ID:fatIanKa

「じゃあ、もう一度」
シエスタの言葉にルイズの表情が明るくなる。
―――だ、だめです、ミス。か、顔が正直すぎます。
「どうかした?」
「い、いえ」
どうにか笑いを堪えようと顔に力を入れていたら、どうやら彼女が気付かぬうちに変な表情をしていたらしい。慌てて取り繕う。
シエスタは気を取り直し、ルイズの手を取ると今度はゆっくりと彼女を引き寄せ、優しくその唇を合わせた。
今回は不意打ちではないので、まずシエスタはルイズの上唇を舌でなぞる。それに応えるかのようにルイズも唇を開き舌を交える。
「ん……ちゅむ……んむ」
シエスタがルイズを抱きかかえる形となったので、ルイズの方が体勢は有利になる。馴れない彼女のたどたどしい舌が、シエスタの様子を伺うように優しく誘う。
シエスタはそのもどかしさに自分が一層高まっていくのを感じた。もちろんそんな状況に甘んじている彼女ではない。腕を無防備なルイズの背中へとまわすと、
中指を背骨に沿ってなぞりあげた。
「んぷはっ! ひああああああああ!」
効果は抜群だった。ルイズの背中を、暖かい湯の中にいるにもかかわらず、冷たい電流が走ったかのような感覚がした。
━━━な、な、なにこれ!?
彼女はおもわずその刺激を弱めようと腰をくねらせる。
だがシエスタに抱かれているために逃げ道がなく、結果シエスタにより強く抱きつき秘処をすりつけるという、どうみても誘っているようにしか見えない行動をとってしまっていた。
「もう、ミス・ヴァリエールったら、そんなにシテほしいなら言ってくださればいいのに」
自分の行動を指摘され、彼女は顔が熱くなるのを感じる。
「ち、ちがっ━━━!」
「あら? 違うのですか。それは残念」
心底残念そうな顔をするシエスタ。
「あんたがやったんでしょうが!」
「なんの話ですか?」
彼女はとぼけながらルイズの臀部の方から手をまわし、ルイズが生まれてこの方触れたことのない未開の秘苑へと進めた。
「ひゃあっ!?」
それだけでルイズは、はしたない声をあげてしまう。
シエスタは途中まで指をすすめると、直接触ることはせずに周りの柔らかい部分を周回しはじめた。
まるでルイズに、自分はいつでも貴女の大事なトコロに触れられるんですよ、と言わんばかりに。
そして彼女の思惑通りに、ルイズは未だ自分でも直接は触れたことのない未知の領域を意識せざるを得なかった。
「だ、だめだめだめだめ……」


65 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:50:15 ID:fatIanKa
小声で呟くルイズ。小声なのは彼女が本当は触れてほしいと思っているからなのかもしれない。
現に彼女はシエスタの手を払おうともしないで、ただ呟き続けるだけだった。
「本当に、ダメなんですか?」
未だシエスタの指は直接触れようとはせず、ルイズの肌の感触を楽しむ。
「っ――――――!!」
彼女の指は時折周回する半径を狭めて、あと少し、というところでまた離れてしまう。
「はぁ……」
既にルイズの足は力が入らずカクカクと震え、お湯の中でなければ座りこんでしまっていたであろう。
幸運にもシエスタの肩に添えた腕の助けもあってなんとか彼女は姿勢を保っていた。
「ひっ!」
「気持ちいいのになぁ」
シエスタはルイズの常時なら下着で隠れるギリギリのところに二本の指をあてると、ふにふにと力を入れたり抜いたりする。
それによってルイズの秘苑は間接的に開いたり閉じたりと、まるで何かを欲しているかのような動きになる。
そしてそこからはお湯とは違った液体が溢れてきていた。
「ん……んぁ」
―――そろそろよさそうですね。
シエスタはそう結論づけると、ついにルイズの秘苑に指をあてた。最初はできるだけ優しく、その形をなぞる。
―――初めての時はゆっくりと、優しく、焦らすぐらいで。
誰に教わったのか、ともかく敏感なルイズに過剰な刺激を与えないように、とシエスタは存分に触れたくなる自分の衝動をなんとか抑え、丁寧に愛撫する。
「いや、ふぅ、ん、くぅ」
ルイズはただ声を可能な限り我慢することしかできない。
今、彼女の頭の中ではシエスタに手を止めてほしいと思う理性と、どこか嫌いになれない刺激のその先を体験してみたいという欲望との葛藤が渦巻いていた。
「や、ら、め、だめ……」
最早ろれつも回らなくなってきたのだが、どうにか彼女に、拒否しているという体裁だけでもと理性が口を動かす。
だがそれは興奮を冗長させるスパイスの役割しかなしてはいなかった。
シエスタの指にルイズの興奮の証が絡み付く。
「あら、ミス・ヴァリエールのそこからなにか出てきてますね」
「し、知らない。知らないもん」
なにせ彼女にとって全てが初体験にあたるのだ。いままで知らなくても無理はない。
それでも出てくる理由には心当たりがあるらしく、必死に口を閉じて次々と襲ってくる悦楽を堪えていた。


66 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:51:39 ID:fatIanKa
「ん……んむ……んっ」
一方シエスタの指は徐々にルイズの中に埋まっていく。
見るものさえいないが、彼女の指がルイズの秘処に隠れていく様は明らかに卑猥であった。
―――は、入って……くるぅ。
埋まれて初めての異物が入ってくる感覚にルイズは身悶えする。
だがシエスタが念入りに愛撫をかさねたおかげか、初めてのわりに容易くそれをのみこんでいった。
「ふっ、ふぅ、ぅあ」
「さすがに初めてだけあって、締め付けがきついですね」
「や、あ、あぁぁぁ」
指でルイズの内側を一周なぞる。もう一周。さらにもう一回。
「は、あ、あぁ、ふぁん」
そして徐々にそのスピードをあげた。
「やぁぁ」
「淋しそうな此処にもキスしてあげましょうね」
「んんっ!!」
シエスタの唇がルイズの右胸に落ちる。
「あら? ミスったら体が冷えてしまっているじゃないですか」
実は二度目のキスのときの体勢のために、上半身が夜風にさらされ冷えてしまったのだ。
そして冷たさと快感の二つの意味で、ルイズの胸に慎ましくさえあった桃色がかった粒は、精一杯の自己主張をしている。
「暖めませんとね」
シエスタは舌全体を使ってルイズの胸を舐める。
「あ、あったかぁい……」
ルイズは冷えた体に突如訪れた温もりに光忽とした表情を浮かべた。
「片方だけじゃダメですよね」
シエスタの舌が、今度は左の胸へと降り、その頂きを犯す。
その感触のなかにルイズの胸のそれとおぼしきものを見つけたシエスタは入念に舌の中で転がす。
「ひゃっ……」
冷たく敏感になった体に優しく暖かい舌が絡む。それに秘処を堪能するかのような指の動きに、もうルイズは全く嫌悪感を示さなくなっていた。
「きもち、いぃ……」
するとその言葉を待っていたかのようにシエスタの指がスタッカートを刻むかのような動きに変わった。
「あっ、やっ、あ、あ、あ、ひゃっ、やぁ、あ」
意味を成さない声だけがこぼれる。そしてルイズのそこはその度にひくっ、とシエスタの指を締め付けた。
胸への、ルイズを包み込むような気持ちよさと、秘処への、彼女を高みへと押し上げる刺激的な快感が同時にせめる。
「や、あぁ、あっ、あ、あ、あっ」
また風呂の中であることがシエスタの秘処への愛撫が過度になるのを防ぎ、ルイズの初体験を甘美なものにする。


67 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:53:29 ID:fatIanKa
―――もう逃げる心配をする必要はありませんね。
そう考えたシエスタはルイズの腰にまわしていた左手を離し、この時空いていたルイズの右胸へと置くとフルフルと震わせた。
「んんんっ!」
それはルイズのような、胸に描く曲線が少々流麗な女性にかなり効果的な方法であった。
ルイズにその典型をみるスレンダーな体型の女性には、揉むと刺激が強すぎる。それよりは振動を与える方がより快感を与えられた。
「ん……く……」
さらに胸をせめる舌の動きが荒々しいものに変わり、ルイズは最早限界に近かった。
「ら、だめ、なんか……くるぅ」シエスタの指を締め付ける頻度も増してきていた。
「それでは、とどめです。盛大にイッちゃってください」
「い……く……?」
言うや否や、シエスタは左手でルイズの胸の桃色の粒をギュッと挟み、口で他方の粒を吸いあげ、右手で今まで触れなかった淫蕾に触れた。

「ひっ! っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

音にならぬ声に、ただ口をパクパクとさせ、ルイズは初めての絶頂を体験する。
凄まじい快感の奔流に、身体全体に力が入り手足が震える。

―――な、なに、これぇ!!

体の奥を駆け巡る何か、頭の中に響くような衝撃にただただ驚く

「はふっ」
全てが終わった時、彼女の体の力が抜けた。
張っていた腕がふにゃりと折れて、ルイズはシエスタの、潤った白桃のような魅惑の果実へと沈む。


68 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:55:03 ID:fatIanKa

「ふみゅ。んむふむぁ〜〜」
「ひぁっ?み、ミス、喋らないでくださいぃっ!」
シエスタにとっては誤算である。
突然支えを失ったルイズは、胸の中で窒息しそう、という世の男性の殆どが羨む状況の中に陥った。
今彼女たちが入っている風呂は元々それ用に作られたものではないため、ともすると滑りやすい構造である。
「もごもご……」
「あっ…あん…んっ、だめ……」
それ故にルイズの腕や足は風呂の面を捉えきれずに水音をたてるばかり。落ち着いていればなんということはない深さなのだが、彼女にはそれができなかった。
なぜなら現在ルイズの視界は病み付きになるような驚異のクッションに埋めつくされていたからである。
視界不良のなか彼女はたかだか風呂の中であるということを忘れ、無我夢中でもがいた。
「もごもご……」
「ひゃふっ!?」
だが、それがよくなかった。わけもわからず頭を動かしていると、それ自身の重みとお湯の浮力とで絶妙な刺激となってシエスタを襲う。
「ぶくぶくぶく」
「あ、や、んぁ、だ、だめぇ……」
「ぶぐぼっ!?」
更に、刺激を避けようとシエスタは胸を守ろうとしたことが、ルイズごと抱いてしまった。
ルイズは必死に手足をばたつかせてどうにか助けを求める。
―――シエスタ、助けて!!
しかしルイズの手足は水の抵抗を受け、絶妙な力加減となり本人の意思とは全く関係のないところでシエスタを蹂躪していた。
脇腹をなぞりあげ、
「ひゃふ!?」
臀部を揉みしだき、
「んぁん!」
鎖骨をなぞり、胸を荒々しく掴む。彼女としてはバタバタしてるだけなのだが、さすがは貴族、意識しなくてもメイドの相手ぐらい余裕、といったところか。
一方のシエスタも気が動転していた。ルイズが突然自分の双子の果実へと顔を埋めてきたのだ。
まさか自分が引き起こしたとは露知らず、ルイズの“無我の境地”が与える甘美な刺激に、じわりじわりと高みに誘われていく。
「きゃっ……ひっ…やんっ…」
「こぽ」
シエスタにヘッドロックされたルイズは、これまた思いと裏腹に、とどめとばかりにメイドの胸を思いきり鷲掴みにした。
「っ――――――!!」


69 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:56:17 ID:fatIanKa
シエスタは音にならない声をあげる。最初に感じたのは激痛。
当然である。ルイズの手に彼女を気持ちよくさせてあげようという意思などひとかけらもなく、ただ助かりたかっただけなのだから。
しかし揉みこまれたままの果実がもたらしたのは痛みだけではなかった。
「はふ……少しだけいっちゃいました」
体を刺すような痛みに隠れ、奥にじんわりと届く快楽が追い詰められていた彼女にとどめをさした。
―――とんだ、伏兵ですね。
腕の力を抜いてルイズの方へ向く。
「あれ? ミス?」
浴槽には桃色がかったブロンドのワカメが浮いていた。
何気に命の危機である。

「し、しっかりしてください! 死んじゃいやですっ」
確かに死因が『胸の中で窒息死』では、死んでも死にきれないであろう。
「え、え、えっとこういうときは……」
まさかメイジ達を呼ぶわけにもいかず、シエスタは思案したあげく村に伝わる応急処置を施すことにした。
「心臓マッサージとっ、人口呼吸ですっ」
ちなみにこれより前に脈拍と呼吸の有無を確認しなければならないのだが。
「すぅー」
シエスタは思いきり息を吸い込み、
「んむ」
ルイズの唇を塞ぎ、
「ふぅーーーーーーー」
ルイズへと息を送りこもうとした。そしてルイズの鼻孔から抜けていった。

俗にいう、“失敗”である。

「えぇと、つぎは」
心臓マッサージをしようと思ったのだが、風呂の中にいるため習ったとおりにできそうもない。
「でも、要はマッサージできればいいんですよね」
彼女はルイズを抱えながら、なんとかマッサージをしようとした。
もみもみ、
「こんな感じでしたか?」
もみもみ、
「えぇと、もうすこし下だったかも」
もみもみ、
「あ、こうだったかな?」
もみもみ、とまったく心臓マッサージになっていない。

俗にいう、“おっぱい”である。



70 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:57:43 ID:fatIanKa

「んぁ?……けほっけほっ」
「ミスっ、気づきましたか」
偶然にも、ルイズは意識を取り戻した。肺に入ってしまった水分にむせてしまう。
「よ、よかったぁ」
シエスタは胸をなでおろす。
一方ルイズは暫く現状の整理をしていた。
シエスタによって赤子のように抱き抱えられ、シエスタのどこか温かみのある顔が自分の目の前にある。
彼女は肩で息をしながら、体をシエスタへと完全に預けていた。心なしか胸の鼓動も速い。
―――あれ?何か胸がドキドキして……
「―――って、死ぬところよ!! 助けなさいっ」
当初こそ気づいていなかったものの、シエスタはルイズを助けようとしたことは明記しておくべきであろう。
「えぇと、萌死に?」
「溺死よっ!」
なんとも、噛み合わない会話である。
「ふんとに、もう」
のらりくらりとかわすシエスタに肩透かしをくらったルイズはむすっと膨れたままシエスタへ身を預ける。
ちゃぽん―――。
ルイズは指で水面を叩いた。
そしてシエスタの胸のなかで先ほどの絶頂について思いをはせる。
―――あんなにすごいなんて。
「ふふ、お気に召して頂けましたか」
シエスタはルイズの背中に手を回しながら、今度は優しくルイズを抱きしめた。
ルイズは暫しの逡巡の後にポツリと答える。
「溺れるのはいやだわ」
「そ、そうですね」
シエスタは苦笑するしかない。
「でも」
と、ルイズは付け加える。

「もう一回ならやってもいいかな……」

シエスタの肩に頭を乗せる。彼女の胸の中の柔らかさと暖かさは、ルイズにどこか母親や姉を思い出させる。
貴族としての矜持から、できる限り人との肌と肌の触れ合いを避けてきた彼女だったが、どうやら考えを改める必要がありそうだった。
―――たまにはこういうのも。
落ち着く友人の体に抱かれそんなことを思う。
―――私には知らないことが多いわね。
若干の決意をにじませながら少女はその温もりに身を委ねる。
シエスタもただ暖かく、ルイズの少々冷えてしまった肩にお湯をかけてあげていた。


71 名前:星の都:2007/12/20(木) 22:59:17 ID:fatIanKa
お湯の暖かさがじんわりと体に染み込んでいくのを感じながら、ただゆったりとする。それだけのことが、嬉しいと少女は思った。
思えばこの一年は少女にかなりの変化をもたらし、それだけに急ぎ足できていたのだろう。
このメイドと出会ったのも――それより前から何度か見ていたはずではあるが――そのころだった。
―――ところで、私はシエスタを暖めることができるのかしら。
自分だけではずるい。そんな気がして少女はシエスタの背中へと腕をまわす。
「え……?」
ちょっとした驚きの声。だが何も言わずにそのままシエスタを抱きついた。
自分の顔が恥ずかしさに赤くなっているのがわかる。シエスタに見られないのに少し安心するルイズ。
抱きしめてより一層、彼女は気持ちいいな、と思う。そのまま寝てしまいたいとさえ思った。
そして抱きしめてみて初めて、ルイズは少女の肌の綺麗なことに気づく。
―――いいなぁ。
貴族と比べても引けをとらない、キメの細かい肌。自分よりも綺麗かも、と素直に感嘆した。
―――なんかどんどん自分が不利になっているような。
彼女のいいところを見つける度に比べてしまう。だからといって人のあら探しをするのは信条に反する。
ルイズは、自分がもっと頑張ればいいんだ、と心に念じた。
―――サイトのためにも、シエスタのためにも。
余りの心地良さに瞼が重くなってきた。全身の力がほどよく抜けている状態で、長い時間いたからであろう。
時間帯もある。極上の布団もあった。
―――黒髪か……。
眠気のために少しまどろみながら眼前に映るシエスタの髪を見てルイズはそんなことを思う。
―――私は何かと黒髪に縁があるらしいわね。
「私、小さい頃この髪あまり好きじゃなかったんですよ」
「え……?」
知らないうちに声になっていたのか、シエスタはそんなことを語りだす。
「ほら、この世界にあまり黒髪の人いないじゃないですか。茶髪や金髪は多いですけど。
 それで周りの人からいじられる種になっていたんです。周りの子は何となくやってたんでしょうけど、私には辛かった。」
遥か昔を思うかのようにシエスタは空を眺める。


72 名前:星の都:2007/12/20(木) 23:00:41 ID:fatIanKa
「でもこの学院で友達もできて、何より同じ髪をもつ人が来てくれた」
シエスタは平民なのに貴族に立ち向かい、そして勝った。偶然にも同じ髪の色の少年を思い浮かべる。
「だから、今では結構好きなんですよ。この髪」
最後に好敵手たる彼女に、
「だって大好きな人とお揃いなんですから」
言って暫し待っていた。相手からの反論を。
「ミス……? ……寝ちゃいましたか」
ふと首を傾け彼女の顔をのぞく。いつもシエスタといる時には見せない、安らかな寝顔であった。
―――こんな顔を、するんですね。
大切に育てられた末っ子らしい無邪気な甘えるような表情。恐らくは使い魔の前でも見せないのではないか。
双月に照らされたルイズの表情は見るものを和ませた。シエスタはそっと、ルイズが眠り易いように体勢を帰る。
そして満天の星空を見上げる。
―――私にもこんな友達ができました。
誰にいうでもなく、心の内で呟く。まさか貴族の方と友達のように接するようになるとは、誰が想像できただろうか。
彼女は友人の細く頼りなげな体をしっかりと抱く。
―――お人形さんみたい。
シエスタは微笑みを浮かべ、村に伝わる子守唄を歌い始めた。
ゆっくりと、優しく、夜空に吸い込まれる歌声は、ルイズに届いているのかはわからない。
だが少女もまた微笑んでいたのは確かだった。

〜fin〜

73 名前:ぺとるーしゅか:2007/12/20(木) 23:03:22 ID:fatIanKa
以上です。

というわけで名無しに戻ります。

ノシ

74 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/21(金) 00:20:01 ID:9uE7riHN
>>6
復活おめ。13巻フラゲしたけどまだ読んでないです。
>>18
復活おめ。こんなイザベラ素敵すぎ。
>>29
耳はむはむは反則っ。クリスマスSS待ってるよ。ちょうどスレ番も25だし。がんがって!
>>58
不覚にもおっきしたorz

さーて。寝る前に投下するです。

「サイトが魔法を使えたら【ガリア編】」

これでこの章はラストです。

これまでの話↓
http://wikiwiki.jp/zero/?24-167

◆消費レス:6

75 名前:サイトが魔法を使えたら【ガリア編】(1/6):2007/12/21(金) 00:21:12 ID:9uE7riHN
ミョズニトニルンが倒れている。
倒れている彼女をサイトが抱きかかえているようだ。
彼女の首から力が抜けた・・・

ガリア王を罵るサイトの声がルイズに届く。
そして、彼は王目掛け突撃した。
あれ?これは・・・夢と同じ光景?

王の表情が狂気に歪んだ笑みを浮かべた。
ルイズの不安が確信に変わる。

「サイトっ!!!」
ルイズは咄嗟に彼の名を叫ぶ。
それ以上行っちゃ・・・

ドスゥッ!鈍い音が響いた。

視界が床に落ちる。
サイトの荒い息。
目前に広がる赤い血の海。

彼女の目の前には既に起き上がり、こちらに向かってくる長髪のエルフがいる。
ルイズは横のタバサに視線を合わせず杖を振った。
”ディスペル”
タバサの杖にディスペルが絡みついた。ルイズの意志を理解した彼女は、その杖をエルフへと向けた。
「匂いのする方へ」
タバサはルイズの背中に声をかけた。

ルイズは部屋を飛び出した。

サイト・・・サイト・・・

痛いっ。

彼女は何度もけつまずいて、こけた。

ひざやひじはすりむけ、血が滲んでいた。

だけど彼女は立ち止まらない。

あるたけの力で地を蹴った。

サイト・・・サイト・・・サイト・・・

彼女の双眸からは大粒の涙が滂沱として流れていた。

死んじゃだめ。だめなんだから。わたしが死なせはしないんだ・・・

私はあんたに大切なこと伝えてない。それを聞く前に死んじゃうなんて・・・だめなんだから!!!

廊下に彼女の駆ける音とすすり泣く声が響く。

これは命令なんだからっ。サイト、死んじゃダメ!!!

彼女の悲痛の叫びがこだました。

76 名前:サイトが魔法を使えたら【ガリア編】(2/6):2007/12/21(金) 00:22:38 ID:9uE7riHN
「相棒」「ダーリン」
剣と槍が使い手に声をかける、が返事はない。

「まずいな。このままだと前の二の舞だ」
「印が消えちゃうのね」
「この前は俺だけだったからなんともならなかったが・・・今度はお前さんがいるからな」
「なんとか繋ぎ止めれそうだわね・・・」
「いくぞ」
「いいわよ」

グングニールの穂先のルーンが黄金色に光り始めた。
同時に、デルフリンガーの刀身にルーンの文字が青白い光を放ちながら浮かび上がる。
”フェフ・イェーラ・テイワズ・アルギズ”
護りの先住魔法がサイトを包み込んだ。
「娘っこ。早く来てくれよ・・・」
ぽつりとデルフがつぶやいた。
・・・
・・・・・・
もうすぐ行くから。サイト。もうすぐ・・・
匂いを頼りに壁に空いた大穴に飛び込んだ。

サイトっ!!!
ルイズは血の海に倒れ伏すサイトの姿に血の気を失いそうになった。
サイト!!サイト!!
彼のそばに座り込む。
彼女のマントが彼の血で染まった。
「娘っこ。待ってたぜ。」
デルフが彼女に声をかけた。
「相棒はぎりぎり生きてる。おまえさんの水のルビーでなんとか治せるかもしれねぇ」
「どうすればいいの」
「相棒を助けたいだろ?」
こくりとルイズは頷く。
「相棒にまだ伝えてないよな」
こくり。
「願うんだ。絶対助けると願うんだよ。娘っこ」

ルイズは血にまみれたサイトの左手を取って、両手で包み込んだ。
サイト。
ルイズはゆっくりと瞳を閉じた。
サイト。
ポウッ――水のルビーが青く輝きを放ち始める。
わたしの大切な人。
指輪の青い輝きは優しく二人を包み込んでいく。
わたしの一番――好きな人。
青い輝きがサイトの傷を徐々に塞いでいく。
お願い。生きて。
ルイズの目尻から一筋の涙が流れる。
ずっと。そばにいて。
ル・・・イ・・・ズ・・・?
うわ言のような声が彼の口から零れた。
サイト・・・
ルイズはそっと彼の頭を抱きかかえ、自分の膝の上に乗せた。
愛おしく、彼女は彼の黒髪をなでる。
サイト・・・
彼女の唇に微笑みが宿る。
サイトも安心したように口元を緩めた。
ルイズは、彼の唇にそっと自分の唇を合わせた。

青い光が消えた。
ルイズの指輪からはルビーが消え、台座だけが残された。

77 名前:サイトが魔法を使えたら【ガリア編】(3/6):2007/12/21(金) 00:23:20 ID:9uE7riHN
サイトは自分の足で血の海から立ち上がった。
そばにはルイズがいる。
ルイズが俺を助けてくれた。

冷ややかな視線が二人を突き刺す。
その視線を送る人物を睨み返した。

「しぶといな。生き返るとは」
ジョゼフが杖を振った。

二人の立っていた床が瞬く間に真っ暗闇に変わった。
その暗闇に吸い込まれる。

サイトはルイズを抱き上げ、浮遊のスペル(レビテーション)を唱える。
横抱きに抱えられたルイズはサイトの顔を見て――驚いた。
彼の額にルーンが浮かび上がっていたのであった。

「サイト・・・額にルーンが・・・」
「ああ。やっぱりそうか」
「やっぱり?」
「ミョズが夢に出てきたんだ。あいつも俺に力を貸してくれるのか・・・」
フライ。
彼は短くつぶやいて、床に倒れる人形たちに触れて言った。
「我が分身たち。我が命に従い、彼の者を攻めよ」
人形たちが一斉に動き出す。

「何っ?!」
ジョゼフの顔が一瞬歪んだ。
しかし、彼の杖の一振りにより人形たちは底なしの闇に食われてしまう。

「伝説を2つも身体に宿すとはな・・・楽しめそうだ」
ジョゼフは下品な舌なめずりをした。

「てめえ。絶対ゆるさねえ」
”エア・ニードル”
デルフの刀身に風の渦が纏わりつき、風の刃となした。
一瞬で数メイルまで風の刃は伸び、王の右の二の腕とわき腹を抉り取った。

う、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ〜〜
激痛のあまりジョゼフは血を撒き散らしながら、床をのた打ち回る。
ききさまぁっ!!!
血走った目でサイトを睨みつける。
ゆるさん。ゆるさんぞ。ころす。コロス。コロス!!!
叫びながら、杖を振り回す。
床が蛇のように伸び、槍のような形に変形した。幾多の土の槍がサイトに襲いかかる。

”エクスプロージョン”
眩い光が土の槍を粉々に打ち砕いた。

る・イ・ず。きさま・・・おマえたチはユるサナイ・・・オおオオオおおオオおお!!!
”ライトニングクラウド”
ジョゼフの頭上に雷が落ちた。
ブチッ。
何かが千切れる音とともにジョゼフが床に倒れこんだ。
「あひ、あひゃ。ひょ・・・」
意味不明な言葉を床に倒れてもつぶやき続けていた。

サイトとルイズは香炉とオルゴールを持って部屋から出て行った。

78 名前:サイトが魔法を使えたら【ガリア編】(4/6):2007/12/21(金) 00:24:07 ID:9uE7riHN
タバサはビターシャルに突進した。
そのとき。
ズン。部屋全体が揺れた。
ビターシャルは彼女の突進を紙一重に避ける。
「黒髪の少年の命が消えた。彼は死んだ。あなたには戦う意味がなくなった。」
一瞬タバサの顔が青くなる。しかし眼光鋭く言い放つ。
「うそ。かれはかならず生きている。あの人がいるかぎり。死なない」
「愚かな・・・」

ズン。部屋が再び揺れた。
ビターシャルの目が見開かれた。
「馬鹿な・・・ありえぬ・・・少年の鼓動が戻っただと・・・」
タバサはわずかに笑みを浮かべた。
彼女は杖を振る。周りの空気がどんどん冷やされていく。
冷気の渦は一本の大きな氷の槍と化した。
”シャベリン”
槍がビターシャルに向け飛び出した。

ズン。部屋がもう一度揺れた。

彼の表情が歪んだ。
「陛下・・・」
わき腹から血を滴らせ、彼は言葉をつないだ。
「陛下が危ない。失礼する」
「・・・させない」
タバサがスペルを唱えようとしたその時、
壁の穴から二人が飛び込んできた。

「タバサ!!」
私の勇者の声がする。
タバサはちょっと心強く思えた。

ビターシャルは、剣を構えるサイトに向かって言った。
「イーヴァルディの勇者よ。わたしは陛下を助けに行きたいのだ。おまえとはいずれまた交えることになるだろう」
彼は手を広げ、攻撃する意志のないことを伝えた。
「わたしもすでに戦える状態ではない。あのような王でもわたしは護らねばならないのだ」
「ここは剣を収めていただきたい」
跪いてビターシャルは願いを請うのだった。

「サイト。行かせてあげなよ」
背後から声がした。
「キュルケ・・・」
振り返ったルイズがつぶやいた。
「あのままだったらガリア王は死んでしまうわ。あなた人を殺すの嫌でしょ。
ジャンにも言われたんじゃなくって。殺すことに慣れてはならないって・・・」
キュルケがサイトの背中に言葉をぶつける。

「わかったよ・・・」
サイトはそうつぶやくと剣を下ろすのだった。

79 名前:サイトが魔法を使えたら【ガリア編】(5/6):2007/12/21(金) 00:25:03 ID:9uE7riHN
サイトたちが城から出るとギーシュたちが待っていた。
彼らのまわりには近衛兵たちがうずくまっていた。

「うまくいったようだね」
髪をかき上げながらギーシュは言った。
「ちょっと死にかけたけどな・・・」
頭をかきながらサイトが話す。
「にしては元気そうじゃない」
モンモランシーが少しつまらなそうにつぶやいた。
きゅ。サイトのパーカのそでをルイズが引っ張った。
サイトはルイズを見ると少し膨れっ面で口を尖らしている。
「どした」
「・・・わたしのおかげでしょ」
「そだな」
ぽんぽんとルイズの頭を軽くなでた。
彼女の頬が薄く朱に染まり、なぜか彼から視線をはずした。
「・・・死んだら、許さないんだから」
「はいはい」
「ほんっとに許さないんだからねっ」
「へーへー」
「怒った。もーわたし怒ったんだもん。せっかく心配したのに・・・」
「ご、ごめん。ごめんよ、ルイズ」
「知らない。あんたなんか知らないんだもん。あっちいってよ」
「そ、そんなことゆーなよ。な。ルイズ。ごめん。ほらこんなに謝ってんじゃん」
「ふんっ。」
「ルイズぅ〜」

「またはじまったよ。痴話げんか」
レイナールがあきれた様に肩をすくめる。
「二人を見てると飽きないわ」
キュルケがにんまりと笑う。
「相思相愛なはずなのに・・・」
モンモランシーがギーシュのほうをちらりと見てつぶやく。

”サイト。いや、ガンダールヴ。聞こえるかい?”
サイトは耳を疑った。ここにはいないやつの声が聞こえたのだ。
”空耳ではないよ。ガンダールヴ。”
ジュリオ。
”久しぶりだね・・・今度ゆっくり君たちと話がしたいんだ。”
君たち?
”そう君の愛しのご主人さまとそのお友だちを我がロマリアにご招待するよ”
なんで?
”ふふっ。我が主が逢いたがっているからさ・・・”
教皇が?
”そうだよ。”
なんで姿が見えないのに声が聞こえる?
”それば僕が神の右手になる男だからさ・・・”
神の右手?
”ヴィンダールヴ。覚えておくといいよ。兄弟”
そういうとジュリオの声はぷつりと聞こえなくなった。

80 名前:サイトが魔法を使えたら【ガリア編】(6/6):2007/12/21(金) 00:26:31 ID:9uE7riHN
サイトたちが無事トリスティンに帰還。
その足で女王に謁見した。

サイトは子爵の爵位を賜り、タバサはオンディーヌの副隊長補佐に任じられたのだった。
無断でガリアへ潜入したルイズたちは厳しい罰を覚悟していたが、オンディーヌ副隊長に免じて
お咎めなしとなった。

しかし、謁見の終わりごろにサイトが倒れてしまう。

「サイト。サイトってば」
不安そうな面持ちでベットに寝るサイトを見つめるルイズ。
そのそばにはタバサもいた。
「おちびさんも一緒に来な」
デルフに呼びつけてられていたのだった。

しばらくして彼が目を覚ました。
「ルイズ・・・タバサもいるのか」
サイトは身を起こす。
「俺どーしたんだろ。急にくらっと来た」
「相棒。おめーの身体が悲鳴をあげてんのさ」
デルフが話し出した。
「なんで」
「相棒が伝説を二つもくっつけてるからさ」
「伝説?」
「左手のルーンと額のルーンよ。だーりん」
グングニールが横槍を入れる。
「額・・・そか」
「なんとかして、そいつを誰かに移さないといけねぇ」
「そのままだどだめなの」
ルイズが不安そうに尋ねた。
「そうね。ダーリンの命が危なくなるわ」
グングニールが答えた。
その答えにルイズが青ざめる。
「ど、どうすればいいのよ」
「移す相手に接触すればいいのさ」
「接触?」
いぶかしげにルイズが聞く。
「おちびさんとだーりんがキスすればいいってこと」
グングニールが茶化すように言った。
「き、ききすですって?!」
今度はルイズの顔が真っ赤になった。
「相棒の命と比べりゃ軽いもんだろ?」
「そーよ。そーよ。たいしたことないじゃない。あんたたちはそんなんじゃ別れないでしょ」


81 名前:サイトが魔法を使えたら【ガリア編】(7/7):2007/12/21(金) 00:27:06 ID:9uE7riHN

一瞬だけだからね。そう言うとルイズは背を向けた。
タバサはベットに座り、サイトと視線を絡ませた。
カチャ。タバサは眼鏡をはずして、サイトに顔を寄せる。
薄く頬を桃色に染め、碧眼の瞳を閉じた。
二人の唇が重なり合ったとき、サイトの額のルーンが輝いた。

痛いっ。
タバサは両手で額を押さえてベットに顔を埋めた。
「大丈夫だ。ルーンが刻まれてるだけだから・・・」
サイトはタバサの背中をなでた。
「夢とおなじ痛み・・・」
タバサは小声でつぶやいた。

タバサがようやく落ち着きを取り戻した。
サイトは二人に切り出した。
「ジュリオにロマリアに来いって言われたんだけど・・・」
「ロマリア?こっそりいけるところじゃないわよ」
「女王陛下は今度ロマリアに行く予定あると聞いた」
「え?」
「そういえば、謁見のとき、そんな話してたわね」
「うそ。何もおぼえてねーよ」
「あんた、ボーっとしすぎ」
「ひどっ」
「一緒に行く?」
ルイズはタバサに聞いてみた。
「行く」
タバサはいつのまにかベットに座りサイトにしなだれかかっている。
「きーっナンなのよ。タバサっ。油断も隙もあったもんじゃないわっ」
ルイズの蹴りがサイトの顔面に命中し彼は再び深い眠りにつくのだった。

ロマリア編につづく。

82 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/21(金) 00:31:12 ID:9uE7riHN
以上です。
またカウンタ虚無った。すんません。orz
いよいよ今週末。クリスマスSS投下の時期が迫ってきました!!!

参加表明してくれた職人さま
29Q氏
ボルボX氏
◆CSTs7hoBww氏
かくてる氏

抜けてるかた居れば教えてください。

83 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:34:32 ID:QS62lFMs
>>82リアルタイムでGJ!
最初よりも話の濃度が薄くなりつつあるように思えるのは戦闘シーンだからかね。
臨場感を持たせるべきシーンは自然と速く読んでしまう性分なんですわ。俺だけか?

次回待ってます!

84 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/21(金) 00:35:24 ID:SbdFBZYA
もうすでに投下済みの外道ならここに(ぁ

そんなわけで投票で勝ったアニエスさんのSS投下いきま

でも途中なの、仕事で忙しくて時間が取れんorz

85 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/21(金) 00:36:42 ID:SbdFBZYA
見合いの紹介状を灰に還すと、アニエスは馬を飛ばし、王都へと戻った。
しかし王宮へは戻らない。
もし王宮に戻れば、女王に紹介状を燃やした事がばれてしまう。
虚偽の報告をしたところで、数日でその嘘はばれ、アニエスは罪に問われるだろう。
アニエスが向かったのは、馴染みの薬屋。
ここで、才人をあーしたりこーしたりする薬を買うのが常なのだが。
今回は、標的が違う。
相手はにっくきあの男。
ジャン・コルベール。あの男を追い落とすために、必要な薬を買いに来たのである。
奥まった所にあるガラスのケースの中身を眺める。
しかし、どれもこれも、作戦を遂行するには足りない。
そう、足りない。どれもこれも、決定打には至らない。
…どうしたものか。

「あれ?アニエス?」

信じられない声がした。

「ちょ、なんでっ!」

そこにいたのは。
後ろで小さく纏められた短めの黒髪に、トリステインでは珍しい、脚のラインのはっきり出るズボンに身を包んだ。
女王アンリエッタが平民に扮した姿…『アン』がいた。

「ていうか、へい…あなた、公む…じゃなくて、仕事はっ!?」

さすがにこの場で公務がどうのとか、陛下とか呼んでしまうのはまずいので、どもりながらアニエスは尋ねる。

「…ちょっと、抜け出してきちゃった」

アンはてへ、と舌を出して笑う。

「なぁにやってんですかぁぁぁぁっ!」

大声で突っ込みを入れ、そして。
王としての自覚とかあるのかコイツわー!
とか心の中で盛大に突っ込みを入れるアニエス。

「大丈夫ですよ、今スキルニルが一生懸命書類にサインしてますから」

そう言う問題じゃなーーーーい!
一体、どれだけの重要書類が、本人ではなくスキルニルのサインで済ませられているのか。そう思うとぞっとする。
しかしアンはそんなアニエスには一切取り合わず。
胸元に抱いた小さな紙袋から、小さな木箱を出して見せた。

「そんなことより、いいものを手に入れたんですよ♪」

その木箱は綺麗な青と赤に塗り分けられていた。

「…なんですか?それ」

五分の四呆れながら、とりあえずアニエスは尋ねる。

86 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/21(金) 00:37:07 ID:SbdFBZYA
アンはうふふ、と意味ありげな笑みを浮かべ、そしてアニエスに耳打ちする。

「これはね。確実に世継ぎを授かるく・す・り♪」
「え」

一瞬動きを止めたアニエスに、アンは自慢げに続ける。

「コレを呑むとね、即座に身体が『オンナ』になるんです。
 で、そこで殿方としちゃえば…やだ、私ったら何考えてるのかしらー!」

真っ赤になって頭をぶんぶん振りながら、イケナイ妄想に浸るアン。
そのアンから、アニエスは木箱を即座に奪い取る。

「ちょっと、返してアニエス!」
「…これは没収です。これ使ってアナタ、何するつもりなんですか」
「決まっています。あの方のやや子を…やだもうっ、これ以上言わせないでよっ!」

照れながらアニエスの肩をばしん!と叩くアン。
止まれ。いいから止まれ色ボケ女王。
そう心の中だけで突っ込みながら、アニエスは木箱を懐へしまい込む。

「ダメです。今そんなことをしたら、どれだけ混乱が起きると思うんですか。
 これは、時機が来るまで私が預かります」
「えー。それ高かったのにぃー」
「関係ありません。さ、早く仕事に戻ってください」

アニエスはアンを薬屋の外へ連れ出し、王宮を指差して指示する。
早くこの女王を王宮に戻さないと。
そして。
この千載一遇のチャンスを、モノにしないと。
アニエスの思いが天に通じたのか、アンは渋々といった体でアニエスの言葉に従う。

「わかりました…。今回は引く事にします。でも、ちゃんと機会が来たら返してねっ!?アニエスっ?」

王宮への道を歩き始めたと思ったら、急に振り返ってそんなことをのたまうアン。
いやいーから。さっさとカエレ。

「はいはい。分かりましたから仕事に戻ってください」

アニエスが呆れたようにそう言うと、アンはもう振り返らなかった。
…やった。まさか、こんないいものが手に入るとは…!
アニエスは手の中の木箱を見つめて心の中でほくそ笑む。
彼女の中では、着々と炎蛇を篭絡する作戦が組みあがりつつあった。

そして王宮の執務室。
『アン』に化けたスキルニルが、元の人形に戻った事を、アンリエッタは右手の中指に嵌めた『遠見の指輪』によって知る。

「さて。薬は無事彼女の手に渡ったみたいね。
 ここからは、彼女次第。お手並み拝見といきましょうか」

謀を終えた女王は、書類の山の中でそんな事をひとりごちるのだった。

87 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/21(金) 00:38:46 ID:SbdFBZYA
…うん、どんどんアン様のスキルニル使用スキルが上昇中。
そのうちスキルニル使わせたらシェフィールドより上手くなったりしてね。

続きはまた明日以降に…できれば明日には完成させたい…

ではねますノシ

88 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:40:04 ID:wVUdppNG
>>87
一番槍でGJします

アン様黒い! w
だがそれが(ry

89 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:40:41 ID:Xgq8NVKJ
>>87GJ.
新刊に合わせてでもあるまいが、なにこの投下ラッシュwww

90 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:45:46 ID:QS62lFMs
>>87
う、うそぉ…逆かよ!確かにアンの口調が砕けすぎてた感はあったけど…騙されたぜ。
続きに期待〜GJ!


91 名前:29Q:2007/12/21(金) 00:46:28 ID:TwcAYAb8
本当はクリスマスに投下したかったけど予定が入ったから無理になったから暇のある今投下。
別に幸せなクリスマスじゃなくバイトというなんて事はないクリスマス。
バイトが無かったら一人で泣いてた。
それでは投下。

92 名前:魔法学院のクリスマス:2007/12/21(金) 00:47:21 ID:TwcAYAb8
 雲ひとつ無い晴天。おそらく、しばらく続くと思われる良好の天気。少々肌寒いが、耐えられないことはない。
 なんとなくノートパソコンを開いたのは、運命だったのだと思う。
 まだバッテリーがあるんだなと感動すると同時に、向かわせた視線の先には、見慣れた日付。
 ああ、こんな季節なんだなと思うと、サイトは無性に悲しくなった。
 元の世界では、今頃バのつくカップルたちが、街に繰り出して聖なる夜を楽しんでいるのだろう。そして、その後は性なる夜に早変わりである。
 ああ、にっくきクリスマス。
 見慣れた日付は十二月二十五日。クリスマスと呼ばれる、モテナイ男たちが最も呪う日の一つであった。
 だが、ここハルケギニアではそんなことは関係ない。今日が何らかの祝日ということはないし、いたって普通の虚無の曜日だ。休日であることを抜かせば、まったくいつもと変わらない。
 だが、サイトは憂鬱であった。ここは異世界である。だが、サイトは日本人のモテナイ男の子である。クリスマスとなると、どうしても憂鬱になって仕方が無い。
 はぁ、とため息をつくサイトを心配そうに見つめている少女が一人。
 サイト付きのメイド、シエスタである。
 サイトが開いたノートパソコンがとても珍しくて、サイトがいじる様子を隣で見ていたのだが、急にサイトの様子が変わってしまった。
 憂鬱そうにため息をつき『全てのカップルに死を』という呪いの言葉を呟き続けている。
 見かねたシエスタは、何とかしなければと口を開く。
「あの……ちょっと散歩でもどうですか?」
 気分転換にでもなればと誘ってみる。すると、その誘いは予想以上に効果があったようで、サイトは二つ返事で了承してくれた。
 
 学院の周囲をのんびりと歩く。
 学院を出たのは夕方の少し前。少し歩くと、空はすっかり茜色に染まっていた。
 二人の話題は尽きない。サイトのルイズに対する愚痴。シエスタのメイドたちでのサイトの評判。そして、今日は地球でなんという日か。
「クリスマス、ですか?」
「うん。俺のいた世界じゃ、今日はめでたい日でさ」
 興味津々といった表情のシエスタが可愛くて面白くて、サイトは嬉しそうに説明を始める。自分に好意を寄せてくれている少女の喜ぶ顔を見るのは、何処か嬉しい。
「キリストっていう人の誕生日、ですか。そろそろ降臨祭ですから、ピッタリですね」
 降臨祭、そういえばそんなのもあったなぁとサイトはボンヤリと思う。確か、降臨祭は日本の元旦みたいなものだったはず。こっちの世界でも、そろそろ年が過ぎようとしてるんだな、とのんびり思う。
「それで、そのクリスマスでは、どんな風に過ごすんですか?」
「ん〜、俺は別に普通どおりだったよ。まあ、他の人たちはパーティしたり、恋人たちで過ごしたり、それぞれで楽しんでたかな」
 ちなみに、サイトの言う普通とは、部屋に引きこもって、何処かの掲示板に呪いの文句を書き綴るような過ごし方だったりする。モテナイ根暗なオタクの過ごし方としては、普通である。一般人からすればそれが激しくかけ離れていることは、言うまでもない。
「パーティですか……じゃあ、みんなで騒ぎますか?」
「え?」
 シエスタの言葉に、思わずサイトは聞き返す。
「ですから、パーティです。きっと楽しいですよ」
 シエスタの眩しい笑顔を見せられては、サイトは拒否することが出来なかった。
 クリスマスパーティ。地球で、友人たちと騒いだ記憶が思い出される。
 パイ投げならぬケーキ投げをやって、友人の親に叱られたのも、いい思い出だ。それ以降、その友人の家でクリスマスパーティは出来なくなったけど。
 そんな懐かしい思い出に浸っていると、どうにも寂しさがこみ上げてくる。望郷の念が湧いてくる。ああ、駄目だ。こみ上げてきて止まらない。
 そんな望郷の念を吹き飛ばすように、サイトは高らかに宣言した。
「よし、やろう!」

93 名前:魔法学院のクリスマス:2007/12/21(金) 00:48:31 ID:TwcAYAb8
 パーティをするには、準備が必要である。
 誕生パーティにはケーキが付き物だし、バレンタインにはチョコが必要だ。当然、クリスマスにはもみの木が必要不可欠なのだが、あいにくここハルケギニアにはそんな木はないらしい。
 仕方が無いので、学院の近くの森から、もみの木と形が似ている木を伐採して、クリスマスツリーとした。装飾はギーシュに任せる。時間がないのであまり期待はしていない。
 シエスタはパーティの食事の準備である。ついでにということで、ティファニアも食事の準備を手伝っている。
 それ以外はテーブルのセッティングなど、パーティ会場の準備をしている。天気は良好。雨も振らないだろうということで、外でやることに決めた。
 力仕事はサイトやマリコルヌたち。テーブルの配置などや、どこに誰が座るかということをルイズやモンモランシーたちが決めていく。
「テーブルこっちで良いのか? ルイズ」
「違うわよ。もうちょっと奥……そう、そこ」
 マリコルヌと二人で、最後のテーブルを運ぶ。テーブルの数は少ない。サイトとルイズ、シエスタやキュルケ、タバサにギーシュ他数人で行う、小さなパーティの予定だからだ。
 急な決定でのパーティなので、大規模なものは出来ない。このくらいでちょうどいいのだろう。
 そう、ちょうどよかったはずなのである。


94 名前:魔法学院のクリスマス:2007/12/21(金) 00:49:03 ID:TwcAYAb8

「で、なんでこうなってるの?」
「知らないわよ」
 アルヴィーズの食堂。そこにはサイトがデルフリンガーで伐採してきたクリスマスツリーらしきものと、それの数倍大きいであろう同じ種類の木があった。
 もう片方のツリーにも装飾が施してあり、それはそれは見事なクリスマスツリーへと変貌している。
 何故、見事なまでに装飾が施されているのだろうか。ツリーの上に星がついている部分など、完璧である。
 食堂のテーブルの上には普段の食事からは考えられないような豪華な料理が多数並んでおり、見るだけで食欲を刺激する。シルフィードがいたら、周りの目を気にせずに頬張りそうだ。
「どうじゃ? おどろいたかの?」
 満面の笑みを浮かべ、サイトとルイズに話しかけてくるオールド・オスマン。
「君たちがパーティを企画していると聞いてな。どうせじゃから派手にやったほうがいいじゃろ? 存分に楽しむといい」
 どうやら学院中で噂になっていたらしい。ついでなので、学院全体でパーティをしようと決めたのだろう。それならば仕方が無い
 オールド・オスマンが立ち去った後、サイトとルイズは談笑をしていた。話すのは主にサイト。内容は、クリスマスの過ごし方や、基本的な知識など。
 クリスマスにはそれほど詳しくないので話せることは少ないが、それでも十分なようだ。異世界の祭りというのは、ルイズにとっては興味深いらしい。サイトも、ルイズにハルケギニアのことをよく質問するので、その気持ちはよくわかる。
 サイトはもちろんだが、ルイズも好奇心は強いようだ。
 ケーキにパイに、スープにサラダ。その他もろもろの大量の料理を前に、二人の食も進む。食も進めば話も進む。話題は尽きることが無く、二人は二人だけの世界を構築する。
 それを眺めている青い髪の少女が一人。黙々と強い苦味が特徴のサラダを食べながら、チラチラと二人を観察する。
 そして、その光景を見てなにやら思案している赤い髪の少女が一人。親友の恋を成就させるためにはどうすればいいか、今も考え続けている。
 色々な思惑はあるが、パーティは滞りなく進む。食も楽しく話も楽し。思惑もまた楽しいものである。
 タバサがくいくいとサイトのすそを引っ張ってアピールすると、ルイズがサイトの腕を取って移動しようと急かす。
 タバサがルイズを睨むと、ルイズは杖を取り出し始める。
 サイトが止めると、二人はしぶしぶ怒りを収める。
 一部の空気が非常に冷たいが、パーティは滞りなく進んでいる。
 ざわざわと生徒や教師の話し声でうるさい食堂に鳴り響く楽師による演奏。それに伴って壇上に出てくるのは、偉大なる学院長であるオールド・オスマン。全身を真っ赤な服と真っ赤な帽子で覆っており、その姿はなんとも滑稽だ。
 真っ赤な服。見覚えのある服。ああ、そうか。サイトは納得した。
 異世界の恩人の話は、以前にも聞いた。だが……異世界の友人がいないとは話していない。
 余りにも似合いすぎているオールド・オスマンの格好。それを誰が置いていったのかは、地球人であるサイトにはすぐにわかった。
 それは、御伽噺の存在としか思われていない老人。御伽噺の存在は、御伽噺のこの世界で、存在していたらしい。どうなったのかは、おそらくオールド・オスマンも知らないだろう。
 オールド・オスマンの長い挨拶も終わった。そして、オールド・オスマンは壇上の上からサイトに笑いかけた。サイトが察したことに、気づいたようだ。
 ならば、最後の一言は決まっている。しばらく言っていなかった、あの挨拶。
「メリークリスマス」
 オールド・オスマンと一緒に、サイトも呟く。
 さあ、パーティは始まったばかり。まだまだ楽しもう。
 聖なる夜は、まだ終わらない。

95 名前:29Q:2007/12/21(金) 00:50:29 ID:TwcAYAb8
本文が長すぎますとか叱られたせいで中途半端な長さのレスが一。
寝る。

96 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:53:24 ID:+N2AFQG3
>>95

まぁ、なんだ・・・そのGJ


97 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 01:07:35 ID:9uE7riHN
>>83
新刊に合わせてあせった感もあったかも。
キュルケやマリコルヌたちももう少し動かしてやりたかった。
まだまだ力不足です。プロット練りこまないといけませんね。
精進するです。

>>84
せんたいさんGJ!
スキルニルとは参りました。
クリスマスSSの疾風のごとき先陣はビックリしましたよ。

ところで、身体がオンナになる薬はどこで売(ry

>>91
29Q氏 おおっ。クリスマスSS!!GJです。
氏に幸あれ。
まだ終わらないってことは・・・続きを期待してていい?

ではそろそろ寝ますノシ

98 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 02:54:36 ID:7A49HdIM
>>73
>>82
>>87
>>95
皆さまとーってもGJ!
今日は沢山読めて感激です!

>>74
文庫でしか知らないので、私もまだ読んでないですよ
あと、皆さまにわざわざお断り入れなくてもご理解頂けてると思いますが、
「待ちきれなくて…」の中での
『私たち・売る・買う』というのはゼロ魔13巻の事ですので…






99 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 19:47:01 ID:RVPr3H1l
最新刊読んだが・・・ルイズ、タバサの株価が急激に上昇しやがった!
そして下落中のアン様orz もはやエアーなシエスタ

しかしなんだろ・・・この鬱気分は・・・・

100 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:01:53 ID:jtKYT/ay
>>99
フラゲ?っかそんな鬱なのか………ゼロ魔はどんな時でもバカっぽいけどほほえましい雰囲気が好きだからなんかなぁ

101 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:21:05 ID:KDkIFxCg
政治的なせいかな・・・
正直 最新刊微妙だった





・・・・・アンは完全にロイヤルビッチになってたし

102 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:25:53 ID:wgmSB9Q8
>>99
はしゃぐ自分を抑えられないんだな・・・。バレスレいきなよ

103 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:33:56 ID:yIm4Hk+Z
たまにいるよな
わざわざ新刊のネタバレ話をエロパロスレでフライングでしたい人
専用スレとか何のための存在と思ってるんだろ

104 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:41:49 ID:wVUdppNG
え?もう発売してるんじゃないの??

エロパロスレでも新刊のネタが今夜にもくるもんだと思ってたから
あした車中で読むように買ったのに、このスレ対応のために開くかどうか悩んでるところなんだが

105 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:56:58 ID:4yTJlIgD
ネタバレとかは、本スレに従うなら公式発売日(13巻は25日)の次の日の24:00〜
新作のネタバレ含むSSも同じ。

で良かったんだっけ?

>>せんたいさん
GJです。姫様自重ww

106 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:58:02 ID:Vhbx8Fip
>>104
わざとらしいな

107 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 21:04:27 ID:f5TmkxTf
隠してるからネタバレじゃないもんね!って空気を含みながらネタバレしてるのが余計うざさを増してるな

108 名前:104:2007/12/21(金) 21:09:12 ID:wVUdppNG
>>105
了解です。明日から出かけるので、もちろんSSは回収していくのですが
3連休→帰ってくるまではキレイな身体のままでよいということですね www

109 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 21:19:08 ID:MNMTnXIK
>>105
それはゼロの使い魔にはあてはまらないはず。
正しくは25日の24時、つまり26日の0時が解禁日。

110 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 22:24:00 ID:Xgq8NVKJ
>>101
アン様はロイヤルビッチて、言っとくが教皇の才能と虚無に傾倒はしたが、惚れたような描写はないぞ。
・・・・・・正直、ノボルはアン様を突き放して書いたなと思うが。

111 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 22:31:38 ID:nR8GizKI
そんな返しレスいらんから

112 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 22:36:27 ID:4yTJlIgD
>>109
訂正Thanks
一応本スレのテンプレの文言から引用したんだが、テンプレ自体間違ってたみたいで。
思い返せば確かに前巻の時に発売日の24時だったような……orz

113 名前:101:2007/12/21(金) 22:45:21 ID:KDkIFxCg
すいませんでした。
もうokと勘違いしてました
 

114 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 22:57:23 ID:lSpiDSX4
もういいから(・∀・)カエレ!

115 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 23:08:16 ID:7dRyBRT/
つまりアンスキー派はこれからボルボ氏二期待するしかないということだな?wwww

116 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 23:50:03 ID:QS62lFMs
俺も今日たまたま本屋行ったら新刊置いてあったわ。
はえーよwwいつから置いてあったんだろう?

内容は絶対言わないから立った今読み終えた感想だけ言わせてくれ

(´;ω;`)ブワッ

117 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:15:41 ID:DmF/tuuj
その涙は・・・
サイトが逸物を夾まれたと見た!

118 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:25:16 ID:RO8uyLzQ
<<ふっ、ははははは!挟まっちまった!笑えるじゃねぇか!まったく俺らしいなぁ>>

119 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:16:13 ID:Xj8LSX0H
やっと終わったー
>>85の続きにょろ

120 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:17:01 ID:Xj8LSX0H
コルベールは状況が把握できないでいた。
学院で来訪者にいきなり呼び出されたと思ったら、手持ち式の短銃を突きつけられた。

「いいから黙って来い」

半眼で恫喝するアニエスに、コルベールは手を上げて抵抗の意思がないことを示す。
何の用なんなんだろう、と疑問に思ったが、アニエスのただならぬ雰囲気に黙って従った。
そして、正門前に用意されていた軍用のごつい馬車に乗せられる。御者はアニエス本人。
がたごとと馬車に揺られて、二時間も経っただろうか。
停まった場所は、街道沿いの大きな街。その、かなり豪華な食堂の前。貴族の立ち寄る店なのだろう。入り口には門衛が立ち、侵入者を拒んでいる。
アニエスはコルベールを伴い、予約した者だが、と自分の名を告げる。
しかし門衛は、槍を交差させたまま微動だにしない。そして、鎧姿のアニエスとみすぼらしいローブのコルベールの格好を一瞥して一言。

「当店は盛装のお客様のみのご利用となっております。盛装にてお越しくださいませ、シュヴァリエ」

アニエスははっとして、しまった、と呟く。この店のルールをすっかり忘れていた。
アニエスは呆気に取られるコルベールを引っ張り、近所にある仕立て屋まで引きずっていく。
そして、店のドアを開けると、対応に出てきた店員にコルベールを放り投げる。

「このハゲ頭に似合う一張羅を今すぐ仕立ててくれ。代金は私が払う」

言って自分も、鎧を外し、軽装になる。

「ついでに私のドレスも頼む。急ぎでな」

そして、息をつく間もなく。
あれよあれよと言う間にコルベールは、上等な絹糸で織られたタキシードに身を包んでいた。
…今度顔を合わせたら、次こそこの騒動の意味を問うてみよう。
流されて流されてここまで来てしまったが、そもそもの原因はアニエスにある。
そして、コルベールが決意を新たにしていると、女性用の仕立て部屋のドアが開いた。

「ちょっと、いきなりどうしてこんな…ことを…」

言おうとした言葉が喉の奥で絡みつき、留まる。
目の前に、信じられないほど美しい貴婦人がいた。
薄い蒼の生地に、銀の薔薇の刺繍が美しく彩られたドレス。
その薔薇に寄り添う蝶をイメージして、大きめの白いリボンが腰の右側でふわふわと舞う。
少し恥ずかしそうに桃色に染まった頬の、短い金髪を後ろでシニヨンに纏めた貴婦人が、目を点にしているコルベールを睨んだ。

「…何を呆れた顔をしている」

アニエスには見とれるコルベールの顔がそう映ったのだろう。不機嫌そうに眉根を寄せる。
その不機嫌そうな表情すら、可憐に取れてしまう。

「いや…あのですね…」

口ごもるコルベールの腕を、さっきと変わらない力強さで、アニエスはがっしりと掴む。

「早く来い。女に恥をかかせるな」

言ってアニエスは、照れるコルベールを引きずって、先ほどの店へ引き返したのだった。

121 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:17:25 ID:Xj8LSX0H
「いいか。これは単なる礼だからな。
 二度も命を助けられて、何の礼もしなくては、まるで私が希代の恩知らずのようではないか。
 それに、いい機会だから言っておく。私は故郷の復讐を忘れたわけではないからな」

言いながら、赤い頬で目の前の料理を切り分けるアニエス。
まるで照れ隠しにまくしたてているようだ。
コルベールはとりあえず、これはそういうことなんだと納得しておくことにしたが。
とりあえず言っておく事にする。

「でも、いきなりこんな事しなくても、事前に言ってくれれば」
「それでは遅いのだっ!」

コルベールの反論に、アニエスがだん!とテーブルを叩く。
個室になっているおかげで他の客に迷惑はかからない。だが、物音を聞きつけた店員が『どうかしましたか?』と扉の向こうから声をかけてくる。

「い、いや、なんでもない!」

アニエスはそう言って店員を下がらせる。
コルベールは先ほどのアニエスの言葉に疑問を抱いた。

「…どうしてそんなに急がなくてはいけないのです?」

それは、言うわけにはいかなかった。
まさか、王家からコルベールに紹介された見合いを破談にするため、などとは。
それに、目的はそれだけではない。

「…お前が役立たずになる前にどうにかしようと思ってな」
「はい?どういう意味…」

言いながら、コルベールの視点が定まらなくなってくる。
…こ、これは…何かの…。
それがワインに解かされた薬がもたらした効果だと気付いた時には、コルベールは机に突っ伏していた。

「…連れが酔って寝てしまった。部屋を用意してくれ…」

遠のく意識の中、コルベールは店員にそう告げるアニエスの声を確かに聞いた。


122 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:18:13 ID:Xj8LSX0H
コルベールが目を醒ますと、とんでもない事になっていた。
全裸で、頑丈な椅子に縛り付けられていたのだ。
それだけではない。
目の前でとんでもない光景が展開していた。
足元で、短い金髪が上下に揺れている。
具体的に言うと。
アニエスがおフェラの真っ最中だった。
ちゅぱちゅぱと濡れた音を立てながら、アニエスは一心不乱にコルベールの一物を舐めている。
コルベールが目を醒ましたのも、この音と刺激が原因だった。

「ちょ、ちょっと何してるんですかっ!」

コルベールが声を上げたので、アニエスは口に咥えていたモノから口を離し、コルベールを見上げる。
粘ついた唾液とコルベールの先走りの混合物がアニエスの唇から垂れ、アニエスの胸の谷間に糸となって垂れる。
そう、アニエスも全裸だった。

「見てのとおりだ。女性に奉仕されたことはないのか?」

見上げながら、さも当然の行為ようにアニエスは呟く。

「そういう意味じゃなくてですねぇっ、何でこんなことしてるかって聞いてるんですっ!」

慌てるコルベールに、アニエスはあくまで冷静に言い放つ。

「もちろん、刺激して勃起させるためだ。フニャフニャでは役に立たんからな」
「いやだから!なんで私を勃起させる必要が」

そこまで言ったコルベールの唇を、アニエスは乱暴に奪った。
驚いて固まるコルベールの唇を、アニエスは愛おしそうに舌で愛撫する。
しばらくそうすると、満足したのか、唇を離す。
そして言った。

「言っただろう…女に恥をかかせるな、と」

言ってコルベールの太股の上に自分の太股を乗せ、ペタン、と座り込む。
綺麗な桃色に充血し、その先端を尖らせて興奮を示す乳首と、それを押し上げ支える小ぶりだが形のよい白い乳房がふるふると震えているのが目に入る。
金色の草原が縁取るその性器は、淫らな蜜によって、ぬらぬらと淫靡な光沢を放って、牡の視線を釘付けにする。
コルベールの喉がごくり、と鳴る。

「命を二度も救われた。
 …これは、私なりのその礼のつもりだ」

言って、そのまま真っ直ぐに勃ったコルベールをまたぐ。

123 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:19:11 ID:Xj8LSX0H
反論の余地もなく、アニエスは一瞬でコルベールを飲み込む。
そして淫靡に腰をくねらせ、コルベールに至上の快感を与える。
アニエスの中は弾力に満ちて、そして幾重にも折りたたまれた襞が、コルベールの神経の中枢をまるで肉の鑢で削るように蠢く。

「くぁっ…こ、これはぁっ…!」

コルベールはただ送り込まれてくるその快感に堪えるしかない。
アニエスは遠慮なく腰を進め、膣の最奥でコルベールの先端をくわえ込む。

「はぁ…あたってる…」

そこでさらに捻りを加え、相手だけでなく自分にも快楽を刷り込む。
ぎゅうぎゅうと締め付け、吸い上げ、絡みつくアニエスの名器と腰技に、コルベールは悶絶する。

「くぅ…!なんてっ…すごっ…」

背筋を襲う心地よい悪寒に、ただ堪えるしかない。
そんなコルベールを抱き締め、アニエスは囁く。

「そして…忘れるな。
 私は、お前を恨んでいる…。一生かけて、償わせてやる…!」

そして、コルベールがその言葉の意味を問う前に、一気に腰を動かし始める。

ぐちゃ!ぐちゅ!ぶちゅぅっ!

融けた肉の摩擦音が部屋に響き、お互いの中で快楽が弾ける。

「あぁ!くる!おくまで来るッ!出せっ、全部中にだせっ!」
「くぅ、ダメだ、こんなっ、いかんっ!」

女が男を嬲るという異常な情景が、二人の快楽から歯止めを奪う。
牝の肢体が跳ね、牡を貪り、そして貪欲なまでに精を求めて締め付ける。
しかし。
先に限界を迎えたのはアニエスだった。

「あ、らめ、いきたくな、まだだめぇッ!」

自分の身体の限界を叫び、コルベールの首に抱きつき、腰に脚を絡ませて絶頂を迎えるアニエス。

きゅうぅぅぅぅぅぅぅぅーっ!

凶悪なまでにアニエスの膣が蠕動し、コルベールを締め付け、最後の、そして最高の拷問をコルベールに課す。

124 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:19:40 ID:Xj8LSX0H
「く、だめだ、もうっ!」

しかし、牡も限界だった。

どくどくどくどくどくどく…!

ギリギリまで高められた熱い衝動が溢れ出し、アニエスの膣襞の奥の奥まで染み込む。
いよいよ、アニエスの企みが、成る時が来た。

「あ、きた、いっぱいきたぁ…!」

蕩けたような笑顔で、コルベールの精を受け入れるアニエス。
その子宮口は、精液の到達を知るや、大きく開門する。
そして、まるでそこが捕食を行う器官であるかのように、吐き出された精子を呑み込む。
その奥、卵巣から続く卵管からは、薬の影響によって排出された卵子が吐き出されている最中であった。
奔流となった熱い白濁は、卵管から吐き出されたその卵を一瞬で覆い尽くす。
まるで砂糖に群がる蟻のように、無数のコルベールの種がアニエスの卵を陵辱する。
卵の周囲に張り巡らされた薄い薄い皮膜は瞬く間に一つの種によって破られる。
そして、種は卵の最奥まで貫き、融け合う。
そしてすぐに。
命を吹き込まれた卵は二つに割れ、四つに割れ、新しい命の刻を刻み始める。
アニエスの胎内に、にっくき仇の子が宿された瞬間だった。

125 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:20:22 ID:Xj8LSX0H
精液の排出が終わるまで、アニエスはコルベールを束縛し続けた。
全ての精液を搾り取ると、アニエスは満足し、コルベールを解放する。

「…どうして、こんな事をしたんですか」

開放されたコルベールは、まずそう言い放った。
軽く顔が怒っているように見えるのは、気のせいではないだろう。
しかし、この男に対していまや圧倒的なアドバンテージを獲ているアニエスに、そんな脅しは通用しない。
アニエスはにやりと嗤って言った。

「そんな事を言う前に、精液と愛液でベトベトの一物をなんとかしろ」

言われて気づいたコルベールは、慌てて手近に会った布で己を拭く。
刺激に起ちそうになる息子をなだめながら、改めてアニエスの方を向く。
そしてすぐそっぽを向く。
アニエスは、その肢体を隠す事もせず、精液と愛液の垂れる女陰を隠そうともせず、ベッドの上で脚を組み、頬杖をついて炎蛇を見つめていた。

「さて、どうして、と尋ねたな?
 これは復讐だよ」

成った復讐に、満足そうに嗤うアニエス。
しかし、そっぽを向いたままのコルベールにその表情は見えない。
むしろ見たらまずい事になる。自分の息子が。
コルベールは顔を逸らしたまま尋ねた。

「ど、どうしてこんなことが復讐になるんですかっ」
「言ったろう?一生かけて償わせてやる、と。
 実はな、私はここに来る前に、ある薬を飲んできた」

そう、それはアンリエッタから奪ったあの薬。
呑めば確実に『オンナ』になる薬。それは、強制的に排卵を促す、魔法薬。
アニエスは続ける。

「その薬を飲んで性交すれば、確実に妊娠できる。
 お前がたっぷり出してくれたおかげで、今私は確実に妊娠できた。
 …ああ、わかる、わかるぞ。私の胎内で命が芽吹いているのが」

言ってアニエスは満足そうに下腹部を愛でる。
そしてコルベールを見る。
面白いように蒼白になっていた。あの炎蛇が。

「さて、この場合、トリステインの男はどうやって責任を取るのかな?」

言ってにっこり笑う。とてもとても幸せそうに。

「…い、いや、あの」

しかしコルベールも踏ん切りがつかない。
いくらなんでも、好いていない相手と結婚するのは。

「あ、あなたはいいんですか!?好きでもない相手と結婚などと」

126 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:20:48 ID:Xj8LSX0H
しかし、その台詞は即座に否定される。

「何を言っている。私はお前を愛している」

コルベールが固まった。
アニエスはベッドから立ち上がり、そっとコルベールを抱き締める。
その抱擁はあくまで優しく、その微笑は慈愛に満ちており、とてもその言葉が嘘とは思えなかった。

「本当だぞ。二回も命を救われた、命の恩人だしな。いい男だし。…背中もけっこう広いし」

言ってつつつ、とコルベールの背中に指を這わせる。

「じゃ、じゃあなぜ復讐ができると」

そこまで言ったコルベールの耳元で。
今度は悪魔のように囁いた。

「…ふふ。カンタンな理屈だよ。
 私はお前と結婚して、幸せな家庭を築くんだ。子供もすぐに生まれるしな。
 私は一生涯かけてお前を愛し続けると、誓ってもいい。
 だから」

言ってコルベールから離れて。
下腹部に手を当て、恐ろしい計画を未来の夫に話し始めた。

「復讐は、この子に託すことにする。
 この子に教えてやる。
 お前の父親は、お母さんの故郷を焼き払い、さらに復讐を誓ったお母さんの心を手折って、お母さんを妊娠させた外道だとな。
 お前は自分の子供に一生蔑まれて生きるんだ」
「ちょ、ま、なんてことを!」

しかし、絶望するコルベールにアニエスはにっこり笑って言った。

「大丈夫だ、お前がいくら子供に蔑まれても…。
 私が代わりに、全身全霊を以って愛してやる」

そして、愛を込めて愛する男を抱き締めたのだった。

127 名前:孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:32:41 ID:Xj8LSX0H
〜十三年後、とある貴族の家にて〜

「でさあ、ホントの所、キミお父さんのこと恨んでる?」
「ううん全然。まあたしかに外道だとは思うけどさあ」
「そりゃあねえ。復讐しにきたお母さんを押し倒して乱暴して監禁して妊娠するまで犯した挙句、自分のものにしちゃったんだもんね」
「でもさ、最近それってヘンじゃね?とか思うようになってきてさ」
「なんで?それ全部お母さんが言ってたんじゃないの?」
「そうだけどさ。だってさ、それ話すお母さんがさあ…なんていうか…」
「何?」
「うん、嬉しそうなんだよ、すっごく。普通そういうのって、悲しそうに話したりするもんでしょ」
「まあそうだけど」
「それにさ、別に外道でもいいんじゃなかな?」
「なんで?」
「お母さんがお父さんを好きだから。お父さんもなんのかんの言いつつお母さん好きだし。
 結局愛し合ってんだよ、あの二人は」
「…歪んでんなー、キミんち」
「…お前んとこに言われたくないぞ…」〜fin

128 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22(土) 01:33:25 ID:Xj8LSX0H
あ、あやうくPCの前で寝オチるとこだった…

と、いうわけで眠気限界なのでこのへんでノシ

129 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 01:42:40 ID:5bNhc6/c
>>128
1番槍GJ!!
エロいよ、そしてなんだかんだでデレデレだよアニエスwww

キュルケ編は在るのでしょうかあるなら期待して待ってますw

130 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 01:45:35 ID:gfU4JevK
>128
ドロドロデレデレなアニエスさんが読めてとても幸せであります!

へんたいさんの書くアニエスは可愛い可愛いよアニエス

131 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 01:47:40 ID:j7RT6HEf
>>128 GJ!!です

口ではそう言いながら、というのはちゃんと伝わってますけど
それでも「もっとデレてほしい」って思うのは、わがままなのでしょうか?

132 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 01:48:02 ID:Y04I1XCO
>>128
最後の会話はアニエスの子と誰が話してるんだろ?気になるぜ

キュルケに投票したけど、アニエスいいよなぁ…デレGJ

133 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 02:16:48 ID:JglWlneP
>>128
GJ これはよいアニエスエッチSSですね。

134 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 04:13:46 ID:Hn/CpVAr
ノボルマジでこのスレ見てたりはしないよな?
11巻とか13巻あたりはなんかそう思った

135 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 08:11:21 ID:SsM+irk0
真面目な話、ノボルがここ見てる可能性は低くないよね。
自分の評判が気にならない作家なんていないわけだし、
ラノベ板あたりからたどってこのスレを見つけても全然
不思議じゃない。

136 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 09:28:56 ID:yCqnVkHW
実はせんたい=ノボルでした
本編ではエロ書けないのでここで鬱憤晴らしてます


なんてね。

137 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 10:39:53 ID:rI0Mrplw
馬鹿?

138 名前:バレット:2007/12/22(土) 11:19:21 ID:jd3Prlww
管制塔、エロパートの投下を決行します!

139 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/22(土) 11:23:07 ID:jd3Prlww
じゅぷっ・・・ぐちゅっ・・・じゅぷぷっ・・・んちゅっ・・・
ちゅぱっ・・・ちゅぷ・・・んじゅっ・・・ちゅっ・・・

音だけ聞くととっても卑猥っぽい瑞々しい音が大浴場に響く。
実際問題2人のやってる事はとっても卑猥で大人向け、子供はゴーホームな生殖行動である。
今のサイトとイザベラの体勢は互いの股間辺りに顔を埋めた、いわゆるシックスティナイン。
サイトは今はもう脳内にて埃が被ったエロ本&そういうジャンルのビデオで覚えた知識を掘り返しながら、イザベラの秘裂に指を差し込んでみたり舌を突き入れたりしている。
そこが湿ったというよりもはやしっかり濡れた音を立てているのは、大浴場に篭った湯気と熱気で掻いた汗だけが理由では無いと思う。

なんつーか、うん、
クラスの友達が持ってきた裏ビデオとかああいうのでモザイク無しで女のココって見た事あって、その時の女優のココってなんだか黒ずんで微妙な感じだったけど。
イザベラのはピンク色ですっげー綺麗だよなー。弄ってみるとピクピク動くし。イザベラも可愛い声出すし。
そーいや髪の色が青いとこっちの毛の色も青いのな。

舌を突き入れながら分泌液を吸ってみると、イザベラのキュッと締まったお尻が大きく跳ねる。
お尻を両手で押さえ込んで揉みながらその下の窄まり辺りを親指で撫でてやると、今度は小刻みに震えながら分泌液の量が増す。
ちょっと頭をずらしてみれば、愚息を咥えている彼女の何だか一生懸命な表情な表情がチラッと見えた。

舐めて、咥えて、吸って、揉んで、口の中で頬に擦り付けて。

・・・イザベラさーん。あーた一体どこでそんなテク覚えたとですかー?
実は既に1回出しちゃったのだが、サイトの白い欲望を咽つつも吐き出す事無く大半を飲み込んで、小休止してまた口での奉仕を再開されて電光石火で復活済みである。
ま、この5年間、疾風怒濤の如く騒動に巻き込まれたから殆ど発散できなくて溜まってるからねえ。

「イザベラ・・・?」

あまりのテクに思わず動きを止めたサイトは、声を掛けられて振り向いたイザベラの表情を見て・・・グハッ、と悶絶しそうになった。
青い目は蕩けまくり、白い肌は紅く火照り、唇からはサイトの愚息にタップリコーティングを施した涎が口の端から垂れてアーチを描いていた。
そして極めつけは1度発射した時に飛んだ白いソレが、張りのあるほっぺとか広いおでことかに付着してそのままである。

まあハッキリ言えば、蕩けたイザベラの顔にサイトのザーメ・・・ええいこれだと何だか書きづらい、とにかく白いのがぶっかけられていたのだ。
とにかく拭おうともせずに精液を顔から垂らしたままのイザベラのその姿が、何だかとってもいやらしい。

あーもーたまんねーなーおい、とばかりにサイトは身体を起こすと、湯船の淵に腰かける形でイザベラを膝の上に乗せる。
そのまま向かい合わせの体勢で抱きしめながら精液を拭ってやると、するとイザベラが指についてる分を自分から舐め取った。
指がたった今まで愚息をあれやこれやしてくれた口に包まれるその微妙な感触に、サイトは震える。

「なーイザベラさぁ、なんかちょっと手馴れてなくないか?いやあの咥えてもらってすっげえ気持ちよかったけど」
「貴族子女の嗜みみたいなものよ・・・結婚する他の貴族の男を喜ばせるためのね」

サイト、ちょっとムカッ。


140 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/22(土) 11:24:47 ID:jd3Prlww

「でも・・・アンタが気持ちよかったんなら私は嬉しいよ。覚えてよかった」

そして続けて放たれた言葉にサイトのご機嫌急上昇!
ついでに愚息のテンションも更にヒートアップ。イザベラの太ももの間からぴょこんと突き出て圧倒的な存在感を放ってます。
ピクピク動いて、充分戦闘可能だと無言のプレッシャーを放出中である。

「あ・・・・・」
「・・・えーっと、そのね、ここまでしといて今更だけど本当はこういうのは結婚しても3ヶ月の間はやっちゃいけないんだけどだけどね・・・」
「―――イザベラ」

膝の上で俯きながら紅い顔でモジモジする少女の姿に悶えて叫びたいのを我慢しつつ、脳内でその様子を永久保存版として記録しつつ。
サイトは最後に、問いかけた。

「いくからな?もう押さえらんねーからな?嫌がっても止まらないかもしんないからな?」

帰ってきたのは、微かに青臭さと苦味が混じった、けれどとことん甘いキス。
何分かりきった事言ってのよと、いいから好きにすれば良いじゃないのと。
言外にそう言われた気がして苦笑しながら、イザベラのお尻を持ち上げて秘裂に愚息の先端をあてがう。

行くぞ!マジで行っちゃうぞ俺!
・ ・・でもこういうのって一気に入れるよりゆっくり入れちゃう方がむしろ長く痛みが続いてキツイって聞いたような読んだような。
剣で刺される時も一気に深くやられるよりもジワジワされる方が痛いもんだし、これも似たようなもん?だからゆっくりだとイザベラも辛いよな。

イザベラの身体を押し付けると同時に、サイトもいきなり腰を思いっきり突き上げた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

声にならない悲鳴。多分に濡れてたせいか、意外とすんなり奥まで入った。
それでも幾らか抵抗感はあったし、やっぱり思いっきり入れられたのは痛かったのか、背中に回されたイザベラの爪が立てられてサイトも結構痛い。
まあ痛いのに離れてるからいいんだが、今はむしろ。

人の身体とは思えないくらい熱く、うねって、きつく締め付けてくる膣内の感触――快感に、あっさりとサイトの限界は訪れた
2度目の爆発。

「――!?〜〜〜!〜〜〜〜!!!?」

下半身で生まれたいきなりの熱に、イザベラの身体が、跳ねる。
溜まりに溜まった分、1回の量と時間がえらい事になっているお陰で、開通したばかりのイザベラのそこはすぐに溢れかえった。
ハジメテの証の血と混じってピンク色のカクテルが隙間から溢れていく。

「あふい・・・サイトのみんな、みんなあふいよぉ・・・」

熱に浮かされた声。
ソレが再び、サイトの理性という名のブレーカーをぶっ飛ばす!
ぐちゅっ!ぐじゅっぐじゅっぐじゅっ!
きつい締め付けもなんのその、自分の出した精液と、イザベラ自身の分泌液が溢れかえったお陰で滑りがよくなった秘裂に何度も突き立てる。
自分の腰を動かすだけではなくイザベラも両腕で抱えて持ち上げたり下ろしたりと出来るのはこの数年間鍛えられたゆえか。


141 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/22(土) 11:26:09 ID:jd3Prlww

「あひっ!?らめっ、うごかひちゃらめっ!おくまでいっぱひ、いっぱひとどいちゃう!おかひくなっちゃうぅ!」
「いーややめないね!第一メチャクチャにシテいいって言ったのイザベラだろ?なら俺が望みどおりメチャクチャにしてやるよ!」
「ひんっ、あっ!サイっ、トぉ!サイトぉ!」

突き刺される度、子宮口に当たって重い衝撃と快感に貫かれる。
引き抜かれる度、サイトの先のえらの部分が膣内を擦って電撃が走る。
勝気さも意地っ張りな部分も、初めての快感にその全てのたががぶっ飛んだイザベラがいつの間にか自分から腰を動かし始めたのも無理はない。
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ――とリズミカルに肉がぶつかり合う音が浴場によく響いていた。

「すっきぃ・・・だいしゅき、サイトだいしゅきだよぉっ!」
「俺も・・・イザベラが好きだっ!」
「ひんっ、うれひい、うれひいの!いっぱい、もっといっぱひサイトのちょーだひぃ!!」

サイトの言葉に殊更きつく締め上げる。
そして迎える、三度の限界。

「ひあああぁっ!いっぱいっ・・・またサイトのが、いっぱひらよぅ・・・・・・」

2度目の体内で溢れかえる熱い奔流に・・・イザベラは意識をあっさり手放すのだった。
そして何度も抉られた秘裂からは、ゴプリ・・・と大量の精液が溢れ出てくる。
意識の無いまま幸せそうな笑みを浮かべる腕の中のイザベラの様子に、サイトも何だか微笑ましげに唇を歪めて、額にキスを落とした。





「お兄ちゃん・・・・・・」

脱衣所で一部始終を覗いていた少女は、呆然としたようにポツリとそう呟いていたのにはサイトは気付かなかった。
だがへたり込んだ彼女の床の周りは、何故かびしょ濡れだった―――


142 名前:それは蒼から始まった物語(1):不器用なあの子は王女様:2007/12/22(土) 11:31:08 ID:jd3Prlww
第1話はこれで終了。
・・・せんたいさんの後だったから自分の文才の無さが際立ってるYo!(泣)
第2話はちっちゃいあの子がメインの予定、けど飛び入り参加の可能性もありますぜ旦那。
もしかすると年越してからかも。
それではサラバっす。

143 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 11:36:31 ID:5bNhc6/c
>>142
う、うわああぁぁGJ!!!!
エロいよイザベラwこんなイザベラもいいですなwww

そしてましゃかのシャルロットが………
2話も期待してます

144 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 11:39:26 ID:S54MDwbe
なんというGJ…このイザベラは間違いなくヒロイン。
つかシャルロット、お漏らしですか?(違

145 名前:名無し@ピンキー:2007/12/22(土) 13:00:52 ID:MRRXepaw
エロォーい!イザベラに目覚めた!!
そしてシャルロットも目撃している・・・どうするサイト

146 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 15:48:28 ID:X1AbTG/z
>>142
GJ!
ある線を越えるとデレデレになるなごみん型か
ツンとデレを行ったり来たりを繰り返すルイズ型か
あるいはその他か。
どういった感じになっていくのか楽しみだ。

147 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 21:44:50 ID:xy79QFmJ
121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/22(土) 20:21:15 ID:u5Ee0Pkl
発売したばかりのPerfectBookの作者インタビュー、ページ81より

(インタビュアー)>ヤマグチ先生が個人的に好きなキャラクターは誰ですか?
ヤマグチ  うーん・・・(中略)今は難しいですね。アンリエッタかな。
〜〜〜〜〜〜〜
>ちなみにアンリエッタは、才人争奪戦からリタイアと見てよろしいんですか。
ヤマグチ  いや、そんなことはないですよ(笑)


姫さま、再参戦フラグ来ております。

148 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 21:58:01 ID:GntD2pRa
イザベラ可愛いよイザベラ

149 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 22:17:28 ID:kmHxeJFP
>>147
(・∀・)ニヤニヤ

150 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 23:03:44 ID:IPTumO2f
せんたいさん、>>142さん
GJ!

明日も明後日も仕事だが、これで乗り切れそうだ。

151 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:13:10 ID:CNjQZcW7
>>147
女王の顔しか見せません → 堂々と夜伽役任命

こうですか、わかりません!

152 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:23:21 ID:swgQfTAc
>>151
女王の顔しか見せません → 堂々と夜伽役任命 → ルイズ激昂「夜伽役に相応しくありません!!!」 → サイト捕縛の後、強制手コキプレイ
詰めはもうだめと喚くサイトのケツにディルドゥ挿入で気絶するまで責め続ける

こうじゃまいか?


153 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:27:52 ID:xPsuZCPJ
「夜の」女王の顔しか見せません

154 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 01:08:32 ID:hjGeOdr5
せんたい氏、バレット氏 GJ!

>>147
アン様がタバサにサイトへギアスをかけさせて強制的に御奉仕。
御奉仕中の記憶はテファに消去させれば万事OK!
ルイズにはスキルニル・サイトをつけとく。

155 名前:幸福な結末:2007/12/23(日) 07:18:37 ID:IZ90gEj4
 中天にぽつんと浮かぶ月を窓越しに見上げながら、彼は本棚をずらした。
 壁には闇色の何かが渦巻いていて、しかし彼は慣れた様子でそこに歩み入った。

「あによ、今日はずいぶん遅かったじゃないの」
 闇を潜り抜けて、すぐ目の前にはベッド。
 そこに座っていた桃髪の少女は彼をみるなり唇を尖らせ、すねた声をだす。
 彼はやや大股でベッドに近づいて、少女のすぐ横に座った。
「ごめんな。今日は忘年会が……ってルイズはそれじゃわかんねぇよな。
 えっと……つまりだな、今向こうの世界は聖誕祭みたいな時期で、宴会とかすんの」
「……ふぅん。で?また女の子に色目でも使ってたんじゃないでしょうね」
 じろじろと見る疑いの視線にも今ではもう慣れてしまった。
「使ってねぇよ。……まったくこのご主人様は何年たってもやきもち焼きで」
「べ、べつにやいてないもん。サイトのこと信じてるもん…………たぶん」
 諭すように囁けば、出会った頃より少し大人びた美少女顔がそっぽを向いた。
「たぶんかよ」
 照れ隠しが見え見えだから腹は立たない。
 むしろ、昔を思い出してサイトは思わず笑ってしまった。
 それでも顔を近づければ自然に目を伏せて、ルイズは唇を寄せてくる。
 飽くほど繰り返した口付けは、今日もまたその回数と深さを増していく。
 そして口付けを続けるままに、サイトはふと窓の外を見上げる。
 そこには、いつしか見慣れてしまった、天高く重なる双月があった。
--------------------------------------------------------------------------------
妄想未来エンドが浮かんでしまったので書く。エロ抜きの上短くてすまん。

−サイトの部屋の壁に某ネコ型ロボットの映画的ゲートが発生している
−サイトは両世界の行き来可能、現在大学生

これなら八方上手く行くかなと思いながら書いたんだが、
これじゃ遠からずオカンが嫁探しに躍起になってしまう悪寒……。

156 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 09:30:19 ID:DCBiCP/g
>>155
(・∀・)イイッ!!なんか物凄くあったかいww
もしよければ続き期待してもいいのかな?

157 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 09:45:38 ID:Vafp9bHF
>>155
何となく新刊の要素が無くもないが…多分俺がこう書かなければ万事OKなんだろう
しかし分かっているのにレスしてしまうのは悲しい性だなぁ

続きに期待

158 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 09:52:04 ID:gK9eUI7C
昔コバルト文庫に、『リダーロイス』シリーズってのがあって。

それは国を奪われてこっちの世界に逃れた王子様が主人公だった。

最後無事国を取り戻した主人公は、こっちの世界の恋人を王妃に

迎えたんだが、相手の両親も異世界に連れていったんだよね。

ひょっとしてゼロの使い魔でもそーゆー展開がないとも限らん。

159 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 10:24:14 ID:hUQ7Czwt
>>158
連れていったというかだまし討ちだろアレ
何も説明されず異世界に転移させられ、転移先にはいきなり目の前に龍がいる
だれだってまともな思考なんかできるか

160 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 10:45:36 ID:gK9eUI7C
いや、拉致とかだまし討ちとかじゃあなく、サイトがどちらの世界に留まるか

って問題を考えた場合、両親同伴も考えられるんじゃあない?って言いたいだけなんだが。

161 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 11:48:39 ID:CNjQZcW7
分枝世界を全て一つにすればいいんだよ

162 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 16:38:13 ID:SAQMMRLK
そして元・異世界間で衝突がはじまり、弱肉強食の血みどろ世界になります。

163 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 16:42:00 ID:tRI+Jd77
>>162
シルキーマゥがオーラマシンごとすべてを(ry

164 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 17:12:56 ID:clPemNxQ
複数の世界を一つにして、とりあえず大団円と言われると
インジュカーシスという漫画を思い出す俺は、ひょっとしてオサーン?

165 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 18:08:27 ID:gK9eUI7C
ゲドに乗ったサイトが、

「全ての元凶は貴様だ!ジャコバ・アオン!」

とか叫んでぬっ殺す『ゲド戦記(違)』が思い浮かんだ。

いや、放送当時一番あのキャラが嫌いだったのよ。

166 名前:155:2007/12/23(日) 20:36:45 ID:IZ90gEj4
>>156
あったかいってのは一番うれしい感想だ。ありがとう。
なんか上手いこと設定浮かんだらかくよ。

>>157
あのさ、俺、konozamaでさ……マダキマセン( ´∀`)
「在庫あり」って一文に騙された……

167 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 21:51:02 ID:K5PfGUvs
だから、konozamaで発売日前に来ると思うなと

168 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 22:01:51 ID:tRI+Jd77
だから、konozamaは公式発売日に発送だと

169 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 00:00:01 ID:veDcUIuT
20日に名古屋中を回って発見できず、疲れて帰ってkonozamaに頼ってしまった俺に救済の手を

27の朝には実家戻らなあかんのに…間に合うかなぁ

170 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 00:06:47 ID:k6ITnJLx
クリスマスケーキはチョコがいいって娘に言われた時
気づいたんだかあの世界にチョコはあるのか?
クリームがあるぐらいだからあるのかな。SSに使えそうなネタだが。

171 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 00:08:58 ID:PsY3FbPt
本編上でノボルがエロクリームを使うという暴挙に出たばかりだからなぁ w

度胸と力量が試されるかも

172 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 00:20:15 ID:7q6mqAzX
テファやアン様なら話転がす自信ある人もいるだろうが、ルイズやシエスタ選んだらノボルと対決することになっちゃうからなw
でもだれかやってくれると思ゆ。

173 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 00:33:40 ID:/V0b/f4U
>>169
今日Goodwillにあったけど?
本店4Bな。

174 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 00:36:53 ID:Kl/dyPY7
販売員が販売日を勘違いしたのかわからないが
大阪のソフマップでなぜかすでに売られていたが>13


175 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 00:50:37 ID:8u3MOJTb
>>170
現在のような甘くて滑らかなチョコはないんでないか?
粉っぽさが残ってるむっちゃ苦いチョコぐらい、もしかしたらはホットチョコレート(でんぷん入り)クラスかもしれん

176 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 01:06:19 ID:dHPQ0RGJ
そもそも原料のカカオがあるのかどうか・・・
あったとして熱帯産のそれが交易とかで入手できてるのかとか。
なんかゴタゴタしてて大航海時代どころじゃないかんじだし。
でもまあ紅茶もお茶もあるみたいだからアリなのかな。

177 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 01:28:07 ID:jbhd1Vm8
なんか良く分かりませんが出てきた断片情報を解析すると13巻の主題はICBM対虚無でおk?

178 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 02:08:40 ID:l8pAdy90
>>177
105と109を読み直せ 

179 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 02:50:39 ID:PsY3FbPt
>>105>>109

アンカーつけてくれ

180 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 09:47:22 ID:IyBO596f
チョコレートは、スペインがアステカ帝国滅ぼすまでヨーロッパに入ってこれないですしね。

新大陸が発見されていない状態では無理かと。

まあ、それを言ったらゴムはどうなるのかと言う話しになりますけど。

上手い回避策は、ゲートからゴム入りパンツやらチョコレートをロマリア回収。

錬金上手いメイジが「これ、良いんじゃねえ?」って複製作る。

ハルケギニアにゴム入りパンツ、チョコレート普及って感じですかね。

錬金による模造肉が普及するくらいですから。

181 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 09:50:28 ID:ddtFuXja
>>179
最近知った事実なんだけど、
janeなら数字をドラッグして右クリックすればポップアップ出てくるんだぜ

182 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 10:38:14 ID:JSLaUiCZ
>>181
それで?

183 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 11:22:02 ID:ddtFuXja
>>182
それを知った時のささやかな歓びを伝えたかっただけさ。
他意はない

184 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 11:28:26 ID:C3ZZfg2C
来週も、クリック!クリックぅ!

185 名前:かくてる:2007/12/24(月) 13:32:12 ID:T6dndavJ
ご無沙汰してました。クリスマス企画参加作品投下します。
【表題】三年目
【傾向】欝+甘口(エロなし、ハッピーエンド)
【人物】ルイズ中心
【備考】前スレ拙作と微妙に絡んでいたり。

186 名前:三年目(1):2007/12/24(月) 13:33:37 ID:T6dndavJ
 歌を歌いながら帰省の荷物をまとめるシエスタにルイズは不機嫌な声をかけた。
「ずいぶん嫌な歌詞じゃない?それ」
 シエスタは振り向くと、舌を出して答える。
「チキュウで、男女でデュエットする曲ではすごく有名らしいですよ、『三年目の浮気』」
「あああああんた!」
 いきり立つルイズに、だがシエスタは逆に口を尖らせて反論する。
「このぐらいの厭味ぐらいは受けてほしいと思いますけど?ミス・ヴァリエール」
 ルイズは頬を赤らめて部屋の奥に目を向けた。奥には雪を模した綿と星を飾り付けたモミの木が立てられてお
り、天井にも旗や始祖ブリミルの聖具に似た飾りが取り付けられている。女王陛下からの仕事が並べられたカレ
ンダーは、今日を中心に前後3日だけはすっぽりと白く空けられている。
「アニエスさんが文句を言っていましたよ。『よくわからん記念日で仕事を拒否しおって』とか」
「だって!きちんと陛下には休暇を年初めに申請してるのよ?」
 シエスタはずっ、と一歩前に出ると、ルイズに顔を近づけて言った。
「だから、私だって今日から休暇いただくようにしたんですよ?お二人にしてあげようって」
「それは……」
「ありがとう、ぐらい言って欲しいですけど」
 ルイズは口をますます口を尖らせ、だが誇らしげに言った。
「ありがと」
 シエスタは小さく吹き出して答える。
「ま、私も骨休めしてきますよ。私もその……まあ内緒」
 ん?とルイズは目を剥いたが、シエスタはわざとらしく舌を出して話を打ち切って何やら雑誌を眺める。そこ
には指輪の絵が幾つも並んでいる。
「何それ」
「私たち平民の娘の間で、貰えたら嬉しい婚約指輪の人気商品なんです」
 一位に輝いているのは雪の結晶をあしらった指輪だった。ルイズの目には安っぽく見えるが、ヴァリエール家
の財力と平民を比べるほどルイズも馬鹿ではない。
「もしかして、予定でもあるの?」
「これでも平民の給金じゃどれだけかかるか。シュヴァリエのサイトさんでもかなり大変だと思いますよ」
 シエスタは笑って雑誌を鞄に押し込むと、荷物を背負ってドアを開けた。見送るルイズにシエスタは振り返っ
て答える。
「メリー・クリスマス!サイトさんと二人の時間を大切に!」

187 名前:三年目(2):2007/12/24(月) 13:34:24 ID:T6dndavJ
 ちょっとまずかったかな、と先週王宮であったやりとりを思い出す。例によって潜入調査で、詳細はわからな
いがアニエス率いる騎士隊の苦手な分野だとのことでルイズに下命があったのだ。だが、ルイズは王宮に現れた
途端、即座に答えたのだ。
「お断りします」
 マザリーニが渋い顔で唇を噛んでいた。アニエスが拳を握った。アンリエッタも目を見開いた。それでもルイ
ズは臆することなく言い継いだのだ。
「陛下、今年に入ってすぐ、『24日だけはお休みを下さい』と言っていたのをお忘れですか?たとえ父の死に目
に会えないとしても、この日だけはお休みをいただきたいと言っていたことを」
 アンリエッタははっ、としてうなずいた。クリスマス・イヴ。異世界から来た使い魔な恋人を持つルイズが、
その使い魔の寂しさを癒そうと決めている日。帰る道が見つからない使い魔のため、その日を全て彼のために捧
げるのだと聞いたではないか。親友と言いつつ彼女の大切な決心を忘れるとは。今日もそれが理由だからサイト
を連れずに一人で断りに来たに違いない。
 アンリエッタは大きくうなずいて言った。
「本当に私も気遣いが足りませんでした。私も甘えすぎていましたね。アニエス、これを機会にあなたの部隊も
苦手を克服してみようとは思いませんか?」
「しかし……」
「部隊外でもアニエスの確実に信頼出来る人がいれば後の報告で構いませんから手伝って貰っても良いですよ」
 アニエスは溜息をついてうなずき、ルイズは正式に休暇の認可を受けて帰ったのだ。ルイズは料理の準備をし
ながら苦笑する。自分は貴族だというのに、今日のために仕事を放り出してしまった。
 でも仕方ないではないか。他の貴族だってパーティだ何だと公務を休む日もある。ルイズとサイトの二人で受
けている仕事の多くは、たった一つでも一人の貴族が一生のうちで一回もこなせないような、難しいという限度
すら超えて無茶苦茶と言った方が良い仕事だ。
 今日のためにシエスタと、シエスタに紹介されたマルトーシェフに料理を教わった。ラ・ヴァリエールの名前
もどうでも良いと、周囲にメイドがいる中で平民のマルトーに頭を下げた。おかげで貴族嫌いと言っていたマル
トーはまるでサイトの父親であるかのように、料理を覚えられるならサイトを婿にしていいと言ってくれた。
 それも全て今日のため。そして、今日からまた、彼がチキュウに帰る日まで。
 ふと、ルイズのまなじりに涙がにじむ。そう、彼が帰る日まで。帰せる日まで。私は約束を果たしていない。
彼をこの、遠い世界に繋いだままだ。このクリスマスだって自己満足がないとは言えない。
 この三年間を思い出す。一年目。サイトが雪で氷菓子を作ってくれた。その日クリスマスを知った。二年目。
合コン紛いの怪しげな企画をしていたから吹っ飛ばした。でも結局みんなで同窓会を兼ねたパーティが出来た。
今年王位に就いたタバサは、この日にマリコルヌを護衛に使うことに決めたらしい。意気地無しの太っちょだと
思っていたけれど、向こうでは本当に忠臣で通っているみたい。一方でサイトは、合コン紛いを予定していたく
せにずっと私のそばにいてくれた。
 ずっと。気づくいたら本当に空気のように当たり前にいるサイト。そんな三年目。この二年間は結局、サイト
に何かをしてもらうばかりだった。初めの頃お金の面倒は看ていたけれど、それもシュヴァリエになってからは
不要になった。だから今年。
 今年の三年目は、私がサイトに尽くしてあげる年なのだ。

188 名前:三年目(3):2007/12/24(月) 13:35:06 ID:T6dndavJ
 窓の外で遊ぶ子供たちの声が遠くなった。純白に輝いていた雪が夕日で茜色に染まり、今は青く月光を反射し
ている。空には二つの月が仲良く並んでいる。
 テーブルにはサイトがチキュウでクリスマスによく食べていたという鶏の揚げ物や、一口大のご飯の上に新鮮
な生魚をあしらった軽食、シエスタがひいお爺さんから習ったというヨシェナヴェなど、街の料理店はもちろん
王宮でも見ることの出来ない異国の料理が所狭しと並んでいる。
 でも、ルイズの隣りは空いたままだ。ルイズは自分の手を見つめる。指先の包丁の切り傷がうずく。部屋の向
こうにしまってあるプレゼントのセーターは力作だというのに。
 サイトはまだ帰ってこない。コルベールから卒業祝いに貰った時計がこつこつと音を鳴らして時間の経過を感
じさせる。サイトの世界ではさらに精度の高い時計があるのだと言う。そんな精度の高い時計なんて。そんなも
のがあったらどれだけ待つ時間は苦しいのだろう。
 三年目の浮気。シエスタが意地悪に歌っていた歌を思い出してしまう。でもあの歌詞は結局、元の恋人の元に
戻ってきて喧嘩している歌だ。今の私は。
 サイトが帰ってこない。
 がたり、とドアが鳴った。ルイズは飛び上がるようにして玄関に駆け寄った。
「お久しぶり!……どうしたの?」
 モンモランシーが怪訝な顔で訊く。ルイズは溜息をついて何の用?とつっけんどんな声を出すと、モンモラン
シーは化粧水の入った箱をルイズに押し付けて言った。
「今日ね、私の商会が初の黒字決算だったの!で、大口顧客様と紹介者様に御礼して回ってるわけ」
 ああ、とルイズは気のない声を出して思い出す。モンモランシーはギーシュと結婚したとき、普通の嫁入り道
具を全部断り、代わりにお金をもらって香水専門のギーシュ・モンモランシー商会を設立したんだっけ。夫が甲
斐性なしだから、ルイズの予定の相手とは違うから、と笑っていた。
「悔しいけどラ・ヴァリエール家の買い方は尋常じゃないわ。特級品のさらに特別調製品しか買わないなんてあ
んたのお姉さんだけよ。あと、紹介してくれたアニエス。制汗剤系の香水を部隊でまとめて買ってくれるし」
 モンモランシーは一通り喋ると、そういえば、と言って続けた。
「さっき、サイトが若い女の子と宝飾店にいたわ。たしかアニエスの部隊の新人ね。あの部隊で初めて普通の香
水を買ったお客だからうちの商会でも話題になったんだけど。騎士の癖に結構かわいい子。貧乳だけど」
 ルイズが顔をあげる。モンモランシーはやっと気付いて顔を青くする。
「帰って」
「……ルイズ、あのね」
「帰って。今すぐ帰らないと」
 脇から杖を取り出す。呪文を一言唱えた途端、闇色の気配が雪に照り返した月光を急速に侵食していく。
「わかった帰りますではまたのご利用を」
 ルイズは乱暴にドアを閉める。待っていたのに。ずっとずっと、陛下の命令まで拒否して。シエスタにも気を
使ってもらって。ずっとずっと待っていたのに。
 でも、三年目の浮気。
 ほろり、と涙がこぼれ落ちる。せっかく着飾ったドレスに涙がしみを作っていく。でも構わない。もう着飾る
必要もないのだから。このドレスを褒めて欲しかった人は帰ってこないのだから。
 ドアの脇に崩れ落ちるように座る。膝を抱え込んで声も出せずに泣く。
 もう、独りの時間には耐えられない。

189 名前:三年目(4):2007/12/24(月) 13:36:26 ID:T6dndavJ
 がたり、とドアが鳴る。
「ルイズごめん!遅くなった……ルイズ?」
 ドアの脇からルイズがゆらりと立ち上がった。もう一度信じてみよう。頑張って微笑んで寄ろうとする。と、
サイトの背中からぴょこん、と気丈そうな年下の少女が顔を出した。
「本日はサイト様にはお世話になりました!」
 ルイズに敬礼する。だが服装はドレスだ。色白の頬は寒さで赤みが射し、若さの愛らしさが素晴らしい。体型
はルイズにかなり近く、だがどこか鍛えられたしなやかさが感じられる。
「今日、仕事でさ……」
「プレゼント買っていたんですって?二人で。今日の、この日に」
 ルイズの言葉にサイトは気づく。
「ルイズ、お前何か……」
 ルイズは言葉を遮って言う。
「待ってたのに。ずっとずっとずっと待ってたのに」
 ルイズが杖を振り上げる。サイトは慌てて先ほどの少女を背中にかばった。するとルイズは杖を下ろした。
「サイトの背中の後ろは、私の場所だと思ってた」
 からり、と杖が手から落ちて転がる。ルイズは叫んだ。
「どこでも、どこでも行けばいいじゃない!その子と二人でチキュウへの道を探せばいいじゃない!三年かけて
も探せない私より、私なんかより!」

190 名前:三年目(5):2007/12/24(月) 13:37:05 ID:T6dndavJ
「ルイズ!違います!」
 遠くから叫び声が聞こえた。声の方を向くと、アニエスの駆る馬の背に掴まったアンリエッタだ。呆れたこと
に王宮で着ている服の上にコートだけをはおった姿で息を切らせながら玄関まで駆け込んでくる。
「違うのです。本当にサイトは手違いで仕事だったのです!」
 ぐっと乱暴に引き寄せられたアニエスが黙って頭を下げる。上げた両頬には赤くアンリエッタに平手打ちを受
けた跡が手の形に残っていた。
「最近、若いカップルの貴族を襲う変質者がいるのだ。それも女性が小柄で細身。その上、容疑者は大貴族とつ
ながりがあるようで内密に調べる必要があったわけだ。以前に陛下が依頼した件だ」
 小柄で細身。自分と、アニエスに首ったまを掴まれている先ほどの少女を見比べて納得する。アンリエッタは
額に手を当てて話す。
「私がアニエスに『手伝ってもらえば』とあの席で言いましたわね?そこでこの鈍い人は」
 アニエスは肩を縮めて再び頭を下げて言った。
「カップル役の男をサイトに頼んだのだ。そして女役は私の隊で一番子供っぽいこいつを使った。女役は陛下が
と仰ったのだが、陛下自らというわけにいかぬ上そもそも体型が役に向かぬ。それに私はまだ、どうも」
 再びアンリエッタはアニエスを一睨みしてルイズの前に立った。
「本当に今回は何度も何度も、ごめんなさい」
「陛下!」
 頭を下げるアンリエッタにルイズは慌てて頭を上げるよう手をかける。それでもアンリエッタはまだ顔を上げ
ない。と、改めてルイズはサイトに目を向けた。サイトの戸惑った視線にルイズは応えた。
「信じて、いいの?」
「前から言ってただろ?ルイズのそばにいるって」
 ルイズがうなずくと、ようやくアンリエッタは顔を上げて馬に戻りかけた。アニエスは少女を猫のようにぶら
下げてアンリエッタの後を追う。だがサイトは三人を呼び止めた。
「悪いんだけど、証人になってくれるか」
 ルイズは怪訝な顔をするが、三人は真剣な表情でうなずいた。
「ルイズさ、俺が宝飾店にいたのって、クリスマスプレゼント買ってたんだよ。でも女物ってよくわかんないか
ら参考に聞いてたんだよな」
 言ってサイトはポケットから小箱を取り出す。ルイズが受け取るとサイトは開けるようにせかした。三人の見
守る中、ルイズは包みを解いた。中は指輪の小箱だ。
 ゆっくりと開けると、そこにはどこかで見たデザインの指輪があった。ちょっと大貴族には安っぽい、雪の結
晶をあしらった指輪。サイトの給金ではかなり苦しいとシエスタが言っていた、平民の間では一番人気の。
「婚約指輪、なんだけど。俺の給金じゃこれが精一杯で」
「……馬鹿」
「犬、じゃないんだな」
「私と結婚する人は、犬じゃないから」
 差し出したルイズの指に、サイトはゆっくりと指輪をはめてやる。ルイズはサイトの顔を見上げた。いつも乱暴
なことをしているけれど、こうしてみれば自分より背は高くて。背伸びしなきゃ遠くて届かない。
 彼の唇には。
 肩を抱かれる。つま先立ちをするように背を伸ばす。サイトの頭から雪解け水が零れて頬にかかる。でもそれは
先ほど流した沢山の涙よりはるかに暖かくて。
 ゆっくりと唇を重ねる二人を背にしながらアニエスは部下の少女に囁いた。
「貯金しておけ。貴族の結婚式に呼ばれると何かと物入りだ」
 双月がゆったりと二人を照らしていた。

191 名前:かくてる:2007/12/24(月) 13:41:01 ID:T6dndavJ
投下終了。力入れすぎて文芸くさくなったかも。

192 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 13:48:30 ID:NUc1o116
リアルタイム GJ!!


193 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 13:56:30 ID:fm2LLi7a
ルイズとキュルケの百合が見たい

194 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/24(月) 14:17:10 ID:NUc1o116
かくてる氏 GJ!!

ついにクリスマスがやってまいりました!
宣言通り、クリスマスSSを投下します。
メインの前に2本追加で書いたのがあるので、まずはそれを投下します。

【表題】香水の降臨祭
【糖度】やや甘口(エロなし)
【人物】モンモン視点
【備考】 悶々とするモンモランシーをどうぞ
【レス数】 2

【表題】Noe"l de la Charlotte(シャルロットのクリスマス)
【糖度】甘口(エロなし)
【人物】タバサメイン
【備考】タバサの口調が微妙かな
【レス数】 2






195 名前:香水の降臨祭(1/2):2007/12/24(月) 14:18:06 ID:NUc1o116
わたしは彼を学院の中庭に呼び出した。

約束した時間より少し早めに来てしまったので、彼の姿はまだなかった。
今夜は降臨祭の夜。
彼に確かめたい。わたしの心の糸に触れた彼の本当の心が知りたい。

冷やりとした空気がわたしの頬をなでつける。

待たせてしまったんだね。僕のモンモランシー。
わたしは声のするほうに身体を向きなおった。

遅いっ。

まだ約束の時間より余裕のあるはずだ。
単にわたしが早く来すぎただけでギーシュは何も悪くない。
だけど、裏返しの言葉がわたしの口から零れてしまう。

彼はバツ悪そうに頭をかいて、わたしに許してもらうべく、言葉を並べている。

違うの・・・あなたは悪くないわ。
その言葉はわたしののど元で止まって口から出て行こうとしない。

どうして言えないの?その訳もわたしは分かっている。
不安――あなたの言葉の魔法がわたしの心の糸を揺らした。
なのにあなたはわたし以外の女の子とも親しくする。

もっとわたしのそばに
もっとわたしをみていて
もっとわたしにふれて

女の子はわがままなの。好きになった男の子の余所見なんて許したくはないの。
媚薬を使ってでも好きな男の子は自分だけを見ていてほしいの。

彼がわたしの不安に気がついてくれたらいいけど、たぶん無理。
わたしからあいつに心からあふれるままの言葉をぶつけるしかない。
裏返しじゃなく、そのままの言葉を。

「モンモランシー・・・」
半分泣きそうな彼の表情にわたしは言葉をぶつけることにした。

「ねぇ。ギーシュ――わたしのこと本当に好き?」
「もちろんさ。モンモランシー、君を好きさ。愛してるんだよ」
彼はわたしの手をとり口づけ、喜色満面に即答した。

「そ、そう。でもわたしは不安なの。他の女の子と仲良くするあんたを見てるのつらいわ」
「うーん。僕だって女の子とも話しをするさ」
「わかってる。・・・でも愛されているという実感がないの」
「そんな・・・」
「ねぇ、証拠みせて。わたしを愛しているという証拠」
彼は腕を組んで悩みはじめてしまった。
「そんな悩まないと・・・だめ?」
わたしは唇を噛んだ。なんて鈍感な男(ひと)なんだろう。
こいつといい、サイトといい・・・
業を煮やしたわたしは彼に言った。

「抱いて」


196 名前:香水の降臨祭(2/2):2007/12/24(月) 14:19:20 ID:NUc1o116
わたしのこの一言で彼の顔が真っ赤になる。

「な、ここでするのかい。寒いと思うよ」

やっぱり勘違いしてる。わたしは口元を緩めて答える。
「違うわよっ。抱 き し め な さ い。」

「そーいうことだったのかい。驚かさないでくれよ・・・」

彼の腕がわたしの身体を包み込んだ。
やさしい温もりがわたしの不安を溶かしていく。
わたしは彼の背中に手を回した。
そして彼を見上げる。

「今夜は・・・わたしを離しちゃダメ」
「わかったよ」
「約束して」
きゅ。彼の背に回した両手に力を込める。

「約束する」
彼もさっきより強めにわたしを抱きしめてくれた。

「キス・・・して」

わたしは彼に口付けをねだった。

「愛してるよ。ぼくのモンモランシー」

彼の熱い唇がわたしの不安の出口を塞いでくれた。

197 名前:Noe"l de la Charlotte(シャルロットのクリスマス)(1/2):2007/12/24(月) 14:20:28 ID:NUc1o116
降臨祭のイブ。

タバサは自室で熱心に作業していた。
両手に細い棒を持ち、棒の先には紐が絡み合っている。
そう、彼女は編み物をしていたのだ。

傍らには図書館で借りてきた編み物の本が開かれていた。
編み棒の先と本とを交互に見やりながら一生懸命に編んでいる。

あ。

彼女の口から声がもれた。
編み目を一段飛ばしてしまったらしい。
彼女はため息とともに毛糸を引っ張り解いていく。

間に合うかな―――

窓から差し込む陽光の傾きを眺めて、タバサはひとりごちた。
・・・
・・・・・・
太陽がトリスティンの杜に消える頃、なんとかタバサの作業は完了できた。

「おねーさまっ、それだれのなのね〜」
彼女の使い魔シルフィードが隣できゅいきゅい叫んでいる。
「ひみつ」
「シルフィにはわかるのねっ、きっときっとあの黒髪の男の子なのねっ」
「・・・」
「おねーさまが答えないってことはアタリなのねー。サイト、サイト、サイトへのぷっれぜんと〜きゅいきゅ・・・」
ゴスッ。タバサの貫手がシルフィの眉間に突き刺さる。
「いいいいったい。いたいよー。うううう・・・」
シルフィは両手で眉間を押さえてうずくまった。
そんなシルフィに見向きもせず、タバサは部屋から出て行った。

彼女が向かうのはもちろん、サイト(とルイズ)が住んでいる部屋である。
彼の部屋の前で立ち止まると、タバサは胸に手を当てて深呼吸をした。

あがらない。
ちゃんと言う。
ちゃんと渡す。

呪文の様にそう唱えると、意を決して扉を小さな拳でノックした。

「ほーぉい」
暢気なサイトの声がする。
「――わたし」
タバサはそれだけつぶやくと、扉がガチャリと開かれた。

目の前にサイトが立っている。
チラッと上目で彼の顔を確認して、すぐに伏目になってしまった。
なぜか顔が熱い。まさか、真っ赤になっている?!

わたしの鼓動が早くなる。
「どした?入るだろ?」
彼が優しく声をかけてくれた。ちょっと嬉しい。
わたしは首を縦に小さく振って、部屋の中に入った。

運よくルイズもシエスタも居ないようだ。

今しかない。


198 名前:Noe"l de la Charlotte(シャルロットのクリスマス)(2/2):2007/12/24(月) 14:21:58 ID:NUc1o116
わたしは彼のパーカーの袖を引っ張った。
「これ・・・」
「えっ?おれに??」
彼は目を大きく開いて驚いている。
「そう」
「い、いいの?」
「いい」
もっと話したいのに・・・短い言葉しか出てこないよ。わたしのバカ。
「開けていい?」
彼はわくわくしながら聞いてきた。
その表情にわたしの頬が緩んだ。
「開けて」
ガサゴソ。おおおっ。
彼が取り出したのは、わたしが編んだ手袋。
ガリアの城から助け出されたときに握ったあの手にぴったり合うように作ったつもり。
左手の甲の部分には、護りのルーンを刺繍した。
わたしがそばに居ないときでも護ってあげれるように。

「ありがとう。ぴったりだよ」
彼は早速手袋をつけ、ためつすがめつ眺めている。
「よかった。大事にしてね――っ!?」

すると、彼がいきなりわたしの手を握ってきた。
温かくて、優しいサイトの手。
彼を独り占めしているルイズにちょっとヤキモチを焼いてしまう。
「ほんとありがとう。タバサ。でも・・・お返しどうしよ・・・」

少し曇った彼の表情。
いいのに。もう手を握ってくれただけでもお返ししてくれたのに。
でも今夜は、ちょっぴりわがままになって、お返しをもらっちゃおうかな。

「お返し。もらうね」
わたしは、サイトの手を強く握り返して、下に引っ張った。
え・・・。サイトは前のめりにバランスを崩す。
その隙にわたしは思い切り爪先立って、彼との距離を縮めた。

彼の唇とわたしのが触れ合った。

んむー!?サイトは思わぬ事態に動揺してる。

わたしはいつまでもそうしたかったけど、誰かがこの部屋に近づく気配を感じる。
たぶんルイズだろう。
わたしは彼の唇を解放してあげた。

同時に扉が開いた。
そこには桃髪の彼のご主人さまが立っている。

「あんたたち、そこでなにしてるのかしら?」
ルイズの片側の眉がぴくぴく痙攣している。右手に持った杖を左手でしならせていた。
彼が何やら彼女に言い訳を並べはじめた。
ここはもう退散したほうが良さそうだ。

わたしはルイズと目線が合った。

いっこ勝ち。

すれ違いざまに彼女の耳元に小声でつぶやいた。

「な、なんですって〜」
背後からルイズの罵声とサイトの悲鳴が響いた。

199 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/24(月) 14:24:42 ID:NUc1o116
以上です。ノシ
メインはまたあとでね。

あと、保管庫にクリスマス特集のページ作りました。
http://wikiwiki.jp/zero/?%A5%AF%A5%EA%A5%B9%A5%DE%A5%B9%C6%C3%BD%B8


200 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 15:30:14 ID:S+oyLMGZ
>>199ぐじょーぶ

しかしせんたいさんのクリスマスものが入ってないのはなんでなんだぜ

201 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 15:40:23 ID:i0FerJXh
>>191
すばらしい。GJ
甘いルイズさいこー

>>199
モンモンとは珍しい。GJ
タバサもかわええw


202 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 15:41:15 ID:C3ZZfg2C
>>199
良いクリスマスだなぁ。
さて、俺も彼女とクリスマスを・・・あれ?目から汗が・・・

203 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 15:45:39 ID:NUc1o116
>>200

せんたいさん本人にまず確認が必要かと思っているのですよ。
特集ページに掲載してよいですか?>せんたいさん



204 名前:かくてる:2007/12/24(月) 19:46:20 ID:AvFeUIh7
もう一本、クリスマス物投下。

「鞭とサンタ」

205 名前:鞭とサンタ:2007/12/24(月) 19:47:55 ID:AvFeUIh7
「クリスマスなんて、クリスマスなんて壊してやる!」
 マリコルヌは呟きながら物騒な装備を並べていた。祝杯をげんなりさせる虫の模型、ドレスを汚すペン
キ、せっかくの雪を溶かす融雪剤……。サイトめ、余計な風習をハルケキギニアに持ち込みやがって。ト
リステインを出てガリア女王となったシャルロットに仕えたが、女官には馬鹿にされっ放しだ。さすがに
シャルロットは馬鹿にしないが、かばってくれるわけでもない。 世界のもてない男たちのため、僕は革
命家になるのだ。
 と、決意したところで窓がこつこつ、と鳴った。開けた途端、何かがマリコルヌを押し倒す。
「この何……陛下?」
 シャルロットは当然のように窓を閉めて立ち上がる。だが姿は赤いコートに白いつけ髭、背中には白い
袋を背負っている。
「あの、陛下それは」
「反乱準備罪を発見」
 シャルロットは言ってマリコルヌの背後の荷物を指差した。マリコルヌは青くなって言い訳をしようと
する。だがシャルロットは小さく笑った。
「未遂だから、大丈夫。それより今は、二人きり」
 シャルロットの言葉にはっとする。二人のときは「クラスメイトだから」名前で呼んでくれと言われた
こと。理由が淋しいが、それでも特別扱いなのは違いない。シャルロットは背の袋を開けながら言った。
「いつも仕えてくれるから、プレゼント」
「僕にくれるの?シャルロット、ありが……」
 途中でマリコルヌは絶句する。シャルロットが袋から出したのは、太い首輪と鞭だったのだ。
「……シャルロット陛下、それは何でしょう」
「トリステインに行ったとき、ルイズとサイトが仲良くて羨ましいと言った」
 言った。たしかに公式訪問で供をしている際に言った。そして直後、何かに怒ってきれたルイズが首輪
をサイトにつけて鞭でしばいていた。
 馬車の中のシャルロットは、まさか。
「愛情には、色々な形があると、キュルケが」
「あああのね、シャルロット」
 ビシイッ!鞭が唸りマリコルヌは床に転がされる。そのままブーツで蹴られ悶絶しかかる。遠退く意識
の中、シャルロットは優しくマリコルヌの首筋を撫でて首輪をきりりと巻く。完成すると再びブーツで尻
を蹴り上げられた。
「ブーツは、危な」
「ちょうど良いヒールがなかった。だから」
 言ってシャルロットは靴を脱いで素足になる。
「こっちなら、気に入ってくれる?」
「だから違っ?」
 シャルロットは股間を踏みつけた。最初は乱暴に、だが次第にこねるような足つきで踏みつける。
 ぴしり、と再び鞭が鳴って、伸ばしかけたマリコルヌの手を打ち付けた。
「豚ーっ!この馬鹿豚!女官にデレてる!私が玉座にいて知らないとでも!」
 ああルイズの真似だ、と思い見上げたシャルロットの目は思いの外真剣だ。え、と身震いした途端、服
が氷の槍でびりびりに破られる。露出したマリコルヌの乳首をシャルロットは鞭でしたたかに打ち、さら
に股間を足の指で器用につねり上げる。
「この馬鹿豚、調教が必要ね」
「調教、ですか」
 シャルロットはこっくりとうなずいて言った。
「今夜は、寝かせない」
 再び、シャルロットは純真な優しい笑顔で鞭を振り上げた。

206 名前:かくてる:2007/12/24(月) 19:50:25 ID:AvFeUIh7
投下終了。ローソンの店員がサンタしていたの見て思いつきました。
ありがとローソン。

207 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 19:53:08 ID:CtYmpSxQ
>>206
GJ!
それと、そこなでぶ。漏れと変われ!

208 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 19:55:04 ID:TKdsX6Oh
新しいタイプだなw


209 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 20:07:38 ID:NUc1o116
>>206
GJ!
シャルロットてばSだったのね。まぁ愛ならしょーがないか。愛ならw


今日は風邪気味なのでずっと家の中・・・orz
SS追加で2本書けたからいいか。


210 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 21:39:27 ID:jkpqIGux
>>209
乙。


つーかコレ、一種の寝取られ物になるのか?
よりにもよって相手がぽっちゃりさんとは…

211 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/24(月) 21:46:52 ID:5OEhdsxl
>>203
全然問題なっしんです。てか好きに載せちゃってOKですよー。

ってレスだけじゃアレなのでネタ一本投下。

※注:エロ抜きです

212 名前:ホワイト・クリスマス ◆mQKcT9WQPM :2007/12/24(月) 21:47:52 ID:5OEhdsxl
どかぁん!

冬の大気を劈いて、爆発音が平和なトリステイン魔法学院に響く。
なんだ、またルイズが使い魔にお仕置きしてんのか、と生徒たちは思った。
しかし、それは正解ではなかった。
爆発の中心にいたのは確かにルイズだったが、そこには件の黒髪の少年はいない。
桃色の髪の少女はいましがた爆発音とともに吹き飛んだオーブンの鉄の扉を、呆然と見つめた。
そして言った。

「そうよ、おかしいのはオーブンのほうよ!」
「おかしいのはアナタのアタマですミス・ヴァリエールっっ!」

シエスタの容赦ないツッコミが、荒れ果てた厨房に響き渡った。

事の発端は才人の話。
調子っぱずれのジングル・ベルを鼻歌に、ゼロ戦を磨いていた才人に、ルイズがその曲ナニ、と尋ねたのだ。
才人はクリスマスに歌われる曲で、ってかクリスマスってのは俺の世界の降誕祭みたいなもんで、と返す。
ルイズはへえ、面白そうなイベントね?どんなのか教えてちょうだい、と質問した。
才人はえっと、サンタがな、プレゼントがな、恋人達がな、食事がな、ケーキがな、といくつかかいつまんで説明した。
ルイズはその回答から、『くりすます』は恋人達が一緒に食事を楽しんだ後、贈り物をしあうイベントなんだと理解して。
そういえばこの間見せてもらった夢もそういうのだったわね、などとあの夜を思い出し。
そして、とんでもない事を思いつく。
こっちでも『くりすます』やったら、サイト大喜びなんじゃないか、と。
そんでもってそんでもって、私の手作り料理とケーキを振舞われたりなんかしちゃったりして、贈り物なんかされたりしちゃった日には。
もうメロメロのヨロヨロなんじゃないの?
そして、ルイズは行動に出る。
いーい、夜になったら大人しく部屋で待ってなさい!約束だかんね!絶対だかんね!と言い放って、厨房に走った。

そしてこの有様である。

「どーして鳥の丸焼きでオーブンが吹っ飛ぶんですかっ!」
「し、知らないわよ!このオーブンが脆弱すぎるのよ!ちょっと火薬で火力上げたくらいで!」
「…今、なんと?」
「だから火薬よ!表面をパリっと仕上げるには火力がいるでしょ!そこで私はこの黒色火薬で」

こぉん!

「いったぁ!ちょっとシエスタ、おぼんでチョップはないんじゃないの!」
「どこの世界の魔王ですかアナタは!鳥を焼くのに火薬なんか入れたら爆発して当然です!」
「ちょ、ちょっと待ってよ、『料理は火力が命』が基本じゃないの?だから私は火力の増強に」

すっこぉん!

「いったぁぁぁぁぁ!二度もぶったぁぁぁぁぁぁぁ!」
「火力の意味が違いますっ!だいたいそれは仕上げの話です!最初は弱火でするのがですねえ」
「私の辞書に弱火の文字は」

かっこぉん!

その寸劇は、マルトー親父が見かねて止めるまで、えんえん続いたのだった。

213 名前:ホワイト・クリスマス ◆mQKcT9WQPM :2007/12/24(月) 21:48:18 ID:5OEhdsxl
そして夜。
結局ルイズは料理もケーキも準備できず。
手元に残ったのは、クリームの壷だけ。
厨房の出入り禁止を食らったルイズは、いろいろ試行錯誤はしてみたものの、結局上手くいかなかった。
オーブンなしではスポンジも作れない。
厨房が使えなくては果物も切れない。そもそも料理が出来ない。

「…きっと、見えざる神の手か何かが働いて、私を邪魔しているのだわ」

才人の待つ部屋の前でそんなふうに独白しながら、ルイズはため息をつく。
クリームの壷だけをかかえて、どうしようかしら、と考え込む。
そして閃いた。閃いてしまった。
ルイズはきょろきょろと廊下の左右を確認する。
よし誰もいない。
ルイズは手早く服を脱ぎ去る。下着も脱ぐ。
黒いオーバーニーだけ残して全裸になると。
身体の各所に、クリームを塗りこめはじめた。
そう、このテだ。
作戦名、『私がクリスマスプレゼント♪食べて食べて私を食べて♪』作戦である。
そう、あの絶倫使い魔のコトだ、マントをはだけて『私をた・べ・て』なんて言った日には、問答無用で襲い掛かってくるに違いない。
でもって、『これが私からのクリスマスプレゼント♪』なんて言った日には。
もうメロメロのヨロヨロのボロボロなんじゃないの!?
ルイズはなるたけ扇情的に見えるようクリームを塗り終えると、マントを羽織り。
愛しい使い魔の待つ部屋のドアを、開けたのだった。

「…あ、あの、シャルロットさん?」
「…たべて」
「はい?」
「…わたしを、たべて」

開けた先では、タバサが才人に向かってマントを広げて前を晒していた。
その白い肌には、黒いチョコレートソースでできた奇妙な文様が、わざと女の子の特徴を際立たせるように、塗られていた。
おなかの部分には、臍を避けるような楕円の位置に、スライスされたイチゴが並べられていた。
これぞ料理名『シャルロットのチョコレート風味・イチゴ添え』である。

「くぉらチビっこなにやってんのよぉぉぉぉぉぉ!」

ルイズの問答無用のラリアットがタバサをベッドに沈める。
一瞬で敵を判別したタバサが、関節を極めようとルイズに絡みつく。
させるものか、とマウントを取りにかかるルイズ。
期せずして始まったクリームとチョコまみれのキャット・ファイトに、才人は興奮を隠せない。
ヨダレを垂らして魅入っていた才人ははっと気付く。

「ちょ、お前らやめろって」

しかし、近寄ろうとした才人を、ちょうど両者が伸ばした足が蹴っ飛ばす。
イイカンジに顎に入った両足で、才人は一撃でダウンする。
しかし二人は気付かず、そして戦いは魔法合戦にまで発展する。
その戦いは傍らで気絶する才人を当然の如く巻き込み。
才人は一週間ほど、絶対安静を言い渡されたのである。
それ以降、彼が『クリスマス』について詳しく語ることは、ついぞなかった言う。〜fin

214 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/24(月) 21:50:28 ID:5OEhdsxl
やまなしおちなしいみなし!
たったの2レスの小劇場!思いつきで製作総時間たったの45分!

いやそのままエロに持っていこうかと思ったけどあんまり面白くないので削っただけとい(ry

じゃあカドヒロやって寝るのでノシ

215 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:11:42 ID:NUc1o116
>>214
リアルタイムGJ!!
ここまでやってエロ抜きとは、小一時間(ry
エロパート追加激しく希望っす!!

あと、特集追加への許可ありがとうございました。

>>210
わたしが書いたんとちゃうちゃう。209→206 なのね

216 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:13:52 ID:eigr0ny2
もうちょい待つべきだとは思うが、内容が内容だけにこれが本日最後とかになっちゃうと非常にアレなんで投下させてもらう。
なんてーの、甘いケーキにあえて生レバーを突っ込む人間も必要だと思うんだ、うん。

217 名前:きっとサンタさんが:2007/12/24(月) 22:14:40 ID:eigr0ny2

「ジングルベール、ジングルベール、すっずがなーる」
 歌ってみて気付いたことは、歌えば歌うだけ、ここは地球ではないと再確認して空しくなるだけだという事実だった。才人はため息を吐く。
「真っ赤なお鼻の、トナカイさんは」
 それでも止めることなく歌いながら歩いていると、不意に誰かに呼び止められた。
「あら、サイトさん」
「お、シエスタか」
 洗濯籠を抱えているシエスタに向かって、手を上げながら歩いていく。
「こんにちは、サイトさん」
 シエスタは笑顔で返事をしたあと、不思議そうに首を傾げた。
「さっきの歌はなんですか? 聞きなれないメロディでしたけど」
「ああ、俺の世界の歌さ」
 才人はクリスマスという習慣のことなどをシエスタに説明した。
「へえ。あちらでも、白銀の降臨祭のような祭事があるんですね」
「ま、そういうのはどこでも同じなんだろうな……っと」
 不意に背筋に寒気を感じて、才人はシエスタと会話を続けながらちらりと後方に目をやる。
 案の定、塔の影から顔を出したルイズが、凄まじい目つきでこちらを睨みつけていた。
(まずいとこ見られちまったかな)
 己の失策に内心ため息を吐きながら、才人は「それじゃ」と手を上げて無理矢理会話を打ち切り、ルイズの下へ向かう。
「よう、ルイズ。元気か?」
「またシエスタと楽しそうに話してたわね」
 第一声は恨みの念に満ちていた。才人は苦笑する。
「そんな大袈裟なもんじゃねえって。大したことは話してねえよ。お前こそ、何やってたんだ? その袋はなんだよ?」
 ルイズが右手に持っている大きな袋を指差しながら訊ねると、彼女はつまらなそうに答えた。
「宝物この中にあったマジックアイテムよ。虚無と関係ありそうなものがないか調べてみてくれって、ミスタ・コルベールが」
「へえ。すげーな、頼りにされてんじゃん。ちなみにどんなアイテムが入ってんだ?」
「遠くのものを映し出す鏡とか、主人の想像に応じて形を変えるアルヴィーとか、空飛ぶ絨毯とか……」
「統一性がねえな」
「そんなことより、シエスタと何話してたのよ」
 ルイズの眉がつりあがる。
「ずいぶん楽しそうだったじゃない?」
「疑り深いな。さっき話してたのはな」
 才人はシエスタに教えたことを、ほぼそのままルイズに教えてやった。
「へえ。じゃ、あんたの世界では、今日は恋人と二人きりで過ごす日なのね」
「まあ、家族と一緒って人も多いと思うけど」
「じゃあ、あんたはこの後ずっとわたしの部屋にいなさい。外に出ちゃダメよ」
「分かったよ」
 いろいろ言いたいことはあったものの、とりあえずそう答えて、ルイズと共に部屋に戻る。
 扉を閉めて鍵をかけた瞬間、ルイズは袋を放り出して才人に抱きついてきた。
「サイト、サイト……」
 こちらの胸が痛くなるような声を絞り出しながら、才人の胸に顔を摺り寄せる。
 背中に回された両腕に凄まじい力が込められているのを自覚しながら、才人は苦笑した。
「おいおい、どうしたんだよルイズ」
「だって、寂しかったんだもの。サイト、わたし以外の女の子とあんなに楽しそうに……」
 ルイズが目に涙を溜めて才人を見上げた。
「ねえサイト、わたしのこと好き?」
「当たり前だろ」
「シエスタよりも?」
「ああ」
「他の誰よりも?」
「もちろんさ」
 躊躇なく言い切ったが、ルイズは不安げに顔を伏せた。
「でも、わたしなんて可愛くないし胸もちっちゃいし性格悪いし編み物は下手だし何にも出来ないし……」
 ぶつぶつと呟き始める。

218 名前:きっとサンタさんが:2007/12/24(月) 22:16:04 ID:eigr0ny2
(またこのパターンか)
 最近ではすっかりお馴染みになったルイズの行動に、才人は憂鬱な気分になる。
 才人がルイズに気持ちを告げ、ルイズの方もそれを受け入れてから、幾ばくかの時間が過ぎていた。
 気持ちが通じ合ったためなのか、最近のルイズは己の弱さというべき部分を才人に曝け出すようになった。
 それは自己嫌悪であったり、他の少女たちへの嫉妬であったりした。
(愛情に飢えてた、ってことなんだろうな。俺がしっかり受け止めてやらんと)
 才人はそう解釈し、ルイズが何を言っても許してやろうという覚悟を固めていた。
 しかしルイズの被害妄想じみた思いは治まるどころか、徐々に高まっている感すらある。
「今日はシエスタと話してた、タバサと勉強してた、テファの料理食べてた……」
 奥底で火が燻っているような暗い目で、ブツブツと文句を呟くのである。
(俺を失いたくない、取られたくないってのは分からないでもないんだけどなあ)
 さすがにルイズのそれは少々行きすぎである。
 とりあえず今は何とか話をそらすことにして、才人はルイズを抱きかかえて、ベッドに腰掛けた。
「なあルイズ。クリスマスの話なんだけどさ」
「なに?」
 ルイズの興味がこちらに向いたのを幸いに、才人はクリスマスのことをあれこれと説明し始めた。
 町を歩く恋人達、通りや家々に飾られるもみの木、サンタさんが持ってくるプレゼント。
「サンタさんって、なに?」
「あー、良い子のみんなに望みどおりのプレゼントを運んでくる、赤い服着た白髭のおっさん、って言うか」
「そういう精霊がいるのね」
 ルイズは感心したように頷く。
 無論事実とはかなり違う解釈だが、いちいち訂正する必要もないと思ったので、才人は微笑ましくそれを見守る。
「サンタさん……良い子……望みどおりのプレゼント……」
 呟いたルイズが、
「ねえ、サイト?」
「なんだ?」
「わたしって、良い子?」
 ルイズはちょこんと首を傾げた。才人は内心苦笑しながら頷く。
「ああ、良い子なんじゃないか? 今年一年はずいぶんと頑張ったもんなあ、お前」
「そう、そうよね!」
 ルイズは顔を輝かせた。
「じゃあ、サンタクロースはわたしにもプレゼントを持ってきてくださるかしら?」
「うん?」
 才人は眉根を寄せた。
(俺の話が異世界の話だってのは分かってるはずだよな? それなのにサンタさんが……って……ああ、そうか)
 才人は合点がいって、にやりと笑った。
(要するに、俺から何かプレゼントをもらいたいってことなんだな? 可愛いこと考えるじゃないの、こいつ)
 そう結論付けて、才人は深く頷いた。
「ああ、きっともらえると思うぜ、プレゼント」
「わたしが一番欲しいものを?」
「もちろんだとも」
「そう、良かった」
 ルイズは満面の笑みを浮かべて頷いた。
「サイトがそう言ってくれるなら、わたし、心の底から信じられる! サンタさんは、きっとわたしの望みを叶えてくださるわ!」
 はしゃいだように言うルイズを見て、才人のほうも嬉しくなってきた。
(そうだ、今日は二人だけのクリスマスパーティをやるか。飾りつけして、歌でも歌って)
 少し馬鹿らしい気もするが、最近の沈みがちなルイズを元気付けるためにはうってつけの名案に思える。
 その思い付きをルイズに伝えると、案外あっさりと了承してくれた。
(他の女の子と遊ぶつもりじゃないでしょうね、とか言われると思ったんだけどな)
 少し疑問に思いながらも、才人は準備をすべく部屋を飛び出した。

 切ってきて加工してもらった小さな木を鉢に植えつける頃には、外はすっかり暗くなっていた。
「思ったより時間かかったなあ」
「そう? 大丈夫じゃない?」
 やけに機嫌のいいルイズが、にこにこしながら言う。
「あとは木に飾り付けをするだけね」
「そうだな。何を飾ろうか」


219 名前:きっとサンタさんが:2007/12/24(月) 22:16:58 ID:eigr0ny2

「大丈夫よ。飾りはわたしが用意するから」
「え? お前、そんなの持ってたっけ?」
「これから届くのよ」
 ルイズがそう言うのと同時に、部屋の外からかすかな音が聞こえてきた。
(鈴の音、か?)
 才人が眉をひそめるのと同時に、ルイズが「来た!」と叫んで思い切り窓を開け放った。
 身を切るような冷たい風が吹き込んできて、才人は思わず身震いする。
「お、おいルイズ、何やってるんだよ」
「サイト、見て!」
 ルイズは興奮した面持ちで空の一角を指差す。
「サンタさんよ!」
「はあ?」
 間抜けな返事をしつつ空を見て、才人はぎょっとした。
 サンタがいた。トナカイにそりをひかせた赤い服の老人が、笑顔で手を振りながら空を滑ってくる。
「な、なんだありゃ!?」
「サンタさんよ」
 ルイズはにっこりと笑う。
「わたしが良い子にしてたから、プレゼントを持ってきてくださったのよ」
「い、いや、ちょっと待てよルイズ」
 才人は混乱しながらも手の平を突き出して、彼女の話を遮った。
「あれは俺の世界の話で」
「ええ、そうね。でもわたし、サイトからサンタさんのこと聞いたから」
 ルイズは例の袋を指差した。
「あの中に、持ち主の想像を受けて形を変えるアルヴィーがいるって言ったじゃない?」
「ああ、そうだな……ってことは」
「そう。サンタさんが実体化するように、わたしの思いを込めたのよ」
「なるほどなあ」
 サイトは感心した。さすが魔法の世界。なんでもありである。
 滑空しながら徐々に近づいてくるサンタアルヴィーを見つめて、ルイズは興奮を隠しきれない口調で呟く。
「わたしのありったけの思いを込めたから、力も相当強いわ」
「へえ、そんなもんなんだ」
「うん。だからね、その強い力で、わたしが一番欲しいものを用意してくださったはずなのよ」
「そういや、ルイズが一番欲しいものってなんなんだ?」
 何気なく聞いたら、ルイズが顔をこちらに向けた。
 その瞬間、才人の背筋に悪寒が走った。
 ルイズの瞳が、今まで見たこともないような色を放っている。
 覗き込んでいるとこちらが取り込まれてしまいそうな、奥深い光だ。
「わたしが一番欲しいものはね」
 熱に浮かされたような声音。
「わたしとサイトの愛情を、永遠にしてくれるものなの」
「愛情を、永遠に?」
「そう。サイトがわたしだけを見つめてくれれば、きっと愛情も永遠になるから、ね?」
 小さく首を傾げたルイズが、再び窓の外に目を移す。夢見るような囁きが聞こえてきた。
「ねえサイト、サンタさんのプレゼント、一緒に木に飾りましょうね。ぶら下げるのにはちょうどいい大きさのはずだから」
「待てルイズ、一体」
「ああ、サンタさん!」
 そりに跨ったサンタアルヴィーが、窓のそばで停止していた。
 赤い帽子に白い髭、優しい笑顔の老人は、そりの後ろに積んでいた大きな袋を部屋の中に投げて寄越す。
 それは床に落ちて、妙に重く、湿っぽい音を立てた。白い袋の底から、赤黒い染みが広がっていく。
(まさか……いや、そんな馬鹿な!)
 猛烈に嫌な予感を覚えながら、才人は無我夢中で袋に飛びついて、結び目を解き始める。
 そして袋の口を開けたとき、見覚えのある黒い瞳と目が合った。
 ルイズが歓声を上げる。呆然とする才人の背後で、サンタアルヴィーが景気よく叫んだ。
「メリー・クリスマス! 良い子のルイズにプレゼントだよ!」

 <了>

220 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:18:52 ID:TKdsX6Oh
なんという生レバー
乙w

221 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:24:48 ID:NUc1o116
>>218
nice boat...
なんていうオチ。

ともあれGJ。

222 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:34:17 ID:+yCy/0eb
nice boat!

223 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:39:01 ID:C3ZZfg2C
>>216
素敵なクリスマスプレゼントだなぁ・・・ってオイw

224 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:40:24 ID:CtYmpSxQ
NICE BOAT!!!

225 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:42:29 ID:7q6mqAzX
GJ.
むーざんむーざん

226 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:51:20 ID:WPkVXjc0
>>219
ちょおおおおw
吹っ飛んでるよ病んでるよルイズ。

227 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:52:15 ID:5Zhu7zb/
……nice boat

228 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 23:05:38 ID:nl9D9twh
Nice boat.

229 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 23:34:44 ID:jbhd1Vm8
このSSでイヴの夜は更けるわけですね。
>>216
Niceboat.

230 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 23:56:10 ID:R1F1HgYe
Niceboat.GJ!
だが都合上、空気読まずに夜更け阻止投下。

クリスマスイブネタ。エロ無し。

231 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 23:57:04 ID:R1F1HgYe
「ちょ……ちょっとっ!何よ!なんなのよこれはっ!?」

 ルイズは目をむいて、ぶるぶると拳を震わせた。
 授業から部屋に戻ると、見知らぬ木が鎮座していたのだ。
 ルイズがわなわなと震えていると、後ろから才人の声だけが返った。

「ん、これ?クリスマスツリーって言うんだ」

 ルイズの叫び声もどこ吹く風。
 久々に見たそれに、才人はどうにも浮き足立っていたのだ。

「クリスマスツリィ??この木は……たしかサパンって木?」
「あぁ、ギーシュもそう言ってたな。俺の世界では、正しくはモミの木って言うんだ」

 手にきらきらと光る飾り物を持って、才人が木の後ろ側から出てきた。
 それを次々と枝に結わえていくのをルイズはほけっと見つめた。
 ただの針葉樹は、才人に飾られて部屋の彩りに変わる。

 しかし、木。……ただの木だ。才人は目を輝かせてそんなもんを見つめている。
 部屋に戻ったご主人様をちらとも見ずに木ばかり見つめるか。
 そんなにすきか。この犬はご主人様よりそのもさもさした木がすきなのか。
 ルイズは過ぎる時間と共にイライラしてきた。

「……で?ご主人様の部屋に土を無断で持ち込んだワケも説明しないつもり?」
「まあ、ちょっとまてよ。用意できたら教えてやっからさ」

 ルイズが睨んでも才人は意にも介さず謎の作業を続けた。
 しばらくして、五芒星の形の飾りを手にとった才人は「あ」と小さく声をだした。

「なぁルイズ、ちょっと頼むよ」
「なにをよ!!!」

 ようやくルイズの方を才人が向いたとき、ルイズの怒りは頂点付近に達していた。
 睨む眼力と声に思わず気圧され、うっと後じさったが、才人はめげない。

「ま、まあまあ。とりあえず、ほら、これ」

 手に取った五芒星の飾りをルイズの掌にのせた。
 ルイズは渡された意味がわからずにただその飾りを見つめる。
 そのうち視界が突然ぐらりと揺れ、宙高く浮いた。

「きゃああっ!?」
「わっ、暴れんな!落ちる!それよりほら、そこにのせてくれよ、それ」

 太ももの間に埋もれた黒髪を見てルイズは別の意味で悲鳴をあげた。
 腰で抱きあげ肩車されたのだと気づくのにかかったのは数瞬。
 ちょうど立ち上がろうとしたところで足をばたばたとされ、才人はたまらずによろけた。
 フラフラと壁に手をつき、才人は慌ててモミの木の突端を指差した。

「なによ。一番上?」
「そう」

 そうしない限り、降ろしてもらえないのだと理解して、
 ルイズは言われるままに五芒星を木の上に付ける。
 天井には着かないまでもそれなりに高い木の上、五芒星の飾りが誇らしげに輝いた。
 ルイズをあっさりと開放した才人は、うんうん、と嬉しそうにそれを眺める。

 先程までものすごく腹を立てていたルイズだったが、才人の笑顔に興味を引かれた。

232 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 23:58:18 ID:R1F1HgYe

「で、なにをそんなに喜んでんのよ?」

 才人はものすごく嬉しそうに懐かしそうにとけたような笑顔をルイズに向けた。
 ルイズはおもわずどきっとして、ぷいとそっぽを向く。

「今日って確かウィンの月、エオローの週、ダエグの曜日だろ?」
「そうね」
「俺の世界の日付に直すと、12月24日なんだ」
「……それで?」
「その日はクリスマスイブって言って、お祝いするんだよ」
「家族で、とか?」
「家族で祝うのはクリスマス当日だから、イブ、つまり前日は」
「前日は?」
「前日は、えっと…………や、やっぱやめた。なんでもない」
「はぁ??」

 話の途中で突然くるりと背を向けた才人にルイズは「はぁ?」と怪訝な顔をした。

「ちょ、ちょっと。なによ。気になるでしょ、そんな半端な説明じゃ!
 別にあんたの世界に興味なんて無いけどその話の切り方じゃ気になるわ!」
「い、いいんだよ、興味ないならいいじゃねぇか!ほっとけ!」
「イヤよ!アンタ変だし!」
「変で結構でごぜーますよご主人様っ!」



「……サイト、君ってヤツはいざってとこで根性がないなぁ」
 扉の外で聞き耳たてるギーシュがぽつんとつぶやく。
 立役者の役得とばかりに扉の隙間からこっそり見ていたのだが、
 才人がそれに気づいて説明を止めた事をルイズもギーシュも知らない。

 あくる日の水精霊騎士隊の訓練では、
 なにやら機嫌の悪い副隊長が隊長をぼこぼこにしていたという……

233 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 00:02:00 ID:R1F1HgYe
以上。ネタ的にイブじゃないとアレなんで時間がギリギリで慌てすぎた。
ついでに慌てすぎて投下量書き忘れた。

後を濁しまくってスマナイ。

234 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/25(火) 00:15:08 ID:1upB5H7C
>>233
GJ! ところで名無しの職人さんですか?


住人のみなさん、メリー・クリスマス!!

というわけで、お約束のクリスマスSS投下っ


【表題】聖なる夜に 〜ニャンともハッピィなぷれぜんと
【糖度】劇甘(エロあり)
【人物】ルイズ
【備考】前フリ話→http://wikiwiki.jp/zero/?24-440 
【レス数】 6


235 名前:聖なる夜に 〜ニャンともハッピィなぷれぜんと(1/6):2007/12/25(火) 00:17:18 ID:1upB5H7C
(容量の関係上、タイトルコール用AA省略)

ヤラの月のタエグの週。
トリスティンの街中は華やかな雰囲気に包まれていた。
始祖ブリミルの降臨祭。
街の目抜き通りの木々には、魔法で作られた光の球で煌びやかに彩られているのだった。

ルイズとサイトの二人は、そんな街に繰り出している。
昼間は以前行った事のあるタニアリージュ・ロワイヤル座へオペラを観劇した。
そして今は日も暮れて、空には双月がやさしい光で街を照らしている。

サイトは街でそこそこ人気のある小洒落たレストラン『ノルニル』に予約を入れていたのだった。
あんたにしちゃ気が利いてるじゃない。彼女は片目をつぶってサイトに笑みをみせた。

「「乾杯」」
二人はグラスを合わせた。

メイジと使い魔という関係上、一緒に過ごすことが多い二人だったが、
最近になってルイズはアンリエッタの女官としての、サイトは水精霊騎士隊の副隊長としての仕事が
それぞれ忙しくなって、なかなか二人っきりになる機会がないのだった。

一緒にいない――その時間は、ルイズにとってもサイトにとっても
相手がどうしているのかが気になる時間となっていた。
別に付き合っているわけではないけれど、
どこかの男に、どこかの女に言い寄られてはいないかと気が気ではないのである。

今日のこの特別な日にお互いに秘めた考えがあるのだった。
そんな秘め事を実行する"きっかけ"をこの食事のおしゃべりの中で
お互いが探り合っているもんだから、ふたりの間にはぎこちない空気が漂っている。

「「あの」ね」
きっかけを作ろうと口火を切ろうとすると必ずかぶってしまうのだ。
そして、次の句は、
「「なんでもない」の」
となってしまう。

そんなやりとり?が何回か繰り返された後、ついにルイズがきっかけをつかんだ。
「サイト。この後・・・どーする?が学院に帰っちゃう?そ、それとも―――」
彼女の小さな胸の鼓動が速まった。彼女は小さく深呼吸してから次の言葉をつないだ。
「お泊りしたい?」

サイトは緊張のあまり喉がからからなので、水を小刻みに飲んでいた。
この彼女の一言の瞬間に水が別なところに入ってしまった。
ゴフォっ。彼は思いっきりむせた。

「だだだだいじょーぶ!!?」
ルイズは立ち上がると、花柄のワンポイントの入った淡いピンクのハンカチを取り出して
彼の口元を拭いてあげたのだった。
そしてまだ苦しそうに俯く彼を覗き込みながら
「ごごごごめんなさい。へ、へんなこと言っちゃったよね」
そういって、罰悪そうに眉をハの字にしてしょげていた。

そんな彼女にサイトはなぐさめるように言った。
「そんなあやまんなって。ルイズ。実は俺もおまえにお願いがあったんだ」
彼の言葉にルイズの表情は魔法がかかったようにパァッと明るさを取り戻した。
「そそうなの!?なになに早く言って。今日はなんでもゆーこと聞いたげるんだから」


236 名前:聖なる夜に 〜ニャンともハッピィなぷれぜんと(2/6):2007/12/25(火) 00:18:27 ID:1upB5H7C
彼女の嬉しい一言にサイトはこう切り出した。
「今日この日のためにルイズに服を買ってきだんだ。それを着て欲しいんだよ」
彼女の顔がますます輝いたのは言うまでもない。
そんなルイズの満面の笑みをサイトはまぶしく見つめ、さっきの彼女の問いかけの答えを言った。
「今日は泊まろうな」
「うんっ!」
期待通りの答えに彼女は大きく頷いた。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

なんとお泊りするとこは彼女がとっていた。
レンガ造りの宿『フレイズ』。宿の入り口には可愛らしい飾りが施されている。
「ルイズの趣味にぴったりなところだな」
サイトは彼女の手を引きながら話しかけた。
ルイズは彼を見上げてにっこりと笑い、きゅっと彼の手を握るのだった。

25号室のキーを宿の主人からもらい、ふたりは部屋の前までやってきた。
「あ、あの。あのね。ほ、ほんとにいいの・・・よね」
「『お泊り』するんだろ」
ルイズの背中をポンと押し、サイトは彼女を部屋へと招きいれた。

ひろっ。彼は部屋に入るなり驚きの声を上げた。
学院のルイズの部屋よりももうふた回り広さがある。
部屋には木の彫刻が施されたベット2台、鏡台などの年代物の調度品が備え付けられており、
さらに部屋の中央付近にはテーブルとソファがあって、テーブルの上には葡萄酒とグラスが置いてあるのだった。

早速ふたりは葡萄酒をグラスにつぎ、2度目の乾杯をした。
サイトは頬を赤らめながらグラスからちびちび飲んでるルイズから少し視線をはずし、窓のほうを眺めた。
外はちらりちらりと小雪が舞い始めていた。
雪かぁ。彼のつぶやきを聞いて、ルイズは彼の目線の先を見やった。
「ホワイトクリスマスだな・・・」
感慨深げな言葉がサイトの口からこぼれた。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

「ホワイトクリスマスってなに?」
「んー。雪が降るクリスマスってことなんだけど・・・」
「じゃぁ、『クリスマス』って?」
ソファーに深く腰掛けて足をぶらぶらさせながらルイズはさらに聞いてきた。

「もともとはキリストっていう人の誕生を祝うことが始まりっていうけどな。
日本じゃ季節の風物詩になってる。あと・・・」
一旦言葉をそこで切るとルイズをちらちら見ながらさらに続けた。
「――恋人・・・っていうか好きな人と一緒に過ごすやつも多い・・・かな」

ルイズは彼の最後の言葉に目を細めて、聞き返した。
「ふぅ〜ん。サイトってその『クリスマス』って日に"好きな子"と一緒に過ごしたことあるわけ?」
「ないない。俺はイベントには縁遠いオトコノコなのでした」
サイトはボフッとソファーにもたれかかって天井を見上げた。

ルイズは彼の返事に内心ホッとしつつ、最近の状況についてカマをかけてみる。
「じゃぁ。最近はどーなのよ。回りの女の子のサイトを見る目が変わってきてる感じがするんだけど。
ま、さ、か、私のイナイ間にイチャイチャしてるんじゃないでしょ〜〜ねぇ」

237 名前:聖なる夜に 〜ニャンともハッピィなぷれぜんと(3/6):2007/12/25(火) 00:19:44 ID:1upB5H7C
ルイズの言葉にサイトもちょっとカチンときたので言い返す。
「お、おまえこそ、俺が水精霊騎士隊の訓練してるときに知らないヤツとじゃれ合ってんじゃないのかよ」
「そ、そんなことするわけないじゃないっ」
「お〜。真っ赤になるってことは、ア・ヤ・シ・イな。まぁ、天下のラ・ヴァリエール家のおじょーさまだし、
オトコの一人や二人いたってふつーなんだろーなぁ」
「ちがうもん。いないもん。ほんとなんだからっ」
手元にあったクッションで彼をぼすぼす叩くと、ルイズは目に薄っすら涙をためて、う〜っとうなってしまった。

「サイトも・・・大丈夫なんだよね。他の女の子とイチャイチャしてないのよね」
彼女は持っていたクッションを抱きしめる。
「・・・おまえこそ俺を信じろっての。俺はルイズが好きって言ってるだろ。
・・・おまえはど、どーなんだよ。俺のことどう思ってんの」

「す・・・」
「スキ?」
「ちちちちがう、ちがうの」
ルイズは首を横に振った。姉たちに結んでもらった三つ編みがぶんぶん揺れる。
「ちぇ、やっぱキライなのか」
「そ、それもちがうもん」
「えー。じゃどっち?今日くらいホントのこと教えてよぉ」
サイトはそばのクッションを自分の顔にバフンと押し当てた。

ルイズは顔を真っ赤にして答えた。
「『好き』。でも今日だけなんだもん。あんたとこのクリスマスっていうのをやってみたく
なっただけなんだもん。ああ明日はだめ。だめだもん。昨日もだめ。
とにかく今日だけサイトのこと好きってことにしといてあげるんだもん。」
そして最後にこう付け加えた。
「――だから今日はサイトのいうことなんでもしてあげるの」

ルイズの最後の言葉に後頭部を打ち付けられたような衝撃をおぼえた。
そしてその一言が、彼が秘めていた考えを切り出すきっかけとなったのだ。
+++
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

「な、なぁルイズ。さっき言ったおまえに着てほしくて買ってきたものってのはさ・・・」
ルイズの真っ赤なバラ色に染めたほほがさらに赤みを増した。
彼はごそごそとパーカーから紙袋を取り出し、ルイズに手渡した。
「なにが入ってるの?あけていい?」
彼女の問いになぜかサイトのほうがほほを赤らめて頷いた。

ガサガサ・・・彼女の手には真っ赤なふさふさした長い紐のようなものが握られていた。
取り出した紐のようなものをテーブルに置くと、さらに紙袋をあさる。

ゴソゴソ・・・今度は真っ赤でふさふさな着る物らしいものをつかんでいた。
それもテーブルにさっきのと並べて置いた。

カサカサ・・・最後は真っ赤でふっさふっさな動物の耳のようなカチューシャを持っていた。

コトリ。
テーブルに動物の耳型のカチューシャ、たぶん隠れるところが少ないであろう着る物。
そして最初のは動物のしっぽだろうか。

「これ、着たらいいの?」
彼女はテーブルに並んだものとサイトを交互に見て言った。

「いや・・・ならいいんだけど」
「ううんっ。着る。着るわ。きょ、きょうはサイトの何でも聞いたげるの」
ルイズは首をぶんぶん横に振って、目の前のものを取り上げた。
「――でも。着替え見られるのは・・・やなの。」
彼女は自分の桃色の髪の先をいじりながら彼に向こうを向いてるようにお願いした。

238 名前:聖なる夜に 〜ニャンともハッピィなぷれぜんと(4/6):2007/12/25(火) 00:20:48 ID:1upB5H7C
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

サイトの背中でルイズが着替える音が聞こえる。
ちなみに彼女の今日のおめかしは、2本の三つ編みに結いあがった髪に黄色のカチューシャ、薄紅色のワンピースと赤いブーティだった。
そして首には初めて彼がプレゼントしてくれた、貝殻の回りに宝石が散りばめられた真っ白なベンダントをはめていたのだ。
衣擦れの音に彼の心臓が増していく。
彼がひとりのときに街へ繰り出してかったあの代物(きりふだ)を今彼女が身に着けている。

ルイズが着ればどのようになるかなんては、彼の頭の中に完璧にイメージができてしまっている。
だからなおさら、それが背後に現実化されようとしていることに興奮せずにはいられないのだ。

「サイト。目を閉じてて」
彼は目を閉じた。彼女の気配が背後から消え、目の前に現れた。

「目、開けていいよ」
サイトは目前のルイズの姿を見る。頭の中のイメージが見事に現実となっていた。

隠すところといえば胸と大事な部分くらいなふさふさな衣装。
そのお尻からは、先ほどの長いシッポ状の紐がついており、先っぽはきれいにくるんと丸まっている。
大きめな耳をつけた桃色かかったブロンド髪には2本の三つ編みが変わらずぴょこんとついている。

「ねぇ、サイト。わたしの髪下ろして」
ルイズはくるりと背を向けた。
可愛らしさと少しの色気を含んだうなじがサイトの目に飛び込んだ。
サイトは生唾を飲みつつ、ルイズの右側の三つ編みを止めていたリポンを解く。
そして、編み目の根元に人差し指を差込み、結われた髪を優しく撫で下ろす。
彼女の柔らかくさらりとした髪がサイトの指に絡みついた。
同時にふわっと彼女の匂いがサイトの鼻腔をくすぐった。

2本の三つ編みが解かれた彼女の髪はいつもよりもウェーブがかかって綺麗だ。
サイトは思わずルイズに覆いかぶさるように抱きすくめた。

あ・・・。短い驚きの声をルイズは上げたが、すっと背中をサイトに預ける。
そして、自分を抱きすくめている彼の両手にそっと手を添えた。
大切な彼に抱きしめられた幸せをルイズは瞳を閉じて噛みしめる。
こんなわたしを好きになってくれて、ありがと。彼女は心の中でつぶやいた。

サイトは頭ひとつ小さな彼女の温かさと少女と女性の入り混じった匂いを感じていた。
こつんと彼は彼女の頭に顎を乗せ、きゅっとちょぴりつよめに抱きしめた。
愛しい異世界の俺のご主人さま。男の性で余所見はするけど、俺の気持ちはおまえだけ。
サイトは心の中でつぶやいた。

髪をまとめ直すから・・・そう言って、名残惜しげにルイズはサイトの手を解いた。
そして髪をポニーテールに纏め上げる。
きゅっとポニーテールの根元をリボンで止めた。そして、あの言葉をサイトに言おうと心に決めた。

彼女は以前に似たような衣装を自分で作って着たことがあった。
そのときの格好は、予想を裏切って彼以外の衆目にさらさられてしまった。
こともあろうに彼に放つはずのとっておきの言葉も彼以外に言ってしまっていた。

そのことを思い出させる一品を彼女は今、彼だけの目の前で着ている。
今日はサイトの言うことを聞いてあげるんだから。
彼女は、言いそびれてしまったとっておきの言葉をサイトへ放った。
「きょ、きょ、きょうはあなたがあたしのご主人さまにゃんっ」
ポーズも猫っぽく手首を曲げ、顔の前にもっていき、片足もぴょこんとあげてみたりしたのだ。


239 名前:聖なる夜に 〜ニャンともハッピィなぷれぜんと(5/6):2007/12/25(火) 00:22:19 ID:1upB5H7C
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

「ルイズ。似合ってる!イメージ通りだ、かわいいよ!!!」
サイトは興奮してルイズに拳を出して親指を立てた。
そして、彼は意味ありげに薄く笑みを作るとルイズに言うのだった。

「きょ、今日は何でも聞いてくれるんだったよな。な何でも。」
その言葉に彼女は何かを感じてビクッと全身を震わせた。
「うん。いいの」

彼女の返事に彼は即座に反応した。
「じゃぁ、これからは返事は『にゃん』だけ。いい?」
「う――にゃん」
「もー一回」
「にゃん」
「おりこーさんだね。で、猫ちゃんは2本足では歩かない。」
「にゃん」
ルイズは四つんばいになった。耳までパラ色に染め、彼を上目づかいに見上げる。
「こ、これからどーすればいいの・・・ですか・・・ごごしゅじんさま」
サイトはにやりと笑みをたたえ、猫ルイズに命じた。
「じゃぁ、そのままベットまできてもらおうかな」
「にゃん」
そういうと、彼女は立ち上がりかけた。
「ルイズ。いま君は猫ちゃんなんだから、四つんばいでおいで。」
「に、にゃん」
彼女は、慣れない姿勢でひょこひょことはっていく。
その度にお尻に生えたシッポが左右にふりふりと動く。

その姿にサイトは心の中でルイズありがとうっ!と叫んだ。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

広い部屋の中、やっとのことでベットまでたどり着いた彼女の息は少し荒くなっていた。
「ハァ、はぁ・・・にゃん」
サイトはしゃがんで彼女と目線を合わせ、猫耳のついた頭を優しくなでた。
「おりこうさん。」
さらに彼は続けた。
「じゃ、こんどは俺にご奉仕してもらおうかな」
「にゃ?」
ルイズは首をかしげたが、彼が自分の目の前に腰掛けたことで
彼が何を期待しているのかが分かってしまった。

彼女は彼のズボンのジッパーに手をかけようとした――そのとき、
「ルイズ。猫ちゃんはおててを使っちゃダメだ!」
”ご主人様”からの言いつけにルイズはビクッとして手を戻した。
そして、今度は自分の顔を彼の股間に近づけた。
カリっ。彼女はジッパーを噛む。
ジ、ジ、ジ・・・ジー。顔を動かしてジッパーを下げた。


240 名前:聖なる夜に 〜ニャンともハッピィなぷれぜんと(6/6):2007/12/25(火) 00:23:17 ID:1upB5H7C
ひゃっん。ルイズは、ジッパーを下げたと同時に飛び出てきたモノに面食らった。
彼のモノは、魔法でもかかったかのように屹立し、びくんびくんと脈打って動いているのだった。

サイトの顔をちらりと見ると、ニヤと笑い返された。
彼女は小さなピンク色の舌を出すと、モノの根元の方からちろちろと舐めはじめた。
根元から先の方に向かってゆっくりと舐め、雁首までたどり着いた。

猫ルイズがその首の襟元をぴちゃぴちゃ舐めまわすと、”ご主人様”の口から吐息がもれ始めた。
そして、彼女の舌が雁首をちろんと舐めあげた。
う・・・ぁ。彼の声が零れた。
彼女は普段では聞けないその声に頬を赤くした。さらに舌で彼の雁首を責め回す。
彼の息遣いが激しくなったのを見計らって、口に含んでした全体を使ってこねこね転がすことにした。
調子にのって、上下に左右に頭を動かしてみる。

今度は彼の手がルイズのシッポの付け根あたりをまさぐり始めた。
サイトの中指が彼女の会陰に触れた。
ゃぁん。ルイズは銜えていたモノを吐き出すように息を漏らした。
負けないもん。彼女は再びサイトの一物を口にした。
ちぅぅぅ。彼女が彼を吸い上げる。彼の手が止まる。
がしかし、彼の手は再び彼女の後ろを親指で、会陰を人差し指、前を中指で責める。
あ・・・は・・・っ
彼女は負けじと彼の雁首をねっとり舌で責め続けた。
うぅ・・・
あぁ・・・・
・・・あっっ!!!
コボッ。彼の白濁した液体がルイズの口中に放たれた。

彼女はそれを一飲みにすると、彼のほうを見上げた。
サイトはばたりとベットに倒れこんでいたが、肩で息をしながらルイズに言い放った。
「今度は―――上に乗るんだ」

ルイズは、サイトの足の方から彼に跨るように四つん這いでベッドに上がった。
彼がルイズの股の部分の布切れをずらすと、彼女はゆっくりと腰を沈め、自分の膣に彼の陽物を取り込んだ。
にちゃ。淫猥な音が耳介に触れる。
彼女は、彼の胸に両手を置き、ゆっくりと腰を動かしはじめる。
ぬち。ぬちぃ。ぬゅちゅり。お互いの体液が入り混じる音に興奮が昂揚してくる。
猫耳としっぽをふわゆら揺らしながら彼女は彼の上でダンスする。

「ごしゅじんさまぁ。るいずは、るいずはぁっいけないこなのぉ〜!!」
「ルイズ。ルイズ。ルイズ・・・」
どちらからというでもなく、二人は手を取り合った。

「ももももうぅ。らめぇ。らめなろぉぉっ」
「う・・・あ・・・っ」
二人の身体が同時に撥ね、ルイズはサイトに重なるように倒れこんだ。

・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
窓の外は雪が舞い続け、トリスティンの街並みを純白に染め上げていた。
雪景色を二人で見上げながら、ルイズは彼に最初に言った"ウソ"を訂正したのだった。

「今日だけじゃないんだもん。これからも。ずっと。あんたのこと『好き』だもん。
この『好き』って気持ちをサイトにプレゼントしたげる―――にゃん」

「メリー・クリスマス」
サイトは彼女のプレゼントのお礼をその一言に込めて、
ルイズにやさしいキスをプレゼントするのだった。

♪Fin♪

241 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/25(火) 00:25:38 ID:1upB5H7C
以上です。

それではおやすみなさい。ノシ

242 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 00:35:07 ID:3ABtFdGM
>>241
GJ!&MerryCristmas!&俺もおやすみなさい。ノシ

あ、自分は155が初投下でまだ不慣れな「職人(Lv.見習)」です。

243 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 00:57:06 ID:IYfowigM
>>241,233,214,206,199,191
ごちそうさまです!ええぃ、まとめてGJ!!

>>219
なんというヤンデレwwwGJです

244 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 01:22:09 ID:VsaEAItP
http://www48.tok2.com/home/weusd/up/up1523.jpg

245 名前:284 ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:14:49 ID:pNbIqfGW
まだだっ! まだクリスマスは終わらんよっ!
…えと、セーフですよね?
クリスマス特集、飛び入りということでヨロシコ。



246 名前:聖夜? いいえケフィアです ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:15:29 ID:pNbIqfGW
「ん……ふあぁ……あ」
 いつもと変わらない日差しと、いつもと同じような朝独特の身を切るような冷たさが、
身体を起こした才人の顔を撫でる。
 ぶるる、と身震いを一つ。
 隣に寝ているはずのルイズを起こすために横をむこうとして、初めて才人は日常とかけ
離れた情景を目の当たりにすることになった。
 確かにルイズは隣にいた。しかし、その隣にタバサまですやすやと寝息を立てていたの
だった。
 反対側には才人に近い順にシエスタとティファニアが。
 そして全員何もつけていない。
 そもそも全員ベッドにすら寝ていなかった。
 基本的に床に雑魚寝である。才人が風邪をひかなかったのが不思議なくらいだった。
「あーそっか。そういや昨日……っうおお、身体がっ………!」
 ちなみにその寝ていた床にはおびただしいほどの酒瓶やら何やらが散乱している。
 なぜルイズの部屋がこんな惨状にになっているのか。
 話は先日の夕方にさかのぼる―――――――。


247 名前:聖夜? いいえケフィアです ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:16:15 ID:pNbIqfGW
「は? くりすます? なにそれ」
 事の始めは才人が中庭で日課の素振りをしていた時、ルイズが大量の荷物を持って寮へ
走っていくのを見かけて、こっちにもクリスマスみたいな行事があるのか? と聞いたこ
とが原因だった。
 当然のことながらハルケギニアに「クリスマス」などというものは存在しない。
 よってルイズの反応は当然のものであった。
 つまり、ルイズが次に起こす行動も至極当然のもので。
「何よ、「くりすます」って。面白そうじゃない」
「ん〜、起源やらなにやらは全く詳しくねぇんだけど……自分のいた世界だとな」
 才人は日本における才人にとっては忌むべき行事とも言える内容をかいつまんでルイズ
に説明した。
「ふ〜ん。要するに家族とかこ、ここ、恋人同士とかでドンちゃん騒ぎをする日なのね」
「本来としてはだいぶ誤解があるような気がしないでもないけど、まぁそんなとこかな」
 ルイズはしばらく逡巡していたと思うと、その場に荷物を置き詰め寄るように才人に接
近する。
 その顔が赤いのは恐らく寒さのせいだけではないのだろう。
「じゃ、じゃあ!! きょ、今日がその、くりすますってことにしない?」
「はぁ?」
「――――――っ! だから! きょ、今日はその、くりすますだからっ! い、いい、
い、いいい、一緒に過ごすの!」
「いや、いつも一緒……」
「うるさい! とにかく今日は二人っきりで過ごすんだかんねっ! どこにも出掛けない
事! いいわね!?」
「あ、ああ」
 才人の返事を聞いていたのかいないのか、ルイズはさっさと寮へと戻っていった。


248 名前:聖夜? いいえケフィアです ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:17:17 ID:pNbIqfGW
 さ、才人と、ふ、ふふ、二人きりで……! ま、まずは身体を洗って、それからそれか
ら、ブ、ブリミル様にお許しを貰って……ってわ、私は別にそんな事したくないのよ?!
で、でも、あのバカエロ犬が迫ってきたら逃げられないっていうか、仕方ないっていうか!
 …もしも! もしもの為なんだから!
「……さっきから何をニヤニヤぶつぶつやってんですか、ミス・ヴァリエール」
「……はっ! シ、シエスタ?! い、いつの間に?」
「いつの間にも何も最初からいましたよ」
 ルイズが後ろを振り向くとシエスタが洗濯物をたたんでいた。
 ルイズが入ってくるなり服を選び始めたり、ベッドを整頓し始めたりとなんだか面白か
ったので、黙ってみていたのだ。
「で、またなんか企んでるんですね?」
「な、なんのことかしらぁ?!」
「声が裏返ってますよ、ミス・ヴァリエール。さあ、洗いざらい話していただきます」
 ルイズの野望、早くも崩れる。

「へぇ…くりすます、ですか」
「才人の世界の話らしいんだけど……」
「ひいおじいちゃんからはそういうのは何にも聞いていませんね…」
「あら、そうなの」
「ええ。そんなに昔からのものではないのかもしれませんね。…そんなことより、面白そ
うですし、早く支度しちゃいましょ」
 シエスタは言いながらささっと洗濯物をたたみ終わると、すくっと立ち上がった。
「とりあえず料理が必要ですね。ワインとチキン、ケーキでしたっけ?」
「え、ええ。サイトはそう言ってたけど……」
「なら、とっとと厨房からくすねてきちゃいましょ♪」


249 名前:聖夜? いいえケフィアです ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:17:59 ID:pNbIqfGW
 所変わって、ここはモンモランシーの部屋。
「よし、今度こそは……! これをギーシュに飲ませれば、きっと……」
 性懲りも無く惚れ薬を作っているようだった。
 出来上がった、青みがかった緑という幻想的な色をした薬をビンに入れ、モンモランシ
ーは外に出て行った。
 
「ったく……荷物置いていっちまったじゃねぇかルイズの奴」
 ブツブツ言いながらも才人は荷物を抱え上げ女子寮の方へと荷物を届けることにする。
「よっと……お、意外と重いな」
 言ってくれりゃあ運んだのに。と才人は思いつつ、両手抱えで荷物を運んでいく。
 意外と多い荷物で視界が塞がれていたせいで、向こうから走ってくる人影には気付かな
かった。
「ギーシュは何処に――――っきゃあっ!?」
「おわっ、わ、わりい! …っと、だ、大丈夫か? モンモン」
 才人とモンモランシーは女子寮の前で交錯する。
 その弾みでモンモランシーの持っていた惚れ薬がすっ飛んでいき、中身が中庭にぶちま
けられてしまった。
 水銀のような液体が土にしみこまずにプルプルとゆれている。
「モンモンって呼ぶな!! いったー……あ、あれ? 薬は?」
「薬? 何のことだ?」
「あ、ううん! なんでもないの! ……あ〜あ、もう一回つくりなおしかなぁ…」
 そういうと、モンモランシーはとぼとぼと女子寮の方へと戻っていった。
「な、なんだったんだ?」
 まぁいいか、と才人も荷物を抱えなおして、寮へと消えていく。
 そこに、トコトコと一羽の鶏が歩いてきた。
 草をついばみながら、こぼれた薬のところへと近づいていく。
 興味を持ったのだろう。鶏はプルプルとゆれている薬を何度か啄ばみ、もと来た方へと戻っていった。
 調理場のほうへと。


250 名前:聖夜? いいえケフィアです ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:18:40 ID:pNbIqfGW
「さて、まずはチキンの方を何とかしましょうか」
「何とかって何処にあるのよ?」
「今から捕まえに行くんです。あ、ミス・ヴァリエールはここでお待ち下さい」
 そう言うとシエスタは厨房から姿を消した。
 そうなるとルイズは一気に手持ち無沙汰である。
「詰まんないの」
 ルイズは暇を持て余して、厨房の外で日向ぼっこをしていた。

「……ル……ミス・ヴァリエール!!」
「ふにゃ?!」
「まったく何寝てるんですか。料理、全部作っちゃいましたよ」
「え? も、もう? チ、チキンは?!」
「丁度厨房の近くにいましたから、そいつを使わせていただきました。多分脱走でもした
んでしょうね。さ、運びますよ」
「…ん、うん」
 二人でいくつかの料理を運んで女子寮へと戻っていく。

「なんだ、二人とも何処行ってたんだよ」
「み、ん、な、でパーティをしようと、ミス・ヴァリエールが」
 シエスタはやたらと皆の部分を強調し、それに反応したルイズが睨むが、シエスタはそ
んなの何処吹く風だ。
 言いながらてきぱきと料理を机の上に並べていく。
「クリスマスパーティか……懐かしいな」
 才人がしみじみとしていると、不意に扉がノックされた。
「ん? 誰だ?」
「あ、あの、あたし、だけど……」
「なんだテファか。入ってきなよ」
 ゆっくりとドアが開き、エルフの耳をした少女、ティファニアが入ってくる。
「う、うん。珍しい果物見つけたから……って、何でこんなに料理が?」
「ん? ああ、今からパーティやるんだとさ」
「へぇ…」
 テファはこういうのしたこと無いのかもな…。とシエスタの作ったご馳走を目の前にし
て感嘆の声を漏らしているティファニアを見て、才人は思った。
「どう、一緒に?」
「「んなぁ?!」」
 寝耳に水と、ルイズとシエスタは才人のほうに勢いよく振り向いた。
「いいの?」
「大勢でやった方が楽しいしさ。……ついでにタバサもどう?」
 才人のその一言に才人以外の三人はドアのほうに向き直る。すると、小さい身体には不
釣合いなほど大きな杖をもったタバサが手に数冊の本を持って立っていた。
「……………」
 返事こそしなかったものの、こくんと小さくうなずいて部屋の中に入ってきた。
 そして本をベッドに置くと自分もその隣にちょこんと座った。
「……ったく、あ、ああ、あ、あのバカ犬がぁぁぁあああああああ……!」
「まあまあ。もうこうなったら仕方が無いじゃないですか」
 乗馬用の鞭を握り締めて震えているルイズをシエスタがなだめ、椅子に座らせる。
 ともあれ、パーティは始まった。


251 名前:聖夜? いいえケフィアです ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:19:51 ID:pNbIqfGW
 一時間ほどたって、ほぼ全ての料理とワインが片付き終わっていた。
「ふぅ……意外と楽しかったんじゃない? ひっく」
「飲みすぎだぞ〜ルイズ。顔真っ赤じゃないか」
 既に椅子は隅に片付けられ、花見のように床に座っての宴会の様相を呈していた。
 それぞれ多かれ少なかれ酒が入っているようで、皆薄っすらと頬に朱がさしていた。
「えへへぇ……サーイトォ」
 その中でも特に赤くなっているルイズが、才人の腕にまとわり付いてきた。
「おわっあんまりくっつくなよ、ルイズ」
「や〜らぁ、はなれらくらいのぉ……」
 ん? ルイズって酔っ払うとこんなんだっけか? いや、何かこの感じはどっかで見た
ような…。と才人がいぶかしんでいると、ルイズが突然抱きついてきた。
 急のことにバランスを崩した才人はルイズもろとも後ろに倒れる。
「どわあ!? な、なんなんだよ、いきな……んむ?!」
「ん〜ちゅっ…ん、ふぁっ…サイト、だーいしゅきぃ……」
 才人が身体を起こそうとするとルイズが唇を合わせてきて起き上がらせない。
「あぁ〜、ミス・ヴァリエールばっかずるい〜」
「サイトォ……なんか、身体が熱いよう…あう〜」
 そうしているうちに、シエスタとティファニアも才人ににじり寄ってくる。
 分かった! これ惚れ薬だ! でもなんで……と思考をめぐらせるが一向に答えは出てこなかった。
「ま、待てって……って、ちょタバサ?! なにして…!」
「………サイトの」
 ルイズに押さえ込まれ、脇からシエスタとティファニアにまで抱きつかれて身動きが取
れなくなっているところに、タバサが器用にズボンを下げ、才人の一物を引きずり出して
いた。
「サイトの……匂い…あむ、れろ、ちゅっ……」
「うわお! タバサ、やめっ…」
 タバサは取り出した一物をためらいも無く口に含むと、満遍なく舐り始めた。
「すごっ……うっ、くあっ」
 伝わってくる刺激に、最初は小さかった怒張もすぐに大きくなり、高く屹立するように
なった。
「んぶっ…ふあ、サイト…こんなに…大きく…口、の、なか、はいんなっ……」


252 名前:聖夜? いいえケフィアです ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:21:06 ID:pNbIqfGW
「サイトさん……私も、もう、我慢できません…」
 シエスタもタバサに乗せられるように才人の手をとって自分の秘所に擦り付け始めた。
 既にそこは弄る必要が無いほどに蜜を溢れさせていて、才人の手を擦り付けるたびにぐ
ちゅぐちゅといやらしい音を奏でる。
「んっ、はぁっ、あんっ、んあぁ……サイトさんの、手、気持ち、いいですぅ…ふぁっ」
「シエスタさん…気持ちよさそう……サイト、あたしも……いい?」
 口調こそ質問調であったが、全く返事を待たずに、ティファニアもシエスタと同じ行動をとり始めた。
 左右から淫靡な声が聞こえる中ずっと唇を貪っていたルイズもようやく口を離し、才人と瞳をあわせた。
 が、その顔はどこか不機嫌なように見えた。
「ル、ルイズ? な、なんだよ……おうぅ」
「ずるい……」
「は?」
「皆ばっか気持ちよくなって、ずるい。ねぇ犬? こういうときはご主人様を一番始めに
気持ちよくさせるものなんじゃないの?」
 んな、理不尽な。と言おうとした才人の口にルイズの下半身が突然覆いかぶさってきた。
「ほらぁ、サイトぉ……早く、ご主人様を気持ちよくさせなさいよお…」

 ここで、才人の理性が切れた。いや、むしろ才人にしては良くもった方なのだろうか。
 そもそも、少なからず才人も薬の影響があるはずなのだ。
「じゃ、じゃあ…れろ、んん……なんだ、もうべちょべちょじゃん」
「や、やぁっ…しゃべんないでぇ…ひあぁ! やっ、そんなとこっ……きゃうぅうんっ」
 才人は舌をルイズの秘裂にもぐりこませ、ルイズの中を味わう様に嘗め回す。
 両の手をたくみに使い、シエスタとティファニアが一番声高に鳴くところを探り当てて
いく。
 先ほどから、銜えられている怒張は、自ら腰を動かし、タバサの口の中を勝手気ままに
蹂躙する。


253 名前:聖夜? いいえケフィアです ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:21:50 ID:pNbIqfGW
「くっあぁ、タ、バサッ…そろそろ…出るっ……!」
「出して」
 一言だけそういうと、タバサも暴れている肉棒を更に激しくしごいていく。
「もう、だめだっ……くああああっ!」
「――――――――――!!」
 タバサが一番深いところまで銜え込むと同時に、才人の怒張が白濁した欲望を大量に放出する。
「ん…んん?! ん〜〜…んくっ、こくっ…ふあっ」
 タバサがずるりと口の中から怒張を引き抜くと唇と鈴口に白いアーチがかかった。
「サイトの……味……」
 タバサは座り込んで口の中に残った白濁液を味わっている。
 すると、顔の上に乗っかっていたルイズが先ほどまでタバサがいた場所に移動してきた。
「さ、タバサ終わったなら、どいて。次は、ご主人様の番なんだからねっ」
 ルイズは言葉遣いは厳しいものの表情は酷く蕩けた表情をしていた。
「えへへ…まだ、こんなにおっきいまんま……」
 ルイズは自分の涎をたらしている秘所にあてがったまま、才人の怒張を弄ぶ。
 しばらく弄っていたが、やがてゆっくりとクレパスに埋め込んでいく。
「こんなの、入れたら…」

「あかちゃん、出来ちゃうかもねっ……!」
 ルイズの大事な部分に、才人の象徴がしっかりと埋まった。


254 名前:聖夜? いいえケフィアです ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:22:31 ID:pNbIqfGW
 ――――そして現在。
「そ、そういや、急に変なことになって…いつつ」
 結局あの後全員と三ラウンドづつほどこなし、全員が疲れ果てたところで泥のように眠
ったのだった。
「ったく、誰の仕業だ……」
 才人がブツブツ言っていると、ルイズがむくりと身体を起こした。
「お、ルイズ、目ぇ覚めたか」
「んん〜、サイトォ……もっとぉ……」
「え゛」
 それを合図にしたかのようにシエスタが、ティファニアが、タバサが、目を覚まして、才人へとにじり寄ってきた。
「もっと、たくさん……ね?」
 ルイズの部屋からは一日中嬌声と断末魔の叫び声がしたとかしてないとか……。

                                                おしまい

255 名前:284 ◆yJjGBLHXE6 :2007/12/25(火) 15:23:11 ID:pNbIqfGW
以上!
なぜこうなったかは分かるよね〜
いや〜食物連鎖ってこわいなぁ(ぉ

ちなみにドカオスですね。
それでは良いお年を

256 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 17:17:16 ID:nR+Wtq4X
>>255
サイトがうらやましい、もとい悲惨な目に
GJ!

257 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 17:45:28 ID:67kCPwIT
>>255
まずはGJ!
飛び入り大歓迎!
そうさ、クリスマスネタなら特集入りさっ

ただ今会社がえり中にて、取り急ぎケータイからレス打ちです。

258 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 18:36:46 ID:btyKFFAH
>>225
GJ

259 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 19:33:50 ID:1upB5H7C
>>218
nice boatな職人氏、名を教えてくださらないだろうか。
>>242
Lv.見習氏、>>231のSSのタイトルを教えてくださらないだろうか。

そして、両氏、特集に掲載してもよろしいですか?

260 名前:かくてる:2007/12/25(火) 19:55:18 ID:XmWZq7tr
またクリスマス投下
「クリスマス・ソングは届かない」

261 名前:クリスマス・ソングは届かない:2007/12/25(火) 19:56:03 ID:XmWZq7tr
「ルイズ陛下の健康とトリステインの繁栄を祈って、乾杯!」
 アニエス元帥の声に一同がグラスを掲げる。カチン、とグラスが鳴って談笑が始まった。
 グラスを覗いていると、目の前にサンタクロースが立つ。首を傾げると彼は赤い薔薇を差し出した。
「陛下、お久しぶりです」
 彼から何とも素敵な、でも妙に女性を興奮させない香りが漂った。
「ギーシュ、相変わらずね。モンモランシーも元気そうで何よりだわ」
「ありがとう……でもなぜ僕の愛しのモンモランシーのことも?」
 私は笑って鼻を指差して答える。
「あなたの香り。とてもモンモランシーらしいわ」
「おおさすが陛下!妻の心遣いがわかるとは!」
 心遣いじゃなく心労だろう、と言いたかったが言葉を飲み込む。今はもう、好き勝手を言える身分では
ないのだ。これが、アン様が私を求めた理由だろう。そして王子との恋も。なのに私は。
「嬢ちゃん」
 涙ぐみそうな寸前、デルフリンガーの声で我に返る。今日は楽しみの会。私がトリステイン全土に声を
かけたクリスマスの日。
 だから。いつにもまして私は明るく振る舞わなければならない。
 向こうでコルベールが箱を用意した。オルゴールだ。コルベールはスイッチを入れる。澄んだ音色のジ
ングルベルが会場を満たしていく。
 オルゴールに合わせてジングルベルを口ずさむ。コルベールが初めて完成させたオルゴールは、今より
ずっとずっと不恰好で音色も濁っていて。それでも私たちは幸せだった。私とサイトは並んで、肩を抱き合って調子っ外れのハーモ
ニーを歌っていた。
 今はもうソロでしか歌えない。
 私のジングルベル。

 自室に帰り、水晶玉に虚無の力を注ぐ。小さく中心に光が灯り、まずアン様の顔が映し出される。
 微笑みながら私を諭す。2度の戦禍は許されなかったと。独りで責任から逃げる強さがなくて本当にごめんなさいと謝る。
 壁に目を向ける。封印された王剣。マザリーニが敢えて私室に飾ったのだ。先王の真似は許さぬと。
 唇を噛んでいると画像が切り替わった。私はグラスにシャンパンを注ぐ。
「メリークリスマス!」
 水晶玉の中で彼が杯を掲げる。私も一緒に掲げる。マリコルヌがろくでもない映像を撮っておくために
作った水晶玉だけど、あの日にマリコルヌがお祝いにくれたのは最高のタイミングだった。
 水晶玉の中で私が笑っている。二人並んで余興のジングルベルを歌って。みんなの前で初めて堂々とサ
イトにキスして見せている。近くこの使い魔と結婚してあげるの!と怒鳴っている私。幸せがいつまでも
続くって思い込んでる、馬鹿な私。
 アン様が来る。プレゼントに見せた剣を掲げて。ちょうど酔った学院長がサイトからデルフを預かり。
 二筋の剣閃が走る。サイトの、血塗れの顔が映る。
「生きろ。ルイズなら、大丈夫」
 言ってこと切れて。水晶玉は光を喪った。
 サイトの今際の言葉を口の中で繰り返す。生きろ生きろ生きろ。ルイズなら大丈夫、大丈夫、大丈夫。
 2つのグラスに残りのシャンパンを分けて注ぎ、片方を机に置いたサイトの遺影に置く。
 かちり、とグラスを鳴らし、私は遺影に囁く。
「生きるよ。ルイズなら、大丈夫」
 シャンパンを空けながら、私は独りジングルベルを口ずさむ。
 メリー・クリスマス。

262 名前:かくてる:2007/12/25(火) 20:01:02 ID:XmWZq7tr
投下終了。
私事ですが、99%絶望と思っていたことに希望が出てるんるんで。
なぜか暗いの書いちゃいました。

263 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 20:06:27 ID:uXSm+roa
>>262
GJ・・・
なんか土俵際ギリギリで踏ん張ってる感じなルイズだな。

264 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 20:24:02 ID:1upB5H7C
>>262

 GJ!! でもよ、悲しすぎるぜ・・・

265 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 20:53:39 ID:a+q91JlA
>>262
GJ! ちょっと俺、うるっと来ちまった・・・・
けなげだルイズ・・・

ちきしょう!俺の涙腺壊れそうだ!

266 名前:205:2007/12/25(火) 21:24:46 ID:nBR0Q4l2
>>218
オレだよオレオレ。

特集への掲載はご自由にどうぞッス。

267 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/25(火) 21:58:37 ID:1upB5H7C
>>266
ありがとうです。

保管庫を調べてもしや・・・と思ってたんですよ。
特集ページUpしました。

レスだけでは寂しいと思い、ちょっとしたSSを投下します。


268 名前:恋人はサンタクロース(1/2):2007/12/25(火) 21:59:16 ID:1upB5H7C
サイトが向こうへ行ってちょうどひと月が経とうとしていた。
今日は、降臨祭の初日の夜。

ふぅ。
ため息ばかりでちゃうの。早く帰って来るって言ったのに〜。
この部屋がやけに広く感じちゃうわ。
あいつが来る前は狭いくらいだったのに。なぜかしら。
サイトが居ないときに限って、色んな人が来るのよね。
ドアがノックされるたびドキドキするのに、サイトじゃないんだもん。

そりゃ、イライラだってしちゃうわよ。ずーっと、ずーーーっと待ってるんだから。
ギーシュなんかも来ちゃうし。しかもサイトの声色真似るもんだから
思わず抱きついちゃったじゃないのよっ!!
危うくキキキキスしちゃいそーになったわよ。ほんとにふんとにっ。
ギーシュにはお礼に虚無をお見舞いしちゃったわ。
そばにモンモランシーもいたし、治してもらえるからいいわよね。

タバサも来たわ。一緒に待つなんて言い出してベットで本を読み始めちゃったのよ。
出てってもらうのに何時間もかかっちゃったじゃない。
なんなのあの子・・・もしかしてサイトのコト・・・ゆゆゆ許さないんだから。

―――にしても、遅い、遅すぎるわ。

こんな魅力的で可愛いご主人さまを、しかも一大イベントの降臨祭の初日に
独りぽっちにしとくなんてっ!!バカバカバカバカ、サイトのバカ!!!
こんなことだったら、あの時に告白しなければよかったわ。
・・・でも、あいつが他の女の子と付き合うなんてやだわ。絶対やなんだもん。

わたしのイライラゲージがMAXを迎えようとした、その時。
待ち人が帰ってきた。部屋のドアからではなく、光のゲートをくぐって戻ってきてくれた。

サイト・・・こんなに待ったんだもん。なんかお詫びの一つくらいいいなさいよっ。
久々に言っちゃおうかしら・・・犬。なにかわたしにゆーことあるでしょ。
そう、お返事は’わん’。良くできました♪
今度はお手。おーて。そう。おりこーさ―――え??サイト?

わたしの手には紫色の小さな小箱がのっかっていた。

これ・・・どしたの??

向こうで買ったの!?

ほんのちょっぴりイライラが収まったかも。どうしてかしら。口元が緩んじゃうわ。

開けていい?

わたしは小箱のふたをゆっくり開く。


269 名前:恋人はサンタクロース(2/2):2007/12/25(火) 21:59:48 ID:1upB5H7C

キラッ。
・・・綺麗。小箱の中には、透明な石が複雑な幾何学模様にカットされたものが白金の台座に載っていた。
ダイヤモンドという宝石らしい。ハルケギニアでは見たことのない、綺麗な輝きを持つ石だ。

もらっていいの。でも、高かったんでしょ。あなたのお給金じゃ相当無理したんじゃ・・・
エン?エキューじゃないの?向こうの通貨の名前なんだ。

わたしにある予感が閃いた。自惚れって思われるかもしれないけど、確かめるんだもん。

もしかして・・・これを買うために遅くなったの?

サイトの首が縦に動いた。やっぱりそうだったんだ。いつしか、わたしのイライラはドキドキに変わっていた。

サイトの右手がわたしの目の前に差し出された。
わたしは彼の手にもらった指輪の入った小箱を載せる。

すると、次に彼はわたしの左手を取って、驚くべき一言を言ったのだった。

(おれと結婚してくれるよな)

わたしの瞳には温かいものがあふれ出していた。
嬉しい。とっても嬉しいの。
胸が一杯になっちゃって、なかなか”はい”って言えないわ。

そんなわたしをサイトは優しい眼差しで待ってくれている。
答えなきゃ、”はい”っていうんだもん。
滂沱として流れる涙と嗚咽が答えさせてくれない。

しばらくして、やっとのことで”はい”って言えた。
そのわたしの答え聞いたからだろうか、心なしか彼の頬が赤くみえる。
彼はわたしの目をじっとみてから指輪はめるよって言った。

サイトがわたしの薬指に指輪をはめてくれた。
わたしは、サイトの首に手を回して抱きついた。

そして、彼の唇にありがとうの印をあげた。

サイト。わたしのサイト。ずっとずっと一緒なんだもん・・・

270 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/25(火) 22:02:38 ID:1upB5H7C
以上です。ノシ

今は皆さんゼロ魔を読んでいるんだろーなぁ。

271 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 22:32:32 ID:qWCMkw9H
ああ素晴らしい。

272 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 22:54:48 ID:XmWZq7tr
>>270
甘いっすねー、甘口大好きです。
そういやダイヤは昔は加工できなくて評価低かったと聞いたことが。

つか今回の企画運営、マジで乙です。

273 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 22:57:26 ID:btyKFFAH
ああ、ゼロ魔はいつ入荷するんだろうなあ・・・
発売日プラス2-3日だとすると・・・もしかすると年明けか???

(´;ω;`)

274 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 23:08:33 ID:SQ2ycVDd
職人さん達GJです。今板見ようとしたら14以上超えて人大杉になってた。これは祭りだな。
とりあえずメリークリスマス!

275 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 23:51:16 ID:1upB5H7C
>>271,272
どうもありがとう。ノシ

>>273
本スレには行かない方がいいですな。あそこにはフラゲの魔物がおりまする。

>>274
メリクリ!!

保管庫のページは一応最新の状態にしております。
もし、抜けているSSがあれば、どなたか補完おながいしますね。

http://wikiwiki.jp/zero/?%A5%AF%A5%EA%A5%B9%A5%DE%A5%B9%C6%C3%BD%B8

>>職人の皆様
乙です。24-25に限ったことではないので、秀逸な作品お待ちしとります!!

276 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 23:58:49 ID:3ABtFdGM
すべりこみセーフを祈りつつ投下。
レスあれこれはそのあとに。

消費たぶん3つくらいだとおもう。

277 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 23:59:46 ID:3ABtFdGM

「ふん、ギーシュのやつ」

 いつもよりトーンの低い声で、呻く様につぶやく。
 才人は眉を吊り上げ、ずんずんと足音さえ立てて歩いた。
 ちょうど目の前にいた生徒はぎょっとして、元・平民に道を譲った。
 普段の才人なら「ん?」とくらい思いそうなものだが、今の彼に気づく余裕はない。

 今日の訓練で、才人は何度「では隊長、御手合わせを」と言ったか知れない。
 しばらくは隊長の顔を保っていたギーシュも、最後のほうには青ざめていた。
 何が怖いって、いつもどおりの笑顔でボコボコにしてくるのが怖い。
 彼は終いには才人の背に向かって「好きな人に似るってのは本当らしいな」と呟き、
 ぴくりと足を止め振り返った、笑顔のままの才人の今日一番の強撃にのされた。

 才人はルイズの部屋の前で足を止める。……一つ、ため息をつく。

 いままで何度も何度も告白したのになかなか信じてくれないルイズ。
 その原因を悶々と考えた結果、才人はきっと状況が悪かったと結論づけた。

 小舟の中でのことは無かったことにされたが、
 それ以外の告白は、死地に赴く直前だの、牢屋の中だの。
 応えられるような状況でなかったのは間違いない。
 だから、今回の告白はちゃんと状況を選ぼう、とまず決めた。

 しかし日を選ぼうにもハルキゲニアの風習はまだよくわからない。
 誰かに聞けば話が漏れかねないし、よく知らない風習を用いればコケる可能性がある。
 結局才人は地球でいうクリスマス・イブ……つまり恋人たちの夜……を選んだ。

 さて、クリスマス・イブには何が要る?
 ワインは普通に手に入るからよし。
 何より大事なのはあれだ。クリスマスツリーだ。
 こちらの事情に通じない才人はギーシュに相談し、入手を頼んだ。
 そしてギーシュは嬉しいことに必要な日に間に合わせてくれたのである。

「これで必要なものは揃ったな。いやほんと助かったよ」
「ああ。上手くやれよ」
「とりあえずありがとな。大変だったろ?」
「なに、たまには借りを返さないと返しきれなくなるだろう」
「なんだよ、別にそんなこた気にしねぇよ!」

 そう言って笑いあったやりとりを思い出し、ふと、才人の中で何かが引っかかった。
 ……あれ?デバガメされたとはいえ、樹木の取り寄せまでさせてあの仕打ちはやりすぎ?
 さきほど才人の怒りを極みに高めた一言を思い出して背筋に冷たいものが走った。
 いやいやいやいや。んな所まで誰かさんに似てたまるかっ!

 ……明日になったら、ギーシュにもう少し優しくしてやろう。
 才人はそんなことを決心しながら、ルイズの部屋の扉を開いた。

278 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 23:59:59 ID:IYfowigM
そして、今年のクリスマスも終わるのであった…

279 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:00:17 ID:3ABtFdGM
「お、おおお、お帰りなさい」
「ただい…………ま?」

 俯けた顔を上げると、目に入った部屋の中の様子は朝とずいぶんちがった。
 昨日よりさらに飾られたクリスマスツリー。
 サイドテーブルの上には、ワイン。
 部屋を照らすのは魔法の光ではなく、燭台の蝋燭に灯された火。

 そして何より、火に照らし出されたルイズは淡い桃色のドレスに身を包んでいた。
 ベッドに座って自分の膝を見つめ、もじもじとドレスの裾を掴んだり放したりしている。

 好きなコのそんな様子をみて、どきりと胸が高鳴るのは正常だが、
 才人は動揺を隠し、きわめて平静を装ってルイズに問う。

「ど、どうしたの?お前、その服……部屋の中だって」
「きょ、今日はクリスマスだって言ったのはあんたでしょう」
「そりゃ言ったけど……お前クリスマス知らないだろ?」

 むしろ自分が演出しようと考えていた事だ。
 それをまるまるルイズが用意しているのは不自然すぎた。

「いいでしょそんな事。それより乾杯よ乾杯」
「?あ、ああ」

 ルイズは才人を隣に座らせると、ワインをグラスに注いだ。
 小さく音立ててグラスを合わせて、二人静かにグラスを傾けた。

 しばらくして、空になったグラスを置きながら、ルイズは呟くように話し始めた。

「……サイト。あんたは、イブ?とやらにお祝いしようとしたけどね」
「うん」
「あたしたちは、その……か、かか、家族みたいなもんじゃない。だから今日でいいのよ」
「ル、ルイズ……」

 昨日「イブは恋人同士で祝うもの」と言いかけたのがこういう形で戻るとは思わず、
 才人の心は不意打ちの言葉にノックアウトされた。むしろ一発KOだった。

「……べ、別にアンタが特別なんじゃないのよ!勘違いしちゃだめなんだから。
 他のメイジだって使い魔とは家族みたいなもので……だ、だから、違うの」

 照れ隠しを呟きながら、もにょもにょと指先をこねまわすルイズは、
 才人がグラスを置こうと動く手が震えていることに気がつかなかった。

 突然、ぼふっ、と音を立ててルイズの体はベッドに沈む。

「え?ちょっとなに…………むぐっ」

 反射的に起き上がろうとしたルイズは才人のキスを受けて再びベッドに沈む。
 唇を塞がれ、舌を差し込まれ、急な事態に抵抗もできずにいた。

「ルイズ……ルイズ、……ルイズ」

 息が止まりそうなほどの時間のキス。
 ようやく唇をはなすと、才人はため息をつくようにルイズの名を呼ぶ。
 そして何度も愛しいその名とキスを繰り返しながら、首筋へ、鎖骨へと指を滑らせる。
 柔らかですべすべなその肌は、滑る間の何箇所かでぴくりと反応を返した。
 その指は服の肩をすべり、ルイズのドレスを肌蹴させた。


280 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:00:48 ID:3ABtFdGM

「あっ……ちょ、ちょっとまって……」

 手で胸元を押さえ抵抗するも、耳を甘噛みされて走った痺れに放してしまった。
 その隙にぱっと脱がされ、残ったのは下着のみ。
 控えめすぎる胸を下着越しに撫でられて、ルイズは甘く呻いた。

 しかし、才人が熱暴走している一方で、ルイズは半ばパニックに陥っていた。

 昼間、突然尋ねてきたギーシュは、なぜかクリスマスについて詳しく教えてくれた。
 ルイズはその内容を聞いて、ああ、才人は元の世界が恋しかったんだ。
 昨日わけのわかんない木を持ってきたのもそれだったんだ。
 それなら、帰る方法もわからないし、せめてわたしが一緒にお祝いしてあげよう。
 そう。単純に才人のことを思って、ギーシュに聞いたとおりのセッティングをしたのだ。

 それがなぜか今、自分はベッドの上に組み敷かれて、服を脱がされている。
 いまサイトがしようとしているのはもしかするとアレじゃないだろうか。
 ひょっとして、星になるっていう、アレなんじゃないだろうか。

 ふと、ルイズはクリスマスツリーを思い出した。
 てっぺんに飾らされた五芒星。つまり星。

 まさかクリスマスってそういう意味?家族で祝うって、夫婦でって意味なの? 
 サイトの国ではクリスマスにむ、結ばれたりするの?
 つまり自分はよくわからないまま、サイトを誘った!?

 ルイズの頭の中でぐるぐるとそんなことがまわった。

281 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:05:10 ID:WkFhXrSK
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
終わってないのは焦らしなんかじゃないんだから!
この二人もこの辺でどうせ日付変わってるからなんだからね!

すみませんウソです。間に合わなかったorzチクショウ

>>259
タイトルお伝えします。
>>231は「クリスマス・イブをご主人様に」
さっきの分はまだ終わってませんが「クリスマスを使い魔に」です。

特集掲載よろしくお願いします。光栄です。

282 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:13:07 ID:amFYimlB
>>281
Lv.見習氏、リアルタイムGJ!
日付変更を狙ったとは・・・いやはや参りましたぞ。

次回の投下完了の際には、名前を入れてくださいねん。ノシ

特集にも入れときまーす。


283 名前:261のひと:2007/12/26(水) 00:16:01 ID:kN8yWABH
>>281さん 続き待ってますね。

10分ほど待ったのですけど……良いかな?

とてもとても暇だった24日に書いた……

書きあがって気付いた。
……新刊ネタだ……26日まで投下できない。

バカな自分を笑ってください。

284 名前:261のひと:2007/12/26(水) 00:17:18 ID:kN8yWABH
あ、書くの忘れた。 
新刊ネタですので、未読の方注意願いますね。

285 名前:えむえむあ〜る 1/7:2007/12/26(水) 00:17:50 ID:kN8yWABH
 なんてこったい。
 意識を取り戻したサイトは途方にくれていた。

 着の身着のまま放り出される方がまだマシだったかも知れない。

『野良魔獣に襲われた時の為に』

 多分ルイズが気を回したのだろう。

(……ど、どこまでも不器用な奴)

 秋葉原にシャヴァリエのマントを装備した少年が、『AK小銃』装備

(捕まるって……)

 人通りの無い路地裏で、しばらく悩んでいたサイトだったが、気を取り直して堂々と道を歩き出す。

(警察がそんなにうろうろしているもんでも無いし、何とかなるだろ)

 ――サイトは知らない、昨今の秋葉原の状態を。
 元警察庁長官であろうと、任意同行を強制される恐ろしい世界。

 ……サイトが異世界に行った頃は、そんなことは無かった。

「君……ちょっと、良いかね?」
「……げ」

 サイトが反射的に逃げようとするが、あっという間に数名の制服警官に囲まれた。

(な、なんだこのマドハンド)

「どうして逃げようとするんだい?」

 目が笑ってない。

「ちょ、ちょっと急いでて……」
「時間は取らせないから、ちょっと持ち物を見せてもらえるかな?」

 警官の視線は、サイトの抱える銃に向けられていた。

「いや……その……えっと……」

 しばらく悩んだサイトだが、おとなしく持ち物を見せることにした。

(本物だとは思わないだろう)

 ――サイトは知らない。
 ここ最近、日本国内でも銃器の絡んだ事件が起こっているのを。

「ほ、本物ぉぉぉぉ!!」
(げぇぇぇっ、バレたっ……)

 それでもサイトにはあまり危機感が無かった。

(まさか、乱射すると思われる筈も……)

 ――サイトは知らない。
 アメリカで起きた事件のことを。

286 名前:えむえむあ〜る 2/7:2007/12/26(水) 00:18:26 ID:kN8yWABH
 やたらと目つきの鋭い男が、トントンを調書をボールペンの尻で叩きながら、部下の報告を聞いていた。

「それで、彼は何処から銃を手に入れたのかね?」
「ジュリオ……と、言う男から貰ったらしいのですが……」
「外国人か、厄介な」

 自分たちの管理していない『凶器』が、今どれほどこの街にあるのか想像して、男は苛ついていた。

「その男の職業や、年齢は?」
「……年齢は彼と同じ程度で……『坊さん』だそうです」

 『坊さん』の一言を聞いた瞬間、部屋の空気が止まった。

「……宗教関係……カルトかっ!」
「えぇ……」

 男は頭を抱える。
 信教の自由は良い、この国の特色だし、すばらしい理念だ。
 しかし……

「くそっ、今度は何処の馬鹿だ!」
「平賀君……件の少年ですが、細かいことについては一切教えてくれません」

 ハルケギニアだの、ルイズだの、鍵になりそうな言葉を断片的に漏らす他は、
 彼の身に何があったのか、一切不明のままだった。

「保護者が……面会を求めております」
「許可できるかっ!」

 そうですね。
 年若い男の部下は、平賀容疑者に同情的だった。

「真面目な……良い少年なのですが……」
「良い少年が、銃を持って街中をうろうろするかっ!」

 とはいえ、未成年。
 しかも長期間の行方不明の後と成れば、そう長く保護者と引き離しておくわけにも……

「おい!」
「はっ」
「できるだけ早く、調書取ってやれ」

 随分と分かりにくい優しさに、それでも男の部下は気づいた。

「はいっ」

 急いで駆け去る部下の背中を見ながら、男は次の案件の書類を手に取った。

287 名前:えむえむあ〜る 3/7:2007/12/26(水) 00:19:09 ID:kN8yWABH
「……どーゆーことだ?」
「……分かりません」

 調書を取る最中に、平賀少年にふと聞いてみた一言が始まりだった。

『あんな銃持ってても、そうそう使えるものじゃないしね』

 使えない。
 持っているだけ。

 その一言を引き出そうとした、善意の誘導だった。

『いや、多分使えるはずですよ』

 最悪の返答だった。

 ――平賀少年の言葉は、シューティングレンジで証明された。
 それどころか、

「なんだこの成績、奴はオリンピック選手か何かか?」

 優秀すぎた。

「分かりません」

 こうなってしまっては、簡単に釈放するわけにはいかない。

『他の銃でも、出来ますよ』

 平賀少年は得意げに言った。
 嘘だと証明するために、幾つかの銃で試射して貰った。

 ――本当だった。

「しばらく……ここで暮らしてもらうことに成るな」
「……はい」

 毎日通う保護者に、なんと伝えるべきか。
 男は黙って、ロビーへと向かった。

288 名前:えむえむあ〜る 4/7:2007/12/26(水) 00:19:54 ID:kN8yWABH
「これ……を」

 部下は日に日にやつれて行く。
 調書は既に、実験の結果報告書に近づいていた。

「五ヶ国語……六ヶ国語か?」
「いえ……今回試せたもので、それだけですので……底がまだ見えません」

 外国人に拉致されていた可能性がある。
 その国を特定するために、幾つかの国の言葉を理解するのか試してみた結果は恐るべきものだった。

「どの国の言葉も、最初は分からないようなのですが」
「フリだろうがっ、結果を見れば分かる!」

 どの国の言葉も、見事に理解して見せた。

「工作員としての教育を受けているのか? ……拉致したのは『北』か?」
「……いえ……にしては、教育水準が高すぎます」

 サイトが扱って見せた銃器の中には、流通の限られているものも随分有った。
 それどころかつてを辿って乗せてみた、自衛隊の最新鋭のヘリもコクピットに座るだけでの操縦法まで説明してのけたのだ。

 魔法のような技術に、平賀少年を調べている関係者は悪夢を見せられている気分だ。

「どれだけ聞いても、『空白の一年』については口にしないのだな?」
「……『洗脳』の線も考えられます」

 最悪だった。

 一年。
 たった一年だ。

 一年でありえないレベルの言語教育と、銃器、ナイフどころか、弓矢、ボウガン、スリング、吹き矢。
 何に使うんだ? そんな技能にまで習熟していた。
 格闘については未熟に見えたが、それも何処まで信用していいのやら……

「彼に何が有ったんだ?」

 体に残る傷が、彼の一年を想像させる。
 その治療だけでも一年以上掛かりそうな物なのに、彼のスキルはその考えを否定する。

「治療すら禄に受けられずに……訓練を……」
「そうとしか考えられんな……」

 痛ましい話だった。

289 名前:えむえむあ〜る 5/7:2007/12/26(水) 00:20:31 ID:kN8yWABH
「彼に何が有ったのでしょうか?」

 部下の目が潤んでいた。

 ――情に流されるのは愚かな事だと、何度も教えたはずだが。

 自分の教育もまだまだだという事だな。
 男は反省しながら、考えをまとめた。

「国内で発見された点から考えるに、拠点若しくは目標が日本に有ると見るべきだろう」

 平賀少年と同程度のスキルの持ち主が……

「彼の手の刺青は見たか?」
「はい……あれは、何なのでしょうか?」

 考えたくない事実だが……

「俺はシリアルだと思っている」
「は? しかしっ、あの桁はっ!」

 甘い!

「国内の行方不明者が、例年どれだけの数になると思っている!!」

 彼と同程度のスキルの持ち主が、あの数居るのだとすれば……クーデターすら容易い。
 街中を行く一見普通の少年が、一斉に国会議事堂に突進するさまが男の脳裏に浮かんだ。

「あの数は十分に可能だ」
「じゅ、十進数だとは限りませんしね」

 そうだな……少なくとも気休めには成る。
 燻る煙草をもみ消しながら、男の推論はまだ続いた。

「あの種類の銃を用意できる国は限られている」
「アメリカか……ヨーロッパのどの国か……」
「違うな……」

 ならば、あんな所で容易く発見されるはずは無い。

「日本だ」

 持込が難しいとはいえ物資の流通量は世界屈指で、検閲も……

「外交官が噛んでいるかも知れんな」

 二人の背筋を冷たいものが這い上がった。

(自分たちの手に負えない事件なのではないか?)

 そう考えては見ても、他に回せば揉み消されるとしか考えられなかった。

「し、しかし、そんな資金や行動力を持つ組織なんて……」

 部下の現実逃避に、男は止めを刺した。

290 名前:えむえむあ〜る 6/7:2007/12/26(水) 00:21:02 ID:kN8yWABH
「なっ……EUでカルト指定を受けている、あそこですかっ!」
「あぁ……例の『会』だ」

 宗教法人の登記を受けているくせに、政治に干渉する有り得ない団体。

「し、しかし……」
「資金、人員、人脈、あそこなら十分に可能だろう」

 不透明な資金で、武器を買い。
 豊富な人員で隠蔽活動をする。
 訓練地などの問題も、政治家を多数抱える『会』ならば……

 考えれば考えるほど有り得る事態に、部下が言葉を失っていた。

 男もまた……語る事が尽きていた。

(……さて……どうするか……)

 先の見えない戦い。
 それでも、自身の正義を信じ、残りの人生をかけて巨悪と戦うか。

 硬く目を瞑り、一心に悩む。

 が、答えは簡単に出た。

 ――考えるまでも……無いな。

 自分がこの職業を選んだ理由。

「行くぞ」

 部下を従え、男は初めて直接平賀少年を尋問する事にした。
 何が有っても真実を探る。その決意と共に。


 ――留置所にて

「うー、暇だなぁ……」

(TVもねー、ネットもねー、漫画もねー
 これって、基本的人権とか、いーのか?)

 外部の情報に触れるのを制限するため、サイトには新聞すら与えられていなかった。

(あーでも、銃持ってて捕まったら、こんなもんなのかなぁ?)

 無知ゆえに、サイトはひたすら耐えていた。
 ハルケギニアでの日々が無ければ、耐え切るのは不可能だったに違いない無為な日常
 緩慢な毒の様にサイトを侵すソレに、心が壊れそうになる寸前。

 ――見覚えの有る光が、サイトの前に現れた。

 『帰れる』サイトの心に有ったには、その想いだった。
 故郷に帰ってすぐの投獄。

 ――最早サイトにとっての故郷は、日本ではなく。

「待ってろよ! ルイズっ」

291 名前:えむえむあ〜る 7/7:2007/12/26(水) 00:21:36 ID:kN8yWABH
 ヨルムンガルド10体に、使い手とエルフが一人づつ。

 ロマリアとガリアの戦力差は明白だった。

 ヨルムンガルド一体を倒すのに、エルフ一人を倒すのに、
 ルイズ――使い手一人と、サイト――ガンダールヴ一人が必要だった事を考えると、
 ガリアの投入した戦力は、『大人げ無い』としか言いようの無いものだった。
 ヴィットーリオの策は、単に質量の差に敗れた。

 策で埋められる戦力差など、高が知れていたのだ。
 唯一の勝ち目はジョゼフを殺すことだが、使い手がジョゼフだと知れたときにその手段は封じられた。

 じわじわと弄られ消耗しきった使い手と、三分の一にまで数を減らしたロマリアの国軍にとって、最後の希望は一つしかなかった。

 ―-ティファニアの使い魔。
 語ることすら……そう歌われる、彼女の使い魔にすべてを託す。

 必死で説得された彼女がやっと唱えた、『サモン・サーバント』そして現れたのが……

「サイトっ?」
「ただいま……テファ?」

 ゲートから飛び出したサイトを迎えたのは、大きなおっぱいだった。
 少し離れた所にルイズを見つけると、自分を無理やり追い返した事実に思い当たり、
 すこーしだけ、意地悪をする事にした。
 
「テファ……俺、ルイズに捨てられちゃったから、これから使い魔としてよろしくな」
「え? ちょっ……あの……サイト?」
「さぁっ、いまこそコントラクト・サーバントだっ!!」

 詠唱も無しで、テファの唇を奪おうとするサイトに、勢い良くぶつかった物が有った
 <始祖の魔道書>……分厚くてとても痛い。

「あああ、あんたねぇぇっっっ」
「なーんーでーすーか『元』ご主人様! 俺はこれからおっぱいと共に生きるんだから、 ほうっておいてくださーい」

 ――いつもはおとなしく受けていたルイズの暴行を、今日のサイトは軽々と避ける。
ルイズをしつこくからかいながら、この機会に自分の立場を確固な物にしようと……


 ――虚無を使い、サイトが立ち去った後を見ながらヴィットーリオは悩んでいた。

『自白剤を用意しろっ』
『この器具はどうでしょうか? 効果的な尋問が望めるかと』
『……うむ、この道具の使い方は分かるか?』

 ジュリオと共に、異界を覗く。

「聖下、追い返したらたのしそーだなー、とか思ってません?」
「……う〜〜ん、どうしようか?」
「「追い返すのも面白そうだよね?」」

 ロマリアの使い手と使い魔は余興が大好きな為、
 サイトが調子に乗りすぎるのは、非常に危険なのだけれど……

292 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:22:10 ID:kN8yWABH
……またがんばって書こうかなという気がしてきました。
オチも微妙だし。

微妙なネタのオンパレードになったし。


あれ、こんな時間に来ky

293 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:24:25 ID:amFYimlB
>>292
しまった。まだ読んでないのに読んじまったよっ!!!

いろんな意味で危険が一杯の作品にGJ!!

294 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:31:01 ID:U+DQLpkG
>>292
折角新刊ラストでお涙頂戴が…サイト言動自重w
でもそんな続きがあっても良いwGJ!

295 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:42:21 ID:ehzt4FxS
>>292
久しぶりに笑わせてもらったわ。GJ!
>「俺はこれからおっぱいと共に生きる」
テファ卒倒確実www

とりあえず無事を祈っt(ry

296 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:48:40 ID:WkFhXrSK
>>282
……時計見て見切り発車オーライorz
さっさといちゃこらさせたかったのに、サイトが部屋に入ってくれなかったとです。
ゼロ魔SSは登場人物が勝手に動き回りますな。

名前欄の件、承知しました。企画とか作品とかいつもGJです!

>>292
爆笑させていただきました。GJ!
続きはこれから大急ぎでがんばります。

297 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 01:31:08 ID:8KbwaH2c
今回の内容は愛がテーマで
ちとしんみりしてママの言葉に涙がちょちょぎれてたのに

>>292
あなたの頭の中ではまずこれが過った訳ね・・・

GJ!

298 名前:261のひと:2007/12/26(水) 02:51:32 ID:kN8yWABH
微妙に微妙だけど、クリスマスネタ……じゃないないですね。

クリスマス系のネタを思いついたので書いてみました。

299 名前:25日 1/4:2007/12/26(水) 02:52:11 ID:kN8yWABH
 教室に入ると、そこは地獄絵図だった。

「な、何だぁ?」

 八割ほどの生徒が、残り二割の生徒に絡んでいた。
 サイトが混乱した頭で様子を見ていると、なぜかソレは全員男だという事に気づいた。
 一人を数名が取り囲み、ネチネチと質問を繰り返している。
 問い詰める方の切実な瞳と、問い詰められている筈の方のどこか勝ち誇った顔が印象的だった。

 そんな周りの状態に気をとられ、サイトは異常な物体の接近を警戒するのが遅れた。

「サぁぁぁぁイぃぃぃトぅぉぉっぉぉぉ」

 マリコルヌ……いや、マリコルヌだったモノがそこには有った。
 彼はもっと穏やかな目をしていた。
 何より彼の手はこれほどの力を持っていなかった。

「き〜さ〜ま〜の〜手を見せろ〜」

 マリコルヌの腕がサイトの手を掴み、恐ろしい力で引き寄せる。

「ちょっ、わ、分かったから、落ち着け」

 サイトがマリコルヌの目の前で手のひらを開いてみせると、地獄のそこから響くような声が聞こえてきた。

「ちがぁぁぁうぅ、反対側だぁぁぁっ」

 何でこいつはこんなに怖いんだ?
 サイトは謎の恐怖に襲われながら、手の甲をマリコルヌに見せる。

「あれ? ……サイト……お前……」

 ? マリコルヌは憑き物が落ちたかのような顔でじっとサイトの手を見つめていた。

「ど、どうしたんだ?」
「……なんでもない……心の友よ」

 さっきまでとは打って変わった様子で、サイトに笑いかけるマリコルヌが……

(ぶ、不気味すぎる……)

 サイトは何がおきているのかさっぱり分からなかった。

 教室内の混沌とした状況の理由も、マリコルヌが何を見ていたのかも。
 疑問を感じたまま、用事を済ませて教室を去ろうとしていると、マリコルヌがギーシュに襲い掛かっていた。

「きぃぃぃぃさぁあぁぁぁああまぁぁぁあああああっ!」
「なんだか分からんが、落ち着けぇぇぇぇっ、マリコルヌ!」

 サイトはマリコルヌを必死でなだめた後、自室に帰った。

300 名前:25日 2/4:2007/12/26(水) 02:52:53 ID:kN8yWABH
 ルイズ達は授業を受けているような時間、サイトはじっと自分の手を見つめた。

「……働けど、働けど……ですか? サイトさん」
「いや……、今朝ちょっとさ……」

 シエスタが、ふとサイトの手を見つめ、何かに気がついたように小物入れまで走った。

「サイトさん、しばらく動かないでくださいね」

 シエスタの柔らかい手が、サイトの手を優しく固定する。
 暫し後、パチン、パチンと言う独特の音が聞こえ始めた。

「あれ、つめ伸びてた?」
「少しですけど……サイトさんのお世話はわたしの仕事ですから」

 右、左とシエスタが丁寧につめを切ってゆく。
 切り易いように動いた結果、シエスタはサイトの腕を抱え込むように固定していた。

(……当たってる……)

 シエスタが爪に鑢を当てる間、サイトの理性は鑢と同じタイミングで揺らされ続けた。
 両手が終わると、シエスタはそのままサイトの足元に跪き、サイトの靴を脱がせた。

「ちょっ、いいよシエスタ。それくらい自分で……」
「駄目です。サイトさんのお世話するの好きなんですから……たまにはコレくらい……」

 サイトの足を大切な物の様に包み、またパチリと音が響きだす。

(……なんか……すごく偉くなった気分だなぁ)

 サイトはのん気にそんなことを考えていた。

301 名前:25日 3/4:2007/12/26(水) 02:53:49 ID:kN8yWABH
 指先まで整えられたサイトの側で、シエスタが満足そうに笑っていた。

「綺麗に成りました」

 切る位は自分でして居たが先まで整えたり、見たことも無い道具で磨かれたのは初めてだった。

「ミス・ヴァリエールのですから……使ったの内緒ですよ?」

 小さく笑いながら、細々とした道具を丁寧に仕舞ってゆく。
 ほんの数十分の事なのに、随分とくつろいだ気分になれた。

「あのさ、今日マリコルヌがさ……」

 教室での出来事を話すと、しばらく悩んでいたシエスタが頬を染めた。

「あの……それって……」
「あ、内容分かったんだ。説明してもらっていいかな?シエスタ」
「あの、ですね。まず今日は始祖のお誕生日だって言われている日なんですよ」

 シエスタの説明は長かった。
 本来、始祖の誕生日は全く別の日らしいのだが、ロマリアの勢力拡大のために他の宗教の行事を取り入れた結果、
 一般にはこの日が、祝われる事に成ったらしい。

「その……それで、その前日は恋人同士が一緒に過ごすことが、いつの間にかトリステインで流行したんです。
 ロマリアからは、神聖な日にその……恋人同士が『ごにょごにょ』するなんてけしからん。
 そう言われているので、敬虔な信徒のミス・ヴァリエールは、サイトさんと『何か』しようとはなさいませんでしたけど」

 他の生徒たちは、昨日は……

「マリコルヌが怒り狂ってた理由と、男子生徒の明暗が分かれてた理由は分かった。
 でも、なんで手を見たんだろう?」

 もじもじと悩んだシエスタが、つとサイトの耳元まで来ると、小さな声でこしょこしょと説明を始めた。

302 名前:25日 4/4:2007/12/26(水) 02:54:22 ID:kN8yWABH
「だ、だって、女の子と夜を過ごすんですから……その……」

 つんつんと、サイトの指先に触れるシエスタは愛らしいが、サイトには何の事だかさっぱり分からなかった。

「えと……手を見たことと何か関係有るの?」

 潤み始めたシエスタの目を見つめながら、サイトは質問を重ねた。
 真っ赤に成ったシエスタの口が、恐る恐る開いては何かを告げようとするが、
 言葉を編み上げる前に羞恥心の限界が来るらしく、何時まで経ってもサイトには伝わらなかった。

 泣き出しそうな瞳のまま、悩み続けていたシエスタが、
 口にするよりは。
 そう思ったらしく、サイトの手をスカートの中に導いた。

「ちょっ、シエスタっ?!」

 サイトの指先がズロースの厚い布地の向こうから、熱を伝えた。
 シエスタの手に支えられたまま、震えるようにソコに押し付けられる。
 シルクの下着と違い、サイトに伝えられるのは柔らかさのみだったが、

(……………………………………………………っ)

 サイトの頭の中が興奮で真っ白に染め上げられる。

「ここ、触るのに……爪が伸びてたら痛いじゃないですか……」

 中とか……意を決したらしいシエスタの言葉も、サイトの脳にはほとんど伝わっていなかった。

(あー、そっかー、今日つめ綺麗にきってた奴って、昨日……)

 朝のやり取りをようやくサイトは理解……

「って、マテイっ!」
「ふぇっ?」

 自分が庇ったギーシュと、質問攻めに有っていた二割の生徒を思い出す。

「あんの、裏切りものどもがぁぁぁぁぁぁぁ」

 ――マリコルヌ、君は正しかった。心友よ!

 無言でサイトは教室に向かう。
 その心には、怒りのみが燃えていた。

「俺よりモテル奴に会いに行く!!」

 主に殴るために。

「あの……サ、サイトさ……」
「ギィィィィシュッ、……貴様を殺すッ!!」

 怒りに我を忘れたサイトが、教室で暴れたのはその5分後だった。

 そして……



 ――シエスタは一週間口をきいてくれなかった。

303 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 02:54:57 ID:kN8yWABH
……伸びたままですとも、もちろん。

304 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 03:10:31 ID:T3NFt8pS
>303
こういうシエシエものは大好物なんだぜ

やっぱり甲斐甲斐しく世話してくれるシエスタは可愛いな
アン様やルイズよか好きだぜー

ありがd

305 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 03:18:55 ID:P3GwYyWS
フラグ的には
ルイズ>ティファニア=タバサ>シエスタ>アンリエッタ>その他かね
前でも言われてるけどシエスタ空気、アンリエッタビッチ化してるな

アニエスや、ここで人気のあるアホの子がなぁ・・・
そこはパロで補完するしかないのか

306 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 03:32:46 ID:EOG8FQaT
ジュリオと教皇を無性にバックで犯したくなったぜ。
問題は両方とも男であることなのだが、女体化の魔法や実は女の子でしたで問題はないな。

307 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 04:15:33 ID:4IAss+cQ
ウホッ

308 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 07:15:17 ID:mMzNYngZ
>>306
俺は無性にぶっ殺したいがな。俺の嫁であるアン様とルイズに粉かけるなんざ
許せねぇ。最近、ゼロ魔を読むと鬱る理由がやっとわかったぜ。
これが精神的NTRって奴かw

309 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 10:19:02 ID:+VK+EW1T
教皇×ジュリオ(誘い受け)はガチ

とか妄想した

ていうか契約のシーンとかマジBLじゃね?

310 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 11:44:56 ID:bY9CE6Yy
>>305
アン様はノボル発言で才人争奪戦復活フラグが立ってるから、懸念されたような教皇ルートはまずないかと。
上のほうでも語られてるようだが、ありゃ教皇の虚無に傾倒して政治的賛同しただけだろ。

というか、このエロパロ板で誰であれ特定のキャラをけなす(そんな気はないかもしれんが、空気とかビッチ化とか不快)んじゃねーよ。
個人個人で思うのは自由だが書きこむのはラノベスレのほうでやれ。

311 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 11:50:31 ID:U+DQLpkG
エロパロ板はどんなキャラに対しても広く受け入れるのです

312 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 13:21:50 ID:x+bV+jCV
なんかどこの板もすごいことになってるな…
角にのスレ欄がルイズだらけになっててびっくり

313 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 13:23:51 ID:IX73kyAy
これはひどい

314 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 13:26:03 ID:U+DQLpkG
近い将来ここの板にも大災害がやってくるぞ
保守の準備をしておこう

315 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 14:18:14 ID:U+DQLpkG
き、来た……!
一番槍保守

316 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 15:24:46 ID:r9z5eEG1
守れ、守るんだ保守

317 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 15:36:41 ID:GKcCPJKr
13巻の「子供は二人がいいわ」
これで子供二人以上は確定ですな。というかバカップル誕生だな。



318 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 16:00:24 ID:U+DQLpkG
また荒れてきたよー
保守

319 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 16:27:51 ID:PSsGEnjt
おいおい下がりすぎだろ保守

320 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 16:30:49 ID:r9z5eEG1
スレを守りきる

321 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 18:12:02 ID:oePgzsFl
age

322 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 18:27:45 ID:EgEtqTz6
上げると変なのが沸くから「sage」てくれ

323 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 18:54:08 ID:EgEtqTz6
すまん、なんか爆撃始まってたのね
ということでageとく

324 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 19:13:02 ID:hxXjctrY
保守

325 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 19:43:18 ID:amFYimlB
>>303
 例の場所にのっけちゃいましたよ。(にやり)

326 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:10:45 ID:o7GmmkaF
ほす

327 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:16:04 ID:xIXQTceU
>>292
wwww

ノーヴォル御大が愛をテーマに力強く執筆した今作が、
パロスレで『会』と結び付けられるとは夢にも思うまいw

きゅいきゅいニャンニャンSSを書きたいと思うだけの俺っちとはえらい違い

328 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:38:37 ID:wsR+FrcV
保守

329 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 22:17:09 ID:+RwoJTE/
保守?

330 名前:名無しさん@ピンキー :2007/12/26(水) 22:36:54 ID:i7MGbO5j
新刊読んでルイズの印象が数倍に跳ね上がったのは俺だけじゃないはず
ルイズ可愛いよルイズ…


でも悲しい話が苦手な自分には凄く厳しい
ノボル神早く次を出してくれ


331 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 00:20:00 ID:Hn4SZNqL
性欲の塊の男をフーチークーチーマンという。

332 名前:Lv.見習:2007/12/27(木) 00:37:19 ID:7QKzu7ls
クリスマス過ぎても翌日過ぎても終わらなかった……
遅れましたが「使い魔にクリスマスを」の続きを投下します。

333 名前:使い魔にクリスマスを 1/3:2007/12/27(木) 00:39:22 ID:7QKzu7ls
>>277-280 の続き
-----------------------------------------------------------------------
 あぁどうしようお母さまちぃねぇさま、ルイズは自ら星になる事を選んでしまいました、
しかも相手は犬で使い魔で、などと内心で喚いていても、才人には聞こえない。
 目をきゅっと閉じ、大人しくしているルイズは、傍目には覚悟を決めたように見えた。

 い、いいのかな?いいんだよな?これ?などと考えながら、ぐっ、と生唾を飲み込んで、
才人はキャミソールをゆっくりたくしあげる。
 細身だが白く柔らかな肌を滑りながら、その掌は目的の場所へ。

 僅かなふくらみの頂点は、彼女の髪の色に近い桃色に染まっている。
 その先端を指でそっと撫でると、ルイズは身を震わせて細い悲鳴をあげた。
 さらに指を沈めたり滑らせたりしていると、柔らかかった先端はぽつんと尖る。
 その尖った粒は滑らせる指にひっかかって、その度ルイズは甘い声を上げた。

 虚無の呪文を詠唱する時の、凛として朗々と響きいつも才人を魅了するあの声とは違う。
 この犬! 使い魔のクセにっ! お仕置きよ! などと冷たく言い放つ時のそれとも違う。
 無防備で甘く響くこの声は、自分だけが聞くことを許された、女の子としての声なのだ。
 そう思うと、才人の心は沸き上がるどころか沸き返った。

 手を止めそっとルイズの顔を伺うと、頬を真っ赤に染め、不規則に吐息を漏らしている。
 才人は思わず、この世界に召喚される前に仕入れた知識と彼女の様子を照らし合わせて、

「これ……き、気持ちよかったりとか、する?」

 などと、本人に確認してしまった。
 そんなデリカシーの無い質問にルイズははっと目を開ける。

「だ、だったら……ど、どうだって、言うのよ?」

 ルイズが返したのは、肯定の意味を含んだ、精一杯の強がり。
 それを羞恥に甘く震える声で紡いで、才人の袖を掴んだ。

 気持ちよかったらどうだって? それはもちろん……

「……かわいい声、もっと聞こうかな、と思って」

 耳元で囁くと、ルイズは目を見開き、両手でぱっと口を塞ぐ。
 顔を見ながら先程の突起をつついてみるが、眉をぴくりと動かすだけ。
 これはもう、意地でも声を漏らすもんか、という顔だった。

 才人は眉を顰める。これではちょっと面白くない。
 手をくいくいと引っ張るがルイズは渾身の力を込めて抵抗している。
 この手をはずすのにこちらまで全力ではさすがに雰囲気がぶちこわし。
 だったらどうしよう。才人は数拍考えた後に答えをはじき出した。
 ……そうか。ルイズが思わず手を放すように仕向ければいいんだ。

 うん、と一人納得した才人は、ルイズのパンツを一息に脱がして、ぽい、と横に放った。
 ぎょっとした顔で見るルイズに才人はニヤリと笑ってやり、彼女の閉じた両膝を掴む。

「きゃああっ!だめ!……あっ!」

 ルイズが思わず下肢を隠そうと伸ばした腕を途中でぎゅっと捕まえる。
 訓練と実践で培った才人の動体視力と行動予想は伊達ではない。
 掴んだその手をベッドに縫い付けると、ルイズはしばらくもがいたが、もう遅かった。
 ならばせめてと両足を閉じようとしても、間に才人が入り込んでしまってそれも不可能。

「これでもう押さえられないだろ」

 ニヤニヤしながら言うが、ルイズはむしろ裸の下半身が気になって仕方ないらしい。

334 名前:使い魔にクリスマスを 2/3:2007/12/27(木) 00:39:58 ID:7QKzu7ls
 顔を真っ赤にしてオロオロしているのが面白くて、才人はついからかい口調になった。

「じゃあ、そろそろご主人様の大事な場所を拝見させていただきまーす」
「ええっ!? ちょ、ちょっと待ちなさいよ」
「犬待たない」

 笑いながらルイズの手を片手に持ち替えて、自分の体を少し後ろにずらす。
 ルイズの片足を自由になったほうの手で持ち上げれば、まだ幼げな筋が見えた。

 余裕ぶった態度をしても所詮は付け焼刃、初めて見る女の子の部分に釘付けになる。
 昔インターネットで見てしまったオトナのそれとは違う。あくまでも幼い秘裂。
 好奇心に後押しされて、その筋を指先で軽く押してみると、小さな水音が立つ。
 同時にひっ、と怯えるような声がして、はっとルイズを見やると涙目になっていた。
 ソコがどうなっているかは気になったけれど、とりあえず後回しにして、キスで宥める。

 ぷにぷにしたそこを、とりあえずつつきつつ撫でつつ、唇へのキスを繰り返す。
 指が触れるのに反応して、絡めとった舌がぴくぴくと動き、甘い悲鳴が何度とあがる。
 キスに集中しているうちに、いつのまにか触れ続けた指に液体が纏わりついていた。

 ルイズの体の力が抜けたのを見て腕を開放すると、その手は才人の背に回った。

「んん……あ、あのね、サイト」
「ん?なんだよルイズ」

 秘部に触れる指の動きは止めずに、言葉の続きを促す。
 ルイズは体を震わせながら、しかしなにかを決意したような目で続ける。

「わ、わたし、初めてなんだから」
「……それはわかってるけど、どうかしたのか?」
「あ、あのね?……初めては、痛い、って聞いたんだけど」
「まぁ……そうらしいなぁ」
「……ねぇ、すっごく痛がってた?そうでもない?……ねぇ、どうだったの?」

 捕まえられた子犬のような目にどぎまぎするが、ここで才人は妙な齟齬に気がつく。

「……お、おい。ちょっとマテ。お前さ……もしかして、俺が経験豊富だとか思ってる?」
「だって、シエスタ、姫さま、テファ、タバサ……一人位は初めてのコいたでしょ?」

 ルイズが指折り並べた名前に、才人はさすがにぎょっとした。

「し、してねぇよ! こんな事他の誰ともっ! お前の中の俺はどんだけ節操ナシなのよ!」
「ウソ!だったらなんでこんなに手際がいいのよ!」
「うっ、そ、それは……」

 むかし、女の子に縁も所縁も無い頃、犬は好奇心からネットで調べてましたです。はい。

 …………ああ。こんな話、ルイズが信用するわけ、ない。
 大体、それ以前にルイズはインターネットもパソコンも知らないわけだし。

「……ギ、ギーシュに……教えてもらったんだ」

 信じてもらえても、もらえなくても痛々しい嘘だが、誤解が解けないよりはマシだろう。
 ルイズのジト目が怖い。でも真っ向から受けて立つ。なんだか物悲しいけど仕方ない。
 ほんとのほんとに知識しかない中で経験豊富扱いされても困る事だし。

335 名前:使い魔にクリスマスを 3/3:2007/12/27(木) 00:40:29 ID:7QKzu7ls
しばらく睦事の真っ最中には見えない迫力で睨み合ったが、ルイズが先に折れた。

「ふぅん……ま、いいわ。で、痛いの?」
「だから、少なからず痛いって事しか知らねぇの。……そんなに怖いなら、やめとく?」
「や、やめないわよ」
「ムリすんなって。……あのな、それが目当てで好きとか言ってるわけじゃないんだぞ」
「ムリしてないし、そんな事思ってないわ。……ただちょっと、心の準備したかっただけ」

 それだけ言うと、一つ深呼吸して、ルイズはきっと才人の目を見据える。

「さ、さあ。もういいわ、一思いにやってちょうだい」
「へ?は、はい……」

 処刑を潔く受けんとする騎士の様な言葉と仕草に、ときめくかと言えばさすがに微妙だ。
 戦場で実力拮抗の末ついに倒れたとかってシチュエーションじゃあるまいし。

 しかしルイズは途方も無い勘違いとはいえ、手当たり次第に種付けして回ってると誤解
していた相手、つまり自分に、それでも処女を捧げようとしていたのだ。
 そこを考えれば、なんだかこんな始まりも悪くないと思えて、才人は微笑んだ。

「な、なに笑ってんのよ。早く」
「へいへい。仰せのままに」

 燭台のロウソクはもう目に見えて減っていたが、
 二人にすっかり忘れ去られたクリスマスツリーを唯一照らし続けていた。

336 名前:Lv.見習:2007/12/27(木) 00:42:29 ID:7QKzu7ls
以上、おそまつさまです。

爆撃大変だったけど、対策ってもうされたのかな……

337 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 00:52:21 ID:qEo30sqb
>>336
GJ!これで終われそうな気もするけど、まだ続いてくれるのかな?

対策は全く進んでない。角煮板より転載

503 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 00:24:16 ID:BjhW2XpJ
>>498
運営自体崩壊寸前
規制システムを2chから譲り受けるしかないのに
頑なに拒む鯖管理者と削除人リーダーwww

507 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2007/12/27(木) 00:27:10 ID:ySdrB/4n
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erobbs/1198642933/
読んでみれば分かるがほとんどお手上げ状態。
NewPINK立てるにも管理人が日本在住だと摘発のリスクあるから無理。
てかピロリ氏の書き込み見ると彼のポジションでも警察来るッポイ。
Jim,79両氏が他の人にPINK管理権限投げるとも思えず・・・
2chに頼るしかないのが現状か?

338 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 01:23:23 ID:7QKzu7ls
>>337
うわ、こりゃヒドイな……スレ違いな質問なのに回答ありがd。
しばらく保守の繰り返しになるかもな。
でもここは保管庫あるから災害時にはそこに集合できるだけ安心だ。

上手く流れが作れなかったのでここで切りましたが、
このSSで書こうとした事が一つ抜けてるので、続きは近日中に書くと思います。

339 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 01:31:30 ID:Mp5uBxhE
>>338

おお、GJ。忘れていたのを思い出したのですね。
故意の寸止めでなければOKです。

(´・ω・`) よね・・・

340 名前:261のひと:2007/12/27(木) 02:11:22 ID:MX5/4f4U
新刊ネタ しかも短い。

341 名前:261のひと:2007/12/27(木) 02:12:23 ID:MX5/4f4U
 自分を殺そうとしたわたしのことを、身を捨ててまで助けてくれた人。
 わたしがわたしで無くなる日に、ボロボロになって駆けつけてくれた人。

 とても大切な人。

 助けたいと思った。
 守りたいと思った。

 わたしは望んで側に居るのに、時折ひどく胸が痛い。

 あの人がわたしの事に気付かない間、ゆっくり世界は色褪せる。
 あの人が、誰かに笑い掛ける度に、世界は小さく軋みを上げる。

 この想いが何なのか、わたしはその名を知らないけれど。

 この感情は恋じゃない。
 だって、こんなに辛いから。

 昔キュルケが教えてくれた。

『女の子は恋すれば幸せになれる』

 復讐で塗りつぶされたわたしの心、
 あの時からどこか壊れたわたしの心、
 雪風に凍った心は、きっと死ぬまで恋なんて出来ない。

 この想いは恋じゃない。
 だって、こんなに辛いから。

 そう……思う。

 ――それでも……

 幸せになんてなれなくて良いから、
 胸が痛くても良いから、

 少しでも側に居たい。

 想いの名前は知らないけれど、

 あの人を助ける度、少しだけ嬉しくなる。
 一言言葉を交わせるだけで、甘い痛みに耐えることが出来る。

 それが、わたしの小さな願い。

 たとえ、

 見慣れないブラウスを着たルイズが、あの人と街に消えて行っても。
 女の子らしい可愛い服で、あの人と腕を組んで、祭りの中に消えても。

 ゆらゆらと世界がにじんで、
 頬を何かが伝って、パタパタと足元に零れても。

 この想いは、恋じゃない。
 だから、わたしは平気。

 追いかけるのは辛いけど、
 あの人の帰りを、

 ……ずっと待ってる。

342 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 02:13:08 ID:MX5/4f4U
名前欄間違えた。

相談くらいはすべきだと思ったですよ、ではっ

343 名前:ツンデレ王子:2007/12/27(木) 04:27:49 ID:f/+EaLjV
やっと書きあがったので投下します

OCN規制中に思いついた内容
総製作期間 約半月^^;
クリスマスに間に合うかなと思ってたら、間に合わなかった orz
しかもクリスマスネタとは関係ない内容だし…

流れ的にこんな内容を投下して顰蹙を買いそうな気がしないでも無いですが…
>>151-153
私が書いてるネタだったので、びっくりしました^^;

レス数 多分6です

344 名前:目覚め(1/6):2007/12/27(木) 04:28:38 ID:f/+EaLjV
10巻108頁付近より

「出ろ、サイト」
 空に二つの月が輝きだした頃、銃士隊長アニエスは牢に来るなりサイトの喉元に剣を
突きつけて言い放った。
 時間も時間な為、一緒に居たギーシュを始めとする数人の水精霊騎士隊のメンバー
やルイズは既に寝息を立てており、起きているのは色々と考えて眠れなかったサイトのみ
であった。
「……」
 サイトは促されるままに立ち上がり牢を出ると、アニエスから杯を渡された。
 素直に受け取り飲み乾すと、急激な眠気に襲われ、抵抗する暇も無くその場に崩れ
落ちてしまいそうになる。アニエスはサイトの身体が倒れこむ直前にそれを軽々と抱える
と、城の地下へと歩いていった。



345 名前:目覚め(2/6):2007/12/27(木) 04:29:36 ID:f/+EaLjV

 サイトが目を覚ましたのは、城の地下にある拷問部屋だった。
 天上から吊るされた手枷によってサイトの両腕は大きく開いて固定され、また両足も同
じく開いて拘束されていた。
 目隠しをされている為何も見えず、また目を覚ましたばかりで状況が掴めていない事も
あり、彼は身体を捻って何とかこの状況を察知しようとするが、その度に手足を繋いでい
る鎖がガチャガチャと音を立てるのみであった。


 何だ?俺は一体…そうだ!
 牢に入ってたらアニエスさんが呼びに来て、何かを飲まされたんだっけ
 その後急に眠くなって…それから…


「ちょ、アニエスさん!これ、どういう事ですか!」

 しかし、その問いに答えは返ってこなかった。
 代わりに、彼の背中を上から下へスーッと何かが這った。

「ひゃぅ…」

 サイトは突然の事に嬌声を上げ、身をくねらす。
(な、なんだ…)
 続いて背中に当る膨らみを感じ、自分が今全裸である事に思い至る。背中に当る膨
らみからは彼女の肌の温もりが直接伝わっており、後ろの女性も裸である事が確認され
た。
 サイトは考えを巡らそうとするが、直後に後ろの女性が腕を回して背後から彼の胸や腹、
果てには彼のシンボルまでを弄りだした事により、思考は中断させられてしまった。

「おい!誰だか知らねーけど、一体何の真似だよ!」

 サイトは声を荒げるが、その声は視界を遮られている不安と、全身に送られてくる微弱な
快感の電気によって震えていた。
 背後から彼の身体を弄る手は動きを休めない。それどころか、背後の女性はチュッと音を
立ててサイトの肩にキスをすると、そのまま彼の全身にキスの雨を降らせ、舌で彼の身体を
舐めまわすのだった。

「お、おい、止めあぅ…止めてくれ」

 しかしその願いは聞き届けられず、逆に激しさを増すかの様にチュッチュッと音を立てて吸い
付く。彼女の舌の這った後には、彼女自身の興奮度を示すかの様に唾液の線路が描かれ
ていく。また、彼女が時折強く吸い付く為、サイトの背中には斑点のように赤い模様が付け
られていた。
 彼女はサイトの脇の下へと移動し、乾ききった汗を全て吸い取るかの様に丁寧に舐めあげ、
そのまま舌を離すことなく左上腕部へと這い上がる。彼女は口を開きその部分を咥えると、
ハーモニカを吹くかの様に顔を左右に揺らし、扱きたてる。もちろんその際、舌で刺激したり
歯を立てるのも忘れない。
 サイトの口からは『ぁひぃ』やら『はぅ』やら、擽ったがっているのか、それとも感じているのか、ど
っちとも取れる喘ぎ声が漏れている。その声が耳に入る度、彼女は背筋に微弱な電流を流
された様なゾクゾクとした感覚を受け、自身の秘奥から蜜液が溢れ出すのを感じていた。
 彼の前面に回り込むと彼女は舌なめずりをし、彼の左の乳首に自らの唾液で濡れた唇を
近付ける。そこに軽くキスをすると、次いで真っ赤な舌を出して彼の乳輪をなぞる。



346 名前:目覚め(3/6):2007/12/27(木) 04:30:38 ID:f/+EaLjV

「ぁああ…ぉおう…」

 絶えず漏れる彼の熱い吐息を心地よく感じながら、彼女は視線を上げる。そこには当初こ
そ硬い表情で警戒を怠っていなかったが、今となっては口を半開きにし、少しでも与えられる
快感を貪欲に貪ろうとしているサイトの表情があった。幾重にも巻かれた黒いリボンによって視
界は塞がれているが、それが却って彼の感覚をよりいっそう敏感にしていたのだ。
 彼女はそんなサイトの表情を満足げに見つめると、その中心で自らを誇張しだした彼の胸の
ボタンに舌を目を向け、触れるか触れないかといった微妙な力具合を保ちながら舌先で刺激
を与えている。すると彼はもどかし気に身体全体を揺らし出したので、そんな彼の要望を確認
すると、彼女は彼の乳首に歯を立て、歯軋りをするように上顎と下顎を交互に動かした。

「ぁは…ぁあああ…」

 少女の様な嬌声を上げる彼の空いている乳首を左手で摘むと、彼女は軽く力を込めて捻り
上げる。右半身から送られてくる快感が、左半身から送られてくる痛みをも快感へと導き、彼の
口からはうわ言のように『もっと…』という言葉が漏れていた。
 そんな呟きが聞こえているのか聞こえていないのか、彼女はスッと彼の身体から離れると、その
場に跪く。しかし、視界を奪われているサイトは、彼女が離れていった事により快感が途絶えてし
まい、一抹の不安を覚えてしまう。それを表情にありありと表し、必死になって彼女を探そうと暴
れだすが、手足の枷を繋いでいる鎖がガチャガチャと耳障りな音を立てるのみであった。
 その時、いきり立った彼の分身とも言える部分が、彼女の頬を張ってしまう。

「あっ…ご、ごめんなさい」

 その感触にサイトは彼女の機嫌を損ねてしまう事を恐れたのか、普段とは打って変わってしおら
しい声音で謝罪の言葉を口にする。
 そんな彼の思いが伝わったのか、彼女は一瞬優しそうに微笑むと、今しがた自分の頬を叩いた
彼の分身にそっと手を添え、先端部分をぺろりと舐め上げた。散々じらされた彼のソコは既に涎
をたらしており、彼女が一舐めしただけでビクンと振るえ、彼の限界が近付いている事を物語って
いた。
 彼女は大きく口を開くと、目の前で今にも爆発していまいそうなソレを咥え込んだ。
 幹の部分を唇で扱きたて、傘の張り出しをチロチロと舌で刺激し、先端の割目に舌先を当て、
まるで穿つかのようにグリグリと押しやる。
 右手では床に水溜りを作りそうなくらいに溢れ出す自身の蜜を掬い、彼の臀部に回され、奥に
ひっそりと息づく菊門と、彼の陰嚢と肛門の間―“会陰部”とも“蟻の門渡り”とも言われている部
分―をなぞり上げる。左手では彼の陰嚢を包み、二つの睾丸をやわやわと揉んでいた。
 そっと彼の表情を見やると、彼女の口腔内の温かさと、全体を嘗め回す舌が送る快感、また彼
女の両の手が与える刺激によって何も考えられなくなっているらしく、ただ口をパクパクとさせるのみ
であった。

「―――――-!!!」

 突然、予告も無しに吐き出される彼の迸りを彼女は口腔内で受け止め、更に搾り出すかのよう
に彼の分身を唇で扱きたてる。ようやく最後の一滴までもを吐き出したソレは、彼女の口から開放
されると力なく頭を垂れていた。



347 名前:目覚め(4/6):2007/12/27(木) 04:31:28 ID:f/+EaLjV

 サイトの分身から吐き出されたモノを口に含んだまま立ち上がると彼の頭の後ろへと手を回し、彼
の視界を奪っていた戒めをゆっくりと解き放つ。放心していたサイトが漸くその事に気付き、ゆっくりと
瞼を持ち上げると、そこには見知った顔、しかし思い描いていた相手とは違う顔が妖艶な笑みを浮
かべていた。

(――姫さま?)

 サイトが自分を認識したのを見届けると、トリステイン王国の現女王であるその人―アンリエッタ―
は、自身の両手を器にし口腔内に貯められたサイトの欲望を吐き出した。

「いかがでしたか?サイト殿」

 優しく語り掛けるアンリエッタに、サイトはただ呆然としていた。信じられなかったのだ。時折見せる
弱々しいが故に美しく光り輝いていたあの表情。そんな表情を持つ彼女が今、サイトの目の前で
妖しく艶かしく微笑んでいるのだから。

「ふふ、どうかなさいまして?」
「どうしてこんな事を…」

 少女を目で追い、サイトはそう尋ねた。当の少女は怪しく微笑んだままサイトの背後へと移動し、
両の手の平に大事そうに持っていた彼の迸りをサイトの尾骶骨辺りから垂らした。そしてその奥にあ
る窄まりに擦り込む様に、彼の臀部に左手を添え揉み解す。

「あぁぁ…そ、そこは…」

 吐出したばかりの為、普段は排泄にしか使われない場所への刺激もかなりの快感を伴って彼を
翻弄していた。サイトは首を捻ってアンリエッタが刺激を与え続ける部分を見、次いで彼女の顔に
視線を移した。
 アンリエッタはというと、傍らに置いた木箱から何やら黒い棒状のモノを取り出し、振り向いたサイト
の眼前に掲げる。

「これ、何だか分かりますか?サイト殿」

 サイトは虚ろな目でソレを見る。どこかで見た覚えのあるソレは、何故だか懐かしい感じがした。
 そう、ソレはサイトが元居た世界で友人から借りた青年誌や、パソコンのアダルトサイト等で見受
けられるモノであった。
(……?これって確か、女性同士が使う…)
 サイトは頭の片隅から過去の記憶を総動員し、やっとの事で思い当たる。
 ソレは彼の世界では双頭ディルドーとも呼ばれている、一般的に同性愛の女性同士がお互いに
繋がり、快感を得るために使用されるモノに良く似ていた。

「これはですね…ん…あはぁ…代々王家に伝わるマジックアイテムでして…」

 アンリエッタはソレの片方を自身の蜜壷にゆっくりと押し入れながら話し出すと、何やら呪文を唱え
始めた。するとソレは、まるで彼女の体の一部であるかのように変化し、彼女の太ももまでをも濡らす
蜜がソレの先端から滲み出ている。
 サイトはその変化に目を奪われていたが、体内に異物が押し込まれる感覚に呻きにも似た嬌声を
漏らす。アンリエッタが彼の窄まりに人差し指を第二関節まで押し込んだのだ。



348 名前:目覚め(5/6):2007/12/27(木) 04:32:06 ID:f/+EaLjV

「愛する殿方に自分を刻み込み、忘れられなくする為のモノなのです」

 今でこそ王族とはいえ重婚は認められてはいないが、遥かな昔、ここトリステイン王国でも王には
第一王妃、第二王妃といった形で重婚が見受けられた。また妾を多く持つ事こそが王の器としての
必須条件に挙げられた時代もある。そんな折、第一王妃となる人物はソレを使い、王を繋ぎとめた
のだとアンリエッタは説明した。
 しかし、アンリエッタが彼の体内で指を蠢かす為自身の喘ぎ声で消されてしまい、サイトは彼女の言
葉をはっきりと聞き取る事は出来ないでいた。

「今からコレで、貴方を可愛がって差し上げますわ」

 サイトの耳元でそう囁くと、アンリエッタは彼の肛門から指を引き抜くと代わりに自身に装着したソレの
先端を宛がい、一気に彼を貫く。ソレは彼女の指くらいの太さしか無かった為、すんなりとサイトの体内
に飲み込まれた。が、そこで変化が訪れた。サイトの体内に侵入したソレは、根元まで押し込まれた瞬
間、先端部分を球体に変化させたのだ。

「あっ…ぁあっ…ぁああ…」

 彼女の動きに合わせて、彼は直腸の奥まった部分や入口付近を先端の球体によって刺激を受け、 
絶えず嬌声を漏らしていた。ソレは彼の直腸のみではなく襞を通して前立腺までをも刺激しており、い
つしか彼の分身は先ほど吐き出したばかりだというにも関わらず、さらに大きく自身を誇張させていた。

「感じているサイト殿、可愛いですわ…あはぁ…わたくしもそろそろ…」

 アンリエッタは呟き、彼のモノに手を添え扱きたてる。
 手と腰の動きを同時に早め、恍惚とした表情を表すアンリエッタ。そろそろ限界が近いのか、二人とも
切羽詰ったような表情である。

「ぁああ…ひ、姫さまぁ…」
「サ…サイト殿…」

 サイトは首を捻りアンリエッタを見つめる。
 一段と深く彼の体内に突き刺したアンリエッタは、そんな彼の唇に自身のそれを合わせ、舌を絡ませあ
う。

「「んんん…!!」」

 重なり合ったお互いの口から呻きが漏れると同時に、サイトの分身からは白濁した液体が放たれ、放
物線を描いて床に点々としみを作った。また彼の体内では、アンリエッタの中から溢れ出た蜜が放たれ、
彼の直腸を潤していく。

 どれくらいの時間が過ぎたのだろう。2人はしばらくそのまま互いの口腔内を犯しあっていたが、扉がノッ
クされる音を合図に離れる。

「陛下、そろそろ日が昇る頃かと…」

 銃士隊長アニエスの声が扉の向こうから聞こえてきた。

「わかりました。アニエス、少しそこで待っててください」

 そう指示を出し、アンリエッタは小さく呪文を唱える。
 天上から吊るされた枷の戒めが解けると、サイトはその場に倒れこんだ。先ほどまでの行為によって、全
身に力が入らないのだ。自力で立つ事すら出来ないでいた。
 次いで呪文を唱えるアンリエッタ。近くに水差しでも置いていたらしく、その水を使って彼の全身をきれい
に洗い流すと、扉の外で待機しているアニエスに入室を促した。

「サイト殿に服を着せ、元の牢にお連れしてください。頼みましたよ、アニエス」



349 名前:目覚め(6/6):2007/12/27(木) 04:32:42 ID:f/+EaLjV


 俺たちは今、ルイズの実家であるヴァリエール邸に来ていた。
 タバサと彼女の母を救い出した帰り、無断で国境を超えた俺たちに罰を与える為に姫さまがここを指定し
たからだった。
 一騒動あった後、夕餉にする為にルイズや彼女の姉はギーシュたちを呼びに行くために退室して行った。
 俺もルイズと一緒に行こうとしたんだけど、姫さまに呼び止められたのだ。
「ご無事でなによりです」
 勝手をした俺をそう労ってくれ、更には返上したはずのシュヴァリエのマントを『俺の助けになる為に』と手渡
してくれたのだ。
 俺はマントを羽織りなおすと、姫さまは嬉しそうにしてくれた。
 でも、その目は過去に見たものとは違っていた。
「ご安心を。もう、女王としての顔しか、見せませぬ」
 そう言って左手を伸ばす彼女の瞳の奥に宿る光を見た瞬間、俺は背筋がぞくぞくと震えるのを感じていた。
ズボンの中で、ムスコが頭をもたげるのを感じながら……

~fin~



350 名前:ツンデレ王子:2007/12/27(木) 04:36:25 ID:f/+EaLjV
以上です

今日はこの辺で失礼します ノシ

新刊、買ったはいいが、まだ読んでない><


351 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 07:41:13 ID:qcOj4lxu
朝からGJ!
実にすばらしい!
実にすばらしい姫様ですね!!!
朝立ち+αでおっきした!


352 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 11:22:56 ID:J+Q2cxuX
>>350
GJ! これはよいエロ姫さまですね。

13巻発売したころ姫さま株暴落とかネタバレスレで触れ回ってるやつがいたけど、
バレ解禁日の昨日で本スレが完全にアン様愛玩スレと化してたのは吹いたw 
どんだけ浮き沈み激しい人だよとw

353 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 18:47:28 ID:VeO/91Qr
正直姫様は弱い人なだけだろ

354 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 19:47:11 ID:dpPAsqgg
新刊を読んで一番最初にでてきた妄想を書いてみた


ルイズによって元の世界に送られたはずのサイト

「・・・・・・・・・」

しかし、ルイズはとてもとても大事な事を忘れていた

ニョキニョキとそこら中の地面から突き出しているガラスの塔
さっきからこっちを睨んでいる爬虫類的な人達
空中を飛んでいる車らしきもの
聞いた事の無い言語


サイトが目覚めて初めて見た景色だった

「ここ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どこ?」

ルイズは

サイトに 

ワールド・ドアに映った世界が





サイトの故郷の世界かどうか確認をしていなかったのだ・・・・


次刊より タイトル変更 「サイト・トラベル 超科学恐竜帝国〜異世界から異世界〜」
(新キャラのヤンデレが出ます)





続かない

355 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 20:01:53 ID:dNgI1uzo
そうか!ゼロ魔に足りなかった成分はヤンデレか!!!!

是非見たいwww

356 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 20:16:22 ID:E17g4SlW
>>350
GJです!
こんなアンリエッタもいいかもです

>>354
ぜひ続きをお願いしたいです!

357 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 20:54:12 ID:ggAqORwq
>>342
261氏、すみませんです。

358 名前:261のひと:2007/12/27(木) 21:12:48 ID:MX5/4f4U
>>357さん

何か誤解があるよーな。
直前に書いたSSのお話で、ルイズはサイトの送還に一言言うべき相手が居るだろうと思って。

本人筆頭に、サイトに告白までしてるシエスタ、
戦争に係わるような意見までサイト依存のティファニア、
真意は不明でもルイズは仲を怪しんでるタバサ、

サイトの友達といえるギーシュやマリコルヌは側に居たのに、別れの言葉を告げることも出来ず。
サイトとの旅を心待ちにしてるコルベールに、なんて伝える気なんだ?

とか、思ったのですよ。

地球からのメールがついた+ノートの充電が可能になった=実は数週間有れば地球に帰ったサイトと連絡取り続けることも可能だったのに。

とか、いろいろ考えたので。

(ルイズはみんなに)相談くらいはすべきだと思ったですよ、でした。

多分、保管庫の話ではないです。
紛らわしくて失礼を。

359 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 21:38:52 ID:ggAqORwq
>>358
あはは、そーでしたか。
なんせ不意打ちで乗っけちゃったものだから
お気に触ったかと思ってしまいました。>保管庫


そんなシーンがあるんだとは!
まだそこまでたどり着いていなかったり・・・orz

360 名前:バレット:2007/12/28(金) 00:18:43 ID:2zBYkpp0
意外と筆が進んだんで、第2話投稿いきやす。
今度はちみっ子中心であります。

361 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/28(金) 00:20:08 ID:2zBYkpp0
見たくなかった。何度も視線を外そうと試みた。
なのに、結局最後まで目を逸らす事は出来なかった。
それは甘美でありつつ自分自身を蝕んでいくのが判っていても止める事が出来ない、麻薬のようなもの。

兄代わりの想い人と、姉のような従妹の浴場での痴態。

1週間前に少女、シャルロット・エレーヌ・オルレアンは、図らずもそれを見てしまったのだ。


夜中のヴェルサルテイル宮殿の一室。

「んんっ・・・おにいちゃん、おにいちゃんっ・・・・・」

押し殺した嬌声とにゅちゅにゅちゅくちゅくちゅという重く湿った音がする。
秘裂をまさぐる小さな指を、大好きな彼の指に見立てて。
彼女だけにしか見えない想い人の幻影に、彼女にしか聞こえない甘い言葉を囁かれる度、
小柄な少女の腰はビクリと震えて透明な液をこぼす。

けど、足りない。
何時もはこれで充分満たされる筈のこの行為も、今夜は全く彼女を慰めてはくれない。
だって、本物の彼が甘い言葉を囁いていていた相手は・・・自分ではなかったのだから。

「・・・どうしてぇ、サイトお兄ちゃんっ・・・・・・」

何度名前を呼んだって満ち足りない。
年上の従妹に、彼はもっと甘い言葉を囁いていた。
実際に彼の指で弄られ、彼の舌に舐められていた。
そして―――本物の彼に犯されていた。

この数日間、ずっとシャルロットは思い続けていた。
―――どうしてあそこにいるのが私じゃなかったんだろう、と。

2人の痴態を思い出すたびに股間近くが熱を帯びて、それと一緒にジュクジュクした黒い何かが自分の中に生まれる。
そしてこうして自分で慰めるたび、濁ったそれはシャルロットを蝕むのだった。

その夜幾度目の絶頂を迎えた瞬間、その濁りはやがて歪な形を成して彼女の中で実体を得る。

一睡することなく夜が明けてうっすらと窓から差し込む朝日を空ろに眺めるシャルロットの瞳は、感覚的に黒い何かが渦巻いていた―――


362 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/28(金) 00:21:59 ID:2zBYkpp0



最近の朝のサイトは機嫌がいい。

それはどんな風にかというと、意味もなくスキップしたり。
メイドさんに頭から紅茶をぶっ掛けられてもニコニコして許したり。
どこかぶっ飛んだ笑顔のまま朝の鍛錬で騎士団全員をぶちのめしたり、そんな感じだ。

反対に、サイトの機嫌と反比例してるのがイザベラの体調である。

どんな風に具合が悪いのかというと、寝不足でしょっちゅう欠伸をしたり。
腰痛を訴えたりちょっと内股だったり。
朝着替えたばかりなのに、何故かすぐに慌てて下着を履き替えたり、そんな感じだ。

1週間前からよく見かけるようになったこんな光景。
ちなみに2人は知らないのだが、その様子を見た王宮の一部の人間の財布が温まったり寒くなってたり、ごく局地的な大規模環境変化が発生してたりする。
その中でもジョゼフの財布はブラジル奥地の熱帯雨林並みに豊かに、弟のシャルルの財布は北極並みに厳しい冷え込みとなった。
どうやらギャンブルの才能は兄の方が上だったらしい。その子供達の場合逆だが。



今日も今日とて鼻歌交じりで王宮の警護兵相手の鍛錬(という名の1人対多数な逆リンチ)を鼻歌交じりに終えたサイトは豪華な廊下を歩く。
最近絶好調だ。発動のたび左手のルーンが光って唸って最初からクライマックス。
そして夜は夜で股間の相『棒』もフルスロットルってなもんだ。
最初こそイザベラが押しかけてきた為浴場であんな事になったけれども、その後はあれから毎晩しっかり自分の部屋のベッドにイザベラを連れ込んでお楽しみである。

あれだ、止められない止まらないってのはあの事だなホント。
胸とか太ももとか触るたびにカワイイ声出すし。
昼間は少し我侭で意地張るのは変わんないけど、ベッドん中じゃ俺のお願いとかしっかり聞いてくれるし。
それに何たってシてる最中のあの顔、マジエロ過ぎだって!
口でシてくれた時なんか、顔赤くしながら上目遣いで見上げてきたの見た瞬間に襲っちゃったくらいだもんな〜。

最近のイザベラのあられもない様子が脳内でプレイバック。だらしなく頬が緩みまくっている。
そんな風にサイトの気が散りっぱなしだったから、すぐ後ろから近づいてくる軽い足音には殆ど気付かなかった。
相手が自分のよく知った人物の気配で、ここが王宮のど真ん中という事で油断していたのもその原因だろう。
とにかく、

ドゴンッ!
「あべっ!?」

中々の魔力がこもった『エア・ハンマー』の一撃で、サイトの意識は刈り取られたのであった。
魔法でサイトをぶっ飛ばした張本人は自分の身長よりも長い杖を古い『レビテーション』でサイトの体を浮かせる。
そして、誰にも見つからないように注意を払いながら静かに自分の部屋へと運び入れた。

2人が部屋に消えると独りでに扉がバタンと閉まり・・・静寂だけが残った。


363 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/28(金) 00:23:22 ID:2zBYkpp0
ぺちゃっ、ちゅっ、ぺろぺろ

何だか猫がミルクを舐めてるような水気のある音が聞こえた。
とりあえず意識は戻ったがまだハッキリと目の焦点が合わない。ボンヤリ霞む。
なので、サイトはまず体に感じる感触から今の自分の状況を把握しようと努めた。こっちに来てすぐの頃に戦い方を教えてくれた鬼軍曹っぽい剣士から教えてもらったやり方である。

今仰向けに寝転がってるっぽいな。ふかふかしてる。これってベッドの上か?
両足は普通に動く。両手は・・・頭の上辺りで固定されてるっぽい。
なんだか股間のマイサンがえらい元気だ。何でこんなスースーしてんだろ?
うおっ、くすぐった!なんか今当たった!てより舐められた?
つーかとっても気持ちいいんだけどなんだかいつの間にか発射態勢っぽいしそんないやいやチロチロ弄られたらあーたもう限界です!!

大・暴・発。

本体の命令でも押さえきれず、サイトの相棒から尿とは明らかに違う白い液体が噴出する。
その開放感に思わず腰を浮かせると同時に、ようやく視界がクリアになって今自分の置かれている状況がサイトにも理解できるようになった。
知ってる天井だ、なんてどーでもいいボケはともかく、この部屋には見覚えがある。てかよく知ってる。
妹分の下の方、シャルロットの部屋だ。今居るのはその部屋に置いてあるベッドの上っぽい。
両手を上で縛られてどこかに固定されているので体が起こせない。代わりに目一杯顎を引いて頭を上げて未だ健在の愚息の方を見やった。

「熱い・・・」

・・・顔に一杯白いのをぶっ掛けられたのに、何でかウットリした呟きを漏らすこの部屋の主がいました。
しかもいつも着てる仕立てのいい落ち着いたデザインのドレスではなく、白いショーツと胸の2つのピンク色のポッチがハッキリ見えちゃうくらいに透け透けなシミーズ姿である。
シャルロットはメガネにかかった分をメガネを外してぺろりと舐めとった。
容姿は幼いのに、その動作はどうしようもなくエロかった。思わずサイト、生唾を飲み込む。
そのままきれいに舐めとると再び装着。まだまだ元気な元気なゾウさんへ再トライ。

「ってちょっと待て――――っ!!?」

そこでようやくサイト絶叫。その叫びっぷりは殉職時の某ジーパンともタメ張れるだろう。
それはともかく。

「シャルロットはん!?アンタ一体なんばしよっとるですか!?」

何処の方言だ何処の。

しかし少女はその叫びを無視し、未だ聳え立つ茎、というか杭に今度は腰を擦り付け始めた。
ちなみにこの杭、シャルロットの小さな拳でも3つ分はあったりする。結構デカい。

目覚める前からシャルロットが自分で弄っていたのかどうかは知らないが、そこは既にショーツが透けて役目を果たさない程に透明の分泌液で濡れていた。
ピッチリ閉じた割れ目に微かに食い込んでいる。何だかとってもいやらしい。
ついでに透けてるお陰で、イザベラみたいに青く薄い叢は見当たらなかった。見事にツルツルである。余計にエロい。
サイト、またゴクリと一呑み。
それでも何とか身動きが取れないまま頭をブンブンと振って、冷静さを保とうとする。

「しゃ、シャルロット、何でこんな事してんだよ!」
「・・・・・・」

返答は沈黙。
黙って少女は役立たずのショーツを脱ぎ捨てる。
割れ目付近とそこに当たって一番濡れていた部分に一瞬、銀色の糸が繋がって、すぐに切れる。
シャルロットはサイトの腰の辺りで馬乗りになると、そのまま腰を下ろした。

ちゅ・・・ずるっ

「ひゃっ!」
「くうっ!」


364 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/28(金) 00:25:52 ID:2zBYkpp0

杭の先端が割れ目を押し開いて入れようとしたが、充分以上に濡れているせいで割れ目を杭の横っ腹で擦りあげる事になった。
もっとも互いに走った何とも言えない快感に、サイトもシャルロットも声を漏らすのを我慢できない。
そのままシャルロットは何度か入れ直そうと試みるが、失敗する度に擦り付ける形になった為
割れ目付近の濡れ具合は半波無い事になっていた。
まあ、サイト自身も人それを素股と呼ぶその行為に思わず先走った物を出してたのもヌルヌルする理由だったり。

だってしゃーねーじゃん!
あのツルツルしか感触とか!
ピッチリ閉じた割れ目に微妙に挟まれながら擦られるくすぐったさとか!
お豆さんっぽいのがツンツン当たるあの感じとか!
膣中に入れるのとか口でシてもらうのとかのとはまた違う感じで気持ち良過ぎなんだって!

と、擦り付けてくるシャルロットの動きが止まる。
すかさずその間に再度説得を試みようと、サイトは口を開きかけ―――
言葉をつむぐ事無く、ポカンと開けっ放しになった。

なんで、シャルロットは、ないてるんだ?

メガネの向こうのちょっと大きめな瞳からボロボロと大粒の涙を流しながら。
まるで焼け出された村で自分の子供の亡骸を探す母親みたいな悲痛な表情で。
サイトの腰の上に跨ったまま、クシャクシャに顔を歪めてしゃくり上げていた。

泣く理由は分からない。
しかし大切な妹分が泣いてる以上せめて涙ぐらいは拭ってやりたいのに、両手を頭の上でロープか何かでベッドの端に固定されて動けないこのもどかしさ。
ジレンマに陥ってサイトが両手を何度も動かして何とか自由になれないかと足掻き始めた、その時。
唐突に両手が自由になった。緩くなったロープから両手がすっぽ抜けた。
視線を戻せば、いつの間にか杖を握っていたシャルロット。
表情はいつもの無表情に戻っちゃいたが、頬を伝った涙の跡までは誤魔化しきれない。
身体を起こして心なしか後ろへズリズリ下がりつつ、サイトは口を開きかけ。

「なあ、シャルロット、どうして―――」
「ゴメンなさい。もう行っていい。こんな事、やっぱりすべきじゃ無かった」

いきなりの謝罪の言葉に遮られた・・・しかしサイトは見逃さない。そう淡々と言った少女の身体が、細かく揺れているのを。

「シャルロット」

真正面に向き合う。
強い口調にビクリ、と彼女は大きく震える。
顔はまだ無表情を装ってるがこちとら長い付き合いである。青い瞳はありありと9割の不安と1割の恐怖を浮かべてるのが分かった。

・・・いつからどーしてこうこいつは押し殺すようになったんだかなあ。


365 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/28(金) 00:27:02 ID:2zBYkpp0

「何で、こんな事したんだ?」

怒らないから言ってみろよ、と両肩を掴んでまっすぐ向き合う。
するとシャルロットは俯き、そしてまたしゃくり上げ始める。

「・・・・ったから」
「何だって?」
「負けたくなかったから・・・私もお姉ちゃんみたいにしてあげれるって、証明したかったから」

後頭部におっきなマンガ汗、タラリ。

えーっと、してあげれるってこの状況とシャルロットがやってみせた事の内容を考えますとつまりそのあの。

「・・・シてあげれるってもしかして」
「・・・エッチな事。風呂場でお姉ちゃんとお兄ちゃんがしてたのと同じ事」

やっぱり見られてたー!?

ムンクの絶叫みたいな表情で,サイトはベッドの上で愕然と両手をつくのだった。orz


366 名前:バレット:2007/12/28(金) 00:29:45 ID:2zBYkpp0
今回はこれで完了。肝心要のエロはまた次回にて。
・・・大掃除、面倒なのばかり俺担当だーい。泣ける。

367 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 00:30:42 ID:dwV2dibk
>>366
GJ!
>大・暴・発
で吹いたw

368 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 00:42:59 ID:ARJbfmo/
>>361
GJ!!

369 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 00:52:09 ID:9nBoP+Mt
サイトとルイズ
二日目のよるのIf投下


ベッドの上で髪の毛をとかすルイズはまさに神秘的だった
俺は何と声をかけていいのかわからず突っ立っていると、ルイズから声をかけてきた。
「は、はやくこっちきなさいよ、もう」と真っ赤な顔で言われ、緊張しながらベッドに座った。

(前は押し倒したくせに、こうゆうときだけ緊張するんだから)

何と声かけようと考えてるうちに、さきにルイズが動いた。
反応する間もなく、唇を奪われる。

「あ、あなたのせいなんだからね!
ち、ちゃんと責任とんなさいよ!」

また唇を奪われ、強引に舌を入れられる。
ルイズは興奮してきたのか、声をもらしはじめる。



…なんかこんなのが書きたかった。希望あれば続き考える。

370 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 01:03:38 ID:ruoqVQNS
>>366
この腐れロリコン!死んでしまえ!!でも死ぬ前に続編を書いてうpしてくれ!!!

371 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 01:33:14 ID:9nBoP+Mt
てめーも腐って死ね

372 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 03:04:34 ID:eZsDYzkk
>>369
>>371

(;´Д`) ……。

373 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 03:16:34 ID:MUMbsyBu
>366
タバサ・・・じゃなくてシャルロットかわいいよシャル子

374 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 03:56:22 ID:R83J6Hox
一瞬、スクイズを思い出した俺は・・・

375 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 05:35:22 ID:5Ojz8QNo
今13巻読み終わったんだけどさぁ
姫様の扱いが・・・・おお・・・もう・・・・

ムr、じゃなくてイラッとしてきたからちょっくら姫様SSでも書いてくるか

レポートと定期試験のダブルパンチがあるからいつになるかは知らんが

376 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 11:33:30 ID:3GqVIxFz
>>375
わかる、わかるぜ・・・そんな君にPerfectBookだ。アン好きはいろいろ救われる。

377 名前:名無し@ピンキー:2007/12/28(金) 11:53:06 ID:nc3ToJhP
>>366
GJ!!
シャル子とイザ子かわいいよ
そしてジョゼフとシャルルw娘達を賭けの対象にするなwwwwwwww

378 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:23:41 ID:lYwZ7QJE
さてと、13巻解禁したので、一言感想など。

すいません14巻で才人帰ってないビジョンが全力で見えましたっ!
っていうかそん時の事考えると今からwktkが止まらないぜ!

まあそれはともかく投下。
http://wikiwiki.jp/zero/?14-632
『救国の勇者』の続編?みたいなもの。13巻読んで思いついちゃった。

379 名前:帰ってきた勇者 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:24:25 ID:lYwZ7QJE
「こら。いい加減起きなさい」

柔らかい叱咤の声に、才人は目を醒ます。
まず目に入るのは桜の舞い散る青い空。左手に見えるくすんだ鼠色の校舎の窓は幾つか開け放たれており、春を迎えた外気を取り込んでいた。
あくびをしながら弾力のある枕から起き上がる。軽くのびをすると、近所の喫茶店のものだろう、ナポリタンとカレーの交じり合った、昼時独特の臭いがした。
才人は背後を振り返る。
そこには、青い芝生に座り込んだ、ウェーブのかかった桜色の髪をショートボブに刈り込んだ、美しい女性がいた。
彼女の名は。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
彼女は平賀才人の恋人にして婚約者。
異世界ハルケギニアから、才人とともに日本へやってきた、かつての『虚無の担い手』。

「足、痺れるかと思ったわよ。全く」
「わり。ルイズの膝枕気持ちよくてさ」

才人の反論にまったくもう、しょうがないわね、と言いながら立ち上がり、足についた芝生を払う。
すると、やはり足が痺れたのだろう。ルイズはバランスを崩し、倒れそうになる。
それを才人は慌てて支える。

「…ほらやっぱり痺れたじゃない」
「…さっさと起こせばよかったんだよ」

腕の中でそうぼやくルイズに、才人はそう反論する。
しかし、ルイズはさらに反論する。

「あんまりカワイイ顔で寝てるから。起こすのもったいなくて」
「…あのなあ」

呆れたように才人は言うが。
傍から見れば、どこからどう見ても免許皆伝のバカップルであった。

二人は今、才人の暮らしていた日本にいる。
あの日、デルフリンガーの空けた穴から二人が地球に辿り着いてから、もう既に5年の月日が流れていた。
日本にやってきたルイズは、最初、日本語がわからなかった。しかし、ハルケギニアから戻っても言葉の通じる才人の手助けもあり、一年もする頃には流暢に話せるようになっていた。
元々努力家で頭のよいルイズは、言葉と共に日本の習慣や文化もあっという間に吸収していった。
今では、その外見以外は完全に日本に溶け込んでいた。
だが、問題は言語だけではない。ルイズには現代の日本で暮らす上で必要とされるものを持っていなかった。
そう、戸籍である。異世界人である彼女にはビザすらない。法律上、日本に住むのは不可能である。
しかし、それをクリアする方法があった。才人の母の知り合いの弁護士に頼み、ルイズを平賀家の養子にしてしまったのである。
身元保証人にはその弁護士と、知人のイタリア人がなり、そして、なんと帰化審査もパスしたのである。
戸籍上の今の彼女の名前は、『平賀ルイズ・フランソワーズ』。
そして、今、彼女は才人と同じ大学に通う大学生。
桜の色をしたウェーブのショートボブと、ベージュのパンツルックのスーツが似合う、才人の恋人。
ルイズは、日本に来てから、襟元より下に髪を伸ばさなかった。
何故か、と一度だけ才人は尋ねた事がある。
ルイズは応えた。それはね、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは死んだから。あの日、シャイターンの遺跡で、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは死んだ。
だから、平賀ルイズ・フランソワーズとなった自分は、髪を伸ばさないのだと、寂しそうに彼女は笑った。
才人は、それ以来、髪について何も言わない。
ルイズのあんな寂しそうな顔は見たくないし、思い出させたくもない。
今は、この日本で、ルイズを幸せにする。
それが、ガンダールヴの自分にできる、異世界へやってきた自分の主人に対する忠誠だと、思っていた。

まあ、そんな真剣な話はともかく、二人はそれなり以上に幸せだった。
一つ屋根の下寝食を共にし、両親公認で交際していて、大学を卒業したら結婚することが決まっていた。
まさに順風満帆である。
しかし。
そんな二人を、とんでもない異変が襲うのである。

380 名前:帰ってきた勇者 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:25:21 ID:lYwZ7QJE
「ただいまー」

帰りを告げながら才人が家のドアを開ける。
その後ろに、ルイズが続く。

「ただいま帰りました」

才人の母がいたら『タダイマでいいのよルイズちゃんっ』とか言い出すところだが、今日はその母はいないようだった。

「誰もいないのか」

玄関を見ると、そこに靴は一足もない。
父も母も、出かけているようだ。
二人はフローリングの廊下に上がり、居間へ向かう。
居間の机の上には、ラップをかけられた夕食が乗っかっていた。
不意に、才人の携帯が鳴る。才人はポケットから飛び出た、雑貨屋で見つけたデルフリンガーそっくりのペーパーナイフ付きのストラップを引っ張り、携帯を取り出す。
そのディスプレイには、『母』の文字。母親からメールが来た事を知らせるものだった。
才人は『今日の晩御飯』という件名の最新メールを開いてみる。

『テーブルの上のおかずをチンして食べてね。お味噌汁はナベの中。 母より』

そんな夕食のメニューは、鰤大根にきんぴらごぼう、黒豆の煮物。
味噌汁はおそらく、豆腐と若布。
ものすごく和食なメニューだったが、ルイズは意外なことに和食が大好きだった。
最初は『なにこの茶色いおかず』とか言いながら食べていたが、数ヶ月もしないうちに『おいしい』と納豆を頬張るまでになった。

「まーた和食かよー」

しかし才人はそこまで和食が好きと言うわけでもない。
ルイズが和食好きだとわかって以来、平賀家のメニューには和食の割合が増えた。
…たまには、昔みたく一週間カレーとか食いたいなあ…。
などと爛れた願望を望みながら、才人はラップを丸め、ゴミ箱に放り込む。
そんな才人に、荷物を部屋に置いてきたルイズが、語りかけた。

「洋食がいいなら、作ろうか?」

しかし即座に才人は否定する。

「いいっていいって!うん、和食がいい!」

五年経っても、ルイズには全く変わらないものが二つあった。
料理の腕と、胸の大きさである。
そして、このことに触れると当然、才人のご主人様は怒り狂うわけで。

「…なんでそんなに慌ててんのよ」
「いや、なんでもないです、はい」
「私が料理すんのがそんなにイヤなワケーっ!?」

言って才人に飛び掛る。
あっという間にルイズは才人を居間の床に組み伏せる。
抵抗しようと思えば抵抗できるのだろうが、それをしてしまってはご主人様の怒りに油を注ぐだけだ。
大人しくされるがまま、あんまり痛くないルイズの拳骨を受け止める。

381 名前:帰ってきた勇者 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:26:06 ID:lYwZ7QJE
何発か殴り終わると、ようやく冷静になったのか、ルイズは拳を止める。
そして、マウントポジションのまま、すまなさそうな顔をする。

「…ごめんね。料理下手なのは事実だもんね…」

昔は怒ったらそのまま怒りっぱなしだったのだが、最近、ルイズは怒った後、すぐに冷静になる。
それは、才人と婚約してからぐらいの時期から、そうなってきた。
ルイズは才人の上で、しゅん、と小さくなる。

「…式挙げるまでには、ちゃんと普通に作れるようになるから…」

そして、不安を湛えた表情で才人を見つめて、言う。

「わたしのこと、きらいにならないで…」

ルイズは、ハルケギニアにいた時よりも、才人と離れる事を恐れるようになった。
いかに家族のように接してくれてはいても、才人の家族とラ・ヴァリエールの家族は違う。
この日本で、この地球で、この世界で、本当の意味でルイズが心を許せるのは、才人だけだった。
才人は、そんなルイズにたまらない愛しさを感じて、抱き締める。

「嫌いになんかなるわけないだろ。俺は死ぬまで、ルイズと一緒にいる」
「うん。うん…」

まるで泣く子をあやすように髪を撫ぜる才人の肩に、ルイズは顔を埋めて、不安を打ち消していく。

「…とんでもないバカップルぶりねえ。ご家族が見たらなんて言うかしら」

そんなキュルケの挑発も、懐かしく聞こえ

「…え?」
「…ルイズも聞こえたのか今の?」

一瞬聞こえた幻聴。
それは、日本語ではなかった。
異世界の言語。ハルケギニアの、言葉。
その声は、居間の入り口から響いてきた。
二人は、騎乗位のまま、居間の入り口を見る。
そこにいたのは。
背の高い、燃えるような真紅の長い髪をアップに纏めた、褐色の肌の女性がいた。
日本家屋には場違いな、黒いローブを羽織っている。
それは、見紛うはずもない。

「「キュルケっ?」」

才人は日本語で、ルイズはハルケギニアの言葉で、その女性の名を呼んだ。

「はぁい。お二人さん。元気にやってる?って聞くまでもないか。
 …何よその幽霊を見るような目つき」
「どどどどどどどどどーしてっ?」

ルイズは目の前にキュルケがいるのに、その存在が信じられない。
ここは日本で、ハルケギニアではない。
異世界という壁に隔てられているハルケギニアは、月よりも遠い場所のはずであった。

「んー?カンタンな理屈じゃないの。シャイターンの門を使って、こっちにきただけよ」
「ってカンタンに言うけど!どうやって帰るのよ!アンタ家は!家族は!」

キュルケは平然と言い放つが、ルイズはそんなキュルケに猛然と詰め寄る。
自分はあれだけ悩み、あれだけ追い詰められて、この異世界に来たというのに。

382 名前:帰ってきた勇者 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:26:48 ID:lYwZ7QJE
「あー、家族なら連れてきたわよー?」
「へ?」

ルイズの目が点になる。
まさか、キュルケの両親が?
しかし、その予想は違っていた。
キュルケは、玄関の方へ向けて、廊下から呼びかけた。

「あなたー?まだ終わらないのぉー?」

あなた…?まさか…?

「少し待っておくれキュルケ、この扉の造りといったらもう、素晴らしいぞ!」

玄関から聞こえてきた声は。

「「コルベール先生っ!?」」

廊下に飛び出した二人の視界に入ったのは。
眩く輝く頭頂部。その脇にしがみつく、申し訳程度の毛髪。
通称コッパゲ、ジャン・コルベール。
好奇心旺盛なハルケギニア随一の研究者は、クロム合金の玄関扉を開けたり閉めたり、ドアノブをぐりぐり回したりして熱中している。

「ってあなたってアンタもしかして…」
「そ。ウチの亭主よ。って言っても式挙げたのは今年の春だけどね」

言って、左手の薬指に光る大粒のルビーを誇らしげに掲げる。
そして、続けた。

「それで、あと二人ほどいるんだけど。ちょっと遅れてるのかしら?」
「…へ?」
「…誰?」

驚きで呆然とするしかない二人の視界に、黒い何かと、大きな木の杖が目に入った。
次の瞬間。

「サイトさぁ〜〜〜〜〜んっ!!」

いつか聞きなれた声。
そして、日本の特定の場所でしかお目にかかれない、特殊なコスチューム。
五年の歳月でさらにボリュームの増した髪と胸を揺らしながら、遠慮なく黒髪のメイドは才人に抱きついた。

「ちょ、シエスタ胸胸!当たってるって!」
「やだもうサイトさん、当ててるに決まってるじゃないですかっ」

言って更にきつく抱きつき、腰を振って柔らかい胸をぐにぐにと才人の胸板に押し当てる。

「会いたかったです寂しかったですもう二度と離れませんっ!」

シエスタはうれし涙を流しながら、才人を絞め殺しそうな勢いで抱きつく。

「ちょ、苦しいってシエスタ」

その光景を呆然と見つめるルイズの中に、ずいぶんと久しく忘れていた感情が沸きあがる。

「…ああそう、そうなんだ。おちちがいいんだ。やっぱりアンタはそうなのかぁーっ!」

叫んで放った久方ぶりの跳び蹴りは、メイドだけを吹っ飛ばす。
主人の危機を察した、優秀なシュヴァリエが、咄嗟に才人だけをメイドの腕から奪い取ったのである。

383 名前:帰ってきた勇者 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:28:04 ID:lYwZ7QJE
「サイト、大丈夫?」
「…え?タバサ?」

あの日の小さな青い髪の少女は、五年の歳月を経て女に成長していた。
彼女を象徴する青い髪は真っ直ぐ美しく伸びており、動きの妨げにならないように一つに纏められている。
起伏の少なかった身体は、扇情的と言えるほどにメリハリがきいていた。
しかし、才人の顔を潤んだ瞳で見つめるその女性は、確かに、あの小さな雪風の魔法使いだった。
タバサは何も言わず、感極まった表情で、才人に抱きつく。

「…逢いたかった…」
「ちょっと、サイトから離れなさいよっ!」

そのタバサの襟を引っつかみ、ルイズは才人からタバサをひっぺがす。
タバサはあっさりと才人を放す。
そして、ルイズに微笑みかける。

「ルイズ、久しぶり」

その言葉に、ルイズの瞳に理性の光が、見る間に戻ってくる。

「ど、どうして?『門』はこっちからじゃ開けないのよっ?」

ルイズの言うとおりであった。
魔法の存在しない世界である地球では、異世界に戻るゲートを開くことは不可能だ。
すなわち、ここにいる人間は、日本に骨をうずめるしか道はない。
ようやく玄関扉に飽きて居間にやってきたコルベールは、そんなルイズの質問に応える。

「異世界に行ける、それも魔法とは異なる理の支配する世界に行ける。
 その機会があるというのに、探求者として、それを逃す手はないだろう?」

そんな熱のこもった言葉に、キュルケが続ける。

「私はダーリンの行く所ならどこへでもついていくわ。だって、妻ですもの」

言って、コルベールの腕を抱え込む。コルベールが照れくさそうに笑った。
そしてそれに、復活したシエスタが続けた。

「私はサイトさんのメイドですし、この国はひいおじいちゃんの生まれた国。
 里帰りだと思えばどうってことないですよ」

それに続いて、タバサが最後を飾る。

「…私はサイトに全てを捧げた身。彼のいないハルケギニアに未練はない
 それとルイズ。あなたの家族から、手紙を預かっている」

タバサの差し出した手紙を、ルイズは開く。

『もう、ここにはいないルイズへ。
 五年前、あなたが死んだと女王陛下に聞かされましたが、私は信じていませんでした。
 なんとなく、予感がそう告げていたからです。お父様とお母様も、信じていないようでした。
 お父様なんて、一時期軍を動かして捜索させようとしていたんですよ。
 そしてその予想通り、ハルケギニアが遍く平定された今、姫様は本当の事を話してくださいました。
 そして、姫様はサイト殿の世界に行く準備をしているとも教えてくださいました。
 私はまだ病気が治っていないのでそちらには行けませんが、この手紙をあなたの友人達に託したいと思います。
 サイト殿とお幸せに。私の愛しい小さなルイズ。    カトレア』

384 名前:帰ってきた勇者 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:29:06 ID:lYwZ7QJE

その下には、乱暴な走り書きで、

『元気でやんなさいよ! エレオノール』

と短い姉からの一文が。
そして、タバサは一身に手紙を読むルイズの脇に控える才人に、同じく手紙を手渡す。

「サイトには、ルイズの父君から」
「…ゑ?」

なんとなく内容の予想はついたが、才人はあえてその手紙を受け取り、開いて読む。
そこには、思い切りきつい筆圧で、でかでかとこう書かれていた。

『娘はやら』

その途中からかき消すように線が引かれ、そして。

『娘を頼む。不幸にしたら呪い殺す。末代まで祟るぞ。覚悟しておけ』

その手紙を見て、戦慄と共に才人は、どれだけルイズが愛されていたのかを知る。
そして、心の中で改めて誓った。
ルイズは、必ず幸せにします。お義父さん。
お前に義父と呼ばれる筋合いはないわ、とその場にヴァリエール公爵がいたら怒り狂いそうだったが。

手紙を何度も反芻したルイズは、手紙を抱き締めて、泣いた。
形のいい顎を、滂沱の如き涙が伝い、流れ落ちる。

「父様…母様…姉様…ちいねえさま…!」

覚悟を決めて日本に来たとはいえ、ルイズにも望郷の念はあった。
いや、五年の歳月が、彼女の心になお、望郷を募らせていたのだった。
才人は黙ってルイズを抱き締める。
ルイズはそんな才人の胸の中で、嗚咽を漏らし続けた。
友人達は黙ってルイズの泣き止むのを見守っていた。
しか、その沈黙はすぐに破られる。

385 名前:帰ってきた勇者 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:29:34 ID:lYwZ7QJE
「なんでえなんでえ。久しぶりに来てみたらしんみりしてんなあ」

かちゃかちゃと小さな金属音とともに、そんな声が聞こえる。
この、声は。
五年前、シャイターンの門で最後に聞いた、その声は。
才人は、慌てて声のする場所を振り向く。
それは、自分のズボンのポケットに突っ込んだ、携帯のストラップ。
その先に結ばれた、古ぼけた剣の形をした、ペーパーナイフ。
その鍔の一部が、まるで機械仕掛けのようにかちゃかちゃと動き、そして、声を紡ぐ。

「よお相棒、五年ぶりかね?元気にしてたか?」
「で、デルフリンガー?どうしてお前が?」
「いやあ、魂だけで消えかけてたんよ俺っちも。そしたら、なんか急に引っ張られるカンジがしてさ。
 気付いたらここにいたってわけだが」

才人は言葉も出ない。
突然の再開に、喜んでいいのか、涙を流していいのか。
そんな才人に、コルベールが語りかける。

「まあ、とりあえず今日の再開を祝おうじゃないか!ちょうどそこに料理もあることだし」
「え?この茶色いの料理だったの!?てっきり豚の餌かと思ったわ!」
「まあまあ、ミス。ウチの田舎の魚料理でもこういうのありますよ。『テリヤキ』っていうんですけれども」
「…美味しそう」

見知らぬ異世界に来たという不安を微塵も感じさせず、これから始まる宴会を楽しもうとする一行に、才人は思わず吹きだす。
隣にいるルイズも、泣き止んで笑顔になっていた。
そして二人は笑い合うと、わざわざ遠出してきた友人達のため、宴の準備を始める。

「文句言うなら一度食べてみなさいよキュルケ!おいしいのよサイトの国の料理は。
 すぐ温めるから待ってなさい」
「じゃ、その間にみんなでDVD見ようぜ!言葉はわからんかも知れんけど、歌モノならいいだろ。
 えーっと、どこやったっけな『天使にラブソングを』のDVD」

不意に始まったパーティに、平賀家の居間は喧騒に包まれる。
その喧騒の中、ずいぶんと小さくなった伝説の剣が、小さく嗤った。

「また世話んなるぜ、相棒。
 さあて、この世界のこの先六千年は、どんだけハチャメチャなのかねえ。
 ま、相棒のいた世界だ、ハルケギニアなんかよりずっと面白いに違えねえ。ああ、楽しみだ楽しみだ」

永遠の語り部は、新しい舞台の幕開けに、心躍らせたのだった。〜fin

386 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:31:08 ID:lYwZ7QJE
このオハナシは以上。

あ、※えろぬき って注釈入れ忘れたorz

で、オマケものも追加でGO。

387 名前:あいまのできごと ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:31:41 ID:lYwZ7QJE
謁見室で教皇の『虚無』を見せ付けられたアンリエッタは、アニエスとともに、来賓の寝泊りする部屋に通された。
案内をしてくれた聖堂騎士に礼を言うと、アニエスは扉を閉める。
既に夜の帳が降り始めており、部屋はあらかじめ点されていたランプで照らされていた。
その薄明かりの中、トリステイン女王は椅子に腰掛け、テーブルに王冠を置いて天井を見つめていた。
その胸に去来するのは、やはり謁見室で見た『虚無』の威光だろうか。
アニエスはそんな女王の脇に控える。
女王はしばらく天井を仰いでいたが、しばらくするとアニエスを振り仰ぐ。
二人の視線が絡み、そして、女王は言の葉を口にする。



「…ジュリオ様が受けよね、絶対」
「…教皇総受けでキマリですよ陛下」
「えー?ありえないですわよアニエス!気の強い方が受け!これは時代の鉄板ですわ!」
「なにをおっしゃいますやら!立場が上の人間が下のものにヒィヒィ言わされるからこそ萌えるのです!」
「ちょっとアニエス、それ聞き捨てならないですわよ?何か私に不満でも?」
「ええまあそれなりに!そもそも前のマリ×ギーシュの時から陛下には一言申し上げたく!逆カプ多すぎです陛下わ!」
「ちょっと待って!それって私から言わせていただくならアナタの方が逆カプじゃないの!」
「そんなに言うなら、語っていただきましょうか、ヴィット×ジュリの萌える展開とやら!」
「ふふふ、西の女王を嘗めてもらっては困りますわ…!覚悟なさいアニエス、私の鉄壁の妄想に一晩中萌え死ぬがいいわ…!」



そして、聖なる都の爛れた夜は更けていくのだった。〜fin

388 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/28(金) 19:32:43 ID:lYwZ7QJE
どっかの誰かが「教皇とジュリオの契約シーンは」とか言ってたので妄想しちまったじゃねえか!
でもBL書けないのでこのへんでカンベン。

んじゃまたねーノシ

389 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 20:02:24 ID:eZsDYzkk
せんたいさん乙。
契約のキスは何も口と口とは限らないんだぜ?
つまり、鈴口と鈴口でうわ何をするやめ…………   アッー!

390 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 20:21:26 ID:QLyXsUS0
なるほど、今回は「担い手と使い魔が同性ではない」って原則が崩れてるんだよな
ロマリアの場合はどうやって処理するのか注目してたのに、あっさりだったかも

あまりこのスレが「見たくない方向」へ伸びてほしくないんだけど…やるの?('A`)

391 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 21:06:19 ID:pvlvdu1+
なに、ジュリオは実はジュリエッタとか言う名前の男装の美少女だと思えば問題ない。

392 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 21:09:49 ID:ruoqVQNS
>>389
本来のシックスティナインとは男女ではなく男同士の竿と竿とを以下省略

393 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 21:30:56 ID:eZsDYzkk
>>391
よく見たら坂本ジュリエッタでした。 残念!


>>392
マジか…?

394 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 21:53:52 ID:0s2YY9Yb
>>386

こういうSSが見たかった。
てか、カトレア地球来たら病気治るんじゃ・・・?
できればもっと続けて欲しいです。
とにかく、
せんたいさん、GJ!


395 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 21:54:37 ID:0ZQcWvbq
なんというGJ…


396 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 22:23:22 ID:+kPyXQqZ
>>391
教皇が女である可能性は? 女みたいな美形なんて描写もなかったっけ?

397 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 22:33:47 ID:J9zfJYLu
せんたいさんありがとう。13巻読んで心中穏やかじゃなかったけど
貴方のおかげで癒されました。こういう幸せそうなアフターワールド最高ですね。

398 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 22:40:17 ID:QLyXsUS0
>>391>>396
そのへんはノボル氏がきっと細工してるに違いない…と信じてるが


とりあえず、このスレがア゙ーーーッな方向に行かなければいいのさ w

399 名前:名無し@ピンキー:2007/12/28(金) 22:47:05 ID:nc3ToJhP
なにもエロだけがGJなのではない…
ソレをわからせてくれるいい話だ…せんたいさんGJ!

400 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 00:09:28 ID:QoUMyWcE
>>386
GJ!!

401 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 01:25:05 ID:xcuSm5Ix
13読了して・・・
ルイズ鬼神化フラグに見えたのは俺だけだと思いたい。


402 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 02:10:57 ID:yEguTF4H
逆に虚無の魔法が発動しないんじゃないかと思うんだ

403 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 02:12:06 ID:/jJGNFMs
魔法少女タバサの続きはナインデスカ

404 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 05:01:15 ID:izaHA7eZ
やっとこさ読みオワタ
いよいよノボル氏はアン様を手放し始めましたね
姫様ファンとしてはつらい
なんとしても幸せになってもらいたい




それなのに25Pの絵のところ、アン様よりもアニエスに目がいってしまったことを許してほしい

405 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 10:31:29 ID:t9Fq6u/2
>教皇が女である可能性

ジュリオ・チェザーレの元ネタ?のチューザレ・ボルジアだったら、
ルクレティアって美女の妹が居ますがね。

406 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 12:57:56 ID:IZBxSlN1
>>404
●発売したばかりのPerfectBookの作者インタビュー、ページ81より

(インタビュアー)>ヤマグチ先生が個人的に好きなキャラクターは誰ですか?
ヤマグチ  うーん・・・(中略)今は難しいですね。アンリエッタかな。
〜〜〜〜〜〜〜
>ちなみにアンリエッタは、才人争奪戦からリタイアと見てよろしいんですか。
ヤマグチ  いや、そんなことはないですよ(笑)

●PerfectBookのキャラ紹介のアン様成分表

『国政40%(いちばん大事)、
 ウェールズ20%(誓った記憶は永遠)、
 才人20%(あきらめ気味ではありますが、やはり心から消せません)←注目
 大人10%(覚悟を決めて日々成長しています) 、
 子供10%(まだまだ17才。抑えられない部分も)』

●今月号のメガミマガジンに載っていたノボル氏のコメント。

「実は3期に関しては、やるだろうなという予感みたいなものはあったんです。
でも、いざ決まってみるとやっぱりすごく嬉しいですね。
ルイズたちの活躍をもっと見たいと思います。
僕個人としては、アンリエッタが絡んでくるといいな。
彼女の趣味を"変装"としたのは伊達じゃないので(笑)。
それを活かして、アニメオリジナルでばりばりコスプレとかをしていただけるといいですね。
メイド服でもセーラー服でも水着でも、なんでもアリだと思いますよ。
誰より僕自身が見たいので(笑)」

↑どうみても、手放すどころか愛されております本当に(ry
13巻は描写不足で教皇に篭絡されたように見えるが、ありゃ虚無に心酔して政治的賛同しただけ。しっかり才人に未練タラタラだし。
ノボル枠でプッシュするみたいだから、心配ないんでね?

407 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 12:58:57 ID:IZBxSlN1
>>405
元ネタはユリウス・カエサルじゃないか? まんまイタリア語読みだし。

408 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 16:26:00 ID:GK6bdyeR
>>ちなみにアンリエッタは、才人争奪戦からリタイアと見てよろしいんですか。
>ヤマグチ  いや、そんなことはないですよ(笑)

しかしこの後に
「女王様ですから、やりたい放題ですから、何するかわからないですね」
とゆー、下手したら権力振り回すビッチ化の罠なノボル神発言。
まぁエロい女王様とか大好きですがー。

409 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 16:35:38 ID:n/cowW6/
まあノボル枠なら間違いないな!

410 名前:砂時計:2007/12/29(土) 21:17:29 ID:OyOBund5
どうも、前回「ウサギ林檎」を書いたものです。
名前を「名無しさん@ピンキー」改め「砂時計」にしました。

投稿は非エロで「真価!無限武装」です。

411 名前:真価!無限武装:2007/12/29(土) 21:20:26 ID:OyOBund5
 才人は零戦の格納庫で一人悩んでいた。生徒は授業中のためここには才人しかいない。
普段は水精霊騎士隊の連中で盛り上がっている格納庫も、今は気持悪いくらい静かだ。
「…どうしたもんかなぁ」
「どうした相棒、深刻そうな顔して」
 壁に立て掛けてある剣―デルフリンガーが話しかける。
「いやな。今のままの俺でさ、ルイズ達を守れんのかなぁって」
「えらく弱気じゃねえか。お前さんは伝説の使い魔ガンダールヴなんだぜ。もっと自信持てよ」
「そうなんだけどよ」
 才人はデルフリンガーに自分の考えを話し始めた。
 タバサを救出した時に会った攻撃を跳ね返す魔法を使うエルフ、
あらゆるマジックアイテムを使いこなす俺と同じ伝説の使い魔ミョズニトニルン、
そしてあいつが使っていたヨルムンガントとか言う巨大で素早いゴーレム。
ここ最近で多くの強敵が出現したし、まだまだ増えるかもしれない。
 こっちの世界の武器なんて剣や槍ばかりで、銃にしたって精々火縄銃かフリントロック銃。
拳銃の作り方なんて知るはずもなく基本的には接近戦のみに絞られる。
 今のままではより強い敵が襲ってきた時に勝てないだろう。
「なるほどな。確かにお前さんの言う通り今のままじゃ勝てねえな。
…でもよ相棒、ガンダールヴの力はただ武器を自在に扱うだけじゃねえぜ」


412 名前:真価!無限武装:2007/12/29(土) 21:22:29 ID:OyOBund5
「ん!?それってどういうことだよ。武器を使えるって他にも何か凄げえ能力があんのか?」
「そうじゃねえよ。いいかよく聞け。ガンダールヴの力ってのは他の能力
…まあ最後の一人は別として、それらとは根本的に違うんだよ」
「根本的に?」
「そうさ。ヴィンダールヴやミョズニトニルンは幻獣や魔法具を自在に操るが、
奴らの能力は操る対象に左右されるんだよ」
「よく分かんねえよ。そんなの俺も同じだろ」
「分かってねえな相棒。例えば火を操る魔法具があったとする。
それをミョズニトニルンが手に入れれば自在に炎を操れるが、
結局のところそれでしかねえんだよ。ヴィンダールヴも同じさ。
ドラゴンがいればそいつに乗って大空を駆けブレスで攻撃出来るが、
それはヴィンダールヴの能力ではなくて乗っているドラゴンの能力だ。
限度があんだよ。でもお前さんは違う。
自分が強くなればなるほどその力も強くなる」
「…っあ!」
「そう言うこった。つまり、他の二人は『操る対象の能力』がそのまま戦力になるが、
ガンダールヴは『操る対象の能力』に『自分の実力』を足したのが戦力になる。
この違いは決定的だぜ。なんせ鍛えれば鍛えるほど強くなるんだからな」
「…つまりはひたすら鍛錬をするしかないと」
「まあ頑張りな。稽古は絶対にお前さんを裏切らねえからな」
「結局何も変わってねえ気がするがしかt……ん。待てよ」
「今度はどうした相棒」
「さっきの話聞いて思ったんだが、武器って何だ?」
 するとデルフリンガーは呆れながら、
「そりゃおめえ、剣や槍に決まってんだろ。とうとう頭までおかしくなっちまったか?」
「……溶かすぞ……そうじゃなくてさ、どっからどこまでが武器なのかってことだよ。
幻獣は生き物だし、魔法具は魔力が込められてる物だろ。
でもさ、武器ってのはいまいち判らねえんだよなぁ」


413 名前:真価!無限武装:2007/12/29(土) 21:24:01 ID:OyOBund5
「…なるほどな。確かに曖昧だな。
まあ、形はどうであれ『相手を傷付ける物』なんじゃねぇのか?盾とか例外はあるが」
「やっぱそうだよなぁ〜。でもその考えでいくとさ、何でも武器になっちまうよな〜。
…ってことは、結構面白いこともできそうだな」
「そりゃどういうこった?」
「いやさ、俺のいた世界にはあらゆる物を飛び道具にできる奴や、
自分の体を一本の刀―つまり剣に見立てて戦ったりする奴がいるんだよ。
まあ、ほとんど漫画や小説、映画の中の人物なんだけどな」
「まんが?えいが?…よくわかんねえが、相棒の世界には可笑しなこと考える奴がいるもんだねぇ」
「まあな。でも実際に出来そうなもんもいくつかあるな…」
 腕を伸ばしたりするのは流石に無理でも、武術とかなら結構出来るかも…
「よし!そうと決まれば実践あるのみだな。まずは『武器』を探さなきゃな」
「おっ!調子出てきたな相棒。それでこそこの俺の相棒ってもんだ!!」
 こうして才人の厳しい?鍛錬が始まるのであった。

414 名前:砂時計:2007/12/29(土) 21:25:32 ID:OyOBund5
以上で終了です。

やはり執筆は難しいですね。
今のところ次回作は棒術をテーマに作成を考えています。
自分的には、最終的に「俺は○○の剣(盾)だ!」とか言って、
武器を持ってない状態でもガンダールヴの力を発動できるようにしたいなと思っています。
でも、ここらへんは個人の意見が結構分かれると思うので、
皆さんの意見を聞かせていただけると幸いです。


415 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 21:30:36 ID:yc6FZuDm
>>414
乙。
自分の考えだけを突き詰めたほうが良いんじゃないか?

416 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 22:07:35 ID:x20MBUWa
ギャグにするつもりなら方向性的は間違ってないと思う
シリアスにするなら大分ずれてると思う
結局自分が何を書きたいのかに左右されるかと

417 名前:Lv.見習:2007/12/29(土) 22:43:50 ID:cAoohn3U
>>231-232 クリスマスイブをご主人様に
>>277-280 クリスマスを使い魔に 1
>>333-335       〃       2

以上、一連のクリスマス物の最後を投稿します。
冗長になりましたが、なんとか年内に終わってよかった……。

6ほど消費します。

418 名前:クリスマスを使い魔に:2007/12/29(土) 22:48:39 ID:cAoohn3U
 再度ルイズをベッドに沈めようとしたところで、
 才人は自分が未だに服を着たままだったことに気がついた。

「あ……俺も脱がなきゃなぁ」

 言って目の前で脱ぎ始めた才人を、なぜかルイズは妙な面持ちで見ている。

「……あの? そんなじっくり見られたら、はずかしいんですけど」

 さすがに少々照れて苦言を呈するが、ルイズはそれには返事しなかった。
 そして、才人の肌にぺたり、と遠慮なく手をあてて、肌をじっと見つめる。
 ちらちらと揺れる蝋燭の火が照らし出すのは、万の傷。
 肌に残った深い傷跡を細い指先でなぞりながら、ルイズは切なげに目を細めた。

「……召喚した頃、あんたってばこんなに傷だらけだったかしら」
「ん……いや、俺のいた世界じゃめったにケガとかしねぇから……」
「……わたしの前に立ったり、無茶ばっかするから……こんなふうになるのよ」

 馬鹿にするような言葉なのに、声はずいぶんと不安げに震えている。
 いくつもの傷痕を、ルイズはその手で以って癒すかのように触れていく。
 それは、どう考えても慈しむ行為だったが、今の才人には淫靡に感じてしかたないので、
ルイズの手を上から包んで、そっと留めた。
 ついでに、多少格好つけたことまで言ってみる。

「俺が好きでお前を守ってんだからいいの。傷は男の勲章って言うだろ?」
「……それで怪我したって……私、労ってなんて、あげないんだから」
「お前にそんなの期待してねぇよ。それでも俺は満足なんだから、ほっとけ」

 ルイズはまだなにか言いたげだったが、真剣な目を合わせれば、おとなしく目を伏せた。
 才人はよしよし、とルイズの頭をなでて、それから服を脱ぐのを再開する。

「……って、きゃあっ! ちょっと! どこまで脱ぐつもりよ!」

 ……悲鳴があがった。

「脱がなきゃできな……いってわけでもねぇけど、普通脱ぐだろ……」
「あたしが痛い思いする事に、そもそもあんたが脱ぐ必要ってどこにあるのよ!」

 ルイズは真っ赤になって怒鳴ったが、その言葉に才人は固まった。

「……えーっと、ルイズさん? これから何するのか、わかってる?」
「わたしが痛い思いするのよ」
「うん、で……具体的に何をどうして痛い思いするのかって……知ってる?」
「と、友達同士で、そこまで詳しく話すわけないじゃない」

 わ、わかってねぇ……。ぜんぜんわかってねぇ……。
 箱入り娘にも程があるだろ。なんでなんにも教えてねぇんだよ……。
 初めて事を致すまえにそっちの教育をしないとマズイのか?……と、才人は頭を抱える。
 思わずがりがりと頭を掻いたが、ルイズがそれを見て不安げな顔をしたので、やめた。

 たぶん、自分が喚ばれて今に至らなければ、ルイズは本来どこぞの貴族の花嫁になって、
才人より遥かに大人な……例えばワルドみたいな奴にリードされて初夜を迎えたはずだ。
 その場合なら、ルイズがわかってなくても問題なく事は進む……だから知らないんだ。

 ……どっかの貴族がルイズにイケナイ教育をする想像をして、才人は不快感を覚えた。
 その妄想を振り払うように、才人はぶんぶんと頭を振る。

「わ、わかった。俺が教えてやる」

419 名前:クリスマスを使い魔に:2007/12/29(土) 22:49:00 ID:cAoohn3U
 ジーパンなどをぽいとそこらに放り出して、ルイズをベッドに転がした。
 ルイズは抵抗もなく転がされたが、才人の動きを睨むような目で見ている。
 才人はそろそろとルイズの足に手を伸ばした。
 そっと両足を持ち上げ、大きく押し開く。……それでも抵抗は、ない。
 どうやらルイズは本当に本気で覚悟を決めているらしい。
 ここまですれば足の一つも出るかと思っていた才人は少々拍子抜けした。

「えっと……ここなんだけど」

 会話が長く、ずいぶん放っていた割にまだ熱く潤んでいる秘裂。
 蝋燭の灯りしかない薄暗い中、指先でそっと開くと、溢れた水滴がきらきらと光った。
 水を湛えた小さな窄まりを見つけて、指を押し込む。

「痛っ」

 指は何かに引き止められ、なおも引きずるとルイズの体は強く跳ねた。
 奥をほぐすように掻い潜るように動かせば、まだ固い膣内が少しずつ緩む。

「指でこれだし……俺を挿れるのは、慣れるまで痛むの。それが、初めては痛いって事」

 直球で言うのも憚られて暗喩的に言うと、ルイズは変人を見るような目で才人を見た。

「……アンタがそんなとこにどうやって入るつもりよ」
「お、俺がっていうか……俺の切ない部分を、ね?」

 言葉で説明するのもなかなかに面倒に思えて、ルイズの手をとって触れさせる。
 掌に強く押し付けた瞬間、ルイズはびくっと震えた。

「…………なな、何よ、この熱いのは」
「お前が事あるごとに蹴っ飛ばしてくれるアレだよ。不能になってなくてよかったなぁ」

 イヤミ交じりに説明してやると、ルイズは顔を赤くし、そっぽをむいた。
 その間も指の動きに反応し、押し殺した吐息が荒く繰り返される。
 指の動きに余裕ができて、内部がたっぷりと潤ったのを見ると、才人は指を抜き去った。

「これくらいで大丈夫かな……さて、それじゃ、そろそろ……」

 言って、抜いた指の代わりに、自分自身を押し当てる。
 ルイズはまるで予防注射を前にした子供のように身を硬くした。

 ……やっと、結ばれる。今まで何度も邪魔が入ったりしたけれど、とうとう。

 そう考えたところで、一番大事なことを忘れていた事に、才人は気づく。
 元々、自分はそのためにクリスマスのことを持ち出したんだ、と。
 状況を選ぶどころか一足飛びで抜かしてしまったので、もう、今しかない。

「……ルイズ。俺さ、一つ大事なこと忘れてた」
「な、なな……何?」

「好きだよ、ルイズ」

 言って強く抱きしめながら口付け、一気に奥まで押し込んだ。
 処女の証を裂く感触と同時に、唇を塞がれてくぐもった悲鳴がルイズの喉を鳴らした。

「んぅーーー……っ!……ひ、痛った、い……」
「……うん、ごめんな」

 才人は苦しいのを堪えながら、はらはらと涙が零れる白い頬を撫でた。
 痛みに息が浅くなっているのを、繰り返す口付けの度に唇で感じる。
 いつの間にかルイズの腕も才人の背中に回っていた。

420 名前:クリスマスを使い魔に:2007/12/29(土) 22:49:33 ID:cAoohn3U
 そうしながらしばらくする内に、ルイズの体のこわばりが抜け、穏やかな息遣いに戻る。
 多少慣れたということだろうか。ほんの少しは痛みもマシになったらしい。
 キスを止めて顔を覗くと、幾分穏やかな顔つきをしている。
 見られている事に気づいたルイズは、はっと顔を引き締めて、頬を染めた。

「……だ、だいたいね、ズルいのよ、アンタは」

 ルイズはぽつん、と、拗ねたような声でつぶやく。

「へ?……何の事だよ一体」
「……な、なんで入れる間際に言うのよ、そういうコト。こんなタイミングじゃあまるで、
こういう事するための方便として言われたみたいだわ」
「そ、そんなんじゃねぇよ。ただ、ちょっと言うの忘れてただけで……」

 ルイズの頬がぴくり、とひきつる。

「……ね、ねぇ、サイト?忘れていいことと悪いことって、あるわよね」
「ご、ごめんなさい」

 才人はほぼ反射的に謝ったが、ルイズの怒りはいつもとちょっと違っていた。
 真っ赤に頬を火照らせ、才人の背の後ろに組んだ指をもぞもぞと動かしている。
 どうやら繋がっている事がどうにも照れくさいようだった。
 咎める言葉であるのに、いつもの気の強さはなりを潜めている。

「……は、反省しなさいよね、ちょっとは」
「します。犬反省します。…………あぅっ?」

 痛みが軽減された余裕か、ルイズは顔を逸らすついでに身をひねった。
 だが、体を動かせば、当然その内側もうねり……今の才人には強過ぎる刺激へと変わる。
 ざわっ、と背を走り抜けた感覚。その意味を一瞬で解して、才人は焦った。

「ちょ、ちょっと待てルイズ。まずいっ」
「な、なによ。反省するのがイヤだっていうの?」
「そうじゃな……だ、だから動くなって!」

 ルイズはよりにもよって、怒り任せにぐっと身を起こした。
 中のぬめりが動いて、きゅう、と才人の切ないアレが締め付けられる。

「ちょっと! ご主人様に命令だなんてずいぶん偉くなっ」
「も、もうムリっ……うわっ」
「きゃんっ!?」

 才人は慌てて腰を引いたが、背中を強く抱く腕が邪魔になって、抜けない。
 結局、才人はルイズの奥深くに打ち込んだまま、果ててしまった。

「……あっ……やだ、何か、中ではねてる……」
「うぅっ……なんつーかほんと、ごめん……」

 脱力した才人はそのままルイズに体重を預け、しばらくの間その肩に顔を埋めたまま、
荒い息をついた。



「もう、信じらんないっ! いいい、犬に本当に種付けされるなんてっ」
「……い、犬すみません」

 才人はやわらかな布で零れた粗相を拭いながら、謝る。
 奥に出してしまったものの正体を語ると、ルイズは声を震わせて怒った。
『私まだ何も返事してないのに』『ちゃんと両親と挨拶もしていないのに』etc。
 ルイズの文句は延々続くが、今回はどれも尤もな内容だったので、才人は素直に聞いた。

421 名前:クリスマスを使い魔に:2007/12/29(土) 22:49:55 ID:cAoohn3U
 布を片付けてベッドに戻ると、ルイズはあれほど怒っていた割に素直にすりよってきた。
言うだけ言ってすっきりしたか、と安堵して、ルイズの頭を胸に抱き、毛布をかける。

「まぁ……今回は勘弁してくれよ、ルイズ。初めて同士でまともに最後までするだけでも、
普通は上手くいかないもんらしいし」
「そ、そうなの?」
「……って、よく聞く」
「……アンタ、さっきからそればっかりじゃない」
「しょうがねぇだろ、そこは」
「とにかく!今度中で勝手に出したら許さないんだから」
「へ、へーい……以後気をつけます。……って、こ、今度?」

 二人は顔を見合わせ、赤面した。そして、互い気まずげに視線を逸らす。

「……ね、寝ましょうか、もう」
「そ、そうしようか……おやすみ、ルイズ」
「おやすみ、サイト」

 二人は程なくして意識を手放して、夢の中に落ちる。
 蝋燭は身を寄せ睦まじく眠る二人を照らしていたが、しばらくしてフッと燃え尽きた。
 あとには静かな部屋のなか、寝息が二つ、響くばかり。

「あーあ、お二人さんよぉ……クリスマスツリーどころか、俺がいることまで忘れてたろ。
まったく、今日みてぇな夜は一人身には染みるねぇ……今に始まったことじゃねぇけどさ」

 僅かな光源を失いすっかり暗くなった部屋の中、小さな金属音が寂しげにぼやいた。



 あくる日の朝。
 いつかのように水場でざぶざぶと大きな布を洗いながら、才人は一つため息をついた。
 その表情はあくまで明るく、彼が彼の意思でそうしているのが見て取れた。

 目を覚ましたとき、才人はまず、前日の事はもしや夢ではなかったか、と不安になった。
 クリスマスツリーであるとか、ワインであるとか、そういった部分は変わりない。
 それらを片付けながら、それでもまだ昨晩のことが信じられなかった。
 いくらなんでも上手くいきすぎに思えたのだ。今までの失敗を考えれば当然だ。
 そして、自分自身の記憶を疑うような気分で、証拠を探し、ふと毛布をめくった。
 そこに点々と残っていたのは、破瓜の印。
 才人はそれを見て昨日という現実をはっきり認識して、我知らず頬を緩めた。
 しかし血液汚れは時間がたつと落ちない、と思い出して、ルイズを起こさないように、
慎重に引き抜いたシーツを慌てて水場に洗いに来たのだった。

「ちゃんと取れっかなぁ……一晩たっちゃってるしなぁ」

 主婦のような感覚でぽつり、と才人はもらした。

「あら、これはちょっと完全に取るのは難しそうですね」
「だよなぁ。血ってちょっと時間たつと…………え?」

 つい背中越しに会話をしてしまった、相手は誰だろう。
 聞いたことのある声だ。そして今はちょっとやばい相手だ。
 覚悟と心の準備をして、ぎぎぎ、と音のしそうなぎこちなさで才人は振り返る。

422 名前:クリスマスを使い魔に:2007/12/29(土) 22:50:41 ID:cAoohn3U
「や、やぁ……シエスタ、お帰り」
「はい、ただいま帰りました、サイトさん」
「皆は元気だった?」
「えぇ。変わりないようでしたよ」
「そっか。それはよかったな」
「はい。……ところでお洗濯、代わりましょうか?」
「そ、そんな、いいよ! これは俺が汚した洗濯物だからっ」
「……あら?これは、ミス・ヴァリエールのベッドのシーツ……ですか?」
「あ……」

 心の準備をしていたはずなのに、口を滑らせた。
 ルイズのベッドのシーツをケガもしてない才人が汚した。つまり血がついている。
 ……想定できる事は非常に少ない。

 シエスタの笑顔が怖い。なんで自分の周りの女性はみんなしてこう気が強いんだろう。
 才人は思わず目を逸らす。

「ちょ、ちょっと、ね……色々あってさ……」
「そうですね……色々あったみたいですね、私のいない間に。うふふ」

 寒い。冬の寒さに加えて寒い。風邪引きそう。
 その後の事を考えると、才人の血の気はすーっとひいた。

423 名前:Lv.見習:2007/12/29(土) 22:53:43 ID:cAoohn3U
以上、お待ちくださった方にはお待たせいたしました。
童貞と処女のエチーがわからずHOWTO読み尽くすハメになりましたorz
それでも無理のある部分は、あとはファンタジーってことで……。

424 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 22:59:45 ID:E9VY5A9o
リアルタイムGJ!

ルイズかわいいなぁ(;´▽`)

425 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 23:10:31 ID:yc6FZuDm
>>423
GJ!
やっぱりルイズも才人のことをもっと労わってほしいねえ。
それとこの展開、どっかの同人誌でも見たけどやっぱりそうなるよなあw

426 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 23:57:20 ID:ui6MmR6h
>423
GJ!



この後の暴走シエシエの話も読んでみたいw

427 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 00:05:36 ID:Wza6EtJh
>423

いいね〜初々しくて


俺も暴走シエシエ見たいな


428 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 00:06:42 ID:cxKP52hm
黒化シエシエでサイトを縛って逆レイプとな?







ごめんなさいごめんなさいだから石を投げないで・・・・

429 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 00:26:51 ID:nrirKHPB
>>428

(ノ゚д゚)ノ彡○

430 名前:Lv.見習:2007/12/30(日) 00:31:47 ID:E2SeQHtn
 シエスタの笑顔は変わらない。
 暖かい微笑みにいつもであれば心休まるはずなのに、この恐怖はなんだろう。
 才人はぶるりと身を震わせる。
「……あ、あのさ。俺、ほら。ずっとその……ルイズを……だからさ」
「ええ、そうですね。まるわかりでしたよ?サイトさんもミス・ヴァリエールも」
「そ、そうなの?……と、とにかく、そういうワケだからさ」
「ええ、ええ。……私は二番目で結構です」
 その言葉に才人はひくりと頬をひきつらせた。
 一夫一妻の国、日本で育った才人にとって、それは基本的にありえない。
「ちょ、ちょっと待ってくれよシエスタ。なんだよ二番目って」
「私は妾でも愛人でもなんでも構いません、サイトさんと一緒にいられるなら」
 それほどの恋慕を向けられるのはやぶさかではない。
 ……しかし、それは"決めた一人"がいる場合には危険な誘惑だ。
「そ、そうだ。例え話をしよう。例えば俺は犬だとする」
「はい、可愛いですね♪」
「かわ……。まあいいや、とにかく、俺は既に一本骨をくわえているとする」
「ミス・ヴァリエールですか?」
「…………ま、まあ、とにかく、そこにもう一本骨が……」
「両方くわえちゃえばいいじゃないですか」
「く、くわえたら元々もってる骨が落ちちゃうからさ?」
「そこは男の甲斐性でクリアできますね」
「……」
 シエスタの笑顔の前で、いろいろ言い尽くした才人は沈黙した。
 才人はがんばった。
 もう、めいっぱいがんばった。
 しかし、口の勝負ではシエスタのほうが一枚上手だったわけで。
 仕方なく、才人は単純な本音を露見する。
「……ルイズを、泣かせたくない。俺はアイツを支えてやりたいんだよ」
 その本音はそれまでの例え話やらより、よほど説得力のある言葉だった。

 ……しかし、言葉の力と、実質通じるかどうかとは、別物だ。

「ではミス・ヴァリエールが悲しまれなければよい、ということですね?」
 にっこりと微笑みを深くするシエスタに、才人の体に及ぶ寒気は増した。

------------------------------------
思いついたからここまでぱっと書いてみたけど、
俺サイトルイズ一本派だからこれ以上は無理だわ(´д`)
誰か続きいける人いたらご自由にどーぞ。

……しかし黒シエシエ好き多いな。愛されてるねシエ。

431 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 00:35:03 ID:SAb01ode
>>430
ああ、サイトが男衆に語った「モテ男」理論を完全論破されてる!!


432 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 01:00:02 ID:e5M3/THW
>>423

乙でーす。追加しときますね。



433 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 03:17:51 ID:3QTcPabz
>>423
GJ!
>>430のシエシエに笑った


434 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 04:23:31 ID:Et5TNjG3
>>414
どんどん突き詰めて行けば、  『指先』ひとつさえ武器と解釈できるわけで。

サイトが漫画とかを例に持ち出したなら、いっそのことサイトが読んだ事のある、

漫画とかの技全て再現するギャグ路線で行くかですね。

♪指先一つで、ダウンさ♪

サイトが奇声を上げて戦場を駆け抜ける。
次々と兵士を殴り、蹴り、拳を叩きつけて通り過ぎた次の瞬間。
サイト「経絡○孔のひとつを突いた。お前はw」
「「「あべしっ!」」」
兵士たちの身体が文字通り『爆砕』した。

435 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 04:25:23 ID:cxKP52hm
>>434
そんなサイトは見たくないwww
むしろ荒縄に縛られたサイトが姫様に責められるのがwww

436 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 06:39:08 ID:QAzizFcM
当然マリコルヌは〇ート様だよなw

437 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 07:20:36 ID:sGzme0oV
全ての攻撃を阻む肉の壁

マリコルヌがガンダールヴやればいいんじゃね?

438 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 07:54:36 ID:jXn+jsZH
神の煩悩はマリコルヌルン

脂肪のかたまり神の豚

あらゆる妄想を詰め込みて、導くべき我を猥談で惑わす

439 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 10:19:14 ID:2JLQmjr2
>437
 さすがに火炎攻撃を使われたら燃えてしまうかと?
 あくまでもゼロ魔内での話ですから、相手が魔法を使える事を
 前提にしないと

 ギャクにしたくないのであれば、身体強化は出来ても、基本は
 武器を使って戦う方が話のバランスとしてはいいと思うが。
 さすがに、ヨルムンガントと素手で戦って勝ちましたではギャグに
 しかならない。

440 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 10:57:25 ID:TLkZi06H ?2BP(1043)
 つまり、MASTERキートンに登場したソ連の暗殺者「赤い風」みたいに、
そこにある存在全てが武器となる人間凶器と化すわけですね。

441 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 11:44:10 ID:lv8ZnGjg
 書き忘れたが、あくまでエロパロスレなのだから、
 あらゆる大人のおもちゃ(縄なども含む)を武器として
 操り、女の子をいかせるというエロギャグもありかと

442 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 11:50:23 ID:Et5TNjG3
>>441
それ……ロマリアに保管されてる『武器』がとんでもないことになる気が。
ロマリアがなんとか書店の大人の玩具コーナー化。
聖地にあの手のものがゴロゴロ転がってることに(だから聖地か!)。

エルフたちが「このシャイターンめ!」って切れるのもわかるわ。

443 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 12:32:31 ID:XGmj3GkW
とりあえず「俺の股間の武器にもガンダールヴ!」って連想したやつ挙手な ノシ

444 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 12:34:09 ID:XGmj3GkW
あと>>441理論だとアニメの「エロ凡パンチ」も立派な武器っつーことで原作との矛盾が解消されるよなw

445 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 12:59:34 ID:Et5TNjG3
さあ、原作13巻 173ページのサイトとジュリオが大聖堂地下に
入るシーンを、大人の武器を思い浮かべながら読み返してみよう。

サイト「な、なんだよこりゃ……」
ジュリオ「驚いたかい?」

ハルケギニアのソレじゃない。
明らかにつくりが違う。
『一本』を手に取ってみた。ずしりと重く……。
「極太パール○ーター 三極責め ……イギリス製だ」

446 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 13:21:09 ID:IVSLUZm0
>>434
吹いたwそれイイb
あいにくオイラはそのアニメ詳しく知らんから書けないけど…
読んでみたいかもw

447 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 13:23:13 ID:fO0/361E
純粋なサイト×ルイズきぼん
惚れ薬仕様とかだったらうれしい

448 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 14:09:54 ID:/r9brsWL
惚れ薬使うのは純粋じゃないような?と突っ込んでみるテスト(W

449 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 14:33:59 ID:X/y7kJNw
惚れ薬の時みたいにムカツクぐらいイチャイチャイチャイチャしてほしいって意味じゃないか?

450 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 14:47:19 ID:filyG+s1
>>440
そのネタはわかると例えとしては結構わかりやすいな。

451 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 18:28:20 ID:n6KQ1+7i
サイトがどれだけ修行しても「爆熱の使い魔」には及ばんだろうから安心できるw

452 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 18:52:00 ID:zvbNMyVS
首から枝を生やしたり、葉で首を掻き切られたりした死体がごろごろ…
ということになるのか…

453 名前:名無しさん@ピンキー :2007/12/30(日) 19:22:01 ID:xiS5/zFo
少し遅いけれど、クリスマスネタを投下。
エロ無し!短い!
でも投下。


454 名前:幸せな家族の聖夜:2007/12/30(日) 19:23:10 ID:xiS5/zFo
幸せな家族の聖夜

 ある雪が降り積もったハルケギニアの深夜のこと。
その日は、ハルケギニアでは聖夜──クリスマスと呼ばれた。
とある魔法学院の異界の男により広まったクリスマスはハルケギニア全土へ広まり、
地球のそれと、ハルケギニアのものは大して変わらない風習のようなものとなっていた。
無論キリスト教だとか、そういった宗教的なものは関係なく、降臨祭に似たただのお祭りみたいなものだ。
恋人たちは愛を語り、子供たちにはサンタクロースからの祝福を。そして、豪華な食事。
ただそれだけの日だった。

そんな日に、一人の男が電気のついていない部屋に忍び込むかのように音を立てずに進入する。
サイトだった。
その部屋には一人の男子が寝ているだけだ。
深い眠りについていることを確認し、そっと足音を立てないように枕元までゆっくりと動く。
まずは形から、ということで意味もなく、付け髭もつけている。服装は黒いパジャマだ。
問題なく目的の場所へ『プレゼント』を置き、そっと気付かれずに部屋を出る…筈だった。
プレゼントを置くときに少しばかり大きな音をだしてしまったのだ。
そして男子は目を覚ました風だった。
「しまった!」と思い咄嗟に男子の方へ目を向けると、目がばっちりあってしまった。
急いで部屋を出て髭を外し、自分の寝室へ戻る。



455 名前:幸せな家族の聖夜:2007/12/30(日) 19:24:31 ID:xiS5/zFo
中で待っていた妻─ルイズは、少し慌てた様子のサイトを見て疑問を口にした。
「どうしたの?」
「いや…それがプレゼントを置いたときに音がしちゃって、目がバッチリあっちまった。」
「あんたねぇ…子供の夢を壊すようなことを…まぁいいわ。仕方ないじゃない。」
まぁそうなんだが…と言いかけたところへさっきの男子─つまり二人の間の子供が入ってきた。
「パパ、ママ!聞いて聞いて!ぼくサンタさん見たよ!」
ルイズは軽くサイトを睨み、サイトは冷や汗をかきつつ、平静を保とうとしていた。
「どんな人だった?」
サイトは少し恐れつつ尋ねた。
「あのね…パパにそっくりだった!」
(あちゃー…これはやっぱりダメだったか。)
なんて後悔してると子供は続けて、
「黒のベルトに黒のブーツ履いてたんだ。」
あれ?と二人は顔を見合わせる。
「だから、パパとは別人だよ!」
(どうしてそうなるんだ!)
しかしそうとは言わず、いやむしろ言えず
「よかったな。サンタさんを見れたんだ。」
などと返すサイト。
「うん。きっと窓から入ったんだ。服とか全部真っ黒だったのは、きっと家に忍び込むためだよ。
 黒い服装なら見えにくいもんね。」
ルイズはさっきから呆れながらも笑いを堪えている。正直俺も笑いを堪えるのに必死だ。
「そうか、よかったな。とにかく、今日は遅いからもう寝なさい。」
はーい、と元気な返事と、おやすみなさい、と丁寧な挨拶をして寝室を後にする。

「なんというか、純粋な子供に育ってて助かったわね。」
「そうだな…アイツが大きくなったらいい笑い話になりそうだ。」
「そうね…」
などと子供には聞こえぬよう笑いを漏らしながら話す二人。
じゃあ俺たちも寝るか、と寝転がるサイト。
しかし、寝転がるサイトの服の裾を引っ張るルイズ。
「ねぇ…今日はクリスマス、でしょ?」
サイトはにやーっとしながら起き上がり、ルイズを見る。
「久しぶりだな…ルイズから誘ってくれるのは。」
などと言いながらすぐにルイズを抱きしめるサイト。
「今日は特別なの。分かってるくせに。」
ルイズもサイトを抱きしめる。
そうして幸せなハルケギニアの夜は更けていく。

─Fin



456 名前:幸せな家族の聖夜:2007/12/30(日) 19:26:42 ID:xiS5/zFo
友人の苦労話を聞いてたら、なんとなく思い浮かんだのでちゃちゃっと書きなぐって投下。
ミスがあったらすみません。


457 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 19:53:52 ID:E2SeQHtn
>>455
GJ!仲良し夫婦にニヤニ……いや、心温まるね。
サイトはあいかわらずヌケてるんだなw

でも黒のベルトに黒のブーツっての見て一瞬、サイトとは別に
ドロボウも入ったのかと勘違いしてワロタw

458 名前:幸せな家族の聖夜:2007/12/30(日) 20:06:31 ID:xiS5/zFo
固定観念+寝ぼけてた、ってことで済ましててください
そのことに触れるのを忘れてたorz


459 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/30(日) 21:22:30 ID:e5M3/THW
>>453

GJ!!
ルイズと才人の未来予想図。いーよいーよー。

ところで、名無しさんでいいのかしら?
クリスマスSSというのに・・・(´・ω・`)


今年もあと2日。
新刊ネタも少し含んだものを投下

460 名前:ココロのキズナ(1/2):2007/12/30(日) 21:22:57 ID:e5M3/THW
わたしはあいつのご主人さま。

あいつはわたしの使い魔。

初めはそんだけの関係だった。

あいつが、わたしの前に立って

ゴーレムや魔法なんかからわたしを守ってくれた。身を挺して。

使い魔はご主人さまを守るもんでしょ。

初めはわたしの言いつけを守ってるんだけなんだと思ってたの。

だけどね。違ったの。

あいつ、わたしのこと好きって言ってくれた。

あいつにとってわたしはご主人さま以上の存在だったの。

わたしは・・・?

わたしにとってあいつはなんなの?

だたの使い魔?――ううん。違うの。

じゃぁコイビト?――ちちちち違うもん。

・・・じゃぁスキナヒト?――ちちち違う・・・

・・・・・・うそ。

ホントは・・・ホントは・・・スキ。

でも言えない。

言っちゃいけない。

あいつは、わたしの世界とは違うとこから来ちゃったの。

あいつは、いつか帰らなきゃいけないの。

スキって言っちゃったら、あいつが帰りたくなくなっちゃうんだから・・・


461 名前:ココロのキズナ(2/2):2007/12/30(日) 21:23:28 ID:e5M3/THW

・・・・・・うそ。

スキって言っちゃったら、わたしが帰したくなくなっちゃうの。

わたしにとってあいつはココロの全て。

わたしのココロのキズナのすべて。

でも、あいつの帰る方法が見つかっちゃった・・・

どうするの?わたし。

どうしたいの?わたし。

やっぱり・・・帰してあげるわ・・・あいつを。

・・・・・・うそよ。

ホントは帰したくはなかったわ。

でも。

会える。絶対。
また会ってみせる。必ず。

サモン・サーヴァントを何百回唱えようと

必ずサイトの目の前にゲートを開いてみせる。

わたしとサイトのココロのキズナ。
始祖のルーンにも負けないんだから。

462 名前: ◆LoUisePksU :2007/12/30(日) 21:25:28 ID:e5M3/THW
以上ですノシ

この場を借りて、
クリスマス特集に参加して頂いた職人の皆さんに感謝!!

463 名前:Lv.見習:2007/12/31(月) 02:32:27 ID:HUOQ29UL
>>155 幸福な結末 の続き?を投下します。
新刊ネタが多少混ざっています。あとは妄想設定。注意。

・サイトは一度教皇の魔法で帰ったけど親に会う間もなくなんらかの方法で帰還
・そのあと東に遠征。紆余曲折の後、聖地の門に行く。でも帰れず。
・エロパロスレなのに申し訳ないんだが、状況的にエロ到達はちょっと先。

464 名前:未来予想図:2007/12/31(月) 02:33:05 ID:HUOQ29UL
「しょうがねぇよ。聖地の門でもムリだったんだし……。それに俺はお前と一緒にいたい
から戻ってきたんだ。だから、もう気にすんなよ、ルイズ」
 そういってサイトが浮かべた微妙な笑顔が、ルイズの頭から離れない。

 ルイズは自分の家の自分の部屋、そのベッドに寝転んでぼんやりと天井を見上げた。

 遠征の結果と無事の報告。
 そのために、ルイズらは王宮に次いでラ・ヴァリエール公爵邸に向かった。
 報告を兼ねた食事会が開かれたが、才人は眠いと言って早々に部屋へとひっこんだ。

 ルイズにはわかっている。才人が部屋に戻った理由が。
 ……たぶん今頃、一人で物思いにふけっているのだ。

 聖地に至れば元の世界に帰れると思っていたのに……サイトは帰れなかった。
 あの門は一方通行で、こちらから渡る事は不可能なのだという。
 それを聞いたサイトは……目を見開いて言葉を失っていた。
 どれほどの絶望を味わったのか、ルイズには想像もつかない。
 トリステインに戻る間、いつも通りの様子を崩さずにいたサイトは、どんな思いでいた?
 ……聞きたかったけれど、それをすることで傷を抉るような事はしたくない。
 だから、ルイズはあえて彼の部屋に出向かなかった。

 教皇聖下の虚無『世界扉』は、一度通った者を二度通す事はできないのだという。
 一度『世界扉』で帰った才人には、もう使用できない。

「サイトを帰してあげたいのに……私ってば、いつまでたっても結局ゼロだわ……」

 ルイズの目元は乗せた手の甲で隠れていたが、その頬をぽろぽろと雫が伝った。
 なにか、手はないだろうか。もう、本当になにもないのだろうか?
 他に、他の……なにか、彼が帰る、その方法は。

 私は……サイトを幸せにしてあげたい。
 私だって幸せになりたいけど、私だけが幸せになったって、嬉しくない。
 サイトが、元々もっていた幸せを、失ってほしくない……。
 ただ幸せに、ではなくて、家族といつでも会える、その上での幸せをあげたい。
 そう願わないなら、きっと本当の意味でサイトを思っている事にはならないんだわ……。

 思い詰めたルイズはふらりと起き上がって、肌身離さずにいる始祖の祈祷書を開いた。
 ぱらぱらと、いつものように白紙のページをめくっていく。
 破壊系統の私の虚無ではやっぱりだめなのか、とルイズが半ば諦めかけたその時。
 眩く輝く文字を、ルイズは目にした。



「帰れない、か……一度吹っ切れはしたけど、本当に可能性、全部潰れちまったんだなぁ」
 才人はあてられた部屋のベッドに転がったまま、小さくため息をついた。
 もう帰れないと思ったら、やっぱり父や母の顔はこれ以上なく恋しく思えた。
 でも……もう二度と見られない。
 一度帰った時に、会っておけばよかっただろうか。
 ……いや。あの時は、ああするしかなかった。
 そうでなければ、両親の代わりにルイズに会えなくなっていたかもしれない。

 ……もう、そろそろ、食事会は終わっただろうか。
 才人はもう会えない大事な人のかわりに、会える大事な人に無性に会いたくなった。

 部屋をでて、なんどか教わって覚えたルイズの部屋にたどり着く。
 扉越しに、ルイズの声が聞こえた。
 だれか部屋に来ているのかと思ったが……その韻が呪文のそれだと気がついて、才人は
慌ててルイズの部屋に飛び込んだ。

465 名前:未来予想図:2007/12/31(月) 02:33:48 ID:HUOQ29UL
「ルイズ! どうした!?」
 ばたん、と蹴り開けんばかりの勢いで才人はドアを開けた。
 かなりの音がしたにもかかわらず、ルイズは見向きもせず、呪文を唱えつづけた。

 フィル・ウリュ・スリサーズ・アンスール・ラド・ケン……

 ルイズの唇から聞き覚えのない虚無のルーンが紡がれていく。
 途方も無い魔力がその小さな体の中でうねり、行き先を求める。
 それは杖の向く先、壁に一点生まれた小さな光点に、集約されていく。

 ギョーフー・ウンジュー・ハガラズ・ニィド……

 ルイズはただただ一心に虚無の詠唱を続ける。
 才人は壁に窓にと目をやるが、何一つ怪しいものは無い。
「おい! なにやってんだよ、ルイズ! 敵なんかいねぇじゃねぇか!」
 叫んで肩を掴むが、ルイズは弱々しい笑みを一瞬だけ才人に向け、再度光点を見据える。

 イス・ヤラ・ユル・ペオース・アルジー、ズ……

 ぐっ、と声が詰まって、一瞬呪文が止まりかける。
 光点に向かう杖はそのままに、ルイズは左手を自身の腿にやった。
 何をしているのかと才人がみると、爪が食い込み、その傷から血が溢れ出した。
 その血は次々にじゅうたんに落ちて、そこを赤一色に染めていく。
「ル、ルイズ……?」
 ルイズの腕はがくがくと震えるほど、その内に力を篭めていた。

 ――精神力がきれても無理に詠唱を続けると、気絶しちゃうの。

 以前、ルイズが自分に言った言葉が、ふと脳裏に蘇る。
 目を見て、その確信を得る。ルイズの焦点は定まらずにぐらぐらと揺れていた。

 こいつ……意識途切れそうなのを、無理やり唱え続けてる!

 その結論が才人の中に生まれた瞬間、ルイズの唇の端から一筋血が流れた。
 本来であれば気絶するほどの負荷を無視して、そのまま続けたらどうなるのか……。
 いま流れた血もその一端かと思うと、才人の背にぞくりと冷たいものが走る。
「ルイズ! もうやめろよ!」
 掴んだままだった肩をぐっと引っ張ると、ルイズは大きくバランスを崩し、膝をついた。
 それでも杖は光点に向けて、そしてそれを必死に睨んでいる。
「なにしてるかわかんねぇけど、そこまでして唱える何があるってんだよ! ルイズ!」
 才人はルイズの正面に膝をついて、両肩を掴んで、叫んだ。
「……教えろよ! 俺、お前がいなくなっちまったら、一体何のためにこっちにいんのか
わかんねぇよ! 何のために生きてけばいいんだよ! なぁ!!」
 ルイズは詠唱を止めず、また、さっきの言葉に答えないまま、才人の背に腕を回した。
 こんな細い腕のどこにあるのかわからないほどの強い力で締められて、息がつまった。
 どれほどの苦痛が彼女の体の内を巡っているのか、想像もできない。
 才人の肩に顎をのせて、さらにルイズは呪文を続ける。

 スーヌ・ティワズ・ベオーズス……エオー、マン……ラグーズ……

 才人は震えながら、ルイズの体を抱きしめる。
「ルイズ……ルイズっ! 頼むから、もう……」
「どうしたの!? 何が……ルイズ!?」
 はっと扉の方を振り返ると、開けっ放しのドアからカトレアが飛び込んできた。
 才人が大声で叫んでいたのが、カトレアの部屋まで聞こえたらしい。

466 名前:未来予想図:2007/12/31(月) 02:34:08 ID:HUOQ29UL
 呪文が完成したのは、そのときだった。

 フレイヤ、オシェラ……ザガ、ズ…………フォルセティ

 最後は途切れ途切れになりながら、それでも強引に呪文を完成させ、ルイズは杖を振る。
 チリチリ、と大きな羽虫のような音がした。
 小さかった光点は大きな姿見程の範囲に広がり、壁の一箇所を黒く染め上げた。

 ルイズはそれを確認するように見ると……杖を手放し、その場に崩れ落ちた。
「……ルイズっ!!」
 才人とカトレアは思わず悲鳴のような声でルイズの名を呼んだ。
 ぐったりと青い顔で倒れ臥したルイズに、カトレアはすぐに呪文を唱え始めた。
「イル、ウォータル、デル……」
「ちぃ、ねえさ、ま……やめ……お体、が……」
 すぐに治癒の呪文を唱え始めたカトレアを、意識も朧げなまま、ルイズは止める。
 しかしカトレアは呪文を止めようとはしない。
 さらに何人もの水の使い手が騒ぎを聞きつけて集まり、ルイズの身を癒した。
 しばらくして、カトレアまでもが咳き込んで、倒れた。
 ――才人は、手術室の前で待つ家族のように……ただ待つ事しかできなかった。



「う……ん」
「……おはよう、ご主人さま。……で?気分はどうだよ」
「サイ、ト……?」
 やけに不機嫌な声の元を探して、ルイズはベッドに横たわったまま見回した。
 才人は、ベッドのすぐ横に寄せた椅子に座り、ルイズを見ていた。
 窓の朝日を背にし、その顔は半ば影に隠れていたが、少しほっとした風な顔つきだった。
「私はもう大丈夫よ。……それより、ちぃねえさまは?」
「あのあと、倒れたよ。……すぐ処置したから、今はもう大丈夫らしいけど」
「そう……ご無事でよかったわ。ちぃねえさまにも皆にも、あとで謝りに行かなきゃ……」
 言ってから、ルイズは気だるげに体を起こし、部屋をくるりと見回した。
 虚無の魔法で生んだ黒い鏡面はまだそこにあって、ルイズはほうっと息をつく。
 そして再び才人を見ると、その顔はいつの間にか不機嫌そうに歪められていた。
 才人は椅子から立って、ベッドの上、ルイズのすぐ横に乱暴に座った。
 そして……ルイズが目を丸くする前で、才人は怒りに顔を歪め、身を震わせた。
「……お前、一週間も、眠りこけやがって……! 何を無茶してたのか、言いやがれっ!」
「お、おい相棒、"虚無"の使いすぎでダウンしてたんだから、もちっと優しくしてやれよ」
「うるせぇ! 黙ってろデルフっ!」
 見かねたデルフリンガーが口をはさんだが、才人はそれを跳ね除けた。

 自分になにも言わず伝えずに、勝手に無茶をしたルイズが許せない。
 ルイズに事情を伝えてもらえない、信頼してもらえなかった自分が許せない。
 そして……ルイズが倒れても、見ている事しか出来なかった、その力不足が許せない。

 とにかく今の才人は、ルイズが起きるまで溜め込み続けた怒りで頭がいっぱいだった。

「さぁ、言え。まず、なんの虚無唱えたのか言え。あれはなんだった。爆発か?」
「……新しい、虚無よ」
「どうして唱える前に、俺に相談しなかったんだよ」
「……相談したら、アンタは止めたでしょう?」
「当たり前だろ!?」
「だからよ」
 きっぱりといわれて、才人はそれ以上言えなくなった。
「…………じゃあ、次だ。……なんで、血吐くほど体にガタきても唱え続けた?」
 それを問うと、ルイズは一拍ほど目を見開き考えて、それから答えた。
「……そうね。どうしても叶えたい夢だったからよ」
「夢?」

467 名前:未来予想図:2007/12/31(月) 02:34:29 ID:HUOQ29UL
「サイトが私とずっと一緒にいて……でも、ご両親とも会いたい時に会える、そんな夢」
「な、なんだよ、それ……」
 才人の顔ににじんでいた怒りが、困惑のそれに変わる。
「アンタが幸せで、そんなアンタと一緒に幸せに暮らせたら……私、世界一の幸せ者ね」
 そんな事を、何のてらいもなく言って微笑するルイズにどきりとした。
 しかしそれでもまだ、才人は納得がいかない。
「それと、今回の無茶と……どう関係があるってんだよ」
「……新しい虚無は、"界壁破壊"……上手く詠唱できてれば、あの先はサイトの部屋よ。
もう、これとは別の虚無の魔法で塞がない限り、ずっと繋がったままのはずだわ」
 サイトの部屋、という言葉に才人は思わず目をむき、息をのむ。
 ルイズがあれほどの無茶をやってのけた理由は……コレか……。
 様子の変わった才人を気にとめず、ルイズは説明を続けた。
「虚無の系統は唱え切らなくても効果を発揮する、特殊な魔法よ。その効力は唱えた長さ
で変わるわ。……もし、この魔法を唱えきれずに開放したら、どんな形で効果を発揮する
かわからなかったわ」
「……あんな長い呪文、唱えきる自信あったのかよ」
「あったわよ」
「……お前、ぶっ倒れたじゃねぇかよ」
「それは呪文使った後でしょ」
「大体、あんな長く唱えられるほど精神力溜まる状況はなかったはずだろ」
「……その答えなら、ここにあるわよ」
 言って、ルイズは才人の手を取り、自分の胸に押し付けた。
「お、おい。……なな何してんのルイズ」
「ちょっと、何照れてるのよ……。違うわよ」
「どう違うんだよ」
「さっきの答え。……あれを唱えきるだけの思いが、ココにあったから、よ」
 そう言って才人の掌ごとぎゅっと胸を押さえ、ルイズは目を伏せた。
 やっと健康な色に戻った白い肌が、ゆるいウェーブの髪が、朝日に照らされていた。
 その姿は慈母像か何かのようで、才人は言葉を失った。

 しばらくしてルイズが手を放すと、才人はその手をそっと背に回した。
「……みんな、お前のこと、すっごく心配してたんだぞ」
「うん……とっても申し訳ないことをしたと思うわ」
「俺だって……心配した」
「わかってるわ。……詠唱中、ずっと邪魔してたじゃない。主人の呪文の詠唱を邪魔する
使い魔なんて前代未聞だわ。……でも、ちょっとだけ、嬉しかったけど」
 ルイズの幸せそうな笑顔に、才人は頬を染めてうっと詰まった。
「……な、何かお前さ……ちょっとヘンじゃねぇ?後遺症とかなわけ?」
 さっきまでの雰囲気が一瞬で吹き飛び、ルイズは才人を睨みつけた。
「なによそれ。どこがどうヘンだって言うのよ」
「素直すぎ」
「…………ええ、そうねぇ。きっと今日くらいね。貴重だと思ってちょうだい」
 ルイズはそう言って、才人の腕の中でふくれっつらをした。
 才人はそんなルイズを見て微笑むと、躊躇いなくルイズの顎を上向け、口付けた。
 朝の光が差し込む中、二人は情熱より安らぎから、しばらくキスを続けた。

「……あー。……そういえばさ」
「んっ……何よ?」
 急にキスをやめられたルイズは、不満げな顔をした。
「……あれ、ほっといても大丈夫なのか?」
 才人はそう言って、壁のでろでろ黒いやつを指差した。
「さぁ……向こうではどうなってるのかしら。想像つかないわね」
「こっちと同じとして……母ちゃんがコレみたら、驚いてお祓い頼むかもなぁ……」
「……それより見るなり卒倒しなければいいわね……」
「うーん……早いとこ行ってみないとマズそうだな……」
「あ、サイト。入る前に棒とかつっこんで、ちゃんと安全を確認してね」
「……お前さ、さっき自信あるって言ってなかったか?」
「……だ、だって。入ったら体溶けちゃった、とかなったらイヤじゃない」
「あ、あのなぁ! 自信あんのかないのかどっちかにしてくれよ!」

468 名前:未来予想図:2007/12/31(月) 02:34:50 ID:HUOQ29UL
今回は以上です。

ド真面目なネタ書いてんのにテレビでお笑い系が尽きない年末。
意識がギャグとシリアスの両面に剥離しそうになりながら書いた。
今は反省……しつつ、まだ見ているw

>>462
クリスマス特集、乙でした!

469 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 02:40:56 ID:d8bYqPV/
GJ!だが、この年の瀬になんつー切ないもんを書いていくんだ(´・ω・`)


職人さん達と俺達のココロのキヅナ。
来年も今年以上に深めていきたいですね…。

470 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/31(月) 02:51:53 ID:FsYTwLEr
さて、今は何の時期かおぼえてますか。キミタチ。

今年最後のサプライズはこのあとすぐ!

471 名前:年末大掃除 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/31(月) 02:52:42 ID:FsYTwLEr
どこの世界も、年末は冬の最中にやってくるものらしい。
のんびりベッドの上で夢を見ていた才人を、突然の寒気が襲う。
シエスタが窓を開け、ルイズが才人のかぶっている布団をひっぺがしたからだ。

「いつまで寝てんのよ!掃除の邪魔っ!」

言ってルイズは布団を抱えてシエスタの開けた窓から干す。
…なんで、ルイズが掃除なんかしてんだ?
その疑問は、才人が口にする前に、シエスタが応えた。

「えっとですね、今日は大掃除の日でして。
 貴族も平民も関係なく、自分の部屋は自分で掃除するんですよ。一年の汚れは、自分自身が落とさなきゃいけないっていうか。
 …サイトさんの故郷はしないんですか?大掃除」

まだ半分寝ぼけている才人は、そんなシエスタの話を聞きながら、日本の年末を思い出す。
…確かに、俺も自分の部屋は大掃除してたっけ…。
ベッドから降りて、慌しく動き回るシエスタとルイズを見つめながら、才人がボーッとしていると。

「…こら犬。あんたも、あの『ゼロセン』の倉庫くらい、掃除してきたらどうなのよ」

本棚から本を抜き出し、整理しているルイズが、間抜け面をして掃除の様子を見つめる才人に文句を言う。
言外に、『手伝わないんなら邪魔』と言われているようだ。まるで役立たずのダメ夫扱いである。
才人は、ルイズの言う事も一理ある、と思った。

「そだな。じゃ、俺倉庫の方掃除してくるわ」

言って部屋を出て行く才人。
あ、じゃあ私も、と後に続こうとしたシエスタを、ルイズがちょっと待ちなさいアンタはこの部屋やるんでしょ、と引き止める。
確かにシエスタは、ルイズの部屋の掃除を買って出ていた。ルイズの暮らすこの部屋は、すなわち才人の暮らす部屋でもある。才人のメイドであるシエスタがこの部屋を掃除するのは当然の理であった。
シエスタは渋々ルイズの言葉に従い、空になった本棚の移動を始めた。

才人が倉庫に向かう途中。
大量の本を抱えた、タバサとシルフィードと出くわした。
この二人も、大掃除の最中らしい。
朝の挨拶をすると、シルフィードが全て語ってくれた。
この一年で溜め込んだ要らない本を、図書館に寄付しに行くところらしい。
捨てればいいじゃん、となんとなく言った才人だったが、タバサはすぐにそれを否定した。

「…私には必要のない本でも、誰かが必要としているかもしれない」

確かにタバサのいう事にも一理ある。自分に必要ないからといって、それが他人にとって無駄であるとは限らないのだ。
それに、ハルケギニアはそれほど印刷技術が発達しているわけではない。本の単価だってバカにならないのだ。
才人は思わず感心するが、それをシルフィードがぶちこわした。

「『青空少女隊』とか『螺旋王の冒険』とか『真っ赤な誓い』とか、あんまり読んでも役に立たないとおもうのね?きゅい」

それは最近増えているトリステインのライトノベルのようなもので、一時的に楽しむことは出来てもあまり得る物はない、とされているものだ。
それを言っては元も子もないが。
まるで神の手の代行者のように、タバサの杖がシルフィードの脳天に振り下ろされる。
本の束を抱えるシルフィードはその一撃を避けられない。

「いったーい!ひどいのねおねえさまー!」

そして、二人はその場で言い合いを始める。
どちらかと言えば吼えているのは主にシルフィードで、タバサはたまに鋭いカウンターを返すだけだったが。
そんな二人を置いて、才人は倉庫へ向かう。
あのままその場にいたら、きっと本を持たされて、そのまま手伝わされるであろうからだ。

472 名前:年末大掃除 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/31(月) 02:53:10 ID:FsYTwLEr
才人は倉庫に着くと、まずゼロ戦の掃除を始めた。
とは言っても、週に二度は手入れをしているため、掃除する場所などほとんどなかった。
また、ろくな調度もなく、テーブルと椅子と棚くらいしかない格納庫の掃除は、あっという間に終わった。
そして、今才人の目の前には、木箱が一つ。
それは、かつて水精霊騎士団で宴会をした際に、ワインを詰めた箱を倉庫に置きっぱなしにしていたものである。
その中には、格納庫に転がっていたガラクタが詰め込まれていた。
しかしよく見ると、まだ使えそうなものが残っている。
それは、いつぞや街で魔法具屋を手伝った折にもらった品々。

「そーいや、こんなもんもあったっけねえ」

泥でできた奇妙な人形。黒と白の宝珠。瓶に入った薬。
魔法具に使用期限はあるのだろうか。少なくともこの年末辺りには使っておいたほうがいいかもしれない。
他にもつかえるものはないか、と探してみる。
すると、まだいくつか使えそうなものがあった。
試験管に詰められた、粘液状の液体。何か不思議な文様の書かれた、木の札。
試験管はいつかのお詫びにモンモランシーが分けてくれたもの。たしか、『ルイズがいらないって言うから、あなたに渡しておくわ』なんて言っていたが。効果を尋ねても、顔を赤くするだけで教えてくれなかった。ただ、塗り薬だという事だけ教えてくれた。
木の札はよくわからない。確か、ギーシュが持ってきたもので、話によれば一晩だけ願いをかなえるとかどうとか言っていたが。しかし入手ルートが行商人では、その効果のほどは眉唾だった。
これらも、使っておくべきなのだろうか?もし、期限切れなどになってはもったいない。
才人は五つの品をテーブルの上に並べ、うーん、と唸る。

「どうすっかなー」

このまま使えなくなるのを待つのか、それとも。
そんな風に才人が悩んでいると、格納庫の入り口から、大掃除が終わったのか、誰かが才人を呼ぶ声がした。

473 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/31(月) 02:57:11 ID:FsYTwLEr
さて、ここからが本題。
http://wikiwiki.jp/zero/?%A1%D8%C7%AF%CB%F6%C2%E7%C1%DD%BD%FC%A1%D9%C5%EA%C9%BC%BD%EA
↑の選択肢から、一つ選んでください。
投票数の一番多かった物で、今年の締めを書こうかと思います。
ですので、締め切りは明日の1000きっかりとさせていただきます。

それでは、投票開始〜。
そして、ねゆ。ノシ

474 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 03:01:21 ID:vf09CaP1
GJ!
さっそく投票させてもらいます
真っ赤な誓いで吹いたwwwwwwwwwwww

475 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 05:29:02 ID:zWFgi0Z/
せんたいさんGJ!!
最近忙しかったから、年末までに追いつけるか不安だったが、おいつけて助かったぜ。
せんたいさんの締めSSを肴に年越しそばでも食おうかね。

476 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 08:20:43 ID:t1QdOYzm
へんたいさん乙

ところでボルボ氏の黄金溶液の続きマダー?
何気に完成度高いから期待してる

477 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2007/12/31(月) 10:26:09 ID:FsYTwLEr
寝過ごしたorz
投票結果は以下のとおりでした
[泥のスキルニル][13]
[操りの真珠][6]
[姿見の悪魔][14]
[ウンディーネの媚薬][24]
[その他][3]
と、いうわけでウンディーネの媚薬で一本書いてきます
誰が相手かはお楽しみにネ ノシ
紅白までにまにあうかな…

478 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 20:45:08 ID:yuoSUJJi
なんか…保管庫のコメントページが…

479 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 20:52:39 ID:ry7bAn4/
>>478
最近261氏が多忙で保管庫に手をつけてないからか、カオスになってるな。
直接投稿もできないとか……

480 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 20:56:21 ID:GIpBVi3u
そういう問題なのか?アレって

481 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 21:38:13 ID:tPTs3+FW
えーと。なんか勝手にルール無視で直接投稿されてるよ。

コメント封鎖したほーがいいのかな?
でも荒れるか・・・

482 名前:バレット:2007/12/31(月) 23:32:53 ID:6k3yfveG
感想の欄の物凄い量にビビリ気味なチキンのバレットです。
さーて、今年最後に向けて第2話後半を何とか書き上げましたので、投下行かせてもらいやすぜダンナ達。

483 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/31(月) 23:35:53 ID:6k3yfveG


まあ、落ち込んでたってこの状況ちっとも良くなるわきゃないので。

自分の迂闊さを責めるのをとりあえず棚上げして立ち直って顔を上げてみると、杖を握り締めたまま辛そうな顔で唇をかんでいるシャルロットの姿が目に入る。
それを見たサイト、どうすりゃいいかと頭を悩ませた。
年下の少女達の面倒をすっと見てきたお陰で彼は今や根っからのフェミニスト(自覚なし)である。
大切な少女にこんな表情をされちゃ、何とかしてあげたくなって仕方ないのだった。こういう性分だし。

とりあえず、胸に掻き抱いて優しく頭を撫でてみた。
昔からイザベラやシャルロットを慰める時に、いつもしてきたやり方だった。
サラサラのガリア王家特有の青色の髪の感触が心地いい。

あー、そういえばどうして女の子ってこういい匂いがすんだろうなー。
シャルロットって香水とか使ってないみたいだけど、なんつーんだろ。砂糖入れたホットミルクみたいな柔らかくて甘い感じ?
こうやって抱きしめてみると、シャルロットってちっちゃいけどふにふにぷにぷにして気持ちいいし。
・・・自重しろ俺。こっちが押し倒したら意味無いだろ!

心の中で反省。

「っ・・・と、その、何で負けたくなかったんだ?」

相手は多分イザベラで間違いないんだろうけど。

次に気になっていたことを再び聞いてみると、腕の中で静かに撫でられてたシャルロットがびくりと、1つ震えた。
そして同時に、サイトのこめかみから冷たい汗が1筋。
何でだろう。今シャルロットの顔を見たらいけない気がする。
というか低い地鳴りみたいな音がだんだん大きくなりながら響き始めてきた。ような気がする。

あれー?もしかして地雷踏んだ、俺?

「まだ分からないの・・・?」

胸付近から聞こえた声はとても冷たかった。それを聞いたサイトの背中も冷たかった。
あーそういえばシャルロットの二つ名って『雪風』だったよなー、と現実逃避したって何も変わらん言っとるだろうが平賀才人。

「・・・好きだから」
「・・・ハイ?」
「私もお兄ちゃんが好き・・・そしてお姉ちゃんに負けたくなかった。私もお兄ちゃんの女になりたかった」


484 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/31(月) 23:37:47 ID:6k3yfveG

お、おんなってあーた。
あ、でも俺とイザベラの関係って確かに考えてみるとそんな風なんだよな。イザベラってベッドの中だと意外と従順だし――ってカットカットカットカットォ!!

「で、でもさ、だからってこんな事は・・・」
「分かってる。これはお兄ちゃんにもお姉ちゃんにも卑怯な事。でもそれでも・・・わたし、は・・・」

また、サイトの腕の中でしゃくりあげ始めた。

「やだ・・・わたしも、お兄ちゃんと、一緒になりたい・・・わたしも、見て、よぉ・・・嫌いになら、ないで、よぉ・・・」

ああ、そうか。そういう事か。
つまりシャルロットは俺がイザベラとああなっちゃって。そんでもって、俺がイザベラばっかりに夢中になってるからそれが嫌になって。
だからこうして自分も見てもらえるようになろうと、こんな事をしちゃった訳か。
そういえば最近はずっとイザベラのことばっかり考えてて上の空だったしな。
なんだか自惚れてるかもしれないけど、そんだけシャルロットにとっては大切なんだな、俺って。

・・・だからっていろいろ順序とか手段がぶっ飛びすぎてないかなー、シャルロット?(汗)

「あのなあ、説得力無いかもしれないけど、俺がイザベラとそういう関係になったからって、シャルロットの事を無視する訳無いだろ?
俺にだってシャルロットは、イザベラと同じぐらいに大切な女の子なんだからさ」

覗き込みながらそうハッキリ言った。嘘偽り無き言葉。
シャルロットは一瞬キョトンとした顔になるとまた涙ぐんだ。けれどもすぐに腕でゴシゴシ擦ってメガネをかけ直すと、

「なら、証明して。
私も、お兄ちゃんの女にして欲しい」

結局そういう展開になるのかよ!とサイト心中で渾身の突っ込み。

つーかそんな事したらイザベラに殺されるって!1000%絶対確実に!

「大丈夫。私が側妻って事ならお姉ちゃんもきっと納得してくれる。貴族なら1人や2人当たり前」

知らない間に読心術を会得したらしい、シャルロットが親指をぐっと立ててそんな事をのたまってくれた。

側妻って愛人の事だよな?
ジョゼフのおっさんも何人かはべらせてたよーな。シャルルさんはそうでもないみたいだけど・・・実は1番怖いの、滅多に怒らないんだけどシャルロットのお母さんだもんなぁ。

「側妻って・・・シャルロットはそれでいいのか?」
「構わない。きっとお兄ちゃんなら愛人でも大切にしてくれるだろうから」
「・・・信頼されてるなー、俺」

実際そのつもりだったりするんだけれども。

「それに、お兄ちゃんまだまだ元気」
「・・・・・・」


485 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/31(月) 23:39:58 ID:6k3yfveG

ちょっとシリアスな話してても可愛い女の子の裸が目の前にあると、無意識でも元気に反応してしまうのが男の性である。
・・・激しく締まらない事ではあるが。

「し、しょうがないだろ!シャルロットが可愛すぎんだからさ!」

苦し紛れの反撃にそう言ったサイトだったが。

「・・・・・・///」

言われた途端顔を真っ赤にしてモジモジし始めたシャルロットの姿にグハッ、と理性に予想外の大損害。
照れた時の反応がイザベラと似たり寄ったりなのは血縁ゆえか。それはともかく。

ここまでシャルロットがしてくれちゃった以上、ウン、これ以上逃げたら逆にシャルロットに悪いもんな。
・・・イザベラの事は今は忘れとこう。
例えその代償がもしかすると死でも、大切な女の子をこのまま泣かしっぱなしにはできんのですよ!
つーことで、いっただっきまーす!!

むにむにふにふに

まずはジャブということで軽く胸から。
イザベラの様な揉みごたえがある位に大きいのとは逆でシャルロットは一目見た際の感想を擬音で表現してみるとまんまつるぺたーん!だろう。
しかしこうして触れ合ってみるとやはり女の子というべきか、発展途上なややなだらかな曲線を胸から腰へと描いているのがよくわかる。
優しく指に力を込めてみるとちょっとだけめり込んだ。それだけでびくりと少女の体が跳ねたからサイトは驚いた。

「悪い、痛かったか?」
「ち、違う・・・」

フルフルと小さく首が横に振られる。その顔はさっき以上に赤くなって潤んでいたが。
大丈夫っぽいのでそのまま続行。指に力を込める度に小さく震える小さな妹分の様子に、あー何だかロリコンの気持ちがわかる気がしてきたー
なんて少女が知ったら二つ名の由来を芯まで味合わされそうな事を考えつつ。
指の位置をずらしてキュッと少し強めに2つの突起を摘んでみる。

反応は、劇的でした。

「ん〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

一際大きく跳ねてから、最初よりかなり荒く息をついて少しぐったり。
現在両膝の上にいるシャルロットの股近く当たる部分が、なんだかさっきからぐっしょり濡れていた。

なるほどなるほど、シャルロットは乳首が弱い訳か。
・・・・・・・・・・・・

「んあっ!?お兄ちゃん、吸っちゃ、だ、ひうっ!?」

サイトがてっぺんに口付けて吸い上げながら軽く噛んでみるとシャルロットは大きく鳴いた。
しばらくコリコリした感触とシャルロットの反応を楽しんでから顔を上げてみると、赤い顔で怒ったような目で睨んでくるちっさな妹分。

「・・・お兄ちゃんの意地悪」

でも目が悲しみ以外の涙か何かで潤んでいるのでむしろそんな事言われると逆効果なんだが。
そんな風にされるともっと意地悪したくなるのがこの『お兄ちゃん』である。

「ふーん、でもシャルロットのここは喜んでるみたいだけどなー?」


486 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/31(月) 23:42:44 ID:6k3yfveG

手を伸ばして太ももの間に入れてみると、未だピッチリ閉じっぱなしの割れ目の感触。
かすれた声をあげて身を捩ってはみせても嫌がらないのでゆっくりその間に中指を押し入れてみた。
かなりきつく閉じられていてちょっとやそっとじゃ入らないが・・・これだけ濡れていれば、先さえ入れば後は簡単である。

ちゅぷぷぷっ

「ひっ!」

シャルロットの腰が跳ね上がる。
奥まで侵入を果たそうとするサイトの中指の潜り込んでくる感触に反射的に逃れようとしての行動だった。
が。

「我慢しようなー、シャルロット?」
「はっ、ふあああああっ!?」

肩に置かれたサイトの左手に押さえつけられて、逆に指の根元までシャルロットの体が沈み込んだ。
何とか逃れようと抵抗してみるも、訓練や実戦でこの5年間鍛えられっぱなしな青年の力には勝てず。
自分の中でグニグニと動く中指から伝わる電撃に似た痛み混じりの快感と、今までずっと一緒にいた思い人にされているという事実が、次第にシャルロットから抵抗する力を無くさせていく。
その代わり、サイトの首の後ろに両手を回して一生懸命縋りつきながら甘い声で鳴き始めた。

「ひうっ、ひっ、はっ、おにっ、ちゃぁん!」
「凄いな、奥の方引っかくたびにシャルロットのここからいっぱい噴出してくるぞ」

からかう様に言いながらサイトが中指をアーチ状に曲げてみる。
するとシャルロットの身体が痙攣して、指をきつく締め上げながらえびぞった。敏感な部分に触れたらしい。
満足げに笑うとサイトは指を引き抜いた。引っ切り無しに溢れてくるシャルロットの粘液でふやけきってシワシワである。

サイト、何気に手馴れてる節があるが何故だろうか。
それはこの一週間、夜はイザベラとやりまくって女体の神秘というものを実地で学びまくったからだったり。
そしていつもはM気味だが、実はサイトベッドの中だとSになるのだった。
付け焼き刃でも一週間連続で責めまくってるのは伊達じゃない・・・!

「・・・やべ、やりすぎた?」

でも調子に乗りすぎたらしい。シャルロットの目が『聖地』の彼方辺りまでぶっ飛んでしまっている。
反省。

でも指だけでこれだと、本番は本当にシャルロットは大丈夫なのか?
正直言って中指もう締め付けられ過ぎて痺れちゃってるほどだしなあ・・・

たとえ責めてる最中はノリノリでも、一定ライン以上にまで来た時はしっかり相手を気遣うのがこの男である。
元気いっぱいの愚息とずっと分泌液を滴らせている小さな秘裂を交互に見て、やっぱり無理しない方がいいよなと泣く泣く諦めようとし。

ぐに、と小さな手に握られた。


487 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/31(月) 23:45:07 ID:6k3yfveG

「・・・来て」

ギリギリ帰還したようである。
膝から降りてベッドに直に腰かけると、シャルロットは股を開いて自分から秘烈を出来る限り開いてみせた。
OKが出た以上、サイトのすべき事はただ1つ。

「かなり痛いみたいだからさ、遠慮無く俺にしがみつけよ」
「うん・・・」

ぎゅ、と腕が回された瞬間。
シャルロットが首を伸ばして、サイトと唇を合わせた。
妹分から侵入してきた下に一瞬面食らって固まるサイトに対し、シャルロットは唇を離すと、

「・・・さっきのお返し」

とのたまって、にっこりと微笑んだ。
それこそ、サイトからしてみれば金貨百万枚よりも眩しい笑顔で。

あーもーそんな顔されちゃー止まれませんぜダンナー!

シャルロットはまごうなきロリっ子だという突っ込みを入れてくれる相手は居らず。
一思いに、そのまま愚息で貫いた。

「ひっ―――――!!!」
「きっ・・・つぅ・・・・」

声にならない叫びとサイトの呻き声がユニゾンした。
体内で引き裂かれる様な痛みにシャルロットは身じろぎし、そのたびにサイトの先端が奥にコツコツ当たって痛みとはまた違う刺激が背筋を走る。
駄菓子菓子。じゃなくてだがしかし。
サイトのものは全部収まっていない。
シャルロットの膣内に収まっているのは4分の3ほど。残りの根元近く4分の1ほどに、血が一筋垂れてシーツに落ちた。

・・・今度は、差し込んだ瞬間暴発しなかったらしい。

「・・・やべ。やっぱ我慢できねぇや」

訂正、遅発でした。

「きゃっ!?おに、ちゃん!熱い、お腹、あつい―――!」

ぐぷっ!どぷどぷっ!

既にサイト自身でいっぱいだった膣内は、発射されるとすぐに割れ目とサイトの隙間から溢れ出していく。
しかし大部分はほぼ密着していたシャルロットの奥、子宮口からその中へと流れ込んで満たした。
身体の更に奥の方に広がる灼熱に、シャルロットの意識は悉く焼き尽くされる。
しかしイザベラと違ったのは、まだかろうじて意識をつなぎとめていた事で。

まだ・・・固い・・・
まだ・・・お兄ちゃんは満足してないの?
して・・・あげ、なきゃ。

ボンヤリした思考が選んだのは、更なる思い人への奉仕であった。

ぬちゅっ ぐちゅっ じゅぷっ

「ぬおっ!?しゃ、シャルロット!?」
「まだ、ひんっ、おに、ちゃん、満足してない、からあっ!」


488 名前:それは蒼から始まった物語(2):無口な少女が望んだのは・・・:2007/12/31(月) 23:46:23 ID:6k3yfveG

しがみ付きながら必死に腰を上下に動かす。
シャルロットの声は既に痛みの混じった物ではなく、蕩けきった甘い嬌声へと変貌していた。

「あっ、ひうっお兄ちゃん!もっと、熱いの、いっひゃいぃ、いっひゃい頂戴ぃぃ!」
「ちょっ、シャルロット、そんなキツいまま動いたらまた出ちまう・・・!」
「もっとぉ、お兄ちゃん、いっぱいにしへぇ!」

一突きごとに、結合部から粘液と精液と血の混じった混合液が溢れ滴る。
2人して互いに腰を動かしながら、どっちからともなく唇を合わせて舌を絡めた。
そして一際深く腰をお互い打ち付けて、遂にサイトの杭がシャルロットの中へと収まった瞬間。

「で・・・・るっ・・・・!」
「ひんっ!ふああああああ―――――っ!!」

再度子宮深くに注ぎ込まれて、シャルロットの意識は灼熱に飲み込まれたのだった。




「あーあ、やっちまったなあ」

頬をポリポリ掻きながら、サイトは自嘲気味に溜息を漏らした。
そばには今はスヤスヤ静かに眠っているシャルロット。もっとも情事後のアレやコレやな痕跡はそのままなので後でどうにかしなければいけないだろう。
しかしむしろ、本当に考えるべきは。

「イザベラ、怒るよなあ絶対」

もしかすると裏切られたと思って泣くかもしれない。
まあ恋人(そう言ってもいい筈だ多分)になって1週間後にはその相手が別の女作ってりゃあ怒らない人間など滅多に居ない。イザベラ短気だから尚更に。
だがサイトが恐れてるのはイザベラが怒る事よりも―――泣く事だ。彼女が。

「ま、そん時になってから何とかするしかねーよな」

それだけの事をしたからには、それだけの責めを受けねーと。

覚悟を決めたサイトがまず取り掛かったのは・・・情事の後始末だった。


489 名前:バレット:2007/12/31(月) 23:48:55 ID:6k3yfveG
第2話はこれで完了。次回は・・・姉妹丼とあえて言っておきます。
それでは皆様、よいお年を&また来年も宜しくお願いいたししまする。

490 名前:名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 23:50:04 ID:tPTs3+FW
GJ!!

保管庫はなんか荒れ気味なのね。
沈静化を待つしかないかな・・・

491 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 00:00:19 ID:d8bYqPV/
GJ!

ついでに2008年第一号なら、シエスタは俺の嫁

492 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2008/01/01(火) 00:03:11 ID:KgJmqRf9
しまった大晦日に間に合わなかった

>>491
ざんねん! それは じょそうした スカロン だった!

では新年一発目、投下いきます

493 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2008/01/01(火) 00:03:46 ID:KgJmqRf9
「サイトー?掃除終わったぁー?」

才人を呼んだのは彼の主人。
昼下がりの陽光を背に、格納庫の入り口に立つ。
才人は主人の呼ぶ声に応じる。

「あー、あとはこのガラクタ片付けるだけだよ」

言って才人は目の前に並べられた魔法具を箱に放り込み、棚の陰に持っていく。
その箱の中から、ガラスの試験管だけを、ポケットに忍ばせる。
とりあえず、これが一番使用期限が短そうだったからだ。効能は後でルイズに聞いてみよう。
ルイズはそれに気付かず、入り口から才人に呼びかける。

「じゃあ、早くなさい。私の部屋の箪笥、戻すの手伝ってもらうんだから」

さも当然の事であるかのように、腰に手を当ててルイズは言う。
才人はしょうがねえなあ、ともはや諦めの境地で、ルイズに従った。

部屋に戻ると、早速、シエスタと一緒に洋服箪笥を動かすことになった。

「これ、どうやって動かしたんだ?」

ルイズとシエスタが力を合わせてもこの箪笥は動かない。
才人の疑問も当然と言えた。
その疑問に、ルイズが応える。

「…なんか、シルフィードが来てね。『かくまってほしいの!』なんて言うから、交換条件に手伝ってもらったわけ」

また、何かタバサを怒らせる事でも言ったのだろうか。
そして、シエスタがそのルイズの言葉を継いだ。

「でも、ミス・ヴァリエールがあんまりこき使うもんだから、『もうイヤなのね!もう人間なんて信じないのね!』って出て行っちゃいましたけど」
「全く。ちょっと本棚の移動と本の整理と服の整理と窓掃除と床拭きをお願いしただけなのに」

…それは、大掃除のほとんど全部なのではないだろうか。
ルイズは何やったんだよ、と思わず突っ込みそうになったが、才人はかろうじて言葉を飲み込んだ。
つまらない事でルイズの機嫌を損ねては、毎度のパターンに陥ってしまう。
才人だって学習はするのだ。

「の、わりには毎回吹っ飛ばされてんよな相棒」

立てかけられたデルフリンガーの容赦ない突っ込みは華麗にスルーして。
才人はルイズの指示に従い、シエスタと一緒に箪笥を元の位置に戻し、服をその中に戻す。
そして、調度品を元の位置へ戻し、ゴミを纏める。
シエスタはズダ袋に纏められたゴミを担いで、言った。

「それじゃ、私ゴミ片付けて、厨房と宿舎の掃除手伝ってきますね」

そして、ルイズの脇を通り抜けざまに、彼女の耳元で囁いた。
それじゃ、使い魔の大掃除はお任せしますね。
ルイズははっとしてシエスタを振り向いた。

「私、そのまま宿舎に泊まってきますんで。それじゃあ、よいお年を〜♪」

ぱたぱと手を振って、シエスタは部屋を出て行った。
…ま、一年の最後くらい、ゆっくり二人きりにさせてあげましょう。普段あれだけドタバタなんだし。
その代わり、新年明けたら思いっきりサイトさんに可愛がってもらうんだ、などと妄想を逞しくしてズダ袋を背負って悶えるシエスタだった。

494 名前:使い魔の大掃除 ◆mQKcT9WQPM :2008/01/01(火) 00:04:51 ID:KgJmqRf9
ルイズは赤くなりながら、使い魔に背を向けて、扉の方を向いていた。
…大掃除って。大掃除って。
…つまり、そういうイミなのよね?
ルイズは背中から感じる才人の気配に微妙に緊張しながら、そちらを向かずに言葉を発する。

「そ、そそそそそそそれじゃ、ひと段落したことだし!」

うわ噛んだ。

「じ、自分の身体の大掃除もしなきゃね!」

言って、ちらり、と才人の方を向く。
才人はルイズの方を向いてきょとんとしているだけだ。
…す、すこしは察しなさいよ…!
しょうがないから、ルイズは赤くなりながらも、才人に言う。

「お、お風呂行こうって言ってんの!分かったら準備なさい!」
「あ、そういう意味」

そこまで言われてようやく気付いた才人は、着替えの準備をした。

トリステイン魔法学院の共同浴場には、大浴場のほかに個人用の小さな個室型の浴室が、男女それぞれ3室ずつある。
貴族の子女の中には、他人に身体を見られたくない者もいるだろうし、地方の習慣によってはそれがタブーとされている場合だってある。
だが、その個室はあまり使われることはない。そういった事情を持つ生徒はあまりいなかったし、何より狭い個室の湯船よりも、大浴場のゆったりした湯船の方に魅力を感じるのは当然だった。
才人は、その女子用の個室に、半ば強制的に連行されていた。

「…って、俺が女風呂入っていいの!?」

男子用の浴場とは微妙に違う調度に、才人は思わずドギマギする。
女湯に入る事など、小学校に上がってからこっち、なかった経験である。
ルイズはそんな才人に言う。

「あんたは私の使い魔なんだから、べ、別にいいのよ!
 っていうか、服脱ぎなさい服!」

言いながら才人のパーカーを引っつかみ、無理やり脱がそうとする。
しかしさすがに無理やりされたのでは、才人だって抵抗する。

「ちょ、何すんだよルイズ!」
「て、抵抗しないの!わ、わたしが洗ってあげるって言ってんだから、大人しく脱ぎなさい!」
「わ、わかったって!自分で脱ぐって!だからやめろってば!」

暴れた瞬間に、ルイズの手が才人のズボンにかかる。

かちゃ。

そして偶然、ズボンのポケットに忍ばせていた試験管にルイズの爪が当たり、音を立てる。
そしてその一瞬に、ルイズはあっという間にその試験管を引っ張り出してしまう。

「…ん?ナニコレ…?」
「あ、それっ」

才人はそれの効能をそれとなくルイズに尋ねて、使ってみるつもりだったのだ。
しかし、当のルイズといえば。
その試験管の中身を思い出すや、真っ赤になってそれを指先でつまんでいる。

495 名前:使い魔の大掃除 ◆mQKcT9WQPM :2008/01/01(火) 00:05:34 ID:KgJmqRf9
ルイズの脳裏に、あの時のコトが思い出される。
ぬるぬるのにちゃにちゃでぐちょぐちょのどろどろ。
しかも、あんなことまで、あんなことまで…!
そんなルイズに、才人は何の遠慮もなく尋ねた。

「それさ、モンモランシーがルイズに突っ返されたって、俺にくれた薬なんだけどさ。
 どういう薬なのそれ?」

その質問に、ルイズは真っ赤になりながら、ぼそりと応えた。

「…せ、説明したげるから…。いいから服、脱ぎなさい…!」


ルイズは才人を全裸にすると、洗い場の床に才人を座らせる。
そしてルイズも、服を脱ぎにかかる。
まずプリーツスカートのホックに手を掛け、するりと脱ぎ去る。
上着のボタンを一つずつ外し、白い下着と黒いニーソックスだけになる。
それらの薄い布すらも、全て脱ぎ去って全裸になる。
そして、目の前の椅子に座る才人の前に立つ。

「…ちょっと、何ではなっから全力全開なのよ…」
「…は、ははは…」

才人とてオトコノコである。
目の前で好きな女の子がストリップまがいの事をしていて、勃たないわけがない。
否!ここで勃たねば男ではない!否!断じて否であるっ!
才人の中の男連合国総帥が、心の中の演台で演説をぶちかます。

「ま、まあいいわ。と、とりあえず…」

ルイズは、先ほどの試験管を取り上げる。
そして、自分の掌に、その中身を垂らす。

「…こっ、これはね…あのね、前、私が、なんかドロドロに覆われちゃったこと、あったでしょ…」
「あ、ああ、あったねえ」

その会話の間にも、自己増殖型のスライムは空気に触れたことで体積を増し、ルイズの掌の上から垂れ始める。

「そ、その時の薬なの。モンモランシーが、私に試して、って渡してくれたの。
 それでね。これはね…。男女の営みをスムーズにする、身体に塗って使う、媚薬なの…」

ルイズは手の中の液体が一定の量に達したのを確認すると、それをおもむろに、勃起した才人の槍の上に垂らした。

ぬちゃぁ…

「う、うわっ!?」

己の分身の上に零される液体の生暖かさと刺激に、才人は思わず声を上げてしまう。
その液体の触れた部分がまるで火で熱されたように熱くなり、そして、流れ落ちる液体の軌跡すら快感に換えていく。
才人の中を快楽の血液が駆け巡り、限界だと思われていた槍は、より強く、大きく天を衝き始めた。息が荒くなり、頬が上気していくのが分かった。
ルイズはそんな才人を見て、たまらない劣情を感じる。

496 名前:使い魔の大掃除 ◆mQKcT9WQPM :2008/01/01(火) 00:06:22 ID:KgJmqRf9
そして。
ルイズは掌に未だこびりつく粘液を、自分の身体に塗りこみ始める。
それはすぐに体積を増し、ルイズの胸を、腹部を、腰を、牝の器官を、ぬるぬると滑り光らせていく。
ルイズの中を牝の信号が駆け巡り、肌を、頬を上気させ、乳首を、陰核を鋭く尖らせて行く。
そして彼女のひくつく肉の裂け目からは、牡を誘う甘い牝の蜜が滴り始めていた。

「はぁ…」

思わず漏れる、甘い甘いため息。
目の前では、ルイズの晒す痴態に、才人が釘付けになっていた。
もうすでに、先端部は媚薬以外の液体が溢れ出してきていた。
ルイズはそんな才人を蕩けるような視線で見つめて、言った。

「ねぇ、サイト…。さわりっこ、しましょ…」

言うや否や、ルイズは椅子に掛ける才人の腿の上に陣取り、媚薬と牝の混合物でぬるぬるに滑った手で、才人の竿を握った。
才人はその刺激に一瞬で達しそうになるが、歯を食いしばって堪える。
そして、負けじとルイズの股間に右手を伸ばす。裂け目を確認すると、遠慮なく人差し指でルイズを犯した。
ルイズの裂け目はまるで蜂蜜に指を突っ込んだ時のような蕩けた音を立て、ルイズのそこが完全に牝になっていることを伝えていた。
ルイズも、その刺激に軽い絶頂を迎える。
しかし、自分から挑んだ勝負で、負けるわけにはいかない。奇妙な牝の意地が、ルイズが達してしまうのをかろうじて防いでいた。
二人はお互いの指でお互いの性器を陵辱し合う。
指が粘液で卑猥な音をたて、お互いの吐息が官能をかきたてる。
拮抗しているかに見えた戦況は、やがて、才人側に傾き始める。

くりゅっ

「ひぃ!」

才人は、余った中指と薬指で、いまや成長しきって皮を完全に脱ぎ去ったルイズの肉芽を擦り潰したのだ。
ルイズの腿がびゅくん!と跳ね、同時に才人の牡を陵辱していた手が、才人の肩にかかる。
好機と見た才人は、言葉も含めてルイズを責めにかかった。

「あれぇー?さわりっこするんじゃなかったんですかご主人さまぁー?」
「やっ、らってっ、そんらぁっ、されたらぁっ」

才人の腕の中、ルイズはされるがまま。
こりこりぬるぬると股間を指で休むことなく陵辱され、ルイズは才人にしがみついて、耐えるしかなくなった。

「かーわいいなぁー。ルイズのガマンしてるかおー」
「ひぃ、やらっ、みちゃやぁっ」

ルイズはそんな事を言われて。必死に恥ずかしいほど感じている顔を才人の肩に押し付けて隠すが、才人は許さない。
空いた左手でルイズの顎をつまんで、自分の顔と正対させる。
快楽の電流に身体中の筋肉を解されたルイズには、才人に抗う術はない。
まっすぐに獣欲に溶かされた瞳を覗き込まれ、上気した頬を、乱れた髪を視線で犯され、否応なしに高まるルイズの羞恥と官能。
びくびくびくとルイズの膣が震え始める。絶頂の前触れだった。
才人は、それを感じると一旦陵辱の手を休め、そして、ルイズに言う。

「あっれえ?ルイズから言ってきたのに先にいっちゃうの?ズルいなあ」
「ゃぁっ…やめちゃぁっ…」

絶頂の途中で放り出され、泣きそうな顔で懇願するしかないルイズ。

497 名前:使い魔の大掃除 ◆mQKcT9WQPM :2008/01/01(火) 00:07:05 ID:KgJmqRf9
才人はそんなルイズの表情に、征服欲を満たされると。

「しょうがないなあ。じゃ、お先にどうぞ♪」

こりゅっ!っぶちゅっ!

才人の指が陰核を押しつぶし、そしてそのまま膣内を一気に削る。

「ひ────────────────────────────っ!」

その快感に、ルイズの全身がびくびくと痙攣を繰り返す。

「いっちゃった?すっごくいっちゃった?」

痙攣を繰り返し、脱力するルイズに、才人は笑顔でそう尋ねる。

「────────は。はぁっ…」

ルイズはしばらく、絶頂の余波で返事も出来なかったが。

「いいなぁ、ルイズばっかり先に逝っちゃうなんて」
「…あの、ねぇっ…」
「ずるいよなあ。一緒にさわりっこするはずなのになあ」
「この、ばかいぬぅっ…!」

才人のニヤニヤ笑顔にいい加減腹が立ってきたルイズは、才人を風呂場の床の上に押し倒す。
床の上には転んでも言いように木でできたすのこが敷いてあったが、さすがに痛い。

「ちょっ、なにすっ…」

しかし、才人は抗議の声を飲み込んでしまう。
粘液でぬるぬるどろどろのルイズが、馬乗りになってガンを飛ばしてきていたからだ。

「…いいなぁ…?」
「…へ?」
「…ずるいなぁ…?」
「…あ、あの?ルイズサン?」
「なによなによなによ!さんざんいじり倒してきたのそっちじゃないの!
 だったらサイトも一方的に責められてみなさいよ!」

そう叫んで、ルイズは押し倒してなお天を衝く才人の肉棒を。
あろうことか太腿とふくらはぎで挟み込み、粘液でぬるぬるの才人の胸板に倒れこんで、脚を上下に動かして才人を責める。
ルイズの腿とふくらはぎの隙間は、力強く閉じられていたが、粘液で滑ってその強さを丁度いい刺激に換えていた。

「ちょっ、ルイズそれっ…!」

今度は、才人が官能に耐えさせられる番だった。
ルイズは脚だけでは飽き足らず、その可憐な舌で才人の立った乳首をちろちろと嘗め回す。

「うわっ…それっ…!」
「ふふ…サイトかーわいい…こんなのキモチイイんだぁ…」

こしゅ、こしゅ、こしゅっ

必死に耐える才人の顔を眺めながら、己の征服欲を満たしていくルイズ。
脚の締める強さも動きの早さも緩めることなく、舌で才人の乳首を犯す事も忘れない。

498 名前:使い魔の大掃除 ◆mQKcT9WQPM :2008/01/01(火) 00:07:47 ID:KgJmqRf9
「そんな切ない顔しちゃってぇ…もっといじめてアゲルね…ふふっ…」

そして、一旦脚を止め、少し脚の隙間から覗いた亀頭を、指先でこね回す。

「くぁ!だめだっ、ルイズぅっ…!」
「ふふ…どう?一方的に責められるのは。キモチイイ?ねえ?」

ルイズは嗜虐的な笑みで、才人を責める。
しかし、次の才人の台詞で、ルイズの動きは止められる。

「いや…じゃなくてっ…!
 イキそうなんだっ…!俺、ルイズの中で…イキたいっ…!」

ルイズはその言葉に動きを止め。
才人の顔をじっと見る。

「…ほんとにもう…どうしようもないバカ犬ねえ…」
「わ、悪い…ワガママばっか言って…」
「ほんと…どうしようもない…」

言いながらルイズは才人自身をまたぐ。
その股間からとろとろと、ルイズの蜜と媚薬が零れ落ちる。

「ば、か、い、ぬぅ♪」

淫靡に笑って、ルイズは才人を飲み込んだ。
そのまま一気に最奥まで才人をくわえ込み、両手を才人の胸板について、身体全体で才人を感じる。
雄と雌の粘液と鳴き声の奏でる淫らなシンフォニーが、二人の快楽を押し上げていく。
いつの間にか二人は指を絡め合い、お互いに腰をぶつけ合っていた。
ルイズの桃色の髪が才人の上で、まるで踊るように舞う。
その舞台はやがて、フィナーレを迎える。

「あっ!やっ!いくっ、サイトいくぅっ!」
「俺もっ、出すよ、ルイズっ!」

牝が牡を締め上げ、ルイズの子宮に才人の精液が容赦なく流れ込む。
二人は同時に事切れ、風呂の床にくずおれたのだった。

499 名前:使い魔の大掃除 ◆mQKcT9WQPM :2008/01/01(火) 00:08:22 ID:KgJmqRf9
二人はその後、お互いに身体を洗いあって、湯船に浸かった。

「なあルイズ、どうしてあの薬返したの?」
「だ、だって、やっぱり慎みとか大事だし…」
「…何を今更」
「…サイトは、ええええ、えっちな娘は、どう思うの…?」
「…たしかに、あんまりえっちなのはいけないとおもうけど」
「…そうなんだ」
「えっちなルイズは、大好きだよ」

そこまで言って、才人は赤く染まったルイズの頬に、キスをした。

「ばばばばば、ばかぁ…な、何いってんの…よ…」

赤くなって、口まで湯船に浸かってしまうルイズ。
そんなルイズに、才人は言った。

「ま、そういうわけで、今年もよろしくな、ルイズ」

それを聞いたルイズは振り向いて、才人に返した。

「…よろしくお願いしますご主人様、でしょ」

そして二人は、湯船の中で笑い合った。
新年は、もうすぐそこだ──────。〜fin

500 名前:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2008/01/01(火) 00:10:27 ID:KgJmqRf9
ザ・大誤算!大晦日に間に合わなかった!
絶望した!紅白のアニソン枠に絶望した!

まあそれはともかく。

皆様あけましておめでとう。今年もよろしく。

つらつらとくだらないSSを上げていきますので末永くよろしこ

つーわけで発毛デーに備えてねゆノシ

501 名前:Lv.見習:2008/01/01(火) 00:11:33 ID:z+cCEjoy
皆様GJ!そしてあけましておめでとうございます。
俺も大晦日間に合わなかったorz

この二人は、>>155 >>464-467の妄想EDな二人です。
前回のタイトルをそのままシリーズ名にしようかと思ってたのですが、
さっきカブりに気がついたので前回のタイトルごと後で変えておきます。
失礼しました orz

今回はシリアスほとんど抜きで単純にバカップルです。
(本来の)年越し前分はほのぼのエロ抜き。
年越し後分(たぶん夜投下)はニヤニヤと、エロ。

502 名前:バレット:2008/01/01(火) 00:12:42 ID:gKr0nIpC
・・・投下直後のせんたいさんの作品を読んであまりのエロさと自分の文才の無さに絶望した!orz

503 名前:未来図β  ― 年越しの定番:2008/01/01(火) 00:12:51 ID:z+cCEjoy
「あー……あったかくて気持ちいいわね」
「ああ。コタツって最高だろ?」
 二人はぬくぬくと才人が持ち込んだコタツに入ってあったまっていた。
 コタツのコンセントは部屋のゲートを抜けて才人の部屋のタップに。
 それに並んで伸びるテレビ線は、これまた才人の部屋のジャックに繋がっている。

 結果、ハルキゲニアにはありえない光景がそこにあった。
 ルイズの部屋に、コタツとテレビ。
 ベッドなどはそのままなので、そこは一人暮らしの部屋の様相を呈していた。

 ルイズは気持ちよさそうに天板にコテンと頭を乗せている。
 コタツで丸くなる猫のような姿のルイズを才人は微笑ましく見つめた。
「このミカンってフルーツもおいしかったわ」
「ああ。これが日本の年越しの定番なんだぜ。こたつでみかん」
「へえ〜。他にもなにか定番はあるの?」
「そうだなぁ……あ、そうだ。年越しの日は年越しそばを食べるんだよ」
「トシコシソバ?」
「さっき持ってきて食わせただろ。あれが年越しそば」
「あぁ、さっきのね。なんか不思議な匂いで温かくてしょっぱくてざらざらしてたわね」
「お前おとなしく食べてたけどさ、あれってズルズル啜るのがマナーなんだぞ」
「な、なぁに?それ。下品じゃないの」
「ソバはそういうもんなの。ズルズル啜って食べる程旨いよ、って意味なんだってよ」
「ふぅん、変わった文化ね。わざわざ杖2本で挟むなんて小難しい食べかたするし」
「あれは杖じゃなくて2本1揃えで箸っていうんだよ。ま、文化って地域それぞれ違うもん
だからなぁ。世界まで違うんだからコレくらい驚かねぇだろ?」
 そう話しているうちに、ゴーン、ゴーン、とテレビから鐘の音が聞こえてきた。
「あ……もうすぐだぞ、新年」
「なぁに、これ?」
「除夜の鐘って言って、108回鳴らすんだ。一説ではそれが人間の煩悩の数なんだってさ」
「へぇ〜」
 ……ルイズに教える為にあれこれ調べている内に、才人は雑学マスターと化していた。
「……あ。ねぇ、年越し、ご家族と一緒に過ごさなくていいの?」
「あぁ。いやさ、今年は年越しイベントに行っちゃったんだよ」
「年越しイベント?」
「うん。このテレビみたいに……ほら。みんなで集まってカウントダウンするんだ」
 いいながら才人はリモコンで番組を変えた。
 そのテレビでは大勢の観客と一緒に、芸人が10、9……と数えていた。
 何しろこのテレビはサモン・サーヴァントのゲートを越えたものではなかった物だから、
ルイズにはまるで言葉はわからなかったが。
「ほら、新年になるぞ、ルイズ。……3……2……1……」
 ルイズは思わず身を乗り出して、画面を覗き込んだ。

---------------------------------------------------------
年越し前分は短いんだし出かける前に張ってけばよかったなぁ(−−

504 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 00:14:07 ID:stcBSkBq
>>へんたいさん
今年一番の作品堪能しました、あざーす。

作者様並びに保管庫の管理人様と住人の皆様に幸あれ!!

505 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 00:43:22 ID:m3gWxj0o
皆さんGJ!
ルイズにタバサにと物書きさん頑張ってますねえ。
これからもよろしくお願いします。

506 名前: ◆LoUisePksU :2008/01/01(火) 01:20:42 ID:pXv/Xm3T
せんたいさんGJ!!

じゃ、続いて新年向けSS投下するよー♪

タイトル「これからもよろしく」
消費レス2

507 名前:これからもよろしく(1/2):2008/01/01(火) 01:21:13 ID:pXv/Xm3T
ヤラの月の第一週フレイヤの週の最初の日。虚無の休日。

ハルケギニアでは始祖の降臨祭の初日にあたる。

ルイズとサイトは、ハルケギニアにはらしからぬ出で立ちで町を歩いていた。
町外れの始祖を祀る教会に行くのである。

ルイズの服は、上下のつなぎの服――脇から袖にかけて長く垂れ下がっている特徴のある服である。
柄はというと黒地に花の文様が散りばめられており、しかも前で合わせて太目の紐で止めている。
その紐にも金や朱の糸で美しく刺繍が施されているものだ。

一方のサイトは、黒色で袖の部分が大きくたるんでいる上着を前で合わせ、紐で結んでいる。
ズボンはというと、グレーでかなりだぶついていて、ざっくりしたタックの入ったものだった。

そう、ふたりは日本でいうところの振袖、羽織袴だったのである。
サイトの専属メイドのシエスタが実家からわざわざ取り寄せたものだった。
もちろん、二人にこの服装を着せたのも彼女であった。

「ねえ、サイト。これフリソデっていうの。随分歩きにくいわ」
やや内股になり、覚束ない足取りであるくルイズが言った。
「しょーがないって。でも、ルイズ。似合ってる」
サイトはたまに転びそうになっている彼女の手を取って答えた。
桃色がかったブロンドの髪をアップに結ったルイズは、少女ではなく女性の色香を湛えている。
サイトはルイズをうっとりした目で見つめていた。

「そ、そう?」
ルイズは少し頬を朱に染め上げ、彼の視線から隠れるように俯いた。
「う、うれしい・・・」
そうつぶやくと、ルイズはサイトの手を握り返すのだった。

「去年は、色々大変だったよな」
サイトが空を見上げて言った。

その一言にルイズは表情をやや曇らせた。
「・・・サイト。わたしを独りぼっちにしたもんね」
「あれは・・・仕方ないだろが」
「サイト、死んじゃったかと思ったんだもん。それに――」
ルイズの少し震え気味な声。

サイトは、握っていた手を今度はお互いの指が絡み合うように握りなおすことで答える。
(もうだいじょうぶ)

ルイズにも伝わったみたいで、それ以上言葉をつなぐことなく黙って歩いた。
彼女の手に力が入った。
(ほんとに?)

サイトも絡めた指を動かして、彼女の手をなでる。
(ほんとだよ)

ルイズは顔を上げ、サイトのほうを見つめ、
彼がやったのと同じように指を動かして彼の手をなでた。
(・・・しんじる)

サイトもルイズのほうを見つめた。
ふたりの視線が絡み合った。
そして、自然とふたりとも笑顔になった。


508 名前:これからもよろしく(2/2):2008/01/01(火) 01:23:05 ID:pXv/Xm3T
教会につき、ふたりは祈りを捧げた。
サイトはこっちの宗教は全く知らなかったが、郷に入ればなんとやらで見よう見まねで願掛けをしたのだった。

帰る道すがら、ルイズはサイトに聞いた。
「ねぇ、サイト。なんてお祈りしたの?」
「・・・おしえねー」
サイトの短い返事に彼女は膨れっ面になった。
「あによ。なんでご主人さまには言えないお願いなのねっ」
「ちがうっての」
「じゃなによ。怒んないから言ってみなさいよ」
「誰かさんの平原が豊かに実りますよー(ゴスッ)ってーよ」
「ほほほんとに。そんな大それたことゆったのかしらぁ?」
「殴ってから怒ってんじゃねーよ。ウソに決まってんだろが、ウソに」
「じゃ、何よ。今度はウソついてもダメ。ウソ禁止なの」

サイトは彼女から目をそらしてボソッと言った。
「―――おまえと・・・おまえとこれからもずーっと一緒に居られますよーにって願ったんだよっ悪いかよ!!」
ルイズはサイトの言葉に虚をつかれたように言葉に詰まった。
そんな彼女を尻目にサイトが言い返す。
「そうゆうおまえはどーなんだよ」
「わ、わたしはいいいいーのよ」
「ずるいっ」
「ず、ずるくないもん。使い魔の気持ちをちゃんとご主人さまはしっとかなきゃだめだから聞いただけなんだから」
彼女はなぜか頬を染め、口を尖らせて言い返す。
「ずーるーいー」
じーっとサイトに見つめられ続けて、ルイズは根を上げてしまった。

「わ、わかったわよ。言うわよ。でも一回しか言わないもん」
「どーぞ。」
サイトは聞き漏らすまいと耳に手を当てた。
ルイズはきょろきょろと視線をあちこちにやったあげくに小さな声でぼそりとつぶやいた。
「サイトが地球にかえりませんよーにってお願い・・・しちゃった――」
ルイズの顔がふにゃっと崩れ、サイトにしがみついた。
「だって、やなんだもん。もーひとりはやなんだもん。ずーっと一緒にいたいだもん」
嗚咽交じりに彼女は言葉を零す。

泣くな、泣くなって。サイトは愛しむように彼女の肩を抱いた。
「大丈夫。俺はここに残るから。絶対おまえのそば離れないから」
ルイズは首を縦にふった。
「信じろよ」
「――うん」
彼女はもう一度頷いて、涙に濡れた顔を上げた。
サイトはそっと指で彼女の濡れた頬をなでてあげた。
「これからも、ずっとよろしく」
「わたしこそ、よろしく」

二人は軽く唇を合わせ、再び手を取り合って歩きだすのだった。

509 名前: ◆LoUisePksU :2008/01/01(火) 01:24:13 ID:pXv/Xm3T
以上ですノシ

というわけで、

住人&職人のみなさま
あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。

510 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 01:27:52 ID:m3gWxj0o
>>509
一番槍GJ!
ルイズ可愛いよルイズ。
ストロベリーな奴らめw
この手を離すもんk(ry

日付が変わるのを見ると新年だなあと思う。

511 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 03:49:37 ID:v7LGv6vD
あけおめ
それにしても…着物が似合うで余計な事を言うかと思ったがw

512 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 05:34:22 ID:z2opkbts
殿様プレイだと思ったのは俺だけじゃないはず

513 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 06:03:48 ID:FKQyFxEr
>>512
あ〜れ〜と言うのはむしろサイトwww








姫様にひん剥かれるとな?

514 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 06:05:25 ID:S/hbShRY
俺はルイズに徹底させた下着未着用を利用して、初詣帰りに青姦で姫初めだと思ったw

515 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 16:11:13 ID:IgRB+m5K
最近輪をかけて投下ラッシュになってないかw?

516 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 16:20:10 ID:+10E+NUK
保管庫には変なの沸いてるけどな
(´・ω・`)

517 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:04:30 ID:BUzRA99c
何あのチャット…

518 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:08:13 ID:WMor6Iqa
kwsk

519 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:10:47 ID:73wrA6kd
最近更新があったページを順に見ていけばわかる

520 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:26:48 ID:WMor6Iqa
これまた香ばしいのが湧いたな
激しくMixi臭がするコメントw

誰か、凸してMixiアドレス聞き出してVIPで晒して来い
いい燃料になるぞ

521 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:27:45 ID:S/hbShRY
>>519
具体的にどのページが教えてくれないか?

522 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:32:39 ID:3B3Huo4i
>>519でわからなかったら具体的なページを教えられてもわからねーよw

523 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:37:03 ID:oGeJrouj
古参の俺は あそこでやんちゃするなんて考えるだに恐ろしいんだが・・・・・若いってイイな

ゆって駄目ならいっそコメントページ消す?

何にせよチャットでも雑談用の掲示板でもないことの説明が先か
良識の範囲でってどっかに書いてあったはずだが消えてる?

>>520
それ、ここやら保管庫に変なのが大量流入するフラグじゃ・・・・

524 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:38:47 ID:oGeJrouj
mixiを晒すのか、悪い勘違いした。

525 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:41:24 ID:Kt5aAP3A
どう考えても奴らは未成年。
未成年ならこっそり見てればいいものを。
人に迷惑かける奴らは死ね。

526 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:42:23 ID:Xg2Vh93y
>>520
件の対象は「自由〜」と「〜見」でおk?

527 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:42:49 ID:Xg2Vh93y
sage設定し忘れたorz

528 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:44:35 ID:WMor6Iqa
>>526
そそ
「覗き○」と「○○な旅人」

記号多用でイタタタタ

529 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:46:31 ID:3B3Huo4i
続きが出たら意見交換を楽しみにって、おま…

530 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:53:39 ID:Xg2Vh93y
>>528
おぉ、やはりそうか。dです
待てw俺が伏せた意味無いじゃんww

あれらは「未成年+ネット経験浅し=調子に乗り出す時期」くらいが相場かね。

531 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:56:35 ID:+10E+NUK
まあ実年齢はともかく精神年齢は厨房だよな

へんたいさんとかが注意したら止めると思うけど
作者に注意されても止めんかったら…
リアル魔王261氏にお願いするか
あの時みたいにさ

532 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 18:13:00 ID:Xg2Vh93y
>>515
PerfectBook発売、X'mas、新刊発売、年末年始と、起爆剤要素が目白押しだからだろ?

>>523-524
仮に晒した場合、晒した理由を書いたら大量流入するだろうな

533 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 18:38:20 ID:obRg7UFY
>>531
悪意有るのか微妙だし
作者が注意してネットストーカー誕生!!
だったりして。

にしても、みんな正月暇なんね

534 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 18:54:29 ID:hC5rBWnQ
家族いない
友人いない
恋人いない
仕事もない
外寒い
コミケ終わった

暇に決まってんだろ

535 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 18:55:01 ID:Xg2Vh93y
>>533
俺の主観だけど、悪意は感じられない。ただKY感がするくらい。
とりあえず、まだ静観がベター?か。
そういや「KY」って2chじゃほとんど見ないな。
まぁそれよりずっと前から「空気嫁」があるし、わざわざ乗り換える必要も無いんだろうな。

ヒマといえばヒマ、なのかなぁ…
餅に飽きた。…ハルケギニアに餅はあるのd…無ぇか

536 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 19:02:48 ID:Pi78BiJi
↑件のSSを容赦なくこき下ろしてやるのはどうよ
批評は誰がやるのも自由だしな

537 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 19:03:02 ID:hC5rBWnQ
>>535
イネ科の植物があるのかさえ怪しいな
雨降った場面も一回しかないし梅雨みたいのなけりゃ育たないし

Koとしも
Yoろしく

538 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 19:11:08 ID:y5hgEpfV
>>536
それは専用の叩きスレでやることだね。
ここの充実度は半端ないよ。

539 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 19:15:43 ID:Xg2Vh93y
>>536
それは「荒らしになってこい」と言ってるようなもんだぞ…

>>537
ムギは流石にあるだろうが、
糯米は普通の米でさえ描写がないから(あったらスマン)尚更作れそうもないよなぁ

540 名前: 【だん吉】 【176円】 :2008/01/01(火) 19:33:29 ID:xdkr27Ql
2chでKYをみると珊瑚礁が真っ先に浮かぶガ板住人な俺

541 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 20:27:40 ID:Pi78BiJi
>>539 >>539
すまん 少々大人気なかったようだ

542 名前:Soft-M ◆hjATC4NMLY :2008/01/01(火) 20:39:05 ID:zy72f4zC
http://wikiwiki.jp/zero/?Soft-M
明けましておめでとうございます。
『ゼロの飼い犬』16回目と17回目を更新しました。色々あって直接投稿です。
見て下さる片は上のリンクからお願いします。

次回は『夏風邪に効く薬』。今年もよろしくお願いします。

543 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 20:46:18 ID:y5hgEpfV
>>542
GJ!

あと二本くらいで次スレかな?

544 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 20:53:20 ID:+cWkDEBX
GJ!!
いつもいい仕事有難う御座います!!
良いお年を〜

545 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 20:54:52 ID:LyDgovOr
>>542
待ってました!

546 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 21:34:43 ID:6fDbFCID
>>542
GJ 正月早々ありがとう。

そして
>>544
それは、年末の挨拶じゃ・・・・?

547 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 21:43:44 ID:WMor6Iqa
>>542


即効でまたあの2人がコメつけててワロタ
そろそろ誰か雑談BBSに誘導してやれよw

548 名前:Lv.見習:2008/01/01(火) 21:59:04 ID:z+cCEjoy
>>542
GJ!続き心待ちにしてました!

なんとも微妙なタイミングですが……
>>503 未来図β  ― 年越しの定番
……の年越し後分、投下します。

549 名前:未来図β  ― 年越しの定番:2008/01/01(火) 21:59:55 ID:z+cCEjoy
”HappyNewYear!”  パーン!

「きゃあっ!?……いやね、びっくりしたわ」
「お前近づきすぎなの。目悪くなるぞ」
 覗き込む画面の中で途端にあがった花火に、ルイズはびっくりして身をのけぞらせた。
 才人は笑って言った。それからルイズの肩を引いて、テレビからすこし遠ざける。
「さて、と。新年あけましておめでとう」
 才人は習慣のままに、ぺこりと頭をさげた。
「あ、あけましておめでとう?」
 言葉の意味がよくわからないまま、ルイズは反射的に同じように挨拶を返した。
「ハルキゲニアではまだ年明けねぇけど、ま、別にいいだろ」
「そうね。別にかまわないわよ、私たちだけ違う日にお祝いしたって」
「今年もよろしくな、ルイズ」
「今年もよろしくね、サイト」
 二人はほのぼのと新年の挨拶をした。

「……そういえば、サイトの国では今日が年越しなのね」
「あぁ。ただずれてるだけじゃなくて、一年の長さがちょっと違うんだ」
「……じゃあ、何年か後にはサイトの国の年越しの日に一緒にコタツはちょっと入れない
かもしれないわね」
「そうだな。すこしずつズレてくからなぁ。たまたま今回は時期が合ってたんだな」
「……」
 ルイズは唐突に座っていた場所から出て、才人のすぐ横に滑り込んだ。
「ん?どーしたんだよルイズ」
「な、何年か先には……一緒にコタツ、入れないかもしれないからだもん」
「別に、19日位ずつズレてくだけだろ。こっちが寒いときはこっちに置いとくから別に」
「うるさいわね。細かいことはいいから、ここに居させなさい」
「……いや、いいけどよ」
 いくらルイズの体が小さくても、コタツはせまい。
 一緒に入れば、どうしても脚は当たるし、体は密着する。
「せ、狭いよな」
 そう言って、才人はそっぽを向いてルイズの肩に手を回した。
「そそ、そうね。狭いからだもんね」
 ルイズもそう答え、これまたそっぽを向いて、才人に体重を預けた。
 なんとも妙な雰囲気で、二人はそのまま沈黙する。
 流れのままに肩に回した腕はどうにも動かせなくなって、掌が汗ばんだ。
「……あ、あー。そうだ。ルイズ教えてやるよ!」
「な、何よ? 急に」
「俺の世界の新年の定番なんだけどさ、姫はじめってのがあってさ」
「……姫さま、はじめぇ??」
 ルイズは不思議そうな顔をした。
「あぁ、王女様って意味じゃなくて。こっちでは女の子のことなんだ」
「それがどうしたのよ?」
「まぁ転じて、年明けて最初にやらしい事するのを指すわけさ」
「…………」
 ルイズはぽかーんと口をあけて、数拍の後、顔を真っ赤に染めあげた。
 それから我に返ると、才人を睨んだ。鬼も顔負けの目つきで睨んでいる。
 ……才人の狙い通りに。
 才人はこういう雰囲気は、どうも慣れないのだ。照れくさくてたまらない。
 既に両手で数え切れない程度には事に及んでいるが、ルイズは雰囲気にこだわる。
 だから、こういう誘い方をすれば、怒り出すに決まってる。と、才人は思った。
 もう一押しして、鞭で一発しばかれでもすれば、この妙な雰囲気はどうにかなるだろう。
「あははははは。なぁ、してみる? 姫はじめ」
 言いながら、わなわなと身を震わすルイズの頬をとどめとばかりにちょん、とつついた。

550 名前:未来図β  ― 年越しの定番:2008/01/01(火) 22:00:41 ID:z+cCEjoy
 しかし、ルイズの反応は才人の予想とは外れていた。
 睨んでいたその目線をふいっと才人から逸らして、唇を尖らせる。
「……し、しし、新年の定番だって言うなら、仕方ないわ」
「そうそう、仕方な……って、えぇっ!?」
「な、なによ。アンタの国の定番なんでしょ?……するの?しないの?」
 ルイズは薄い胸と一緒に虚勢を張った。
「……じゃ、じゃあ……しようか?」
 才人は想定外の展開に、おもわずニヤけた。
「……ね、ねぇ、サイト?……顔が、なんかやらしいんだけど」
「うっ。……ほっとけ。どーせ俺は犬ですよ。ごちそうと見れば、よだれもたらすさ」
 言いながら才人はコタツとテレビを消して、ルイズの膝の下に片腕を突っ込んだ。



「……しっかし、俺もずいぶん力ついたよなぁ」
 才人はガンダールブの能力なしに軽々とルイズを抱き上げて、ベッドに横たえた。
「そうね。使い魔召喚の儀の時はてんで弱そうで、がっかりだったのに」
「あー、そうそう。お前コルベール先生に、弱そうな平民なんてイヤーって詰め掛けて」
 言いながら、才人はベッドに上がって、唇に一つキスをした。
 キスを続けながら、ルイズの着衣をなれた手つきで脱がす。
「ん……あの頃は、そのひ弱そうな使い魔とこんな事になるなんて、思わなかったわ」
「俺だってそうだよ。かわいいのは顔だけで、あちこちゼロのご主人様となんてさ」
「なによ」
「なんだよ」
 お互いむっとした顔を向け合ったが、以前のようにケンカにはならなかった。
 顔を見合わせた二人はふと笑って、自然目を閉じながら、残った距離をゼロにした。
「……その弱かった使い魔が、今はずいぶん立派になっちゃったわ」
「ゼロだったご主人さまは……あー。胸だけはあんま育ってねぇよなぁ」
「ちょ、ちょっと! 何よ!……うぅん」
 むにむに、とささやかな膨らみを揉む。
 回を重ねるごとに、ルイズの反応は良くなる。
 才人がポイントを押さえられるようになったのもあろうが、それよりも。
「まー、ご主人さまったら、大きさはともかく、最近はずいぶん敏感におなりで」
「や、やだぁっ!そういう事言わ……むぅっ」
 真っ赤になって叫んだルイズを、才人は深く舌を絡めて、黙らせる。
「……いいじゃねぇの。その方が可愛いし」
「……こ、これ以上恥ずかしい姿なんてイヤ……あっ、やんっ!」
 突然乳首に吸い付かれて、言葉が途切れた。
 しつこく弄られ舐られ、そう経たずにルイズの体は悲鳴を上げた。
「ひん……あ、あぁっ」
 ぴんと一度弓なりに反った体は、力が抜けるとふかふかのベッドを波打たせて沈む。
「……こういう恥ずかしい姿がどうしたって? 俺、聞こえなかったなぁ。そういう姿を
もっと見てほしい、とか?」
「も……バカぁっ」
 才人がニヤニヤしながらルイズの顔を覗き込んだのを、ルイズは手で押しのけた。
「なんだよ? ……あぁ、わかった。胸ばっかじゃ物足りねぇんだろ」
「えぇっ? そんなこと、わたし言ってないじゃない」
「キスよりこっちにきてほしいんだろ? えぇもう、犬は精一杯ご奉仕させて頂きます」
 脱力したままのルイズの腰まで移動して、がばっと脚を開いた。
「あ、やだ……さっきの、そんなつもりじゃ」
 身をひねって才人の動きを見るが、体に力が入らない。
 才人は太ももまで流れた愛液をすくいとって、にやりと笑ってみせる。
「……あぁ、もうこんなか。……ほら、こぼれてる」
「……さ、さっきの……やりすぎなのよ……って、そんな所じっと見な……っ!?」
 太ももにぬるりと熱い感触を受けて、ルイズの身体がびくっ、と大きく跳ねる。
「やだ、やっ……! 何するのよっ」
「……うーん、掃除、かな?」
 冗談交じりにそう言って、才人は流れに沿って、雫の水源に向かい舌を進める。
 身体に力の入らないルイズは、そんな才人の頭をぺちぺちと叩いた。

551 名前:未来図β  ― 年越しの定番:2008/01/01(火) 22:01:03 ID:z+cCEjoy
 たどり着いた泉で大きく音をたてて啜ると、ルイズは一際強く反応した。
「ひああぁっ! も、やだぁぁ……! わ、私はソバじゃないんだからっ!」
 ……才人は想定外の発言に10秒くらい無言で固まった。

「…………えぇもう、とーってもおいしいですよ、ご主人さま」
 才人が笑いを堪えつつ意地の悪い口調で返した言葉に、ルイズは真っ赤になった。
「あ、あうぅ……わ、忘れて、さっきのは。お願いサイト」
「いやぁ、ご主人様のお願いでもそればかりは。むしろコレする度に思い出す気がする」
「バカ! サイトのいじわるっ! ……きゃっ」
 文句を無視して秘唇を舌でくすぐると、ルイズの腰が引けた。
 構わずに奥に突っ込むと、反応して中が大きく脈動する。
「んん……なんかぞくぞくして、ヘン」
「じゃあ、こっちは?」
 言って、肉芽を潰すように舐る。
「ひ、っ……!」
 ルイズは声もなく大きく身を震わせて、太ももで才人の頭を締め付けた。
「だ、ダメ。強すぎて怖いから、やめて」
 涙目になってぶんぶん頭を振る。かなり本気で嫌がっているようなので、あきらめる。
「そっか。ここはまだちょっとツラいか。……じゃあ、指と、俺。どっちにする?」
「…………さ、サイトにしとくわ」
 熱っぽい目をそっぽに向けて、ルイズは恥ずかしそうに呟く。
 才人は満足そうな笑みを浮かべて、自身を奥に押し込んだ。
「う……なんか今日、すごいみたいなんですケド」
「んん……な、なにがよ……」
「……えっと……。お前さ、濡れすぎ」
「ば、バカ! だからそういうの言わないでって言ってるでしょ!」
 ルイズが力任せに振り回した腕が才人の顎に鈍い音をたててヒットした。
 結果、二人は動きをとめ、揃って呻いた。
 才人は叩かれた顎の痛みに。……ルイズはぶちあてた拳の痛みに。
「う〜〜、痛たた……。そうじゃなくてさ、あんま俺がもたなそうなんだよ」
「痛ぁ……もう、バカ……好きにしてよ、そんなの」
 具体的な言い様にルイズはただ赤くなるしかできなかった。
「……へいへい、好きにしますよ、っと」
「きゃあっ! ちょっと、なに!?」
 ルイズの背中に手を差し入れて、そのまま抱え起こした。
 逃げようにも、深く刺さったままで、動けない。
 ルイズは上手く逃げられずに、ピンでとめられた蝶のようにもがく。
「何って、ご主人さまのお許しがあったから、好きにしてるんだけど?」
「こ、こんな、なによこれ……きゃうっ」
 突き上げると、とん、と奥にあたる。
「ふ……深いの……あっ、あぅ」
「うん、わざと」
 何度か揺さぶると、ルイズはバランスを崩して、才人に強く抱きついた。
 中までもが絡みつくように、しがみつくように締まる。
 強く抱きついた分、物足りないふくらみも才人の身体に触れて擦れた。
 最初こそ遠慮気味だった動きはいつの間にか激しくなって、ぐちゅぐちゅといつもより
激しくたつ水音が思考力を奪い、二人を快感の淵に押し上げた。
「んっ、あん……きゃうっ、さ、サイトぉ」
「ルイズ…………あぁ、やっぱもうだめ」
「……あっぁ……なっに……?」
「で、出るっ……!」
「んんっ! やああぁっ……」
 奥をギリギリまで溜めた精液に叩かれて、それにルイズの意識はさらわれた。



 ぽんぽん、と肩を叩かれて、ルイズはぼんやりと目を覚ました。
「おはよう、ルイズ」
「んん……?ふにゃ……おはよう、サイト」

552 名前:未来図β  ― 年越しの定番:2008/01/01(火) 22:01:24 ID:z+cCEjoy
 ルイズはベッドの上で半身を起こして、まぶたをぐしぐしと擦った。
「さっき来たらまだ寝てたから、ついでに顔洗う用意しといたぞ」
「んー、ありがと……」
 よろよろとベッドから降りて、ルイズは顔を洗う。
 ……一度身についた習慣というのは、なかなか消えない物だ。
 ルイズがベッドでぐっすり眠り、よだれをたらしている様をみて、才人が反射的に考え
たのは、『あ。俺、顔洗う水用意しねぇと』だったのである。
「しっかし、ルイズが寝坊なんて珍しいな」
「アンタねぇ…………ううん、いいわ」
「?」
「それより、アンタが持ってるその透明の箱はなに?」
「ん?あぁ。母ちゃんが縁起物だから、ルイズにわけてこいってさ」
 タオルを顔に押し付けるルイズの前で、タッパーをあけてやる。
「はい、おせち料理」
 とりどりをきれいに詰めたそれを見て、ルイズは感心するように眺めた。
「いつものそっちのお料理とはまたちょっと違った雰囲気なのね」
「こっちでも一部除いて正月だけの料理だよ」
「そうなの。お母さまにとても喜んでいたとお伝えしてね」
「あぁ。そのつもりで張り切って作ってたみたいだから、きっと喜ぶよ」
「そ、そうなの? ……」
 ぱっと顔を綻ばせ、しかしルイズはすぐに佇まいを正した。
「……お前もさぁ、嬉しいなら素直に笑えばいいだろ?」
 才人が肘でちょい、とつつくと、ルイズはさっと赤面する。
「……サイトのお母さまが好きだから嬉しいだけなのよ。別に、サイトのお母さまだから
嬉しいってわけじゃ、ないんだから」
「ん? そうだな。お前、母ちゃんと結構、馬合うみたいだもんな」
 けろりと深く考えずに言った才人を、ルイズは呆れた目で見た。



「あら、これおいしいわ。このダテマキっていうの」
「そっか、よかったな」
 おせちを嬉しそうにつつくルイズを、昨晩のように才人は見つめた。
 そこでふと思い出したように彼女は箸を止めて、顔を赤らめ俯いた。
「……と、ところで、あのね? しばらく、お食事以外の定番は遠慮していいかしら」
「ん? どうかしたのか?」
 ルイズは内容的に表情から察して欲しかったのだが、ここでもまたヌケた反応をされ、
半ば八つ当たり気味にキレた。
「……ものすごく疲れたし、腰が痛いのよ! バカ! あ、あんな何回もするなんて……!
だから寝坊したんじゃないっ!」
「あ、あぁ、それでなの!? ……あー、うん。調子乗ってやりすぎた。ゴメン」
「ホントよバカ犬。エロ犬。ドすけべ犬。反省して」
「ハイ。犬反省します」
 真っ赤な顔で犬を三段活用して怒るルイズの前で、才人はとりあえず苦笑した。
 言うだけ言うと、ルイズはまたおせちに向かった。
 すぐにうきうきした顔に戻ったあたり、おせちはなかなかにお気にめしたらしい。
「むぐ……ねぇ、サイト。そういえば、縁起物って……どんな意味があるの?」
「あぁ、語呂合わせとかだよ」
「じゃあ、例えばこの、コンブっていうのは?」
「よろコンブ。つまり喜ぶ」
「ぷふっ! ……じゃあ、このキンピラゴボウっていうのは?」
「すごく固くてしっかりしてるだろ? だから、強く頑丈に」
「じゃあこのサトイモっていうのは?」
「それは……ん? なんか里芋、やけにたくさん入っ…………」
「ねぇ、これはどういう意味なのよ?」
 固まってしまった才人を、ルイズが急かした。

553 名前:未来図β  ― 年越しの定番:2008/01/01(火) 22:03:10 ID:z+cCEjoy
 ……母の意図に気づいた才人は、昨日からすっかり策にはめられていた事に気づいた。
 よく考えれば、そもそもカウントダウンにそう興味を持つ家族でもないのだ。
 コッチの方は才人がいつものように由来を調べていたのを見て、思いついたのであろう。
 そりゃあ、載っていた。確かに調べた中に載っていた。しかし。
 ……まさか張り切って作っていた理由の一つはこれなんだろうか?

 ……なぁ母ちゃん。こんなもんでメッセージとか、どーなの。しかも内容はこれかよ?
 俺がルイズにそういうのを日頃から教えてるのを知ってて、わざとかよ!
 それを俺からルイズに教えろってかっ!! ……才人の顔は思い切りひきつった。

「……さ、さぁ? 俺もちょっと知らないんだよなぁ」
 言って、才人はふいっと視線をそらす。
「……アンタ、絶対知ってるでしょう」
「犬知りません。なんせ犬ですから」
 ひょい、と仏頂面をしたルイズが才人の視界に飛び込んだ。
 才人はばっと大仰な動きで顔をそらした。
「…………ご主人さまに嘘をつくのね?」
「いやぁ、とんでもない。本当に知りません」
「嘘ッ! アンタがそういう態度の時は嘘ってもう知ってるんだから!」
 ルイズの瞳の中で怒りの焔が湧き上がる。
 そうなると才人はもうしつけされた犬のようなものだ。その目を見るだけで身が竦む。
「ほ、ほほ、ほんとうに知らない。許して」
「……許さないわ。ごごご、ご主人さまに嘘をつくような使い魔にはね、久しぶりに私の
乗馬の腕前を身体に思いっっきり教え込んであげるわ」
「お、お前のは乗馬の腕前ってより乗馬鞭の腕前だろぉぉぉ!?」
 才人が腰を抜かして動けずにいる目の前で、ルイズは鏡台から乗馬鞭を取り出した。

 ……そして、邸に使い魔の悲鳴が響き渡った。
 なお、里芋の意味は「子宝に恵まれますように」。

--------------------------------------------------------------------------------
以上です。
今年も住人・職人の皆々様にいいことがありますように。
最近からの住人ですが、今年もよろしくお願いします。

554 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:10:34 ID:hC5rBWnQ
GJ!
母親怖ス
姫はじめってなに?(笑)

555 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:31:51 ID:naYEnWwZ
>>554
アンリエッタ姫が新刊でやらかしてしまうことでは?

“姫”様“はじま”ったなwww

みたいな

556 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:34:32 ID:MQKcQpZ9
姫はじめとは・・・ボルボ氏が新年初のアン様モノを投下することさ!

557 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:45:59 ID:hC5rBWnQ
13刊まだ読んでねぇ…

558 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:49:33 ID:WMor6Iqa
>>555
アン様、新刊でなんかやってたっけ?
致命的なことはなんもなかった希ガス

ボルボ氏、早く黄金溶液の続きクレー
氏のSSは文章も練りこんであるし
構成もしっかりしていて、スゲー面白いんだぜ

文体がなんとなく初期のも○○○氏にそっくりなきがするのはオレだけか?w

559 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:54:27 ID:ThsJEHO9
>>558
癖が違うよーなつか、エロ書きじゃなかった希ガス

560 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 00:52:52 ID:GeFhxO6W
>>554
空気を読まずにマジレスするとHのこと

561 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 03:55:07 ID:kJQ7Zn03
スレ容量も残り少なくなったので、次スレを立てておきました。

【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合26
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199213475/

本年もますます盛り上げていきましょう。

562 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 06:47:35 ID:tgYXM4PM
>>561
乙カレー

563 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 09:29:05 ID:fwd8GNAt
>>561
乙だ〜

564 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 11:22:18 ID:fwJLPAGa
>>561
乙です
  _
  〃 ` ヽ
  l lf小从} l 
ノハ{*゜ヮ゜ノハ)) 卩__ 
o=====U===∩====[]コ[i(●==冫
/ '"/_jl〉` j ))  |ノ ̄ ̄
 ヽ_/ノヘ.)〜′


565 名前: ◆LoUisePksU :2008/01/02(水) 12:39:12 ID:WY6yZ9KL
>>511-514
ちみたちは、まったく好き勝手なことをw

おれは着物よか巫女さんが(ぁ

というわけで、初夢SS投下します。
消費レス5(9kb)

まだこのスレでいけるはず・・・

566 名前:初夢〜双月の巫女(1/5):2008/01/02(水) 12:40:32 ID:WY6yZ9KL
ルイズ?・・・おまえなんつー格好してんだ。ソレ。

サイトは目を疑った。
目の前にいる彼女は、純白で袖丈の長い着物と緋色の袴を身に纏っているのだった。
胸元のあたりで袴の帯が大きな蝶結びでとめられている。

それ巫女装束だろ?どこでそんなの手に入れたんだ?
サイトが問いかけると、ルイズは頬をうすく朱に染めて視線をそらす。
そして、後ろに束ねた桃髪の先っちょを両手で弄くっている。

「――サイトが・・・サイトが着ろっていったんじゃない」
小声でぼそぼそと彼女は答えた。

え?俺が?全く身におぼえのない話であった。
「俺言った覚えない―」
即座にルイズは端正な眉を寄せ、サイトをキッと見据える。
「い、言ったもん。わたしが着たらきっと可愛いって言ってくれたんだもんっ」

サイトは両手の掌を彼女に向けて、冷静になれよという意思を彼女に示した。
「えーと。ルイズさん。ここは穏便に・・・ねっ(ハートマーク)」
小首を傾げて可愛らしく(彼なりに)言ってみた。・・・もちろん失敗。

「あによ。おぼえてくれてないなんて、サイトなんかもー知らないもん。」
地球の魚で言うところのフグのように両頬をふくらかし、ルイズがすねすねモードになってしまった。

サイトは頭をぽりぽり掻きつつ、記憶を手繰っていってもルイズには言った覚えがこれぽっちもない。
具体的に言ってしまえば、彼の頭の中では、巫女ルイズというものを思い描いたことはある。
でも、そんなことは口が裂けたって言えやしないのだ。

しかし、ただ今駄々っ娘真っ最中の愛しのご主人さまは言ったと仰せである。
ここは、言ったことにしておいた方が二人のためにもいい。と彼は結論付けた。

「あー、そうか。思い出したよ。ルイズ。巫女さん衣装着たら可愛いって言ったよ」
多少のぎこちなさを含んだ笑みをルイズに向け、言った。

ルイズは膨れっ面のまま、ちらちらサイトを横目で見ている。
ご主人さまの機嫌をとるには、まだ言葉が足らないらしい。

「だから・・・忘れてて・・・ゴメンっ!!」
顔の前で手を合わせて、90度頭を下げた。


567 名前:初夢〜双月の巫女(2/5):2008/01/02(水) 12:41:09 ID:WY6yZ9KL
「・・・」

ご主人さまからのお許しの言葉がない・・・
サイトは首を上げ上目に彼女を見やった。

にこーーーーー。
ルイズは腰に手を当てて、満面の笑みを見せていた。

「思い出してくれたらいいの」

サイトは体を起こした。
ふぅー。
彼のため息が終わるまもなく、ルイズが口を開いた。

「でも、まだ許してあげない」
はぁ〜。彼は大きく肩を落とした。

「どーしたらいいのかな?」

「もっと褒めて」

「かわいーよ」
「うん♪」

「後ろに束ねた髪も綺麗だ。」
「うん♪♪」

「・・・俺の頭で思ってた通りに・・・可愛い・・・です」
「うん♪♪♪――許してあげる」

彼女がすっとサイトのほうに歩いてきて、寄り添うように彼の胸に両手を添えた。
そして、ルイズはサイトに乙女最強のマジックスペルを放った。
「好きにして・・・いいんだから・・・ね」

ルイズはサイトの胸に顔を埋めたのだった。
彼女の仄かに甘い香りがサイトの鼻腔を擽った。
彼の理性という名の紐がぷつりと音と立てて切れたのは言うまでもない。



568 名前:初夢〜双月の巫女(3/5):2008/01/02(水) 12:41:57 ID:WY6yZ9KL

「いいのか・・・さ、さわっちゃうぞ」
「・・・」
ルイズは黙ったまま、小さく肯いた。
サイトは小さく震える手でルイズの白衣の胸の辺りに手を伸ばす。
「ぁ」
触れた瞬間、彼女が小さな声を漏らした。
ドクンドクン・・・。サイトの掌にルイズの鼓動が伝わってくる。

胸においた手をゆっくりと動かしてみる。
「ぁ・・・ぃ・・・」
ルイズの切なげな声が小さく零れる。
「き、着物の上からじゃ・・・やだ・・・」
彼女の口からさらなる刺激を求める言葉が発せられた。

サイトは白衣の身八つ口(脇の部分の切れ目)から左手を差し入れた。
手探りでさらなる侵入する隙間を探してみたが、あいにく襦袢の脇には空きがない。
しょうがないので、今度は手を衿元へと移した。

衿からするりと手を滑り込ませると、ルイズの素肌に触れることができた。
位置からすると、そこは胸であるべき部位である。
はぁっ・・・ぁ・・・
ルイズの切ない声が漏れる。彼女はサイトの両肩に手をかけて小さく握り締めていた。

前よか少しは膨らみが・・・あるかな・・・?
思わずぽそっと言ってしまった。
その言葉にルイズの身体がぴくっと反応する。

「――サイトがもっと触って・・・ぁ・・・くれたら・・・ぁん・・・もっと・・・おおきく・・・なるんだから・・・ぁ」
甘い吐息混じりにルイズはサイトのココロの火に油を継ぎ足すような言葉を零した。
サイトは一旦、脇から入れた手を差しぬくと、今度は緋袴の隙間から手を入れ、
白衣を留めている白帯の結びを解いた。

スルッ。甘美な衣擦れの音とともに袴の隙間から、白衣を留めていた帯が取り出された。
少し白衣の合わせ目が乱れる。
彼女も高ぶってきたのか、顔を上げて、ピンク色の唇でサイトの首筋を音を立てながら吸い始めていた。

つぎにサイトは白衣の衿を両手でガバッと開き、ルイズの襦袢を露わにさせた。
そして、再びさっきと同じように袴の隙間より両手を入れ、今度は襦袢の留め紐を解く。

スーゥッ。耳介を擽る音を立て、留め紐が隙間から取り出された。
サイトは、ルイズの襦袢の両衿を掴んで少々荒めに拡げた。
白衣と襦袢は彼女の肩口までを露わにするまで肌蹴てしまっていた。
彼女の肌は上気しているせいか、少しうっすらと桜色に染め上げられている。

ルイズはサイトの首筋から唇を離すと、ぽやぁんとした恍惚な表情でサイトを見つめる。
そして、ねだるように彼の唇を奪った。

甘ったるく、そして湿っぽい音が二人の耳を刺激してさらに高ぶらせるのだった。

サイトは、両手で肌蹴て露出した発展途上の双丘を包み込み、もみしだく。
自分の口の中では彼の行為に呼応するかのように彼女の舌がうごめいていた。
たまに舌の動きが止まり、ルイズの熱い吐息が彼の口中にまで漏れこむ。

サイトは丘の頂にある桃色の突起を軽く摘んでは転がし、摘んでは転がしと弄ぶ。
ルイズの鼓動がどんどん早まって行くのが手に取るように伝わってくるのだった。



569 名前:初夢〜双月の巫女(4/5):2008/01/02(水) 12:42:27 ID:WY6yZ9KL

彼女はサイトの唇から舌を抜いて、潤んだ鳶色の双眸で彼を見つめた。
「サイトぉ・・・・もーらめ。わたし。腰が・・・立たなく・・・なっちゃう・・・」
そう言って、彼女はサイトにしなだれかかった。

彼は一瞬困った表情を見せたが、淫靡な笑いを湛えると彼女に告げた。
「このままでするよ・・・だから、首に手を回して・・・」
サイトに言われるがまま、ルイズは彼の首に手を回して抱きついた。
そして、彼女は彼の耳を甘噛みして、囁いた。
「・・・おねがい・・・して・・・わたし・・・の・・・へんになっちゃってる・・・」

お互いが向かい合ったままサイトは事を進める。

これ咥えて。
緋袴をたくしあげて、袴の裾の端を彼女の口元にもっていった。
ルイズは端っこを小さな口で咥える。
袴が捲くれたところからは、乱れた襦袢の隙間から裾除けの一部が覗いていた。

そか、これがまだ残ってたんだっけ。
彼はそうつぶやくと、襦袢のはだけたところから手を差し入れて、裾除けを留める紐を解きにかかった。
これで最後だよな。
意外に硬い結び目に多少苦労したものの、紐を解くことができた。
スルゥ・・・パタ。
紐から手を離したら、勝手に裾除けごと下まで落ちてしまった。
「むぅんっ」
裾を咥えたルイズの口から声が漏れた。

サイトは軽く彼女の首筋に口付け、囁いた。

「もうすぐ・・・してあげるから」

襦袢の乱れた合わせから右手を差し入れて、彼女の太ももを抱え上げた。
広く開いた合わせ目からは、ルイズの湿り気を帯びた部分が露わになっていた。
そこに薄く茂った桃色の草原は既に甘い露が滴るように糸を引いていた。

彼は左手の中指の先で、彼女の茂みをそっとなでさすった。
それだけなのに、にちゃりと淫猥な音がする。

「らぉめぇ〜」
ルイズはもじもじと太ももを動かした。
受入れる状態であることを確認したサイトは自分の分身を取り出し、彼女のそれにあてがう。
そして、ゆっくりと奥へと挿入した。

熱い。熱いよ。ルイズ。
粘度の高い液が彼の陽物に絡みつき、彼の侵入を感知して彼女の陰部が収縮し始めた。
うわぁ・・・き、きつ。
サイトはゆっくりと腰を動かしていく。
そのリズムに合わせるように彼女は緩急を繰り返す。

サイトは動きを早めては緩めを繰り返して、快感をコントロールしていった。
二人の緊張も徐々に最高潮に近づく。



570 名前:初夢〜双月の巫女(5/5):2008/01/02(水) 12:43:09 ID:WY6yZ9KL

ルイズはついには咥えていた裾を落としてしまう。
「・・・サイトっ・・・サイトぉ・・・も、もー。わたし・・・もぅ・・・らめ・・・かも・・・」
サイトはギアチェンジして一気に腰の動きを早める。

くちゃくちゃ・・・ぬちっ・・・ぬちょっ・・・
二人の体液が入り混じった音があたりに響く。

「おれも・・・も・・・う・・・ル・・・・ルイズ!!!」
「あたしもっ・・・ぁ・・・ぁ・・・ぃ・・・いいいっ」
サイトはルイズに奥深く挿入した状態で急停止した。
そしてふたりとも大きく身体を痙攣させた。

・・・
・・・・・・
ごんっ!!!
って〜なぁ・・・
サイトはベットから転げ落ち、後ろ頭を強打していた。

んだよ。夢かよぉ〜
頭をぼりぼり掻きながらベットへと戻ろうとした、
その時。
いつ目覚めていたのであろう、ルイズがこっちを獣のような目で睨みつけていた。

「随分と楽しそーな夢見てたじゃない?誰と楽しいことしてたのかしらぁ・・・」
彼女の手が鞭を握り締める。
「怒んないから。おっしゃいな。しょーじきに」
「――る・・・」
「タバサっ!?」
彼女が鞭を振り上げた。
「ち、ちがうっ、おおおお前だよ。ルイズ。お前だって」
振り下ろされた鞭が彼の額数サント手前で止まった。
「え?わわたし・・・」
ルイズは持っていた鞭をポロリとベットに落とした。

しかし、サイトが安堵のため息を一つ出し切ろうとした刹那。
バシン。彼の胸倉にルイズの拳固が叩き込まれた。

「う、うそだもん。あ、あんなに優しくないんだもん。
あ、あんなに夢で優しくしてくれるのに、起きてるときは何にもしてくれないんだからっ」
バシン、バシン。痛いでしゅ。結構いいパンチでしゅ。

「じゃ、じゃぁ、していーのかよっ」
ルイズのパンチを多少除けつつサイトは叫んだ。
すると、彼女の攻撃がぴたりとやんで、代りにとんでもない剛速球が彼のハートに打ち込まれた。
「い、いいんだもん。・・・優しくしてよ・・・」

じつはさっきはお互い同じ夢の中にいたのだ。

2度目の甘い睦言が始まり、トリスティンの夜は更けてゆく・・・

571 名前: ◆LoUisePksU :2008/01/02(水) 12:44:36 ID:WY6yZ9KL
以上ですノシ

みんなは初夢見れたかい?


572 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 12:44:59 ID:9HZhXmqj
    /\___/ヽ
    /''''''   '''''':::::::\
   .|(●),   、(●)、.:| +   
   |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|    +
   .|   `-=ニ=- ' .:::::::| +  <女・・・少し黙ったらどうだ・・・
    \  `ニニ´  .:::::/___
     /ヽ、--、 r-/|ヽ \─/
    / > ヽ▼●▼<\  ||ー、
   / ヽ、 \ i |。| |/  ヽ(ニ、`ヽ
  .l   ヽ   l |。| | r-、y`ニ  ノ \
  l     |  |ー─ |  ̄ l  `~ヽ_ノ

573 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 14:11:10 ID:/AptOrpY
>>571
立ってする小便器の前でビュービュー小便が出続けて、
なかなかトイレから離れられないという初夢だった。

574 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 17:45:22 ID:8BHEOEiE
社会にむけてメッセージ性を持たせようとがんばった、『三流SFホラー』のようなな初夢だった。

575 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 20:19:43 ID:nW+Z0Tw7
>>571
GJ!いったいどんだけ寝言言ったらここまでばれるんだw

初夢か……
青空が変化なくあって動物も飛行機もなし。
印象に残ってるのは眩しさだけど、太陽もなかったような……

576 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 20:21:18 ID:rzLDDWbO
>>575
もしかして召還されたんじゃね?

577 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 21:02:12 ID:kSNeprRp
上司からのイジメがひどくなって殺っちゃう夢をorz

578 名前:Lv.見習:2008/01/02(水) 22:00:03 ID:nW+Z0Tw7
−特訓と受難−
 剣を握る手の甲を氷の矢が掠め、ぱっと血が吹き出した。
 手を離れた銀光は、弧を描き重い音をたてて地に突きたつ。
 自身の血が騎士のマントに降りかかり、あちこちを点々と赤黒く染めた。
「……いってーっ!」
「俺を落としてんじゃねぇよ。武器なしのガンダールヴなんてただの木偶の坊だろが」
 才人に取り落とされて、固い土に突き立ったデルフリンガーが文句をつける。
 痛みにまだ痺れる手をぶんぶんと振って、才人は再び剣を握る。
「……あぁ、まったくだ。くっそ……」
「まだ。これくらいは序の口」
 雪のような冷気を纏ったタバサが次の呪文の詠唱に入る。
「……いくぞ!」
 叫んで突っ込んだ才人は、同時に完成し解き放たれた氷の矢をデルフで受けた。
 そのまま半回転して、すばやく剣をタバサの杖に叩きつける。
 しかし刀身はキン、と澄んだ音をたてて障壁に弾かれた。
「……まだまだ。追って。そういう時に止まるのは危険」
 タバサはすばやく一足で才人と間合いを開け、いつもどおりの小さな声で指示をする。
 氷とされていたその表情は、春風を受けたように僅かに綻んでいた。
「おう!」
 才人は言われたとおりに駆け寄り、澄んだ音を不規則なリズムで響かせた。
 ……二人の姿は微笑ましい追いかけっこに似て、その実、血生臭い物であった。

「……なによ、あれは」
 自室の窓からふと広場を眺めたルイズは、不機嫌な声を出し、作りのいい顔を顰めた。
 自分の使い魔が、走る道に血を落としながら必死で青髪の少女を追いかけている。
 ……気に食わない。とても気に食わない。
 ご主人さまをほったらかしてあの使い魔と来たら、至って真剣な眼差しであのちっさい
女の子を追っかけまわしているのだ。
 普通はここでまず魔法とか血とか剣が気になりそうなものであったが、
 才人がデルフリンガーを振り回している事など、ルイズの目には入っていない。
 とにかく気に食わないのだ。感情がそう言っているのだから、ほかにくっついている事
など、彼女にとってはどうでもよい瑣末事だったのである。
「えっと……戦闘訓練、だそうですよ、ミス・ヴァリエール」
「……おおお水精霊騎士隊じゃ、ないわよね、タバサはっ」
 既に顔つきは強張っている。全身は怒りに震えている。
 部屋にいたのが、いつの間にかそれに慣れてしまったシエスタでなかったら、今頃部屋
から慌てて逃げ出しているに違いない程の怒りようであった。
「もう他の人では相手にならないんだそうですよ。さすがサイトさんですね」
 穏やかな声でシエスタは返した。ほんの少しの優越感を声に乗せて。
「だだだだからって、だからって、あの子じゃなくてもいいじゃない! それにどうして
私はなんにも聞いてないのに、シエスタがそれを知ってんのよ!」
「えぇ……それが、ちょうど先日その場に出くわしたのでお聞きして……」
「大体それならまず私に言ったって……あぁぁもう! 許さないんだから! おしおきよ!」
 とうとう我慢ならなくなったルイズは、杖を手に部屋を駆け出て行った。
 シエスタは苦笑を浮かべ、ため息をつきながらその背を見送る。

 特訓のケガも癒えぬ内にそれ以上のケガを虚無の爆発で食らわされるのであろう。
 ……サイトさん、頑張ってるのに、ちょっとかわいそう。
 そう思いながらも、シエスタもまた、なんとなく面白くなかったので止めない。
 特訓だろうがなんだろうが、思いを寄せる相手が他の女の子と二人きりなんて、普通は
見たくない物なのだ。
 シエスタは一時間後の状況を考え、包帯や薬を貰うために医務室に走っていった。

 男の意地、って物がある。
 守りたい女の子に、その為に特訓しているなどと、知られたくない物なのだ。
 ましてやその守りたい女の子を特訓相手にするなど、ありえないのだ。
 ルイズでは気兼ねするわ力が足りないわで、どちらにしろ特訓相手は無理だろうが……、
怒り狂うルイズには、才人の意地もキモチも、知ったことではなかったわけで。
--------------------------------------------------------------------------------
終。 微妙に容量残ってるから埋めを兼ねて戦闘と大人数の練習SS。

579 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 23:37:01 ID:/m5H6OCZ
>>578
GJ
続きwktk

580 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 11:37:25 ID:7xM5lUZw



581 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 10:34:41 ID:v6up3Gj3
このスレは愛が溢れてるね・・・

582 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 19:45:53 ID:1rAlEVYW
このスレは受が溢れてるね・・・

583 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 19:52:51 ID:z7ozKsx4
アンリエッタの陰部からは愛液と精液があふれています

584 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 23:44:07 ID:3l3KgD85
ティファニアのけしからんおっぱいが服からあふれようとしています

585 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 03:37:41 ID:GwE7hTST
>583
急いでそれを押さえるSSを書くんだ

586 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 10:32:30 ID:Rn3TfVXc
コッパゲの耳から脳汁があふれています

587 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 09:48:23 ID:A8w85mSj
                         -―-v―- 、
                      _, -/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ー- 、
                  <:.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:ヽ
                   `7.:./.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:`.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
                       /l./:\j.:.:.:.{.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.:.:l.:.:.:l.:.:.:.:. {
                     |l:.:.:.:∧:.l:.:ヽ:.: |\.j/| .:.:|.:.:.:.:.:.ヽ、
                        八:.:N ヾ、:.:_}斗≦く:./.:.:.:l:.:.:.:ト、.:.:.:.ヽ
                  /.:.:.:.:ノ:}ヘ= j/ jヒzリ/.:.:.:/.:.:.:.j:.:. ー-:、\
                 /.:.:.:.:.:./}八::: '   ::::/.:.://.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:).:.:\   か、勘違いしないでよね!
                    /.:.:.:.:.:.: / {_:.:\ (ヽ/.:.,:イ.: /.:.:.:.:/!.:.:.:.:.:.:.:/ .:.:.:.:.:.)
               /.:.:.:.:.:.:.:.'ー‐-、 )'´/―――/.:.:.:.:/.:i.:.:.:.:.:.:.:{.:.:.:.:.:.ノ
               `ー―‐-、.:.:.:.:.八:/__ :::::::::::: /.:.:.:.:.:ゝー=-.:.:.:.:\.:.(
                    ノ.:., '/ ̄`ヽ.\::::::::{.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ.:.:\)
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         /      三l三 ┬ 田         | l.:.:.:.:.:.:.:.:.:く.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{.:.: ハ
         |         孑_戈 土 土        ./| 人.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:ヽ.:.:.:.:.:.:.ヽノ:.ノ
         |                    /孑{ {二>、.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.:.:.: ∨
         ∨                 / j ヾノ.;.;.; _ノ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽハノ
             ∨               /  ∧  \.; ヽ、___ノ从ノ人ノ::::::i
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588 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 09:49:11 ID:A8w85mSj
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  / ./し’>'¨    ― - 、  \ ヽ  ∧
  { |:::/             \  \ \  ヽ___/⌒ヽ
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  /::/          \X´   \__!  |ヽ      |
  ∨       - ,   / ヽ\   ∧`ヽ | `ー ⌒ヽ、|   ノ}
 /   }     、  \ /  ィ云tー   V _}.|         } `ー' |
/    i       ヽ、 /ヽ/圦__心V  / ̄ ̄ `' <   しヘ_ノ
|     ハ       iヽ { ヽ辷ツ |  {         `ーi リ- 、 _
| ! i    |\ ト 、 ヽ、 |   '´::::::|  |       ヽi  ノリ}     ̄>
| V   _」斗ヤ示t、 |ノ        |  |        ヽ.       /::::::
ヽ V  '´ \ 「V辷rヘ       |  |\   _r‐v―vヘn.   /::::::::::
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   V ヽ、ーートへ::::::   ´`  |  |  く >:::::::::::_:_}_:::::::::::::::::::::::::::
    リ \ヽ \リ  `ー- - r‐ 'T{| 人  <乏::::,>''¨  人>/:::::::::::::::::
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589 名前:名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 09:50:09 ID:A8w85mSj
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【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合26
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